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あかり「わぁいお引っ越しだよぉ!」



1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 19:43:06.47 ID:RShHCRkl0


あかり「向日葵ちゃんちの隣に越してきたよぉ」

ピンポーン

あかり「ひっ!」

「おらぁ!赤座ぁ!いるのはわかってんじゃあ!!!借りたもん返さんかい!!!」ドンドンドンドン

あかり「」ガタガタガタガタ


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 19:50:15.75 ID:RShHCRkl0


あかり「こわいよぉ」

あかり「おうち売り払ってもヤクザさんまだくるよぉ」

「借りたもん返すのが人の道理やろが!!!!はよ金作れたアホンダラ!!!!」ドンドンドンドン

あかり「ひぇぇぇぇぇぇ」ガタガタガタガタ


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 19:55:07.19 ID:RShHCRkl0


シーン

あかり「」

あかり「・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・ヤクザさんもう行ったのかな・・・」

ドンッ!!!!!!!

あかり「ぴえっ!!」

「また来るから覚悟せぇよ」

あかり「」ガタガタガタガタ



6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 19:59:21.02 ID:RShHCRkl0


あかり「とんでもないことになったよぉ」

あかり「もううちには一銭のお金も・・・」

あかり「電気代さえまともに・・・」

あかり「・・・・・・・・・」



7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 20:02:38.41 ID:RShHCRkl0


あかり「そもそもお父さんが友達の借金の」

あかり「連帯保証人になったのが間違いなんだよぉ」

あかり「その人は信用できるからって」

あかり「夜にお母さんを説き伏せてるのあかり聞いたよぉ」

あかり「それが今じゃ」

あかり「このありさまなんだね・・・」


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 20:06:33.65 ID:RShHCRkl0


あかり「お父さんは人を見る目がなかったんだね・・・」

あかり「そして」

あかり「人なんて簡単に信用するものじゃないんだよぉ」

あかり「人は皆だましだまされ」

あかり「お人好しはただ馬鹿を見るんだよぉ」

あかり「・・・・・・・・・」


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 20:09:20.74 ID:RShHCRkl0


あかり「抵当権を設定されたおうちは差押えられて」

あかり「こんな薄暗い団地に」

あかり「引っ越しすることになったよぉ」

あかり「うぇぇぇぇん」

あかり「前のおうちがいいよぉ」

あかり「うぇぇぇぇん」


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 20:12:56.43 ID:RShHCRkl0


あかり「うぇぇぇぇぇん」

あかり「この団地クモさんが一杯出るよぉ」

あかり「ネズミさんも敷地のいたるところで見るよぉ」

あかり「そもそも何か変なにおいがするよぉ」

あかり「遊んでる子供たちはなんだか貧乏くさいよぉ」

あかり「うぇぇぇぇぇん」

あかり「うぇぇぇぇぇん」


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 20:20:04.76 ID:RShHCRkl0


向日葵「まったく、住んでる人の前でよくそこまで」

向日葵「ぼろくそに言えますわね」

あかり「うぇぇぇぇん向日葵ちゃーん」

向日葵「よしよしですわ」

あかり「うぇぇぇぇんごめんねぇ、あまりの住環境の劣等化にあかり、あかり・・・」

あかり「うぇぇぇぇぇぇん」

向日葵「・・・何ら弁解になってませんわ・・・」

向日葵「だけど・・・よしよしもう大丈夫ですわ、ヤクザさんは行きましたから」

あかり「ごめんねぇ、あかりが怖がりさんだから、向日葵ちゃんについて貰っちゃって・・・」

あかり「うぇぇぇぇぇん (あの天井の隅にクモさんがぁぁぁ)」

向日葵「よしよし」


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 20:25:57.59 ID:RShHCRkl0


あかり「ごめんねぇ向日葵ちゃんまで」

あかり「あかりのせいで怖い思いさせちゃって」

あかり「あかりのせいで・・・あかりの・・・」

向日葵「よしよし大丈夫ですわ、赤座さん」

あかり「ほんとうに?」

向日葵「ええ。だって」

向日葵「慣れてますもの・・・・・・」

あかり「あっ・・・」


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 20:33:35.01 ID:RShHCRkl0


あかり「ご、ごめんねぇ。あかりったらまだ取り立て初心者なのにこんな取り乱して・・・」

向日葵「あ、赤座さん、取り立て初心者ほど怖くなるもののですわ」

あかり「うぅぅ・・・しかも前の家のあかりの私有物も」

あかり「金目のものはとられちゃって」

あかり「そのせいで、こんな吹き溜まりのような場所を」

あかり「殊更に悪く言っちゃって」

あかり「向日葵ちゃんの方が昔からこんな動物小屋みたいな環境で苦労してるのに」

あかり「ごめんねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

あかり「うぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」

向日葵「・・・・・・・・・」


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 20:37:49.25 ID:RShHCRkl0


あかり「ところで向日葵ちゃんのところは」

あかり「もうヤクザさん来ないの?」

向日葵「ええ」

向日葵「最初の方は毎日のように来て」

向日葵「どうしようもなかった日々が続いたのですが」

向日葵「債務整理をして債務の額を減免してもらって」

向日葵「少しずつ返済して今では平和に暮らせてますわ」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・ペッ」

向日葵「!」

あかり「ソレハヨカッタネ」

向日葵「・・・・・・・・・」


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 20:41:24.53 ID:RShHCRkl0


向日葵(今はまだ・・・時間が必要ですわ・・・)

向日葵(赤座さんは今・・・)

向日葵(自分以外の普通の人を)

向日葵(憎くも・・・そして羨ましくも思ってますわ)

向日葵(まだ時間が・・・)

あかり「今日のお昼はベビースターラーメンだよぉ」

あかり「おいしいよぉ」ボリボリ

向日葵(まだ時間が・・・)



26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 20:45:13.08 ID:RShHCRkl0


あかり「ベビースターラーメンをお湯でふやかすと」

あかり「チキンラーメンになるって本当かなぁ」

あかり「まさかあかりが」

あかり「こんな底辺貧乏職を口にするなんて」

あかり「思ってみなかったよぉ」

あかり「とりあえずお湯を・・・・・・」

あかり「あっ・・・」

向日葵(電気とめられましたわね・・・)


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 20:49:15.13 ID:RShHCRkl0


ジャー

あかり「水は出るよぉ」

向日葵「水は最後まで出るそうですわ」

あかり「なんでなの、向日葵ちゃん」

向日葵「電気をとめられてもすぐには死にませんが」

向日葵「清潔な水をとめられると生死に関わりますので・・・」

あかり「あっ・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「これが人の生活の底・・・」

向日葵「仕方ないですわ」


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 20:54:43.95 ID:RShHCRkl0


あかり「うー、あかり、なんだか一気に」

あかり「この世界がどうでもよくなっちゃったよぉ」

向日葵「よしよし、最初は皆自分が一番不幸だと嘆くものですわ」

向日葵「でも、赤座さんの家ならまだなんとかなるはずですから・・・きっと」

バシンッ!

あかり「向日葵ちゃんにあかりの何がわかるんだよぉ」

向日葵「・・・・・・」

あかり「あかりは、あかりは・・・」

向日葵「すみません。私はもう帰りますわ」

あかり「あかりのおうちは、もう何もなくなって・・・あかりの家族も・・・」ブツブツ

向日葵「失礼いたしますわ」

向日葵(赤座さん・・・絶望に呑まれないといいのですが・・・)


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 20:59:02.50 ID:RShHCRkl0


あかり「お父さんは泊まり込みで働いて」

あかり「家に帰ってくることは少ないよぉ」

あかり「お母さんはパートに出掛けて」

あかり「でも出来るだけ家には帰りたくないようで」

あかり「あまりおうちには寄り付かないよぉ」

あかり「お姉ちゃん」

あかり「お姉ちゃんは・・・」


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 21:05:15.80 ID:RShHCRkl0


あかり「お姉ちゃんは大学をやめて」

あかり「働きに出たよぉ」

あかり「ほんとうはこの家から出ていくのが一番なのに」

あかり「あかりのことを見捨てられないって・・・・・・」

あかり「うぇぇぇぇぇぇん」

あかり「接客業をしてるって言ってたけど」

あかり「毎日お仕事から帰ってくるのが深夜を過ぎてて」

あかり「うぇぇぇぇん、あかりのために・・・」

あかり「あかりの為に大学までやめて働いて・・・うぇぇぇぇん」


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 21:10:21.61 ID:RShHCRkl0


あかり「この世界はあかりに優しくないんだね」

あかり「他人は信用ならなくて」

あかり「お金がないと何もできなくて」

あかり「だからお金がないあかりはこんな不幸になるんだね」

あかり「人を信じるのは」

あかり「なんて愚かなんだろうね」


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 21:11:52.41 ID:RShHCRkl0


あかり「だからあかりはこれから」

あかり「人を信じないよぉ」

あかり「皆心の内ではなにを考えてるかわからなくて」

あかり「裏切るときはあっさり裏切るんだ」

あかり「だからあかりはこれ以上」

あかり「人に裏切られない様に」

あかり「人に裏切られても大丈夫なように」

あかり「これからは人を信用しないよぉ」


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 21:14:22.33 ID:RShHCRkl0


グゥ~

あかり「お腹すいたなぁ」

あかり「ベビースターラーメンだけじゃもたないよぉ」

あかり「そうだ!」

あかり「土手によもぎとか生えてた気がするから」

あかり「それを取りに行くよぉ!」


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 21:16:21.84 ID:RShHCRkl0


あかり「よしよし、使い古したマスクをして」

あかり「普段は着ない服を着て」

あかり「これでばっちりだよぉ」

あかり「きっと、あかりだって気づかれないはず」

あかり「土手でよもぎを取ってる所なんて」

あかり「学校のお友達に見られたくないもんねぇ」

あかり「出来るだけ身を隠して」

あかり「よもぎを取りに行くよぉ」


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 21:19:45.83 ID:RShHCRkl0


土手

あかり「わぁ!雑そ・・・食べられるくs・・・緑黄色野菜が一杯だよぉ」

あかり「これを摘んであかり、お腹いっぱいになるんだぁ」

あかり「わぁい!よもぎ!あかり、よもぎだぁいすき!」

あかり「よーしそれじゃあ一杯摘むよぉ」

あかり「腕が鳴るよぉ」

20分後

あかり「わぁい!たくさん抜いt・・・収穫したよぉ!」

ちなつ「フンフンフフフーン」

ちなつ「・・・ん?・・・あれ?」

ちなつ「あかりちゃん?」


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 21:25:14.44 ID:RShHCRkl0


ちなつ「おーい、あかりちゃーん!なにしてるのー!」

あかり「ひえっ!」ビクッ

ちなつ「土手に降りちゃって危ないよぉ!」

あかり「ちちちちちちち、ちなつちゃん、どうしてあかりって解ったのぉ!」

ちなつ「え?なんでって」

ちなつ「そんなお団子が見えたらあかりちゃんしかいないじゃない」

あかり「盲点だよぉ!!」


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 21:29:50.05 ID:RShHCRkl0


ちなつ「盲点も何もあかりちゃんの数少ないとくt・・・・・・」

ちなつ「そんなことより、そんな所にいたら汚れちゃうよぉ!」

ちなつ「はやく上がっておいでぇ!」

あかり「!!」

あかり(あかりはその汚れてる所からよもぎを取ってるんだよぉ!)

あかり(あかりの気持ちなんてちなつちゃんには・・・)

あかり(ちなつちゃんには・・・)

ちなつ「あかりちゃん・・・?」

あかり「あかりは・・・!」

ちなつ「?」

あかり「あかりは・・・!!」

ちなつ「なぁにー!どうしたのーあかりちゃーん!」


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 21:33:11.37 ID:RShHCRkl0


あかり「」

ダッ!!

