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キョン「涼宮ハルヒは憂鬱」


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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 03:55:22.05 ID:oPJuhk6/0


今日も今日とて涼宮ハルヒは憂鬱であった。
 窓際の一番後ろの自席でアンニュイなオーラを振りまきながら窓の外を眺めている。別段変わった光景ではない。むしろ、涼宮ハルヒのこういう姿の方がクラスメイトにしてみれば見慣れたものである。
「……はぁ」
 ハルヒが溜め息を一つこぼす。
 その溜め息には何が詰められているのやら。希望やら幸せやらではないとここに断言しよう。何でそんなことがわかるんだって?どこかの超能力者の言葉を借りるとするのなら、わかってしまうのだから仕方ない。


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:02:47.64 ID:oPJuhk6/0


まったく。その憂鬱のおかげで一体どれほどの人が迷惑を被っているんだろうね。

まぁ、その最たるが至近距離でそのオーラにあてられている俺だったりするのだろうが。今回もあのニヤケ面の超能力者はしたり顔で涼宮さんを不機嫌にさせないよういになんて言ってきやがるんだろうな。


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:11:23.59 ID:oPJuhk6/0


いい加減腹立つからハルヒの頭でもひっぱたいて特大の閉鎖空間でも発生させてやろうかとか思ってしまう。
あのふざけたニヤケ面が引きつる様はさぞかし痛快であるだろう。
 しかし、きっと俺はその痛快な様を見ることが出来ないだろう。その面を拝む前に俺がハルヒに顔面を陥没させられ、
愉快な顔面に早変わりってわけだ。世の中というものは実に上手くいかないもんだ。
 しかしながら、涼宮ハルヒにしてみればこの世で上手くいかないなんてことはないんだろうね。
本人が気付いていないだけで、宇宙人も未来人も超能力者も居るわけだしな。
 さてさて、今回は一体全体どういうわけで不機嫌なんだろうね。俺の精神衛生上良くないので、ここいらで探りを入れてみるか。
「今日はどうしたんだ?」
「うるさい。黙ってて」
 ゼロセコンドで一蹴。聞く耳持たずってのを体現してるようだ。これじゃあ話がまったく前に進みやしない。
入学当初のほうがよっぽど長く会話が続いたような気がする。まぁ、あの頃と今は状況がまったく違うのだが。
 けれども、それに対する俺の感想ってのは変わらない。思わず口に出して肩を竦めそうになるのを我慢して心の中で呟く。
 やれやれ。


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:13:09.49 ID:oPJuhk6/0


さて、午前中の授業をうつらうつらしている内に昼休みになってしまった。
これじゃあ何のために学校に来ているのかわからない。しかし、そんなことは今更というものだ。
 ハルヒは何時も通り授業終了とともに猛ダッシュ。学食方面にへと消えていった。
 俺はというと相も変わらずに同じみの面子で飯を囲んでいる。
「しっかしよー」
 おそらく本日の弁当のメインであろう唐揚げを頬張りながら谷口が口を開いた。
「涼宮も不機嫌なのに飽きないよな。キョンとつるみだして大分マシになったとはいえ、やっぱ不機嫌な時も少なくないし」
「そうかな? でも、キョンと一緒に居るときはよく笑ってるって感じだけどね」
 豚のしょうが焼きを食いながら国木田が相づちを打つ。
「そんだけ仲がいいってのに付き合ってないんだろ?」
 聞き飽きた質問に肩を竦める。どうしてこいつは俺とハルヒをくっつけようとするのかね。
俺とハルヒは惚れた腫れたの間柄ではない。
「キョンは涼宮さんのことは恋愛の対象としてはみてないの?」
「さぁ……どうだろうな?」
 俺は言葉を濁す。そのことについてまったく何も考えていないわけではない。
谷口や国木田にこういう話題を振られる度に俺はハルヒについて考える。傍若無人天上天下唯我独尊ではあるのだが、
古泉が称したように魅力的ではあるとは思う。何よりポニーテールがよく似合う。
 それは冗談としてもハルヒは十分すぎる程に女の子である。性格面に難が無いとは言い切れないがそれでもおつりがくるほどにな。
しかし、可愛いといって誰も彼も恋愛の対象になるかといえばノーと答えざるを得ない。佐々木がそのいい例だ。
 まぁ、別にハルヒのことを恋愛の対象として見ていないということじゃない。あくまでも一般的な意見としてだ。
 実際のところ、それに対しての答えはもう出ている。それに気付かないふりをして問題を先送りにしているだけなのだが、
こうやって意識してしまっているわけで、もうそろそろはっきりさせなければならない時期に差し掛かっている。
 別にハルヒではないが、そのことを考えると憂鬱になる。まったくどうしたものかね。


