虚構新聞社:2014年上半期人気記事トップ10
こんにちは。こちら虚構新聞編集部です。今回は今年1月から6月までお届けした本紙記事の中から、特に反響が大きかったものを紹介しつつ、この半年間をランキング形式で振り返ります。なお、順位は1月から6月までの本紙配信記事計60本の中から、はてなブックマーク、ツイッターでのつぶやき数、フェイスブックの「いいね!」数、実際の記事へのアクセス数などを総合し、編集部独自でランク付けしたものです。
ここからは本紙社主UK(以下UK)と、本紙解説員として知られる京都大学・坂本義太夫教授(以下坂本)で上半期を振り返ります。
UK:読者のみなさん、こんにちは。虚構新聞社社主のUKです。いつもご愛読くださりありがとうございます。
坂本:こんにちは。京都大学教授、カルテジアン劇場の支配人こと坂本義太夫です。
UK:何だかんだ大変だった昨年末を乗り越え、今年はすごく健全なランキングだと思うのですが、いかがでしょう。
坂本:今年はまずまずいいんじゃないの。トップの節分事故は、何か昔の虚構新聞っぽいな。
UK:ツイート数が1万、「いいね!」もほぼ1万というのは本当に久々ですね。何がこれほど好評だったのか、実はよく分かってません。ただ近年、風刺とパロディに傾いたところがあったので、今年は少しそういう方向から離れたものをお伝えしようという意識はありました。そういう意味ではこの2、3年で本紙を読まれるようになった読者にとっては「これの元ネタってなんだろう?」という戸惑いがあるかもしれません。特に元ネタのない創作記事も増やしていきたいですね。
坂本:ああ、そう言えば今年で10年だったか。
UK:そうなんですよ。この10年間、いつもコメントありがとうございます。最近はお忙しいようで、あまりコメントもらえないのが残念です。
坂本:いや、私は研究やら指導やら、本当は毎日忙しいんだよ。この前も逃げ出したオオサンショウウオを引き取りに行ったり。仕方ないからコメントしてやってるだけで……。
UK:ツンデレですか。
坂本:知るか。
UK:10周年ということで、今年のエイプリルフールにはあの「東京新聞」さんに記念記事を書かせていただきました。あと、長らく連載させてもらっている「週刊アスキー」さんにも4月1日発売の記念企画として「虚構新聞×週刊アスキー」を4ページ。おかげさまで「週アス」読者さんからの評判も良かったそうです。「毎週やってほしい」という意見もあったそうですが、準備に1か月かかって、なおかつ最後の追い込みは編集さん共々本当に大変だったので、ああいうのは年1回が限度ですね。次のエイプリルフールまで連載続くか分かりませんが。
坂本:あとは、2位がスノーボール……。これはソチ五輪か。
UK:そうですね。これはフェイスブックでの評価が高かったです。
坂本:何ともストレートな記事だな。
UK:ちょうどこの時期、某皇族筋の人の「国費使って負けたのにヘラヘラ笑うな」という発言があって、さすがにムカチーンと来たんですよ。だからこういうやつらへの恨みをモチベーションにメダルを取って、その上でブチ切れてくれないかな、と。どうもアスリートはみんないい人すぎる気がします。あるいは社会が「そうあるべき」と押しつけすぎているような気もします。
坂本:あとはやはり「STAP細胞」か。2本もランクに入ってるな。私もアカデミズムの人間だから一連の流れを興味深く見ていたが、まああれは無理だ。
UK:STAP細胞はない、ですか。
坂本:いや、ないとまでは断言しないが、論文が撤回された以上、現段階では「あったらいいな」以外の何物でもないだろう。記事に「信じる会」とあるけど、まさにその通りだよ。
UK:他の記事はどうですか。
坂本:「PS4じゃない」は風物詩か。「無人牛丼店」はいかにもありそうな感じで良かったと思う。で、10位が……、謝罪? 「ステーキさいころ」、本当にあったのか。
UK:……はい。この目で確かめました。写真送ります。
坂本:わはは(笑)。これ、どこで売ってたの。
UK:東京スカイツリーのお膝元にある「東京ソラマチ」のお土産街にありました。
坂本:わざわざスカイツリーまで買いに行ったのか。
UK:いや、たまたま東京出張があったので、情報を頼りにお店に行ったら、確かに置いてありました。しかもご丁寧に生肉と焼肉の2種類。他のストラップは普通の食品サンプルなのに、サイコロステーキだけこうやって目が入ってるんですよ。食品サンプルはリアリティが売りなんだから、こんなの作らなくていいのに。本当にくやしい!
で、謝罪記事を出したら、案の定また「ねとらぼ」が嬉々としてガソリン持って駆けつけてくるんです。しかも今あそこで漫画コラムを書かせてもらってるのですが、一生懸命書いた漫画記事の順位が、自分の謝罪記事に上位をさえぎられて伸びないという、自分で自分の首を2度絞める哀しさですよ。
坂本:ずっと「今年は謝罪ゼロの安全運転で行きますよ」って言ってたのにな。
UK:完全に油断してました……。「お菓子業界とおもちゃ業界は敵に回さない」がこの1年の教訓です。やつらは本気で冗談に取り組むから余計なことを言わないのが賢明です。
坂本:そんなに「グロス」がトラウマか。
UK:なので、「INFOJAR」もそうですけど、家電やIT系はいいですね。まず実現しないですし。ランクには入りませんでしたが、この前のシャープのなぜか風吹く扇風機「クライン」は、以前からシャープのツイッターの中の人にちょくちょくつつかれてたので、本紙としてお返しした次第です。でも記事で触れた「コップ1杯の水を3秒で沸騰させるポット」は本当にあるらしいので、いずれ「クライン」も作ってくれるかもですね。まあ万が一にも実現したら、大阪本社に土下座しに行きますよ。
坂本:何そのフラグ。
UK:さて、そろそろ今回もこの辺にしようかと思うのですが、最後に何か言いたいことありますか。
坂本:それは私のセリフだろう。最近おとなしい印象だが、また何か企んでるの。
UK:いえ、全然何もないです。どういうわけだか、今年って時の人がいずれも「濃い」じゃないですか。ボージョレヌーボーじゃないですけど、近年まれに見る出来栄えですよ。だからいわゆるネットのネタには事欠かなくて、そうなると本紙が出る幕もないと思うんです。この前の号泣議員の会見を見たときは、もはや何か書こうという気にすらならなかったです。虚構の想像力を凌駕する現実には勝てません。
坂本:それはそれで何とも嫌な時代だけどな。
UK:本紙としては今まで通り、いや、今ちょっとだけ新しいことは考えていますが、これまでの10年と同じように、これからの10年もやっていくつもりです。そういうわけで、先生も今後ともよろしくお願いします。また記事送るのでコメントどんどんお願いします!
(電話切れる)
坂本:言い逃げかよ……。