ちなつ「あかりちゃん!?」

あかり「構わないでよぉ!!」

ちなつ「!?」

あかり「追ってこないで!」

ちなつ「あかりちゃん・・・?」

あかり「」

ちなつ「あかりちゃん・・・・・・」


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 21:34:56.17 ID:RShHCRkl0


あかり「はぁはぁ・・・」

あかり「はぁはぁ・・・」

あかり「・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・」

あかり「・・・・・・・・・・はぁ・・・」

あかり「よもぎ・・・」

あかり「一杯取れたから・・・」

あかり「いいや・・・」

あかり「帰るよぉ」



46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 21:37:29.67 ID:RShHCRkl0


あかり「ただいまだよぉ」

あかり「うっ、密閉した部屋」

あかり「今までの住人の染み込んだ生活臭で臭いよぉ」

あかり「ここは七森中学校の飼育小屋かよぉ」

あかり「とりあえずとってきたよもぎを洗うよぉ」

あかり「水が出るのはよもぎを洗う為に必要だったからだね」


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 21:42:08.53 ID:RShHCRkl0


あかり「電気がないから」

あかり「どうやって調理したらいいかわからないよぉ」

グゥ~

あかり「うぅ・・・お腹すいたよぉ」

あかり「よーしこのまま」

あかり「食べちゃうよ・・・!」

ドキドキ

あかり「うっ・・・うっ・・・うっ・・・」

あかり「パックリーン」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「うっ!この味!この味は!」

あかり「苦いよぉ!!!」


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 21:43:42.85 ID:RShHCRkl0


あかり「人生の辛苦とはこんな苦味なのかよぉ」

あかり「うぅ・・・それでも栄養は補給できるよぉ」

あかり「もう贅沢は言ってられないよぉ」

その日赤座あかりは

生まれて初めて

土手でとってきた野草を

生のまま食べる

ひもじさを味わった


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 21:47:28.82 ID:RShHCRkl0


あかり「今日はもう寝るよぉ」

あかり「さすがにあかりといえど疲れたよぉ」

あかり「うぅ・・・家族は誰もいなんだよね・・・」

あかり「でもあかりが起きるといつも」

あかり「あかりの隣で疲れた様子のお姉ちゃんが寝てるんだぁ」

あかり「それだけが毎日の楽しみだよぉ」

あかり「それじゃあ今日は寝るよぉ」


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 21:55:37.27 ID:RShHCRkl0



学校

結衣「あかりの家、借金のせいで売られたらしいよ」

京子「マジで!?じゃああかりは今ホームレスなの!?」

ちなつ「あ、そういえば、昨日あかりちゃんが土手にいるの見ましたよ」

結衣「きっとそこが今のあかりの家なんだろうな」

京子「いやいやもしかしたら家は別の場所で」

京子「よもぎとか採りにきたのかも!」

ちなつ「あははは、京子先輩そんなわけないじゃないですか!あの土手汚いですよ!」

結衣「そうだぞ!京子!つくならもっとマシな冗談言え!」

結衣「実はあかりはもう死んでて土手を彷徨ってたんじゃないかとか」

ちなつ「結衣先輩!冗談も冴えてます!」

結衣「そうかな?」

京子「さすが結衣!」

ちなつ「結衣先輩すごいです」

京子ちなつ結衣「HAHAHAHAHAHAHA!」


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 21:59:26.32 ID:RShHCRkl0


あかり「ぶっひぇーーーーーー!!!」ガバッ

あかり「はっ!」

あかり「夢かよぉ」

あかり「寝汗が凄いよぉ」

あかり「うぅ・・・結衣ちゃん・・・京子ちゃん・・・ちなつちゃん・・・」

あかり「うぅ・・・」

あかね「・・・・・・スゥスゥ」

あかり「あ、お姉ちゃん・・・」

あかね「・・・・・・スゥスゥ・・・ムニャ・・・」

あかり「・・・・・・・・・」



56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:02:11.56 ID:RShHCRkl0


あかり「」ナデナデ

あかり「さらさらのお姉ちゃんの髪」

あかり「少し痛んで来たね」

あかり「一杯寝てね、お姉ちゃん・・・」

あかり「・・・・・・」

あかり「あの夢・・・」

あかり「夢だったけど・・・」

あかり「でも本当の事だって可能性も」

あかり「あるんだよね・・・」

あかり「あの夢と全く違うなんてこと・・・」

あかり「絶対に言いきれないもんね・・・」

あかり「うぅ・・・」


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:03:47.89 ID:RShHCRkl0


あかり「そうだよぉ」

あかり「人なんて」

あかり「信じられないものだから」

あかり「皆心の内で何考えてるのかわからないから」

あかり「だからあかりも」

あかり「気を付けないと」

あかり「これ以上裏切られない様に」

あかり「これ以上貶められない様に」


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:07:23.64 ID:RShHCRkl0


朝の匂いを嗅いだ

幼い頃は毎日のように嗅いでいた

澄んでいたあの匂い

いつからかその匂いを感じなくなった

きっと心が毎日に慣れてしまって

一日の始まりに新鮮さを感じなくなったからだ

だけど今赤座あかりは

一日一日朝を迎えられることに必死だった

だから今日も朝の匂いを嗅いだ

とても懐かしく

だけど今のあかりには新しい一日に不安を感じさせる

そんな匂いだった


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:09:03.03 ID:RShHCRkl0


あかり「学校に行くよぉ」

あかり「どこも変なところはないよね」

あかり「皺とか汚れとか」

あかり「染みとかないよね」

あかり「あかりの鞄も普通だよね」

あかり「うん、よし」

あかり「大丈夫」

あかり「行ってきますだよぉ」


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:11:48.81 ID:RShHCRkl0


向日葵「おはようございますわ」

あかり「あ、おはようだよぉ」

あかり「・・・もしかしてあかりが出るのを待っててくれたの?」

向日葵「いえ・・・たまたまですわ」

あかり「そう・・・」

向日葵「それじゃあ私は櫻子を誘ってこちらからいきますので」

あかり「うん・・・」

向日葵「それでは後ほど」

あかり「うん・・・」

あかり「・・・・・・」

あかり「あの・・・」

向日葵「?」

あかり「ありがとうだよぉ」

向日葵「・・・・・・・・・」

向日葵「・・・いえいえどういたしましてですわ」


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:17:51.30 ID:RShHCRkl0


あかり「おはようだよー」

京子「おーあかりーおはようー」

結衣「おはよう、あかり」

ちなつ「・・・おはよう、あかりちゃん」

あかり「・・・おはよー」

ちなつ「・・・・・・・・・」

京子「それにしても、あかりの家、一旦潰すことになってしばらく借り家って話だけど」

京子「いつもあっちの方からくるけど、いい加減遊びに招待してくれよなぁ」

あかり「」


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:19:00.70 ID:RShHCRkl0


あかり「・・・うん、お荷物とか片付いたら、それまで待っててねぇ」

結衣「こら、京子、あかりの家も今忙しいんだろうし、無理言うな」

京子「ちぇー」

結衣「その分私の家に遊びに来たらいいだろ」

あかり「わぁ!あかりも結衣ちゃんち行きたいなぁ」

ちなつ「わたしもまた結衣先輩の家にお呼ばれされたいです!」

結衣「うん。いつでもおいでよ」

あかり「わぁい!」

ちなつ「・・・・・・・・・」


65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:23:26.19 ID:RShHCRkl0


お給食のお時間

あかり(うぅーお腹すいたよぉ)

あかり(お給食があるから朝ご飯のべビースターラーメン我慢しちゃったけど)

あかり(とてももたないよぉ)

前の列
「わたしダイエット中だから少なめで」

「あーわたしもー今太ってやばいんだー」

あかり「・・・・・・ペッ」

ちなつ「あ、あかりちゃん?」

あかり「あ、な、なんでもないよぉ」


66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:24:29.32 ID:RShHCRkl0


「次ー。あ、あかりちゃんはどれだけ盛る?」

あかり「あ、あかりは」

あかり「」

あかり「あかりは」

あかり「あかりは、その、」

あかり「あ、あかりもダイエット中だから」

あかり「す、すくなめで・・・」

「はーい」


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:26:08.34 ID:RShHCRkl0


あかり「・・・・・・・・・」

あかり(あ、あかりは・・・)

あかり(あかりは・・・)

「あれ?あかりちゃん?どうしたの?もう入れたよ」

あかり「あ、なんでもないよぉ」

あかり「ありがとうねぇ」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり(あかりは・・・)



69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:28:36.84 ID:RShHCRkl0


向日葵「特盛で」

あかり「・・・・・・!!」

櫻子「おっぱいの事か!!」

向日葵「何言ってるんですかこの子は・・・」

あかり「・・・・・・わぁ焼きビーフンがあんなにたくさん」ジュルリ

向日葵「・・・・・・・・・」

あかり「はっ!あかりは何も見てないよ・・・!」

向日葵「いえ、そういうわけでは・・・」



70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:33:47.18 ID:RShHCRkl0


向日葵「その」

あかり「・・・・・・」

向日葵「それにしてもこれは入れ過ぎられちゃって」

向日葵「もし良ければ」

あかり「・・・・・・・・・」

向日葵「ごめんなさい、赤座さん」

あかり「・・・・・・いただきます」



71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:34:34.90 ID:RShHCRkl0


向日葵「そんなつもりじゃなくて・・・」

あかり「うん。わかってるからそれ以上言わないで・・・」

あかり「その・・・・・・ありが、・・・」

向日葵「・・・・・・・・・」

あかり「・・・ありが、・・・とう・・・だよぉ」

櫻子「?」

櫻子「??」

櫻子「何であかりちゃんに多い分食べて貰うのにあかりちゃんがお礼を?」

ちなつ「・・・・・・・・・」



72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:36:34.35 ID:RShHCRkl0


あかり(うっぷすー久々に文明の食事にありつけたよぉ)

あかり(お腹ぱんぱんだよぉ)

あかり(赤座ぱかりん)

あかり(なんちゃってだよぉ)

あかり(・・・・・・・・・)

あかり(そろそろ部活だよぉ)

あかり(いかなきゃ)



74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:43:39.10 ID:RShHCRkl0


お部活☆

京子「あ、あかり、いたのかー」

あかり「いたよー!!」プンスコ

ちなつ「ということで、あかりちゃんのお団子もいでみましょう!」

あかり「どういう経緯だよー!!」

あかり「って!お団子が柱のささくれに引っかかって片方取れかかってる!」

結衣「不憫な子・・・」

京子「やはり着脱式・・・」

あかり「んもー!あかりのお団子をささくれからとるの手伝ってよぉ!」


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:47:20.11 ID:RShHCRkl0


あかり(お腹いっぱいだと)

あかり(こんなに普通に振舞えるんだ)

あかり(いつものあかりなんだ)

あかり(でも)

あかり(お腹いっぱいになれない原因は)

あかり(人の裏切りのせいなのだから)

あかり(だからあかりは今後)

あかり(結衣ちゃん京子ちゃんちなつちゃんのごらく部であっても)

あかり(あかりは信じられないのかもしれない・・・)