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:15:08.35 ID:oPJuhk6/0


嫌な予感は的中するらしい。昼飯の時に近々はっきりさせなければ思った矢先に俺はハルヒに呼び出された。
鈍感と揶揄され、それについて否定する材料を持ち合わせない俺でも今から何があるのか簡単に想像がついた。
 指定された場所に行くと既にハルヒはそこにいた。はた目にわかるほどに緊張し、いつものハルヒに比べ格段にしおらしい。
あのハルヒが、だ。
「ねぇ、キョン。今好きな人とか気になってる人っている?」
「……好きかはわからんが、気になってる人ならいる」
「あたしの知ってる人?」
 肯定。
「それってみくるちゃん?」
 否定。
「じゃあ、有希?」
 さらに否定。
「……」
「……」
 互いに沈黙。お互いに気持ちに察しはついている。だが、そこから先に進めない。最初の一歩を踏み出すことを躊躇っている。
ぬるま湯のような関係に戻れないことは明白だ。それを後悔しないのだろうか。
『やらないで後悔するよりもやって後悔するほうがいい』
 嫌な言葉だ。その言葉を思い出すたびに脇腹が痛むような気がしてならない。そして、今は胸がキリキリと痛む。
「なぁ、ハルヒ」
 口を開く。そこから先に何を俺は言えばいいのか。
「……付き合うか」
 考える前に口が動いていた。
「……うん」
 呼び出されたのは俺なのに。そんなことをふと思った。しかし、それはあっという間に霧散する。
やんわりと微笑んだハルヒに見とれちまったからだ。それが恥ずかしくて次はハルヒをまともに見ることができない。
 だがしかし、それも……悪くないさ。


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:18:41.18 ID:oPJuhk6/0


今日も今日とてあたしこと涼宮ハルヒは憂鬱だった。
 原因はわかりきっている。窓際の一番後ろに座ってるあたしの目の前にある背中。コイツがあたしの憂鬱の原因。
……どうもあたしはコイツのことが好きらしい。
 恋愛なんてものは一種の病気だと公言してやまないあたし。確かにこれは病気である。
何でもない仕草にさえドキッとしてしまうのだ。コイツの一挙手一投足にあたしの心は翻弄される。
 どうしてこんなやつにと思う。しかしながら、それは惚れた弱味ということらしい。
悔しいのでつっけんどんな態度をとってみた。あたしの胸がキリリと痛んだ。
 何やってんだろう。
 窓の外に目をやる。どこまでも広がっている青空。
呼び出してふたりっきりで会ってみよう。
 あたしはおもむろに机につっぷした。今から恥ずかしくて死にそうである。
そして、自分が自分で思っていた以上に乙女であることに気が付き、苦笑をもらすのであった。


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:19:21.70 ID:oPJuhk6/0


終わり


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:25:45.29 ID:oPJuhk6/0


『涼宮ハルヒはツンデレ』

 最近、ハルヒの様子が少しおかしい。いや、おかしいのはいつものことで、
それにおかしいと言うといささか語弊がある。率直に現状を述べるとするならば、
どうやら俺はハルヒに嫌われたらしい。別にこれは、何の根拠も無い俺の被害妄想ということでは断じてない。
根拠というか……まあ、言葉にしてはっきりと嫌いと言われたわけなのだが、ショックだった。
嫌いと言われたことではない。ハルヒに嫌いと言われたことにショックを受けている俺自身にショックを受けたのだ。
ややこしいが、二重にショックだったわけだ。

 それにしても、いきなり面と向かって嫌いだなんて、いくら思っていても心の中でひっそりと言えばいいだろうに。
そんなわけで、ここ数日はもやもやとした気分で過ごしている。仮病を使うことも考えたが、
それはそれでなんとなく悔しいのでこうして学校に通っている。長い長い坂道が憂鬱を加速させていく。

「やれやれ……」

 こうやって溜め息をこぼすのも果たして何度目やら。とにもかくにも、今日も嫌な日常が始まるのだった。


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:27:32.30 ID:oPJuhk6/0


「べ、別にキョンのことなんか、す、好きじゃないんだからね!」

「………………」

 長門ばりの沈黙を以て窓際の後ろから二番目の俺の席へ着席。ハルヒが俺のことを嫌いと宣言した次の日から、
毎朝同じセリフをハルヒは言ってくる。嫌味か皮肉か判別はつかないが、俺のことを嫌っていることは確かだ。
俺の顔も見たくないのか、怒りで頬を朱に染めたハルヒがそっぽを向きながらつっけんどんに言ってくることが、
これほどまで精神に堪えるとはいったい誰が予想できただろうか。フロイト先生もびっくりだろうよ。

