男「目が覚めたら幼馴染がまたがってた」
- 1: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/23(月) 23:35:06.34 ID:vpiQ7MDko
こんな夢を見た。
朝、重みを感じて目を開けると、幼馴染の桜子が俺にまたがっていた。
出勤途中なのか、スーツをきちんと着込んで、化粧をしている。
(そういえば就職したって言ってたな)
「あっ、ごめんね駆。起こしちゃった?」
起こしに来たんじゃないのか、と寝ぼけた頭で考える。
仰向けに寝ている俺の腰に乗った桜子。
- 2: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/23(月) 23:37:07.36 ID:vpiQ7MDko
頭を持ち上げると、めくれたスカートの奥が見えた。
あるべきものがなかった。
桜子、パンツはいてない。
俺もなぜかパンツはいてない。
(これ、入ってるよね)
寝起きで喉が渇いたのと混乱で声が出ない。
「い、いいよ。駆は、寝てて」
(うーん、ありえん)
物理的にはありうることだが、桜子がいきなりこうなるのは飛躍しすぎている。
- 3: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/23(月) 23:37:37.91 ID:vpiQ7MDko
「ゆめだ」
数日ほったらかしにしたままの、無精ひげの生えたあごを桜子が舐める。
「やだぁ。ざらざらしてるぅ」
「お前、どうした」
「わかんない、わかんないよぅ」
桜子は頭を振って甘えた声を出す。
お互いまんざらでもなかったが、いや、俺は相当惚れ込んでいたが、桜子がこうなる理由がわからない。
- 4: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/23(月) 23:38:09.41 ID:vpiQ7MDko
「ゆめだ」
「夢?」
明晰夢というやつだろう。
滅多に見ないが、全く見ないわけじゃない。
「これは夢だろ」
「うんっ、なんでもいいっ」
胸に置かれた手に力が入り、爪が刺さる。
「いてえ」
桜子は聞かずに腰を使う。
十に満たない頃からの付き合いだった。
ずっと「いいとこのお嬢さん」だった。
心の優しい、雰囲気の柔らかい子だった。
保健体育の二次性徴の単元のテストなんか、恥ずかしくて回答が書けずに赤点を取った。
その桜子が、俺を夜這いに来るわけがない。
これは夢だ。
- 5: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/23(月) 23:45:39.51 ID:vpiQ7MDko
(夢なら堪能しよう)
桜子の腰をつかんで、仰向けに転がす。
驚いたようだが気にしない。
そのまま行為を続ける。
太ももに赤いものが見えたが、本人が痛がらないので気にしない。
そういう夢だ。
「駆、たすけて」
「嫌か」
自分で襲っておいて、嫌も何もないだろう。
「ちがうの。してもらわないと、あたし、だめになる」
- 6: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/23(月) 23:54:20.72 ID:vpiQ7MDko
(なんだそれは)
考えても無駄なようだった。
俺の目が覚めないうちに、夢が覚めないうちに、
「だして」
と、桜子の口が動いたような気がした。
避妊のことなんか微塵も考えずに注ぎ込む。
桜子は口元で少し笑うと、失神した。
俺も満足したので、眠りの中の眠りに入った。
- 7: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/24(火) 00:04:21.96 ID:om+ZDlQVo
今度こそ目が覚めたら、幼馴染の桜子が横で眠っていた。
俺は下半身丸出しだった。
「ああああちょっと待てちょっと待てちょっと待て!」
桜子がだるそうに体を起こす。
夢と同じスーツを着ていた。
化粧が汗で崩れている。
「あっ、ごめんね駆。勝手にお邪魔して」
「もっと言うことあるだろ」
「あ、ああ、これは――だめぇ、恥ずかしい」
桜子は布団を被って部屋の隅に逃げた。
- 8: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/24(火) 00:05:23.27 ID:om+ZDlQVo
「あたしにもわからないんだもん。夢見てるみたいだった」
「夢か」
「夢です」
「こんな夢を見た」
「百年待ったの?」
「違う。夢だけど夢じゃなかった」
「うん。あたしがここに来て、その、アレして、ここにいるのは現実」
「なんていうか、すまん」
「駆は謝らないで。おかしくなってたなりに、自分で考えて来たんだから」
「今は正気なのか」
「正気……なのかな? 今は何ともないよ」
- 9: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/24(火) 00:16:19.88 ID:om+ZDlQVo
「つまりお前は、朦朧として、強烈な催淫状態にあったと」
「きっぱり言わないでよ。恥ずかしいよ」
桜子は、敷布団のそばに落ちていた下着をつま先で拾って手の中に隠した。
「今更だろうが。変な薬でもやってない限り、そうはならんだろう。変わったことはなかったか」
「そういえば変な花が咲いてた」