78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:52:36.32 ID:RShHCRkl0


京子「それじゃーまたなー」

ちなつ「お疲れ様です」

あかり「それじゃああかりはこっちだから!」

京子「おー!またおうち呼んでくれなー」

あかり「うん!」

結衣「あかりー」

あかり「?」


80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:53:45.76 ID:RShHCRkl0


あかり「なぁに結衣ちゃん」

結衣「もし何か困ったことがあるなら」

結衣「いつでも相談してくれな」

あかり「え?」

結衣「思い過ごしならいいんだ」

結衣「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

結衣「・・・うん、だけど私は小さい頃からあかりと京子の面倒みてきたから」

結衣「ただ、なんとなく、だ」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・うん」

あかり「・・・・・・ありがとう、結衣ちゃん」



81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:57:08.89 ID:RShHCRkl0


あかり「だけど、あかりは大丈夫だから・・・」

あかり「きっと結衣ちゃんの思い過ごしだよぉ」

あかり「だから、あかりの事は別に・・・」

結衣「・・・・・・・・・」

結衣「・・・・・・そうか」

結衣「・・・それなら、いいんだ」

結衣「悪かった、それじゃあ、な、あかり」

あかり「・・・・・・うん」

京子「おーい、なに二人で話してるんだーもう遅いしいくぞー」

結衣「うん、そうだな」

ちなつ「それじゃあね、あかりちゃん」

あかり「ばいばいだよー」


82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 22:59:34.28 ID:RShHCRkl0


あかり「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「生徒会はどうしたの」

あかり「向日葵ちゃん」

向日葵「・・・丁度終わったところですの」

あかり「それなら他のメンバーも一緒のはずだよぉ」

向日葵「先輩方や櫻子は先に帰りまして、私だけ気になる書類をk」

あかり「行こう」

向日葵「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・行こう」

向日葵「・・・・・・ええ」



84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:03:03.94 ID:RShHCRkl0


あかり「まったく向日葵ちゃんはお節介だよぉ」

向日葵「わたくしはお節介を焼いた覚えはありませんわ」

あかり「だからこそのお節介なんだよねぇ」

向日葵「そう言われてしまえばなんとも」

あかり「えへへ。でもね」

あかり「あかり、向日葵ちゃんの事」

あかり「一番好きだよ」

向日葵「・・・・・・・・・」

向日葵「きっとそれは・・・」

向日葵「わたくしが一番近いから・・・」

向日葵「ですものね」

あかり「うん。そうだよぉ、だから一番好き」

あかり「信用はしていないよぉ。それは誰に対しても言えることだけどでねぇ」

あかり「だけど一番好きなの」


86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:07:01.38 ID:RShHCRkl0


向日葵「だけどそれは」

あかり「うん。わかってるよぉ」

あかり「きっとそういう考え自体」

あかり「また破滅しちゃうんだぁ」

あかり「好きなら信じないとね」

あかり「信じることが出来ない好きなんて」

あかり「いずれ崩れ去るよね」

あかり「そんなの裏切られても全然仕方ないし」

あかり「あかりはまた傷つくんだぁ」

あかり「だからあかりは」

あかり「だから」

あかり「・・・・・・・・・」


87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:08:31.50 ID:RShHCRkl0


あかり「ごめんねぇ」

あかり「おうちついちゃったから」

あかり「また、ね、向日葵ちゃん」

向日葵「ええ、それでは、ですわ」

ギィ・・・バタン・・・

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」



88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:14:22.53 ID:RShHCRkl0


閉じたドアのせいで

埃っぽい床が吹き上げられる

長年の何処かの誰かの

日々の生活で染みついた部屋の匂い

電気も届いておらず

暗がりに佇む赤座あかり

部屋の窓からはカーテンを照らす

黄昏の光が差し込んでいた

日は一日一日長くなっている

窓を開けると柔らかい風が

赤座あかりの髪を撫でた

花の香りを運ぶ優しい空気に

赤座あかりは春が来たことを知った


89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:16:26.21 ID:RShHCRkl0


あかり「今日の晩御飯はベビースターラーメンと」

あかり「天日干ししたよもぎだよぉ」

あかり「うまいうまい」ボリボリ

あかり「よもぎは・・・うん・・・この苦味も青菜の漬物だと思えば・・・」

あかり「うん・・・うん・・・」

あかり「・・・・・・うん・・・」

あかり「はぁ」



92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:19:58.60 ID:RShHCRkl0


あかり「そういえばヤクザさんこないねぇ」

あかり「今日は随分静かだよぉ」

あかり「わぁい!あかり!静かなの大好き!」

あかり「えへへぇ」

あかり「もう今日は寝ちゃおうかなぁ」

あかり「それでお姉ちゃんが帰る頃に起きて」

あかり「それで、それで・・・」

ドゴォォォォォォォン!!

あかり「ぴえっ!」

「出てこいや赤座ぁ!金がねェなら腎臓売るなり強盗するなりせんかいワレェ!!!」

あかり「」ガタガタガタガタ


94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:24:07.29 ID:RShHCRkl0


「てめぇみたいなクズのせいで人様が迷惑しとんのがわからんのかコラァ!!」

あかり「ぴええええ」ガタガタガタガタ

あかり「お、おしいれ・・・」

あかり「おしいれ・・・に・・・」

ヨタヨタ

あかり「おしいれに入って・・・」

あかり「ふすまを・・・」

あかり「あ、あ・・・」

ピシャン!

あかり「!!」

「!!」


97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:31:09.87 ID:RShHCRkl0


「聞こえたぞゴラァ!!なに居留守つかっとんじゃワレェ!!なめくさりおって!!!」

ドゴォォォォォォン!!

あかり(や、やっちゃったよぉ)

「中におるのはわかってんやぞ!!出てこいや赤座ぁ!!!」ガンガンガンガン

あかり(赤座あかり万事休すだよぉ・・・)

「あ、あの!」

あかり「!!」

「なんじゃあワレェ」

「そ、その、近くに住んでるもの、で、で、」

「それがどないしたんじゃぁ」


100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:33:25.09 ID:RShHCRkl0


「そ、その、近所、迷惑、で、」

「そ、その、お、お金は返さないといけませんが、」

「で、でも、その、うちに、ちいさいこが、」

「そ、その、」

「・・・・・・・・・」

「――かぁ~っ、しゃあないな、わいもサツや赤座以外との揉め事は堪忍や」

「今日はひいたる」

「けどな、こうやって赤座が近所の人に疎まれて」

「どうしようもなくなって」

「追い詰めるんもワイらの仕事や、よう覚えとき、嬢ちゃん」

「」ゾクッ

あかり「・・・・・・・・・」


101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:34:58.02 ID:RShHCRkl0


あかり「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

シーン

あかり「・・・・・・・・・」

ピンポーン

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

ピンポーン

あかり「・・・・・・・・・」



102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:37:14.39 ID:RShHCRkl0


ピンポーン

あかり「・・・・・・・・・はい」

「中にいれてくれるな、あかり」

あかり「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・うん」

「・・・・・・・・・」

ガチャ

あかり「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

あかり「こんばんは、結衣ちゃん」

結衣「こんばんは、あかり」



104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:41:26.76 ID:RShHCRkl0


あかり「・・・・・・どうして?」

結衣「ごめんな、あかり」

あかり「・・・・・・・・・どうしてなの?」

結衣「ごめん、あかり」

結衣「ごめん」

結衣「ただ、やっぱりあかりの様子がおかしくて」

結衣「誰かに苛められてたりしてないか」

結衣「悪い場所に行ってないか」

結衣「それだけが気になって」

あかり「あかりのことなんて放っておいてって言ったのに!!!」

あかり「なんで・・・!!」

あかり「なんでっ!!!」

結衣「・・・・・・・・・」

結衣「・・・・・・ごめん、あかり」

結衣「・・・・・・ごめん」



106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:44:30.44 ID:RShHCRkl0


あかり「うぇぇぇぇぇぇん!」

結衣「よしよし、ごめん、あかり。ごめんな」

あかり「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!」

結衣「・・・・・・中、入っていいか?」

あかり「・・・・・・うぅ、・・・うん」

結衣「お邪魔します、あかり」

あかり「・・・・・・いらっしゃい・・・だよぉ」



107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:49:08.22 ID:RShHCRkl0



あかり「お水しかないけど、どうぞだよぉ」

結衣「気遣わなくていいんだぞ、あかり」

あかり「気遣わなくてもお湯一滴だせないよぉ」

結衣「そ、そうなのか」

あかり「ついでに今人様にだせるのはよもぎの天日干しだけだねぇ」

結衣「お、お茶請けなんてなくていいから」

あかり「お茶ですら・・・」

結衣「とりあえず、あかり、私はだいたいの事情はわかった」

結衣「たぶんそれはあかりの状況とほとんど間違ってないと思う」

結衣「だから、なんで私たちに頼らなかったんだってこと」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「そんなの・・・」


110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:52:42.50 ID:RShHCRkl0


あかり「そんなの、人様にいえる事じゃないよぉ」

あかり「あかりの家の家庭の話だもん」

あかり「そうやってあかりのことに関わろうとしてもね」

あかり「これはあかり自身の問題じゃなくて」

あかり「あかりの家庭の話なんだから」

あかり「あかり一人でどうこうできることでも」

あかり「あかりが人様に話せる内容でもないことくらいわかってよ」

あかり「あかり自身のことならあかりは皆に・・・!!」

あかり「でもそうじゃなくてこれは・・・!!これは・・・!!!」

結衣「ご、ごめん、あかり。ごめん」

結衣「よしよし。私が浅はかだった。ごめんな、あかり」

結衣「よしよし」


111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:58:15.20 ID:RShHCRkl0


ごめんな

そう言われて抱きしめられた

あかりは結衣の体に身を埋めながら

いつかこんなことがあったっけ、と

遥か昔の

まだ幼い記憶の情景を思い浮かべていた

その時もおそらく

あかりはこうやって

泣き腫らした目でグズって

結衣に諭されていた


114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/24(月) 23:59:52.09 ID:RShHCRkl0


あの頃よりも成長して

あかりはグズる事もなくなった

でも今またこうして時間を越えて

結衣の髪の香りに落ち着かされ

何年も変わらない二人の関係に

赤座あかりはまた涙がこみ上げてきた


115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 00:03:36.29 ID:SwjcnCLF0


あかり「ごめんね」

あかり「ごめん」

結衣「うん、落ち着いてくれて良かった」

結衣「こっちこそ、ごめん」

あかり「あかりがこうなったのはね」

あかり「お父さんがある人に騙されたからで」

あかり「だからあかりは、人を信じる事が」

あかり「馬鹿らしく思えちゃって」

あかり「だから・・・」

結衣「・・・・・・・・・」


117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 00:04:07.62 ID:SwjcnCLF0


結衣「・・・・・・そうか」

結衣「・・・・・・そんなことがあったなら、私からは何も言えない、な」

結衣「だけど、さ、私はあかりの事を信じてるよ」

結衣「薄っぺらいと思うけど、いつでも頼っていいんだ」

結衣「だから・・・」

結衣「だから・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」



118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 00:08:00.67 ID:SwjcnCLF0


結衣「ごめんな、こんな期待をもたせること自体」

結衣「今のあかりには裏切られる恐怖になるのかな」

あかり「・・・・・・・・・」

結衣「だから、さ」

結衣「一緒にご飯、食べよう」

結衣「一緒に買い物行ってさ」

結衣「それで、オムライス作ってやるから・・・」

あかり「でも、あかりのおうち、電気もガスも・・・」

結衣「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

結衣「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

結衣「・・・・・・・・・う、うちにk」

向日葵「あれ、赤座さん誰かいらっしゃってるの?」



119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 00:12:37.94 ID:SwjcnCLF0


あかり「向日葵ちゃん!」

結衣「あ、そうえいば、この団地って確か・・・」

向日葵「あら、その声は船見先輩?」

あかり「ふすまの閉まる音が聞き取れる密閉性だよぉ」

結衣「はは・・・」


120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 00:13:12.23 ID:SwjcnCLF0


ガチャ

向日葵「こんばんはですわ」

結衣「こんばんは」

あかり「さっきぶりだねぇ」

向日葵「ええ丁度お買い物の帰りで」

結衣「あ、そうだ!古谷さん!良ければお台所貸してくれないかな」

向日葵「・・・・・・・・」

あかり「結衣ちゃん・・・・・・」

向日葵「ええ。いくらでも使ってくださいな」

結衣「だってさ、あかり!じゃあ一緒に買い物いくか!」

あかり「・・・・・・う、うん」

向日葵「・・・・・・・・・」


123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 00:17:49.55 ID:SwjcnCLF0


お買いもの☆

あかり「えへへーお買いものなんて久しぶりだよぉ」

結衣「そうなのか?」

あかり「うん。久しく紙の貨幣なんて見てないよぉ」

あかり「ほんと、ただの紙くずに信用を価値に載せるなんて文明の利器だねぇ」

結衣「あかり、なんだかスレたな・・・」

あかり「・・・そうかな?」

結衣「そうだよ」


124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 00:18:21.11 ID:SwjcnCLF0


あかり「あはは」

結衣「ぷっ、なんでそこで笑うんだよ」

あかり「あはは、なんでかな」

結衣「そうだ、パンの材料も買おう」

あかり「どうして?」

結衣「よもぎパンを作ってみるんだよ。私もパン作り、一回してみたかったし」

あかり「わぁ!あかりが懸命にとった土手のよもぎさんが大出世だねぇ」

結衣「どt・・・まぁ、いいか」


125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 00:21:57.97 ID:SwjcnCLF0


あかり「こんなにも食べ物が一杯あるのに」

あかり「あかりの家にはよもぎとベビースターラーメンのみ」

あかり「不思議だねぇ」

あかり「でも資本主義ってそういうことだよね」

あかり「施しなんて・・・」

あかり「もともとそういうことだったんだよねぇ」

あかり「あかりが知らなかっただけで」

あかり「持ってるものと持たないもの、自己責任、信用、お金」

あかり「最初から皆はそれが普通だと知ってたんだねぇ」

結衣「・・・・・・・・・あかり」

結衣「・・・・・・・・・あかり、やめよう」

結衣「・・・・・・あかり」


126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 00:25:38.12 ID:SwjcnCLF0


あかり「わわっ、ごめんねぇ!」

あかり「早くおうちに帰って結衣ちゃんのオムライス食べたいよぉ」

あかり「あかり、結衣ちゃんのオムライスだぁいすき!」

結衣「うん、そうだな」

結衣「そうしよう、あかり」

結衣「そうだ・・・帰りは手を繋いで帰ろうか?」

あかり「えええええ。小さい子みたいだよぉ」

結衣「たまにはいいじゃないか、あかり」

あかり「でもちょっと恥ずかし・・・」

結衣「私のオムライス食べたかったら手を繋ぐことだぞ」

あかり「・・・・・うぅ・・・」

あかり「・・・・・・わかったよぉ・・・あかり、繋ぐから」

結衣「よし」


128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 00:28:31.56 ID:SwjcnCLF0


夕焼け空に向かって歩く二つの人影は

幼い子供のように繋いだ手を

大きく振りながら

家路へと消えていく

いつか見たあの光景

お互いをしっかり繋ぎとめる様に

固く結んだ手を頼りに

消えていく影


130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 00:32:41.69 ID:SwjcnCLF0


