紙を重ねまくって造形する3Dプリンタ「Mcor IRIS」
どんなものだって、薄くスライスすれば紙同然。
3Dプリンタといえば夢が膨らみはしますが、その設計図作りもですが造形のためのプラスチック樹脂などを用意するのもまた大変だったり。費用も安くありませんしね。
それを解決してくれるかもしれないのが、アイルランドのMcor Technologiesが発表している「Mcor IRIS」。樹脂ではなく、紙を素材に造形をする3Dプリンタです。
紙が素材といっても折り曲げたりするわけではなく、何百枚も重ねて成形するこの3Dプリンタ。もちろん、ColorItと呼ばれる専用のソフトウェアを使えば、普通のプリンタと同じようにフルカラーでの着色も可能です。だって紙だからね。
例えば上のオブジェ。Mcor IRISで製作した、ジオラマの一部でしょうか。側面を見ると無数の線が入っていて、膨大な枚数の紙が重なってできあがっていることが分かります。印象的には、メモパッドを彫刻刀で削ったかのような感じです。
使われている紙も1立方メートルあたり80gの標準的なオフィスペーパで、樹脂による一般的な3Dプリンタの10~20%のコストで制作できるんだとか。紙だから調達するのも簡単だし、臭いやガスで健康を害する心配もしなくて済みます。
そして気になるのが、できあがった作品の耐久性。紙と聞くとすぐに破損してしまいそうな気がしますが、実はかなりの強度を持っています。
以下の動画で、製作過程とできあがったハンマーの剛性を見てみましょう。
SliceItというソフトウェアによって、設計した3Dモデルの断面図を描くように紙の一枚一枚をカット。そして強力な接着剤によって紙同士を張り合わせ、プレスします。最後に余分な部分を剥がしていけば、完成です。この剥がす作業がなんとも楽しそうですね。
強度を確かめるシーン。結構な力加減で机を叩いているように見えますが、破損している様子はありません。数百枚の紙が重なってできているんだもんね、頑丈なわけです。
3Dプリンタそのものを導入する費用と設計図の問題をクリアすれば、こんなに精巧な作品も製作できたり。樹脂のツルッとした感じもなく、フルカラーでの着色がクオリティを高めています。
握りこぶしほどの作品を制作するのに掛かる費用は10ドル~12ドル(約1,015円~1,220円)ほど。具体的な価格の発表などはされていませんが、こうした技術の進歩やアイディアで、誰もが気軽にもの作りできる環境へまたぐっと近づけるかもしれませんね。
source: gizmag , Mcor Technologies
(今野愛菜)
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