「変な、とはえらく主観的な表現だな」
「えっとね、大きさはこれくらいでー」
両手を広げてみせる。
直径にして、150~160センチといったところか。
「でね、そばを通ったら変なにおいした」
その大きさで、桜子のような症状を引き起こす植物。
知っていた。
- 10: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/24(火) 00:24:44.81 ID:om+ZDlQVo
「発酵したような、そうだな。チーズみたいな匂いがしただろう」
「あ、そんなだったかも。駆の知ってる花?」
言うまでもない。俺は植物学者だ。
「心当たりはあるが、この国に自生することはない」
「でも公園に咲いてたよ」
「公園とはまたローカルなところに咲いたな」
「ほんとだよ。ここに来る途中で近所の人が噂してたもん。
今頃テレビ来てたりして」
桜子に促されてテレビをつける。
- 11: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/24(火) 00:32:33.20 ID:om+ZDlQVo
「あれ、うつらないね」
抜いていたコンセントをさしても番組がうつらない。
「おかしいな。壊れたか?」
「駆、こっちに帰ってからテレビつけた?」
「いや、今が初めてだな」
「駆が旅してる間に、地デジ化したんだよ」
「なんだそりゃ」
「駆のテレビはうつらないの」
「そんな、いいのか。国民はだまってないだろ」
「だからそうならないように、ずっと前から地デジ化するってテレビでも言ってたの」
「俺は見てないぞ」
「だって駆テレビ見ないんだもん」
- 12: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/24(火) 00:33:04.02 ID:om+ZDlQVo
「なんてことだ……」
ラジオは研究室に置きっぱなしだ。
このアパートにも、数日おきにしか帰らない。
新聞は大学の図書館で読む。
「あたしの携帯ならワンセグついてるから。こっちで見ようよ」
桜子が鞄から携帯を出して、アンテナを伸ばす。
「ほら、見て。この公園」
桜子が体を寄せて俺に画面を見せる。
いい匂いがした。
スーツのしわを気にして座る様子を見て、すまなかったと思う。
- 20: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/24(火) 23:08:07.33 ID:om+ZDlQVo
小さな画面の中に、桜子の言っていた公園が映っていた。
清楚なイメージで売りたそうなファッションの女子アナがレポートに来ている。
(嫌な予感がする……)
――突如、発生したこの謎の植物。今日はその発生場所に来ています。
まだ、桜子みたいになった人が出たという情報が入っていないんだろう。
能天気な笑顔だ。
- 21: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/24(火) 23:08:33.74 ID:om+ZDlQVo
――これは、花、花なんでしょうか。茎はなく、地面に巨大な二枚の葉が張り付いているようです。
誰かが死んだわけでもないし、悲惨な事件もまだ起こってない。
棒を回すのが上手な熊や多摩川のアザラシでもレポートするノリだ。
俺の知っていることが本当なら、ろくでもないことが起こる。
「そうそう。これ、砂場の真ん中にでーんって生えてたの」
「二度とあれに近づくなよ。女は特にまずいんだ」
これから起こるであろう事態を予測して、桜子に見せていいのか気にかかる。
- 22: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/24(火) 23:22:00.84 ID:om+ZDlQVo
――外見もさることながら、独特の香りというんでしょうか。乳製品のようなにおいがします。
「あっ、馬鹿嗅ぐな――」
「じゃあ、この人は」
ナレーターがうつむき、スカートのすそを握る。
こんなに早く症状が出るものなのか。
「お前は見ないほうがいい」
「えっ」
――突然ですが、私は男の人が欲しいんですね。
画面の中の彼女は、表情をとろけさせてカメラに向かって宣言する。
- 23: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/24(火) 23:22:26.88 ID:om+ZDlQVo
――通勤時間も過ぎ、人通りが少ないのは仕方ないのですが、栓をしてくれる人がいないのはおかしいですね。
「何言ってるんですか!」「カメラ止めろ!」と、スタッフの狼狽する声が入る。
――カメラさん、音声さん、あなたたち男の人ですよね。
スカートをつかんでいた彼女の指が、裾から中に入っていく。
そこでカメラを構えていたであろう男は、奇妙な花だけを映すことに決めたらしい。
ねっとりした女の声だけが花の映像のバックに聞こえる。
――男の人ってことは、いいものを持ってるってことですよね。
- 24: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/24(火) 23:32:08.01 ID:om+ZDlQVo
画面が激しくぶれて空が映った。
カメラの男が倒されたらしい。
――ひゃあはははは! がんばって元気にさせててくださいねぇ!
私が満足するまで萎えさせちゃらめでしゅよぉ!