あかり「ただいまだよぉ!」

結衣「ただいまぁ」

向日葵「あらあら、仲良しさんになって帰ってきたんですのね」

あかり「お留守番ありがとうだよぉ!」

あかり「これはね、結衣ちゃんしたいっていうから・・・」

向日葵「そうでしたの」


132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 00:33:23.96 ID:SwjcnCLF0


結衣「そ、それより、お隣の台所借りていいのかな?」

向日葵「ええ。いつでも使える様に準備してありますわ」

結衣「そ、それは助かる!じゃあすぐ作ってくるから!」

あかり「あかりも手伝うよぉ!」

結衣「い、いや、一人で大丈夫だから、あかりはここで待っててくれ」

結衣「それじゃあ!」

あかり「?」

あかり「どうしちゃったんだろう?」

向日葵「ふふふ、きっと後になって恥ずかしくなったんでしょうね」

あかり「?」


135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 00:37:00.70 ID:SwjcnCLF0


向日葵「船見先輩もクールに見えて結構可愛らしところが・・・」

あかり「たのしみだなぁ・・・よもぎとは比べ物にならないよぉ」

向日葵「それより、赤座さん」

あかり「?」

向日葵「なにかありましたの?」

あかり「え?」

向日葵「だって、赤座さん、ごらく部の方々にはここに住んでることも」

向日葵「その事情も・・・」

向日葵「だから、船見先輩を見た時とっても驚いてしまって・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・うん」

あかり「うん・・・・・・・・・えへへ」

あかり「・・・うん・・・・・・ちょっとね」

向日葵「・・・・・・・・・そうですの・・・」



138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 00:43:13.79 ID:SwjcnCLF0


向日葵「良かったですわ」

あかり「そう・・・・・・かな?」

向日葵「ええ。きっと」

あかり「うん・・・・・・ごめんね向日葵ちゃん」

向日葵「いいえ、私は何も」

あかり「あかりは・・・」

向日葵「いえ。わかってますから」

向日葵「だから、私は・・・」

ガチャ!

結衣「やっぱりごめん!人手が!」

あかり「あ、あかりがお手伝いするよぉ」

結衣「ありがとう、あかり!ちょっとやってほしいがやっぱり・・・」

あかり「はぁーい、だよぉ」

向日葵「うふふ、船見先輩って実は楽しい人ですのね」


143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 01:16:24.04 ID:SwjcnCLF0



あかり「出来たよぉ!!」

向日葵「あら、この量は・・・」

結衣「うん、古谷さんのご家族の方にも食べて頂こうと思って」

結衣「大目に作ったら手が回らなくて・・・」

向日葵「ありがとうございますわ、船見先輩」

結衣「いや、お台所使わせてもらったお礼だよ」

結衣「一緒にあかりの部屋で食べる?」

向日葵「いえ、今日はご遠慮させていただきますわ」

向日葵「ですが、また今度、是非」

結衣「・・・・・・・・・」

結衣「・・・・・・・・・うん、是非」

結衣「ありがとう、古谷さん」

向日葵「・・・・・・いいえ、ですわ」


145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 01:23:36.56 ID:SwjcnCLF0


おさーるさーんだよー⊂((o・⊥・o))⊃



パクパクパクリン

あかり「結衣ちゃんのオムライスはおいしいねぇ」

結衣「ありがと、あかり」

あかり「えへへぇ毎日でもたべt・・・ううん、なんでもない」

結衣「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

結衣「なぁ、あかり」

あかり「なぁに?結衣ちゃん」

結衣「・・・・・・・・・わたしのうちにこないか?」

あかり「・・・・・・・・・え?」



147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 01:31:49.39 ID:SwjcnCLF0


結衣「わたしのうちでならあかり一人くらいのご飯なら大丈夫だし」

結衣「それに今日みたいな借金の取り立ても来ないし」

結衣「だからきっとあかりにとっても悪い話じゃないと思うんだ」

結衣「ここじゃ、あかりは・・・!」

結衣「あかりは、いずれ・・・!」

結衣「だから・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「うん・・・」

あかり「きっとそうだね・・・結衣ちゃんはあかりのこと大切に思ってくれるもん」

あかり「きっとその方がいいんだろうね」

結衣「・・・・・・ならっ!」

あかり「でも、ダメだよ、結衣ちゃん」


148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 01:34:38.13 ID:SwjcnCLF0


結衣「なんでだよっ・・・!」

結衣「その借金だってお父さんがつくってしまったものだろっ・・・!」

結衣「あかりには全く関係ないじゃないか!」

結衣「あかりには何の罪もないんだ・・・!だからあかりは・・・」

結衣「だから、あかりは、自由になってもいいんだ・・・!」

結衣「そうだろ? わかってくれ、あかり!」

あかり「・・・・・・・・・」

結衣「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

結衣「・・・・・・・・・」

あかり「ダメだよ」

あかり「ダメなんだ、結衣ちゃん」

結衣「」



149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 01:38:26.77 ID:SwjcnCLF0


あかり「確かにあかりだけ自由になる事は可能だよ」

あかり「でもね、そうすると、この家にあかりがいなくなると」

あかり「ダメになっちゃうの」

あかり「あかりがいる事で」

あかり「この家はかろうじて保っているんだよ」

あかり「お父さんとお母さんが離れ離れにならずに頑張っているのは」

あかり「あかりがいるからなの」

あかり「お姉ちゃんが大学を辞めて毎日夜遅くまでお仕事するのは」

あかり「あかりがいるからなの」

あかり「あかりがいないときっと」

あかり「この家は全部全部台無しになっちゃう」

あかり「あかりはそれが嫌で・・・」

あかり「だから、ごめんね結衣ちゃん」

あかり「あかり、この家に残るよ」

あかり「ありがとう」


150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 01:43:59.55 ID:SwjcnCLF0


結衣「そ、そんなの・・・」

あかり「よしよし、今度はあかりが抱きしめる番だねぇ」

結衣「そ、そんなの・・・おかしい・・・」

あかり「えへへ。なんにもおかしくないんだよ」

あかり「今のあかりに見えてるものが、結衣ちゃんとちょっと違うだけ」

結衣「おかしいよ・・・」

結衣「あかりはまだ中学生なんだよ。まだまだいっぱい遊んで」

結衣「楽しいこと一杯したいはずなのに」

結衣「そんな・・・・・・諦めたような事・・・・・・家の事でなんて・・・」

結衣「普通の中学生にはできないよ」

あかり「・・・・・・もしかしたら、そうかもね」

あかり「でもね、それは」

あかり「あかりは、もう」

あかり「結衣ちゃん側とは」

あかり「違う、からなんだよ」


152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 01:45:55.08 ID:SwjcnCLF0


あかり「違う、んだよぉ」

あかり「もうね、あかりは」

あかり「だからごめんね」

あかり「あかりにはどうしようもできないの」

あかり「ごめんね」

静かな嗚咽が響く

ぼろぼろと崩れる様に涙を落とす

大切な親友の背中を

赤座あかりは静かに抱きしめた


153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 01:52:21.97 ID:SwjcnCLF0



向日葵「船見先輩は帰られたの?」

あかり「うん、帰ったよぉ」

向日葵「一緒に行かなくて良くて?」

あかり「うん。最後まであかりを連れて帰ろうとしてくれたけど」

あかり「でもお姉ちゃんが帰ってきたときに」

あかり「あかりがいないとお姉ちゃん」

あかり「とっても心配するでしょう」

あかり「もしかしたら自s」

向日葵「滅多な事は言ってはいけませんわ、赤座さん」

あかり「・・・・・・・・・うん。そうだよねぇ」

あかり「だからあかり」

あかり「行かなかったんだぁ」

向日葵「・・・・・・・・・そう、ですか」


154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 01:58:01.52 ID:SwjcnCLF0


向日葵「赤座さんが決められたのなら仕方ないですわ」

あかり「えへへぇ」

あかり「でもね、今度ごらく部全員でよもぎパンを作るお約束したんだぁ」

向日葵「まぁ!いいですわね」

あかり「えへへ、今から楽しみだよぉ」

向日葵「そうですわね」

あかり「一緒に住めなくても」

あかり「結衣ちゃんとはお友達だよ」

あかり「それじゃあ、今日は遅いからもう寝るねぇ」

向日葵「ええ。おやすみなさい」

あかり「おやすみだよぉ」

赤座あかりは眠りについた

テーブルには半分のオムライス

あれだけ大好きな結衣ちゃんのオムライス

それをお姉ちゃんに残して


158:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 02:14:59.28 ID:SwjcnCLF0


あかり「休日だよぉ!」

あかり「社畜が束の間の休息を得る恵みの日だよぉ」

あかり「あかりにとってもお友達と遊べる素敵な日だよぉ!」

あかり「ねっ、向日葵ちゃん」

向日葵「・・・・・・・・・言い方、どうにかならないものですか」

あかり「でもおねえちゃんは休日が・・・・・・」

向日葵「そ、そう!今日のよもぎパン!!」

向日葵「私と櫻子もお誘い頂いてありがとうございますわ!」

あかり「えへへぇ。場所を貸してくれる結衣ちゃんに言ってあげてねぇ!」

あかり「あかりは所詮よもぎを持っていくだけだから・・・」

向日葵「・・・・・・・・・」

向日葵「赤座さん最近元気ですわね」


159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 02:16:09.35 ID:SwjcnCLF0


あかり「そうかな?」

向日葵「そうですわよ」

あかり「えへへぇ皆のハートにドッキューンだよぉ」

向日葵「その痛さが持ち味ですわ、それじゃあ行きましょうか」

あかり「行くよぉ!」


160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 02:22:00.81 ID:SwjcnCLF0


あかり「お邪魔しますだよぉ!」

ガッチャリーン

向日葵「お邪魔致しますわ」

櫻子「おっじゃましまーす!」

京子「おー!おっぱいちゃんにちっぱいちゃん!」

あかり「あかりは!?」

ちなつ「おはよーあかりちゃん、櫻子ちゃん、向日葵ちゃん」

結衣「今日はわざわざありがとうね」

向日葵「こちらこそ、お呼びして頂いてありがとうございますわ」

結衣「・・・・・・・・・」

結衣「うん」

櫻子「ありがとうございます、船見先輩!」

結衣「大室さんも今日は期待してるからね」

櫻子「任せてください!」


161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 02:27:01.97 ID:SwjcnCLF0


結衣「それじゃあよもぎパンを作る材料を用意するから」

結衣「それまで適当にくつろいでて」

結衣「京子、みんなにお飲物お願い」

京子「あいあいさー!」

結衣「あかりは私のお手伝い頼めるかな」

あかり「はいだよぉ!」

ちなつ「あーあかりちゃん!ずるい!私もお手伝いします!」

結衣「あはは、あとでちなつちゃんにも頼みたいことあるから」

結衣「その時にお願い」

ちなつ「はいっ!わかりましたぁ!」

結衣「じゃあ、あかり、おいで」

あかり「はぁーい!」


162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 02:32:26.53 ID:SwjcnCLF0


パタン

あかり「えへへぇ、皆の前でよもぎ渡すわけにもいかないもんねぇ」

あかり「あかりがよもぎキャラになっちゃうよぉ」

あかり「はいっ、これよもぎだよぉ」

あかり「あかりが厳選して持ってきたんだよぉ」

あかり「苦くないのは青さが残ってて新芽のように柔らかくて」

あかり「触った時にすこしふわふわしてる方がよくて」

あかり「その中でも葉先に近い部分を・・・」

結衣「・・・・・・・・・あかりっ!!!」

あかり「ふわっ!いきなり抱きついちゃてどうs」

結衣「あかりっ・・・!!あかりっ・・・!!」

あかり「あっ・・・!ちょ・・・!んんっ!・・・・・・ゆいちゃ・・・」


164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 02:36:58.78 ID:SwjcnCLF0


あかり「ど、どうしちゃったの結衣ちゃん、くるし・・・」

結衣「あかりがどうしてるか心配でな・・・」

結衣「あかり、ちゃんとご飯食べてるか?」

結衣「前より痩せたんじゃないか?」

結衣「あれから取り立ての方はどうだ?」

結衣「ご家族の方とは・・・・・・」

あかり「ゆいちゃ・・・・・・大丈夫・・・だよぉ」

結衣「ほんとうに?」

あかり「えへへ、ほんとうだよぉ」


166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 02:45:06.72 ID:SwjcnCLF0


