<ディスクシステムがもたらしたもの> ディスクシステムの登場を一番歓迎していたのは、もしかしたらファミコンソフトの改造を夢見ていたマニアたちだったかもしれない。
ROMカセットはその性質上、データを改造し、焼き付けることが非常に難しかった。しかしディスクシステムは、ソフトにクイックディスクという磁気ディスクの一種を採用していたため、比較的それらのことが容易にできるようになったという。
そこで登場したのが、アイ・ツー社が開発した『トンカチエディター』という改造ツールである。
ただし、『トンカチエディター』は、任天堂非公認ツールだったので、あくまでも一部のマニアの間で流通した地下アイテムだった。同社はのちに、ROMカセットのデータを吸い出し、ディスクに書き込むことができるツールとして「創世機ファミー」を発売(ただし大容量ソフトには対応していない)。
これにより、マニアたちはディスクのみならず、ROMカセットの改造をもできる環境を手に入れたのである。
<なんと相場の4・5倍!? その意外な理由> 先日、そんな「創世機ファミー」がヤフオクで高額落札されていたので、紹介してみたい。
こちら↓
※サムネイル画像:ファミコン ディスクシステム 創世機 ファミー ソフト付き (ヤフオク!) なんと、その額16万円越えである。
私オロチは15年来のヤフオクウォッチャーであるが、「創世機ファミー」の相場は新品でもせいぜい3,4万円といったところで、このような額には正直、面食らった。しかし、すぐにその理由がわかったのである。
<インターネット不在時代の貴重な情報源> その理由は画像2枚目、3枚目にあった。こちら↓
※サムネイル画像:ファミコン ディスクシステム 創世機 ファミー ソフト付き (ヤフオク!) 『トンカチエディター』の説明書は63ページにも及ぶ大ボリュームでありながら、本ソフトの操作説明などはわずか数ページ。その残りの大部分は、当時、ゲームソフトを解析する上で、必要な知識や技術の解説に充てられていたという。(懇切丁寧というよりは、むしろ内容が専門的過ぎて難解だったとか)
また、小冊子「トンカチニュース」には、全国のユーザーから送られたゲームソフトの解析結果などが掲載されており、インターネットがなかった当時、この小冊子はマニアたちの数少ない情報源だったとのこと。
ソフトを見ても、『スロープラス』や『B.B RAMプラス』などの別売りソフトや、『トンカチエディター』をはじめ『子育てゴッコ』や『ジンゴロー』など同社の別商品が確認できる。これだけまとまって出てたなら、まあ、16万円も妥当っちゃあ妥当……
なのか!? 正直、わからん(笑)
参照サイト:
伝説のディスクシステム「改造・開発ツール」(○だ真理教のホームページ)
:
トンカチエディタ説明書(往年のデジタル機器を懐かしむ)
:
創世機ファミー(SamplingLife -模倣人生-)
<“ツッコミどころ多すぎ”な当時の広告> ※おまけ
ちなみにこちらが1987年当時の『トンカチエディター』の広告。
※「ファミコン改造マニュアル VOL.2」より 「R・P・Gより面白い」とか、「買ったソフトを改造せずに遊ぶなんてダサイ」とか、挑戦的なフレーズが随所にちりばめられてますね!
「誰でも簡単に改造ができる」なんて大嘘ですし。「今、うわさのスーパーマリオ3はこのトンカチエディターでつくられた」とか、意味不明なことが書いてあります。実はこれ、任天堂が『3』を出したのは88年なので、その前に何者かがこのツールを使って、勝手に『3』を出しており、それを「うわさの」なんて言ってただけというのが真相のようです。自由すぎだろ(笑)
「ファミリーコンピュータ ソフトウェア コンテスト エントリー作品」なんて文字も見えますね。たしかに、アイ・ツー社は当時、賞金総額2000万円の同コンテストを開催してたらしいですが(結局どうなったかは不明)、自らのソフトをエントリーさせるとはね(それともエントリー中の作品を販売してるのだろうか。いずれにしても理解に苦しむ)。
もう、いろいろ洒落が効きすぎです!(笑)
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