地面に落ちたらしいカメラが、狂ったように笑う女の顔を見上げていた。
こんなの、どんな美人でも萎える。
やっと、せせらぎの映像と「放送事故起こしてすみませんでした」的なテロップが流れる。
その背後では、パニックになった現場がうまく機材を操作できていないのか、音声が拾われ続けていた。
- 25: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/24(火) 23:46:04.18 ID:om+ZDlQVo
「あの、駆……もう消していいよね」
桜子が気まずそうに携帯のアンテナをしまう。
「なんてことだ……なんてことだ……」
まさかここまで即効性があり、激しく症状を引き起こすとは思わなかった。
「……ね、私、この花の近くを通ったの」
「お前、フェルビッチアの毒にあてられてよくここまで来れたな。
直接嗅いだら理性がぶっちぎれる代物だぞ」
- 26: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/24(火) 23:46:29.65 ID:om+ZDlQVo
桜子がまだ実家暮らしなら、電車を乗り継いでこのアパートまで30分から一時間はかかる。
誘惑は多かったはずだ。
誘惑どころじゃない。
やらなきゃ死ぬところまで追いつめられていたはずだ。
「奇想天外?」
もっともこの毒は、一旦性交渉を持てば症状はほとんど緩解する。
桜子も今はまともに会話ができるようになっている。
「違う。ウェルウィッチアじゃない。フェルビッチアだ。非常に強い毒性を持つ。症状はあのとおりだ」
- 27: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/24(火) 23:53:23.69 ID:om+ZDlQVo
「頭がおかしくなりそうで、死ぬかと思ったの」
「ああ、放っておいたらホルモン分泌過剰で死に至ることもある。
原生地の部族は、男が狩りで出払う間、妻たちのために性具をお守りとして置いて行くんだ」
だから桜子は「たすけて」と言ったのだ。
「俺は出かけるが、大丈夫だな」
桜子は不安そうにうなずく。
「行って。駆が行かなきゃ、もっとひどいことになるよ」
「お前はここにいろ。離れていれば心配ないが、花粉を飛ばさないとも限らないからな」
- 28: ◆CIZA6sfEUc:2013/09/25(水) 00:01:16.44 ID:9kSnOsjEo
「あたし、仕事休む……」
「そうした方がいい。気に病むことはコメント一覧
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- 2014年07月11日 19:44
- 目が覚めたら体が縮んでしまっていた
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- 2014年07月11日 19:45
- 目が覚めたら髪の毛が散らばっていた
-
- 2014年07月11日 19:49
- 目が覚めたら芋虫に……これは違うか
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- 2014年07月11日 20:05
- 目が覚めたら布団がびちゃびちゃだった
-
- 2014年07月11日 20:36
- 目が覚めたら壁がなくなっていた
-
- 2014年07月11日 21:04
- 目が覚めたら
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| 彡⌒ミ
\ (´・ω・`)また髪の話してる
(| |)::::
(γ /:::::::
し \:::
\
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- 2014年07月11日 21:11
- 目が覚めたらフル○ッキだった
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- 2014年07月11日 21:39
- 目が覚めたらニートになって五年が過ぎてた
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- 2014年07月11日 21:41
- 初っ端から地の文メインのエロ展開か
SS読みに来てる気分ではあんまり読む気がしないから評価待ち
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- 2014年07月11日 21:49
- とても楽しく読めたわ、たまにはこういうのもいいね
処女厨化草というネーミングにはえっと思ってしまったけど。
あと、ココアのことだけれども
インスタントならばコーヒーよりも カフェイン含有量少ないとはいえ、物によってはコーヒー以上にカフェインが含まれるココアは妊婦には十分危ないと思うな。そこだけ気になったったす。
-
- 2014年07月11日 21:50
- 目が覚めたらパンツの中がカピカピだった
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- 2014年07月11日 21:50
- 面白かった。SSなら個別の名前は無くても良かった気はする。名前のイメージとかもあるし、名前に意味があるのかと無駄に考えてしまうし
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- 2014年07月11日 22:02
- 読まなかった
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- 2014年07月11日 22:25
- 目が覚めたと思ってたのにまだ夢の中だった
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- 2014年07月11日 22:27
- 名前にネタ仕込んで欲しかったかな。
キャラもストーリーもあっさりで、読みやすいし、面白かった。
難点は伏線はるのが苦手なのかな?不完全燃焼な感じが強い。まぁ、次があったら読みたいね。
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- 2014年07月11日 22:48
- おもしろかったけど途中でつかれちゃったわ…
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- 2014年07月11日 23:12
- ゆめだけど!ゆめじゃなかった!
まで観て寝た
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- 2014年07月11日 23:15
- 目が覚めたら、ち●こからキノコが生えてた
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- 2014年07月11日 23:24
- 読み疲れる感じはするけども十分面白い作品でしたね
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- 2014年07月11日 23:37
- 気が付くとがっつり読んでた
伏線の張り方は俺も少し気になったかな
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- 2014年07月11日 23:56
- 中々良かったと思う
-
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