あかり「結衣ちゃんが苦情言ってくれたおかげで」

あかり「どうやらヤクザさんもしばらく大人しくしようと思ったらしくて」

あかり「あかり、最近は凄く過ごしやすいんだよ」

あかり「ありがとう、結衣ちゃん」

結衣「・・・・・・・・・そうか・・・」

結衣「・・・・・・良かった・・・・・・」

あかり「えへへ、結衣ちゃんのおかげだよぉ」

結衣「ふふ、あかりの為になったのなら、わたしは・・・・・・」

バタコーン

ちなつ「ああーっ、なんだか遅いと思ったら結衣先輩とあかりちゃんの距離が!」

ちなつ「距離がががががががががが」


167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 02:46:32.67 ID:SwjcnCLF0


結衣「ちょ、ちな、これは、ちがくて、ちなつちゃん!」

ちなつ「きぃいぃぃぃぃぃぃぃぃいい!どきなさいよ、あかりちゃん」

あかり「アッカリーン」

結衣「ああっ!あかり!」

櫻子「あかりちゃんが吹っ飛んできた!」

ちなつ「あっ!結衣先輩、このよもぎ持っていけばいいんですか?」

結衣「う、うん。じゃあついでにこのドライイーストと・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

向日葵「あら、どうしました?」

あかり「・・・ううん。なんでもないよぉ」

あかり「もうっ!ちなつちゃんひどいよぉ!」プンスコ

向日葵「・・・・・・・・・」


169:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 02:57:00.33 ID:SwjcnCLF0


結衣「それじゃあよもぎパンを作るよ」

結衣「まずは乾燥よもぎを水に戻してつけておく」

あかり「あかりにまかせて!」

結衣「次に強力粉を」

京子「京子?」

結衣「砂糖・塩・バター・ショートニング・水・牛乳で混ぜて」

向日葵「見事なスルーですわ」

櫻子「はいはい!力仕事は私に任せて」

結衣「よろしく」


176:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 03:29:32.26 ID:SwjcnCLF0


結衣「混ぜたものにドライイーストと水気を切ったよもぎを入れて」

ちなつ「任せてください!」

結衣「一次発酵が済むとそれをそれぞれのパンに切り分け」

向日葵「私が切りますわね」

結衣「それをみんなで成型して」

結衣「二次発酵を済ませれば」

結衣「オーブンで焼いて完成だ!」

京子「食べる係りは私だな!」

結衣「お前も皆を手伝え」ビシッ

京子「あうち」


178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 03:33:56.90 ID:SwjcnCLF0


コネコネコネリン

あかり「わぁ!よもぎさんの香りがするけど」

あかり「いつものドギツイ体臭みたいな匂いじゃないよぉ」

ちなつ「いつも?」

あかり「わわっ言葉の綾だよぉ!あかりがいつもよもぎの天日干し食べるわけないよぉ!」

結衣「こら、京子、パンを粘土みたいに遊ぶな。って、うまっ!」

京子「へへへ、みらくるん型のパンだ!」

向日葵「櫻子、もしかしたらと、思いますけど、その突起のついた丸いものは・・・」

櫻子「へへっ!向日葵のおっぱいだ!!」

ズビシッ!!

櫻子「ああっ!陥没したぁ!!」

向日葵「こうですわ!こうですわ!」ズビシッズビシッ

あかり「えへへぇ楽しいねぇ」


179:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 03:38:56.74 ID:SwjcnCLF0


ちなつ「だけどなんで普通のパンじゃなく」

ちなつ「よもぎ」

ちなつ「なんですか?」

結衣「んーそれはせっかく春が来たんだし」

結衣「春らしいパンにしようと思ってな」

向日葵「確かに新緑の香りがしますわね」

櫻子「よもぎのおもちとか春だもんな!」

京子「なるほどなー結衣はよく考えてるなー」

あかり「・・・・・・・・・」

ちなつ「んー、でも、なんか・・・」

ちなつ「よもぎで思い出しそうなことが・・・・・・」

あかり「!!」

ちなつ「んー・・・」


182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 03:46:28.03 ID:SwjcnCLF0


ちなつ「んーでも思い過ごしかな」

あかり「・・・・・・・・・」

結衣「・・・・・・・・・」

結衣「そうだっ、ちなつちゃん!オーブンに焼く時なんだけど手伝って欲しい事が」

ちなつ「勿論です!結衣先輩!」

あかり(ふひぃ危なかったよぉ)

京子「よーしそれじゃあ皆で作ったよもぎパンを焼こう!」

櫻子「おおー!」

あかり「わぁい!」


完成!

京子「みらくるんが膨張してメタボの黒人に・・・・・・」

櫻子「ひまわりのおっぱいが超乳に・・・」

結衣「あの二人はつくづく似てるな・・・・・・・」

あかり「あはは・・・」


184:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 03:55:27.62 ID:SwjcnCLF0


あかり「わぁい!ふっくらして緑が鮮やかだねぇ」

結衣「きっと新鮮なよもぎを使ったからだね」

あかり「えへへ、そうなんだぁ」

ちなつ「あかりちゃんが照れる事じゃないしょ。変なあかりちゃん」

あかり「えへへ。そうだよねぇ」

向日葵「さっそく食べてみましょう」

ふわっ

ちなつ「わぁ!パンを割ると繊維が緑の糸のように軽やかに裂けていきます!」

京子「そしてなんだろう、この香りは!暖かな陽射しをたくさん受けた葉の新鮮な香り!」

向日葵「新芽の甘い匂いが香ばしいパンの匂いと絶妙にマッチしていますわ!」

櫻子「そして、この抹茶のような独特の、それでいて澄んだアクセントのある味」

「うまい!!!」

結衣「よかったぁ」

あかり「えへへぇ」


186:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 03:59:17.98 ID:SwjcnCLF0




京子「ふー食べた食べたー」

結衣「お前のみらくるん型黒人パンの食べ方がえぐかった」

あかり「お腹一杯だよぉ」

ちなつ「今日はもう動けませんー」

櫻子「私もー」

向日葵「あっ!船見先輩、お片付けならお手伝いしますわ!」

結衣「んー座っててもいいんだよ」

向日葵「いえいえ、せっかくご招待いただいたので、何かお手伝いを」

結衣「そっか、じゃあ、洗い物を頼もうかな」

向日葵「お任せ下さいですわ!」


187:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 04:01:19.37 ID:SwjcnCLF0


京子「そうそう」

櫻子「どうしたんですか」

京子「あかりー」

あかり「なぁに。京子ちゃん」

京子「今あかりって」

京子「どの辺住んでるの?」

あかり「」

京子「いや、方向は知ってるんだけど」

京子「まだ一回も行ったことないし、さ」

京子「だから気になって」

あかり「そ、それは・・・・・・・・・」


188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 04:04:56.28 ID:SwjcnCLF0


櫻子「えっ?あかりちゃん、引っ越ししたの!?」

あかり「」

ドクン

京子「あれ?ちっぱいちゃん知らなかったの?」

あかり「そ、それは」

ドクンドクン

櫻子「初めて知りました!えぇーあかりちゃん引越ししたんだぁ」

櫻子「"いいなぁ"」

あかり「・・・・・・あっ・・・・・・・・・えっと・・・」

ちなつ「あ、そういえば、あんまり人には言わないでって、あかりちゃんが」

京子「そうなのか?あかり。どうして?」

あかり「あっ・・・・・・え・・・それは・・・」

櫻子「えーずるいー私にも教えてくれればよかったのにー」

あかり「あ、・・・ごめ・・・・・・・・・でも・・・」

ドクンドクンドクン



191:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 04:13:28.72 ID:SwjcnCLF0


ちなつ「そういえばこの前あかりちゃんに会ったんですけど」

あかり「え・・・・・・・それは・・・・・・やめ・・・・・・」

ちなつ「声を掛けたら逃げられちゃって、それで私あかりちゃんに何かしちゃったんじゃないかって」

ちなつ「不安だったんですけど」

あかり「あ、あのときは・・・・・・・・・ごめ・・・・・・」

櫻子「えー喧嘩してたのかー全然そんな風に見えなかったけど」

ちなつ「なんだかあかりちゃんに悪いことしてたらと思うと切り出しにくくて」

ちなつ「ねぇ、あかりちゃん、わたしなにかしたかな?」

あかり「え・・・・・・いや・・・なに・・・も」

櫻子「あれ?あかりちゃん調子悪い?顔色悪いよ・・・」

京子「ん? どうしたんだ、あかり」

ちなつ「わわっもしかして、やっぱり、私が何かしたんだよね!ごめんね、ごめんね、あかりちゃん!」


193:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 04:19:46.54 ID:SwjcnCLF0


あかり「はぁ・・・・はぁ・・・はぁ・・・」

京子「どうしたんだ!あかり!」

櫻子「あかりちゃん!しっかりして!」

ちなつ「あかりちゃん!あかりちゃん!」

ガチャ

結衣「・・・って、おい!どうしたんだ!あかり!!」

向日葵「赤座さん!!」

あかり「えへへぇ。・・・はぁ・・・はぁ・・・なにもないよぉ・・・はぁ・・・」

結衣「京子!袋だ!!台所からもってこい!!」

京子「わ!わかった!」

あかり「おおげさ・・・だよぉ・・・ゆいちゃ・・・・・・」

向日葵「赤座さん、落ちついて息をしてください」

あかり「ひまわりちゃんも・・・・・・・あかりはだいじょ・・・・・・・・・」



194:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 04:23:17.85 ID:SwjcnCLF0


あかりは夢を見た

自分だけ対岸の岸辺にいて

川の向こうでは皆が楽しそうに

お喋りをしている

あかりはただ見つめている事しかできない

やがて霧が濃くなり

その姿さえ見えなくなる

深い霧の中赤座あかりは

古くから伝わる亡霊のように立ち尽くす


200:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 04:26:35.00 ID:SwjcnCLF0


あかり「ぶっひぇー!!!!!!!」

あかり「再びとんでもない夢シーズン2だよ!!」

あかり「あれ?ここはどこ?」

あかり「結衣ちゃんの・・・家・・・?」

あかり「お外・・・・・・お昼過ぎのはずなのに・・・赤い・・・夕方?」

ガチャ

結衣「お、起きたか、あかり」


201:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 04:30:06.06 ID:SwjcnCLF0


あかり「結衣ちゃん・・・おはよう・・・じゃなくて・・・」

結衣「うん・・・」

あかり「・・・・・・・・・ごめんね」

結衣「気にするな・・・」

あかり「ごめん・・・」

あかり「あかり、ダメだね・・・やっぱり・・・」

結衣「自分の事に対しても」

結衣「気にする事じゃないんだ、あかり・・・」

結衣「あかりはちょっと・・・そう、ちょっと調子が悪かっただけだ」

あかり「だけど・・・・・・・・・」

結衣「・・・・・・・・・あかり」

あかり「・・・・・・・・・」



202:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 04:34:47.93 ID:SwjcnCLF0


あかり「みんなは・・・?」

結衣「帰したよ」

結衣「あかりの看病の為に安静にするためにな・・・」

あかり「・・・・・・あかりのせいだね・・・」

あかり「あかりのせいで・・・今日はせっかく楽しかったのに・・・」

あかり「あかりのせいで・・・・・・・・・」

結衣「皆そんなこと思ってない」

あかり「でも・・・」



204:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 04:36:24.22 ID:SwjcnCLF0


結衣「・・・・・・・・・そうだな・・・」

結衣「ただあかりに一つ頼みがあるとしたら・・・」

結衣「ちなつちゃんだな・・・」

あかり「ちなつちゃん?」

結衣「あの後大泣きに泣いてさ、」

結衣「あかりが自分のことのせいで、こんなことになったんじゃないかって」

結衣「違うんだよって言っても、ちなつちゃん、ずっと、ごめんって」

結衣「最近距離があったのも、ちなつちゃん、少しあかりの事で思うところがあったらしいし」

結衣「だから、次に会った時は、頼むな、あかり」

あかり「・・・・・・・・・うん」


205:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 04:40:22.45 ID:SwjcnCLF0


あかり「ありがとう、結衣ちゃん」

あかり「あかりとっても良くなったよぉ」

結衣「お、おい、もう動いていいのか?」

あかり「うん。平気だよぉ」

あかり「もともと体のどこかが悪いわけじゃないものねぇ」

あかり「あかりは元気だよぉ」

あかり「だから、もう今日は帰って寝るねぇ」

結衣「今日くらい、泊まっていっても・・・」

あかり「だめだよぉ。お姉ちゃんが待ってるんだから・・・」


211:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 05:11:57.93 ID:SwjcnCLF0


結衣「それならっ!あかりの家まで送りに・・・」

あかり「ありがとう、結衣ちゃん」

あかり「・・・・・・でも、大丈夫だから」

あかり「あかりは」

結衣「・・・・・・っ!」

結衣「・・・・・・・・・あかりっ!」

あかり「・・・・・・・・・」

結衣「無理するな」

あかり「・・・・・・・・・うん」

結衣「困ったときは頼るんだぞ」

あかり「・・・・・・・・・うん」

あかり「・・・・・・・・・それじゃあ」

あかり「ありがとうね、結衣ちゃん」

結衣「・・・・・・・・・あぁ」



212:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 05:16:43.44 ID:SwjcnCLF0


あかり「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・かえろっか」

あかり「向日葵ちゃん」

向日葵「・・・・・・ええ」

あかり「ほんとうに向日葵ちゃんは」

あかり「おせっかいだねぇ」

向日葵「そういえば・・・・・・」

向日葵「みなさん、よもぎパンのお土産に喜んでましたわ」

向日葵「皆で作ったんですものね・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

向日葵「赤座さんのおかげですわ」

あかり「・・・・・・・・・」



213:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 05:19:43.47 ID:SwjcnCLF0


あかり「・・・・・・・・・夕陽が」

あかり「夕陽が綺麗だねぇ」

向日葵「・・・ええ、そうですわねぇ・・・」

あかり「あかり・・・やっぱり結衣ちゃんたちとは・・・・・・」

向日葵「そんな事、みんな気にしませんわ」

あかり「あかりが気にするんだよぉ。わかってるくせに」

向日葵「・・・そう、ですわね」

あかり「それに、きっと皆、あかりがおかしな事になってるって」

あかり「今日で・・・・・・」

あかり「きっと今日で気づいたから・・・みんな・・・」

向日葵「・・・・・・・・・」



214:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 05:22:33.92 ID:SwjcnCLF0


あかり「あかりはもう、皆と一緒にいれないよ」

あかり「あかりはもうみんなと違うんだよぉ」

向日葵「・・・・・・・・・」

あかり「帰ろう」

あかり「あかりの場所へ」

向日葵「・・・・・・・・・」

向日葵「・・・・・・ええ」



215:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 05:28:29.16 ID:SwjcnCLF0



あかね「ただいまぁ、あかり」

あかり「おかえりだよぉ」

あかね「!」

あかね「あら、あかり、こんな時間に起きてちゃダメでしょ」

あかり「えへへぇ。今日はお昼寝しちゃって夜更かしさんなの」

あかね「あらあら、あかりったら」

あかり「一緒に寝ようよ、お姉ちゃん」

あかね「・・・・・・・・・ええ・・・」

あかね「ええ、ええ、ちょっと待ってね、今お布団に入る支度をするから」

あかり「うんっ!」


217:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 05:31:19.57 ID:SwjcnCLF0


あかりはお姉ちゃんが大好きだ

お姉ちゃんの優しさが好きだ

お姉ちゃんの笑顔が好きだ

昔はなかった、

お姉ちゃんから漂うお化粧の匂いも

少し強いと思われる香水の香りも

今では赤座あかりは大好きだ

疲れた様子であっても

あかりを見ると笑ってくれるお姉ちゃんが

大好きだ


219:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 05:37:58.11 ID:SwjcnCLF0


あかり「そうした、閉じた世界にいる方が楽だよねぇ」

あかり「誰に気付かう事も」

あかり「皆に隠し事をすることも」

あかり「あかりのせいで迷惑を掛けちゃうこともないんだよぉ」

あかり「あかりは人に裏切られるのと同じくらい」

あかり「きっと人の信頼を裏切ることも」

あかり「怖いんだろうねぇ」

あかり「あかりを信頼してくれる人に」

あかり「隠し事を続けたり迷惑かけちゃったり」

あかり「きっと、そういう人との関係がもう」

あかり「怖いのかもしれないねぇ」


221:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 05:57:06.31 ID:SwjcnCLF0


あかり「だから、あかりは閉じこもることにしたんだぁ」

あかり「自分の世界に」

あかり「自分の基準が自分にだけ作用する」

あかり「閉じた世界」

あかり「えへへ」

あかり「それなら誰かを恨むことも」

あかり「誰かに迷惑をかけることも」

あかり「ないもんね、向日葵ちゃん」

向日葵「・・・・・・・・・」


222:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 05:59:45.18 ID:SwjcnCLF0


向日葵「あれから・・・何日も過ぎましたわ」

向日葵「船見先輩も心配してますわ」

あかり「そうなんだぁ」

あかり「でも、あかりは、これで、いいんだ」

あかり「いいんだよぉ」

あかり「誰でにも邪魔されない、これで」

向日葵「・・・・・・・・・お姉さんはなんと?」

あかり「毎晩お眠りする前にあかりとお喋りできて」

あかり「楽しいって」

あかり「・・・・・・・・・でもきっと・・・」

あかり「お姉ちゃんも、あかりがこんな状態なのを・・・」

あかり「ダメだと・・・・・・思ってるんだろうねぇ」


223:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 06:01:53.99 ID:SwjcnCLF0


あかり「あかりが、お眠りする時間をずらして」

あかり「お外に出ないようになったのを」

あかり「きっと・・・・一番心配してるんだ・・・・・・・」

あかり「・・・だけどね・・・・・・」

あかり「それと同じだけ」

あかり「あかりとの時間ができた今を・・・」

あかり「お姉ちゃんは喜んでいるの」

あかり「もうどうすることもできないんだぁ」

あかり「あかりにも」

あかり「お姉ちゃんにも」

あかり「向日葵ちゃんにも」

あかり「誰にも」


230:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 06:17:02.49 ID:SwjcnCLF0


あかり「だから、もういいでしょ、向日葵ちゃん」

向日葵「よくありませんわ」

あかり「どうして?」

向日葵「自分だけが閉じていても」

向日葵「皆は赤座さんに開いているから」

あかり「でもそんなの、あかりにとっては・・・」

向日葵「それなら、どうして赤座さんは」

向日葵「聞くのです?」

あかり「だって・・・・だって・・・・・・あかりは・・・」

向日葵「誰かに止めて欲しいんですの?」

あかり「あかりは・・・・・・・あかりは・・・」

向日葵「赤座さんは贅沢ですわ」

あかり「あかりが・・・?」

向日葵「ええ。こんなにも・・・・・・慕ってくれるお友達がいらっしゃるのに」

あかり「でも・・・あかりは・・・あかりは・・・」


232:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 06:19:18.00 ID:SwjcnCLF0


あかり「あかりは・・・・・・・・・っ!!」

ガシッ!

あかり「とめないでよぉ!」

向日葵「自傷行為をしても」

向日葵「皆を傷つけるだけですわ」

向日葵「かみそりを置いてくださいまし」

あかり「だって・・・・・・だって、あかりには、もうこれしか・・・」

あかり「これしか・・・・・・・・・!!」

向日葵「・・・・・・・・・」



233:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 06:24:53.96 ID:SwjcnCLF0


>放りだしたことないし転載禁止でも後で見れる方法あるからこんな糞スレにいなくていいんよ

向日葵「閉じた世界で」

向日葵「自己完結的に倫理を回して」

向日葵「自分を守ることも時には大切かもしれませんが」

向日葵「そうやって自分の中で全て終わらせてしまうには」

向日葵「自分の容量はとても小さいのですよ」

向日葵「自傷に至らねばならないほど・・・」

あかり「向日葵ちゃんにあかりの何が・・・・・・」

向日葵「ごめんなさい・・・・・・言い過ぎましたわね」

向日葵「だけど」

向日葵「赤座さんにどうしても会いたい人がいらっしゃるの」

向日葵「この近くの公園で待っておいでだから」

向日葵「私はそれをお伝えしますわ」


236:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 06:27:42.83 ID:SwjcnCLF0




あかり「行くも行かないもあかりの勝手って言われちゃったけど」

あかり「そんなこと言われても」

あかり「こんなあかりの為に待っててくれるのなら」

あかり「行かないわけには・・・・・・」

あかり「!!」

あかり「あっ・・・・・・・・・」

「あかり・・・」

あかり「・・・・・・・・・」



238:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 06:32:18.76 ID:SwjcnCLF0


ちなつ「あかり・・・・・・ちゃん」

あかり「ちなつちゃん・・・」

ちなつ「結衣先輩のおうち以来だね」

あかり「うん・・・・・・あの時は・・・・・・その、・・・あかり、・・・ごめ・・・」

ちなつ「あかりちゃんは」

ちなつ「わたしのことで」

ちなつ「・・・・・・・・・私の事で」

ちなつ「わたしのことで、あんなことになったんじゃないの?」

あかり「・・・あ・・・そ、それは、全然、ちが、・・・違うんだよぉ」



239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 06:34:04.85 ID:SwjcnCLF0


あかり「あのときは・・・・・・あかりが・・・わるくて・・・・・」

あかり「だから、ちなつちゃん・・・じゃなくて・・・・・・あかりのが・・・」

あかり「その・・・・・・あやまらなきゃ・・・いけないことで・・・」

あかり「えと・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

ちなつ「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

ちなつ「・・・・・・・・・」



240:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 06:35:53.31 ID:SwjcnCLF0


ちなつ「ふぇ・・・・・・」

あかり「!?」

ちなつ「うぇ・・・うぇぇぇぇぇえええぇぇん!!」

ちなつ「うぇぇぇぇええええぇぇぇええん!!」

ちなつ「うぇぇぇぇええええええええええぇぇぇええぇぇん!!!!」

あかり「ち、ちなつちゃん!?」

ちなつ「うえええええええええええええええええええん」

あかり「ち、ちなつちゃん・・・・・・・・・」


242:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 06:39:10.12 ID:SwjcnCLF0


ちなつ「あかりちゃんのばかああああああああああああああ!!」

ちなつ「あの日から学校にも来ないし」

ちなつ「ぜんぶぜんぶ私のせいであかりちゃんがこんなことになったんじゃないかって」

ちなつ「うぁぁあぁあああぁぁぁぁぁあああん!!」

ちなつ「ずっと不安で・・・あかりちゃんも心配で・・・うわぁあああぁぁぁぁああああん!!」

あかり「ご、ごめんだよぉ・・・ぜ、全然、そんなつもりじゃなくて・・・その・・・」

ちなつ「あかりちゃんの馬鹿団子ぉぉぉぉぉおおおぉおぉおおおお」

あかり「ばかだん・・・!?」

ちなつ「兵器団子ぉぉぉぉおおおぉぉぉおおおお!バズーカぁぁぁあああぁああぁあああ!」

あかり「わ、わるくちなのかな!?」


244:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 06:44:18.05 ID:SwjcnCLF0


ちなつ「ちょっと胸貸しなさいよぉぉぉぉぉ」

あかり「ど、どうぞだよぉ」

ちなつ「・・・ぐすっ・・・・・・」

あかり「よしよし」

ちなつ「・・・・・・・・・」

あかり「よしよし、ごめんねぇ」

ちなつ「・・・・・・・・・あかりちゃんが学校来なくなって」

あかり「・・・・・・・・・」

ちなつ「みんな、心配してるんだよ・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

ちなつ「特に・・・・・・結衣先輩・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」



249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 07:15:47.49 ID:SwjcnCLF0


ちなつ「それに私も・・・・・・」

あかり「・・・・・・ごめんねぇ」

ちなつ「ねぇ、何か悩みがあるなら」

あかり「・・・・・・・・・」

ちなつ「私が力になるから、お話して」

ちなつ「あかりちゃん」



251:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 07:19:10.62 ID:SwjcnCLF0


あかり「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・ううん」

あかり「なんでもないよぉ」

あかり「あかりがおサボりしてるだけなの」

あかり「だからちなつちゃん、あかりは何もないから」

あかり「大丈夫だよぉ」

ちなつ「そんな・・・あかりちゃんに限ってそんなこと・・・・・・」

あかり「なんでもないよぉ・・・」

ちなつ「そんなこと・・・」

あかり「なんでもないって」

あかり「言ってるよぉ!」

ちなつ「!」



252:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 07:22:02.12 ID:SwjcnCLF0


ちなつ「あかりちゃん・・・」

あかり「あっ・・・・・・」

ちなつ「・・・・・・隠さないで・・・」

ちなつ「あかりちゃん・・・・・・その手首・・・!!」

あかり「な、なんでも・・・・・・」

ちなつ「あかりちゃん・・・・・・!」

ガシッ!!

ちなつ「なんでもないことないよっ・・・!」

あかり「・・・・・・・・・」



254:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 07:25:27.22 ID:SwjcnCLF0


ちなつ「ずっと・・・・・・」

ちなつ「ずっと・・・こんなことしてたの?」

あかり「・・・・・・・・」

ちなつ「あかりちゃんが私から逃げた日からずっと・・・」

あかり「ち、ちがうよぉ!これは最近しか・・・・・・」

ちなつ「・・・・・・・・・」

あかり「あっ・・・・・・・・」



255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 07:26:55.49 ID:SwjcnCLF0


ちなつ「・・・・・・そう、最近なのね・・・」

ちなつ「きっとあかりちゃんがあの日」

ちなつ「結衣先輩の家のあの日の時が」

ちなつ「きっかけだったんだね・・・・・・」

ちなつ「でもその前のずっとから、あかりちゃんは・・・」

ちなつ「あかりちゃんは・・・」



257:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 07:29:08.60 ID:SwjcnCLF0


あかり「・・・・・・・・」

ちなつ「ごめんね・・・」

あかり「・・・・・・・えっ?」

ちなつ「気付いてあげられなくて、ごめんね・・・」

あかり「・・・・・・・・・そんな・・・」

ちなつ「・・・うぅ・・・ぐすっ、ごめんね、あかりちゃん、ごめんね・・・」

あかり「泣かないで、ちなつちゃん、あかりのせいなんだよ」

あかり「・・・・・・全部、あかりのせいなんだから・・・」

あかり「よしよし・・・・・・泣かないで」

あかり「泣かないで」

あかり「あかりのためなんかに・・・」



259:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 07:40:58.41 ID:SwjcnCLF0


あかり「泣かないで、ちなつちゃん」

ちなつ「でも、わたしは、あかりちゃんの友達なんだよ・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

ちなつ「あかりちゃんが、こんなことになってるなんて」

ちなつ「気付いてあげられることも出来なくて・・・」

ちなつ「わたし・・・わたし・・・そういうのにすぐ気付けるわけじゃないから・・・」

ちなつ「ごめんね・・・ごめんね・・・ともだちなのに・・・ごめんね、あかりちゃん」

あかり「・・・・・・・・・」



260:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 07:47:45.28 ID:SwjcnCLF0


あかり「あかりこそ・・・・・・ごめんねぇ」

あかり「おともだちに」

あかり「秘密にしちゃってて」

あかり「おともだちに頼らないで・・・」

ちなつ「・・・・・・ほんとうだよっ・・・!あかりちゃんの馬鹿っ」

あかり「でもね、あかりは、今」

あかり「誰かに頼るのがとても怖いの」

あかり「まるで自分の足場をその人の思い一つでなくさせる事が出来るようになるような」

あかり「そんな危うい気持ちになるんだぁ」

あかり「だからね、あかりの気持ちもわかって・・・・・・」

ちなつ「・・・・・・・・・」


261:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 07:52:10.13 ID:SwjcnCLF0


ちなつ「そんなの、全然わからないよっ!」

あかり「・・・・・・!」

ちなつ「ともだちなのに頼れないんて」

ちなつ「そんなのおかしい!」

ちなつ「あかりちゃんに何があったのかまだわからないけど」

ちなつ「それだけが全てじゃないはずだよっ!」

あかり「・・・・・・・・・」

ちなつ「だからそんなの」

ちなつ「あかりちゃんと私の間で見るべきなんだよ」

ちなつ「あかりちゃんと誰かの関係なんて」

ちなつ「あかりちゃんとちーなの関係には全然関係ないんだからっ!」

あかり「・・・・・・・・・ちなつちゃん・・・」


269:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 09:14:26.66 ID:SwjcnCLF0


向日葵「そういった吉川さんを残して」

向日葵「帰ってきたんですね」

向日葵「赤座さんは」

あかり「・・・・・・仕方ないんだよぉ」

向日葵「・・・・・・・はぁ、ですがしかし」

あかり「・・・・・・もう一度学校へ行く約束・・・」

向日葵「それだけは取り付けたられたようで」

あかり「だから、それで・・・」

向日葵「・・・・・・そうですわね・・・」



270:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 09:27:15.74 ID:SwjcnCLF0


あかり「感情のままに訴えられるのは強いねぇ」

向日葵「それが吉川さんのいいところですわ」

あかり「そのせいでお父さんが借金を負う事になったのに目瞑れば、だけどねぇ」

向日葵「感情は好きでなくて?」

あかり「"向日葵ちゃんのことは、一番大好きだよ"」

向日葵「・・・・・・・・・そう。やはりアテにはしていなんですのね」

あかり「ごめんねぇ」

向日葵「・・・・・・いえ、お気持ちはわかります故に・・・」


271:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 09:33:08.94 ID:SwjcnCLF0


あかり「結局それだけじゃどうにもならないんだよぉ」

向日葵「・・・・・・しかし、明日からまた外へ出ることは大きな一歩ではありませんこと?」

あかり「・・・・・・そうだねぇ・・・」

向日葵「例え感情そのものに振り回されるのが怖くても」

向日葵「逆に偶発的に良い結果になる事もありますわ」

あかり「・・・・・・・・・」



273:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 09:40:02.56 ID:SwjcnCLF0



あかり「今日からアッカリーン復活だよぉ!わぁい!あかりの時代はっじまるよー!」

向日葵「おはようございます・・・・・・意外と元気ですわね」

あかり「おはようだよぉ!」

あかり「出るからには空元気もださないとねぇ」

あかり「ユッリユッララッラッラ♪」

向日葵「それじゃあ、学校へ行きましょうか」

あかり「あ」

あかり「一緒に行こう?向日葵ちゃん」

向日葵「え?」


274:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 09:41:31.75 ID:SwjcnCLF0


あかり「いつもは別々に行ってたけど」

あかり「今日から一緒に」

向日葵「・・・・・・ですが、いいんですの?」

あかり「いいよぉ。あかりが向日葵ちゃんと同じ肥溜めに住んでることが」

あかり「皆に知られても。借金でおうち追い出されたことも」

向日葵「ほんと、ぼろくそいいますわね」

あかり「えへへぇ」

あかり「だから今日から向日葵ちゃんと通うんだ」

あかり「ね?」

向日葵「・・・・・・その手は?」

あかり「もちろん繋いでいくんだよぉ」

向日葵「・・・・・・はぁ、わかりましたわ。赤座さんがそれでいいなら・・・」


275:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 09:47:52.97 ID:SwjcnCLF0


あかり「みんな、おはようだよぉ!」

京子「あかりっ!」

結衣「あかりっ・・・!」

ちなつ「おはよう、あかりちゃん」

あかり「おはようだよぉ」

結衣「ああ、おはよう、あかり、で、その手は?」

櫻子「あかりちゃんがおっぱいにたぶらかされました」

向日葵「誰がたぶらかしたんですの!・・・・・・おはようございます先輩方と吉川さん」

あかり「えへへぇ。あかりが久しぶりにお天道様の下を歩くからねぇ」

あかり「お天道様に顔向けする顔がないから、いざという時はおっぱいを献上するんだよ」

向日葵「いざってどんな時ですの」

あかり「わからないから、いざ、なんだよぉ」

京子「なはは、いつの間にか仲良くなってるんだな」

結衣「・・・・・・そう、だな」

ちなつ「・・・・・・・・・」


277:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 09:52:05.11 ID:SwjcnCLF0


結衣「でも良かったよ、あかり、またこうして会えて」

京子「結衣は一番動揺してたからなぁ」

ちなつ「私は一番冷静でした」

櫻子「えっ・・・?私冷静って言葉忘れちゃったかな?」

向日葵「吉川さん、これは皮肉じゃなくマジで言ってますから怒らないであげてくださいまし」

あかり「櫻子ちゃん、冷静っていうのは、慌てるとか、混乱するとか、そういう意味だよ」

櫻子「なるほどっ!」

向日葵「そこ!嘘を教えない様に!」

あかり「いざというとき乳を出すよぉ」

向日葵「お天道様の話はもういいですわ!」


278:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 09:57:57.13 ID:SwjcnCLF0



あかり「こうしてあかりは復帰したのですけど」

あかり「一度噛み合わなくなった生活を」

あかり「無理に適合させようとすると」

あかり「何処かで亀裂が生じる様に」

あかり「あかりの周囲では」

あかり「目に見えなくとも変化はあったのです」

あかり「あかりは、やはり、きっと」

あかり「甘かったのでしょう。いつの間にか、あかりの中で打ち立てた規律を」

あかり「守らなくなったのが原因でしょう」

あかり「結衣ちゃんやちなつちゃん、向日葵ちゃんは」

あかり「あかりの閉ざした世界を開くと共に」

あかり「あかりの大事な人の世界を閉ざしてしまいました」


281:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 10:01:30.60 ID:SwjcnCLF0


あかりは数日後

職員室で電話を受け取りました

あかり「お姉ちゃんが・・・倒れた・・・?」

「おそらく精神的なものからくる疲労です」

「どうにかご親族の中学校の電話番号を調べることが出来てお電話したのですが」

「うわ言のように、あかりさんの名前を呼んでいまして」

「これは推測ですが・・・・・・」

「精神を専門にしてる先生の診断が下ると」

「少し療養・・・・・・という形になるかもしれません・・・」

「まずは、あかねさんの為にもご足労頂けないかと」

あかり「」


284:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 10:08:02.98 ID:SwjcnCLF0


あかりが病院に辿り着いてお姉ちゃんの病室に向かった時

それはどれだけ易しく言っても

うわ言なんかじゃありませんでした

あかね「あかりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」

あかね「ああああああああああああああああああああああああああああああ」

あかね「あかりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」

あかね「あかりがいないと、あかりがいないと、もう」

あかね「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

あかね「あああああああああああああああああああああああああああああああ」

あかね「あかりをだせ!あかりをだせ!あかりをだせ!あかりをだせ!あかりをだせ!」
「あかりをだせ!あかりをだせ!あかりをだせ!あかりをだせアカリヲダセアカリヲダセ」
「アカリヲダセアカリヲダアカリヲアカリヲアカリヲアカリヲ」


287:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 10:14:01.08 ID:SwjcnCLF0


あかり「お姉ちゃん・・・・・・」

あかね「アカリヲ・・・・・・・・あかりを・・・・・・あかり?」

あかり「ごめんね、お姉ちゃん、あかり・・・あかり・・・」

あかね「ああ・・・あかり・・・よかった・・・あかり・・・わたしの・・・」

あかり「お姉ちゃん・・・・・・」

あかり「ごめんね・・・ごめんね・・・・・・」

あかね「どうして謝るの?あかり」

あかり「だってあかりが・・・・・・・・・」

あかね「あかり、あかり」

あかり「・・・・・・・・・」



290:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 10:16:43.81 ID:SwjcnCLF0


「最近、ご家庭で変わったことは?特にあなたとの関係で」

あかり「・・・・・・いつもはお仕事から帰るとお喋りしていましたが、」

あかり「この前からその時間はあかりも眠る様になって・・・お姉ちゃんとまた言葉を交わさない日が続いて」

「お姉さんは夜遅いのですか?」

あかり「明け方前に帰ってきます」

「・・・・・・・・・なるほど、すみませんお答えしづらいことを」

あかり「いえ・・・」

「おそらく精神的な失調で間違いないかと」

「今まで均衡を保ってきたストレスが一度に崩壊したのでしょう」

「大丈夫、しばらく安静にしていれば治ります」

あかり「・・・・・・・・・はい」


291:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 10:22:19.52 ID:SwjcnCLF0


なにがいけなかったのだろう

いままで苦しいながらも

あかりとお姉ちゃんはやってこれた

でも今こうやってさらに悪い方へ傾いているのは

きっとあかりが甘い考えを持ったからだ

人を信じようと心を開いて

そのせいでまた傷ついて

そして内に閉じこもってお姉ちゃんに寄り添い

また外への扉を開けられたから

お姉ちゃんは失うと思ったんだ

一度寄り添った温かさを失う感覚は

お姉ちゃんにとてつもない恐怖を与えたんだ


292:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 10:24:03.39 ID:SwjcnCLF0


何もしなければ、そのままでいられた

なにもされなければ

あかりとお姉ちゃんはそのままでいられたんだ

あかりが結衣ちゃんのいえで傷つくことも

そのせいで内に完全に籠ってしまうことも

お姉ちゃんと寄り添う事も

もう一度外の扉を開くことも

全部全部なかったのだから


295:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 10:30:26.83 ID:SwjcnCLF0


いや、そうじゃない

もともと、あかりは、既に別だったんだ

もう、当たり前に傷つき克服して成長するといった

そういう当たり前の側にはいなかったんだ

だから、そう、見誤った

そして元々の原因は

結衣ちゃんやちなつちゃんや向日葵ちゃんより以前、

このおうちに来た時から始まっていたんだ

抗いようもなく、

見誤れば、いずれこうなる事が決められていた、そういった

そういう状況の中で生まれた必然

そういうもの


296:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 10:35:07.47 ID:SwjcnCLF0


あかり「お姉ちゃんの入院費・・・どうなるんだろう・・・」

あかり「もう、あの家にあかりがいても」

あかり「お姉ちゃんは帰ってこない」

あかり「あかりの待つ家に帰るお姉ちゃんはいない」

あかり「じゃあ、あかりは」

あかり「いったい、何処へ行けば」


298:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 10:40:44.60 ID:SwjcnCLF0


あかり「もう、疲れたよぉ」

あかり「みんなみんな、悪気はなかったんだよね」

あかり「あかりにも、それがわかるよ」

あかり「でもそのせいで、お姉ちゃんが」

あかり「毎日頑張ってるお姉ちゃんが・・・一日中働いているお姉ちゃんが・・・」

あかり「あかりは一体誰を・・・」

あかり「何を恨めば・・・・・・」


300:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 10:59:28.78 ID:SwjcnCLF0


あかり「もう、死のうかな」

あかり「高い所がいいな」

あかり「学校の屋上にしよう」

あかり「きっとみんな、それで」

あかり「あかりのことをいつでも思い出してくれるはずだよね」

あかり「それくらいの欲は」

あかり「いいよね」


302:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 11:01:53.19 ID:SwjcnCLF0


あかり「結局学校に戻るなんて」

あかり「なんだか因果だよぉ」

あかり「でもこれで全部終わりに出来るよね」

あかり「苦しむことも」

あかり「未来に落胆することも」

あかり「なにもなくなるんだから」


303:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 11:04:20.01 ID:SwjcnCLF0


一筋の光

死に行くものはそれを見るらしい

真っ暗闇の世界の中

何処へ向かえば良いか知れぬ場所で

一筋の光を見る

あとはそこへ歩いて行くだけらしい

亡者のように

あるいは聖人のように

ただただその光を目指すことだけを考えて

歩いて行くらしい


304:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 11:07:30.73 ID:SwjcnCLF0


風が心地いいのは

心が止水のように落ち着いているからか

うんと胸に空気を吸って

あかりは大きく伸びをした

学校の屋上

そこにあかりは立っていた

気付いたらそこにいた、と言った方がいいかもしれない

これから赤座あかりは全てを終わらせに行く


305:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 11:09:58.89 ID:SwjcnCLF0


あかり「空気が気持ちいいねぇ」

あかり「お天気も良くて良かったよぉ」

あかり「あれ?でも雨の日の方が地面はぬかるんでて痛くないのかな」

あかり「・・・・・・痛いのかな・・・最後の瞬間でも・・・」

あかり「でもきっと・・・・・・今までの苦しみに比べると」

あかり「きっと・・・・・・一瞬の事だと思うから・・・」



306:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 11:15:05.10 ID:SwjcnCLF0


あかり「だから・・・!ここで・・・・・・・・・」

ガチャ

京子「おーあかりー何でこんなとこにいるんだーお天道様がこわくないのか」

あかり「き、京子ちゃん!?」

京子「そうだよきょっぴーだよー」

あかり「なんでこんなところに!?」

京子「いやー今お昼休みだろーデザートにラムレ持ってきたんだけど」

京子「教室で給食以外のご飯食べると綾乃がうるさくてさ・・・・・・」

あかり「それで、そのコンビニ袋もって、ここへ・・・?」

京子「おうよー!」

京子「あかりは?」

あかり「・・・・・・・・・」


308:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 11:18:14.39 ID:SwjcnCLF0


あかり「あかりは・・・」

あかり「ちょっと日向ぼっこしようかなって・・・」

京子「あはは、あかりらしいな。最終手段はいねむりだからな」

あかり「んもー京子ちゃんと違って授業中は眠ってないよぉ!」プンスコ

京子「失礼な。私は授業中以外も寝・・・いやいいか。隣いいか、あかり」

あかり「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・・・・いいよぉ」



309:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 11:21:43.99 ID:SwjcnCLF0


京子「よいしょっ、と」

京子「はぁ~ぁぁ。風が気持ちいいなあ」

あかり「そうだね~」

京子「絶好の日向ぼっこ日和だな」

あかり「・・・・・・うん」

京子「あかりも一口食べるか?」

あかり「・・・・・・いいの?」

京子「勿論だ!スプーンが一個しかないから間接キッスになるけどな!」

あかり「・・・・・・ふふっ昔からしょっちゅうだよ、京子ちゃん」

京子「そうだったかな? はい、あーん、あかり」

あかり「あーん」


311:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 11:25:23.56 ID:SwjcnCLF0


京子「どうだ?」

あかり「し、舌の上で溶けて」

あかり「お、おい、ひぃ・・・よぉ・・・・・・」

京子「わわ、どうしたんだ、あかり・・・!?」

あかり「えへへ・・・甘いアイスなんて、久しぶりに食べたから・・・感動しちゃって・・・」

京子「そんなに感動するものか?確かに今まで寒かったけどさ」

あかり「えへへ。そんなんじゃないよ」

京子「じゃあ、どんなんだ?」

あかり「ふふっ、秘密だよぉ」

京子「・・・へんなあかりだなぁ」


312:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 11:28:33.77 ID:SwjcnCLF0


京子「はい、あーん」

あかり「あーん」

京子「・・・・・・・・・」

あかり「おい、ひぃ」

京子「あかり、あかり」

あかり「?」

京子「あーん」

あかり「あーん」

京子「・・・・・・」

あかり「おいひぃよぉ。甘いよぉ」

京子「あははっ、あかり本当に美味しそうに食べるな」

あかり「そう、かなぁ?」

京子「そうだよ」


314:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 11:32:21.61 ID:SwjcnCLF0


京子「ごちそうさまでした」

あかり「・・・・・・ごちそうさま、だよぉ」

京子「はぁーこれだけ風が気持ちいいと居眠りしたくなるな」

あかり「そうだねぇ」

京子「学校終わるまで寝ちゃおうか」

あかり「だ、だめだよぉ京子ちゃんは」

京子「しかしこれだけ風がいいとなー」

京子「知ってるか?春の風はたまに起きない眠りをよんでしまうって」

あかり「・・・・・・・・・知らない・・・なぁ・・・」

京子「あり?あかりなら怖がるかと思ったのに」

あかり「・・・・・・・・・・」


317:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 12:00:31.09 ID:SwjcnCLF0


あかり「えへへぇあかりも成長したんだねぇ」

京子「なにーあかりのくせにー」

あかり「あかりも日進月歩なんだよぉ」

あかり「にっしんげっぽりん」

京子「げっぽりん」

あかり「・・・・・・・・・」

京子「・・・・・・・・・」

あかり「・・・・・・・・・」

京子「あのさ、あかり」

あかり(あからさまにスルーだよぉ)



331:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 13:12:13.38 ID:SwjcnCLF0


>何連続おさるさんかもうわからないよぉ

京子「今何か抱え込んでるだろ」

あかり「・・・・・・・・・」

京子「私だってあかりとの付き合い長いからな」

京子「あかりがなにか抱え込んでるなぁってのは」

京子「ずっとまえから気になってたんだ」

京子「それこそ春の前の冬になるその前から」

あかり「・・・・・・・・・」


332:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 13:15:03.11 ID:SwjcnCLF0


京子「でもその時からあかりは何にも言ってくれないから」

京子「私は大丈夫なんだろうなーってあんまり気にもかけてなかったけど」

あかり「・・・・・・・・・」

京子「なぁ、あかり」

京子「ほんとうはなにがあって」

京子「あかりはなにを思ってるんだ?」

京子「今日のあかりの顔見ると」

京子「聞かずにはいられないんだ」

あかり「・・・・・・・・・」


336:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 13:18:19.09 ID:SwjcnCLF0


京子「まぁ言いたくないんなら言わなくてもいいんだけど」

あかり「・・・・・・・・・」

京子「にしし、たまにそれとなく探ってたんだけどな」

あかり「・・・・・・それって・・・」

あかり「おうちに遊びに行きたいっていうの?」

京子「ありゃなんだばれてたのか」

あかり「全然それとなくなかったからねぇ」

京子「・・・・・・そうか・・・」

京子「じゃあやっぱ家のことなんだな?あかり」

あかり「・・・・・・・・・うん」



338:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 13:21:31.01 ID:SwjcnCLF0


京子「・・・・・・・・・そっか・・・」

あかり「・・・・・・・・・うん」

京子「・・・・・・・・・そう、・・・・・・か」

あかり「・・・・・・うん」

京子「あー」

あかり「・・・・・・」

京子「いい天気だ」

あかり「・・・・・・・・・そうだねぇ」

京子「なぁ、あかり」

あかり「・・・・・・なぁに、京子ちゃん」



339:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 13:24:58.79 ID:SwjcnCLF0


京子「なんとなく、わかるよ。たぶん結衣とかちなっちゃんとか」

京子「私よりもそういうのに敏感でさ」

京子「私よりもうまくやる二人がいるんだ」

京子「でもきっと今日のあかり見ると」

京子「どうにもならないんだろうね」

京子「だから私には到底どうしたらいいのかわからん」

京子「だって、あかり」

京子「ここにいる間ずっと泣いてるよ」

京子「おいで、あかり」


341:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 13:29:00.25 ID:SwjcnCLF0


京子「まぁたまには自暴自棄になるかもしれんな」

京子「うん。私でもそうなる」

京子「そりゃ人間だし」

京子「でもな、そうはいっても」

京子「今が全てじゃないから」

京子「今が全部悪い方に流れても次に全部良い方に変わるかもしれんし」

京子「もしそれでも」

京子「それでもその時どうしようもなく嫌になったなら」

京子「私が一緒に死んであげるよ、あかり」

京子「私、あかりのこと好きだから」


343:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 13:34:40.36 ID:SwjcnCLF0


あかり「・・・・・・・・・うぐっ・・・ぇぅ」

京子「だから、あかりが涙と鼻水で私の制服ぐちゃぐちゃにしても」

京子「全然気にしないんだからな」

京子「だから」

京子「今は好きなだけ泣いて」

京子「今日の帰りは、ラムレ買いに行こう」

あかり「・・・・・・ぐすっ・・・うぅ・・・うん・・・」

京子「よしよし」

痛々しい、と京子は思った

大声で泣くこともなく

嗚咽を噛み殺して啜り泣くあかりは

年不相応に多くの困苦を感じさせたから


345:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 13:40:33.41 ID:SwjcnCLF0


あかり「ねぇ・・・・・・京子ちゃん」

京子「・・・・・・・・・ん?」

あかり「でもあかり、もう疲れてるんだ」

京子「・・・・・・うん」

あかり「だからあかりにとって多くの事はもうどうでもいい・・・」

京子「・・・・・・・・・・」

あかり「今、一緒に死んでくれる・・・・・・?」

京子「・・・・・・・・・」

京子「・・・・・・・・・いいよ、あかりが望むのなら」

あかり「・・・・・・じゃあ、今がいいな」

京子「そうか」

あかり「・・・・・・うん」



347:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 13:46:01.69 ID:SwjcnCLF0


空気を吸う

たぶん、今までで一番美味しい空気

風を感じる

たぶん、今までで一番柔らかい風

目を瞑ろう

過ぎし日の思い出を思い出せるように

手を繋ごう

離れ離れにならないように

あの日繋いだ時のように

手を繋ごう

そうして、赤座あかりと歳納京子は

屋上から飛び降りた


349:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 13:50:53.66 ID:SwjcnCLF0


自分の命を差し出すこと

その行為は多分

この世で一番清い

誰の思惑に囚われる事もなく

死せば最早何も望めなくなる

そうなることを心に決めて

命を差し出す行為の

尊さ、清さ

なにものもその行為を侵すことも

そして他者に侵されることもない

神聖で

完全で

完結した

究極の自己犠牲


353:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 14:01:02.51 ID:SwjcnCLF0


二人は墜下した

おそらく決して離すまいとして固く結んだ手が

二人を並んで横たわらせ

まるで仲のいい姉妹が眠る様にして

暖かい春の風に吹かれているだろう


356:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 14:10:08.12 ID:SwjcnCLF0


でも


でももし二人が生きていたら

この高さでは必ず死ぬと決まっているわけでなく

繋いだ手が落下中の体を安定させて

足を折る程度に済ませていたら



究極の自己犠牲を赤座あかりが授かって

それでもなお生きていれば



赤座あかりを救うこれ以上のものは

おそらくもうこの世にはない



歳納京子が捧げた以上に

清く尊いものは

この世界にない


360:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 14:24:53.18 ID:SwjcnCLF0


もしもあかりが「ぶっひぇー痛いよー!」などと叫びながら起きて

傍らに眠る京子をみて

あかりの世界がどう変わるのか

京子の髪を撫で

あかりが何を思って泣き笑いするのか

その声に目覚めた京子が

どのタイミングでつられて泣き笑いを見せるのか

それはまだ

春の陽向の夢の中にいる二人には

わからないことだけど

二人の頭上を舞う風が

今はあたたかな眠りを

二人に授けていた


おわりだよぉ


362:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 14:29:39.93 ID:GAfuB+d9O


終わりかよwwwまぁ乙



366:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/25(火) 14:37:07.17 ID:k8ktpnh30


おつ