「………よう」

 無駄とはわかっているものの、一応声を掛けてみた。ハルヒはこっちを見向きもせずに頬を紅潮させて窓の外を見ている。
俺としては何とか関係を修復したいと願っているのだが、取りつく島もありゃしない。何故ハルヒが俺のことを嫌うのかまったく心当たりが無い。
古泉に相談しようかとも思ったが、それも業腹なので見送ったままになっている。そんなことを考えているとハルヒと視線が正面からかち合ってしまった。

「な、何よ!あ、あたしは、別にキョンのことなんか全然気にしてないんだからね!勘違いしないでよ!」

 このセリフももう幾度となく聞いたおかげで耳にタコができそうだ。そんなことをいちいち言わなくても、ハルヒが俺のことを嫌っているのは知っている。
授業中などに、目が合う度にそう言われ続けてもううんざりだ。俺のライフはもうゼロだ。やめてくれ。

「や、やめろですって!」

 よくわからないが、ハルヒはさらに怒り始めた。もうこうなったら俺はお手上げである。クラスメイトのやたら生暖かい視線が気になるが、
触らぬ神に祟りなし。俺はふて寝とばかりに机にうずくまるのだった。


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:29:44.95 ID:oPJuhk6/0


とにもかくにも放課後である。放課後といえば団活が常となっていたのだが、それが俺の精神にかなりの負担をかけている。
ハルヒに嫌われたとなると、俺の存在意義など無いに等しいというのに、長門や朝比奈さん、古泉たちは気にした様子もない。
普段と何ら変わり無い態度で俺に接してくれている。

「長門だけか……」

 ノックして返事が無いのを確認して中に入ると、予想どおりの人物が予想どおり本を読んでいた。しかし、読んでいるのはSFモノではなく、
キラキラとした表紙で、いかにも女の子っぽい字体が目立つ雑誌だった。タイトルは『ツンツンデレデレ~これで男はいちころよ~』というわけのわからないものである。

「……面白いか、それ?」

「ユニーク」

 そうか。一体全体どんな内容なのか見当もつかないが、長門が面白いというのなら面白いのだろうよ。
長門の趣味に口出しするのもおこがましいというものだ。

「涼宮ハルヒに勧められた」

「そうなのか?」

「そう」


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:31:00.00 ID:oPJuhk6/0


よくわからないが、長門に有害なのでは無いかと心配になってきた。先程も言ったように、長門の趣味に口出しするつもりはない。
しかし、ハルヒが一枚噛んでいるとなると話は別だ。長門が純粋なのにかこつけて、毒するのは断じて許されない。

「長門、その本をちょっと見せてくれないか?」

「拒否する」

 な……に?長門が俺の頼みを拒否するだと……?これはますますハルヒを弾劾せねばならんようだな。

「ちょっとだけだから。ほら、見せてくれよ」

「ダメ……」

 今日の俺はどうにかしていたんだろう。普段の俺ならば長門の嫌がることを絶対にしないというのに。
傍から見たら、まるで俺が長門のことを襲っているようではないか。

「何やってんのよ、こんのエロキョンがぁ!」

 そう。この状況をハルヒが見たらどう捉えるかなんてわかりきったことじゃないか。ああ、なんだか凄いな。
ハルヒの飛び膝蹴りがこんなにもゆっくりと見えるなんて。これじゃあ、話に聞く事故や死ぬ直前に何もかもがスローに見えるという体感時間の圧縮じゃないか。
そこまで冷静に考えたところで、俺の意識はパチンと電灯が消えるように真っ黒になった。


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:34:43.47 ID:oPJuhk6/0


頭が痛い。鼻も痛い。鼻血が出たときのように、鼻の奥に血の匂いがたまっている。
しかし、何やら柔らかく、気持ちいい。ここは天国か?

 眩しさに目を細めながら目を開けると、ハルヒの顔がそこにあった。いつものように逸らすことなく、
じっと俺を覗きこんでいる。
「心配かけんじゃないわよ」

「蹴りを入れた本人が言うセリフじゃないだろう……」

「うるさい。そもそも、キョンが勘違いされるようなことしてるから悪いのよ」

 やれやれ、と思わず呟いた。

「で、ハルヒよ。お前は俺のこと嫌ってるんじゃないのか?」

 現在の状況を端的に述べるとするならば、ハルヒに俺が膝枕されている。ハルヒは俺のことを嫌っているというのに、
これはどういうことだろうか。ハルヒは返答に窮したようで、ソワソワと視線をあちこみに彷徨わせている。

「そ、そりゃ、キョンのことは好きじゃないわよ」

「そうか」

 どこかで期待していたぶん、今回のはキツかった。大魔人のフォークのような落差とでも言えば、俺がどれだけ落胆したか伝わるだろうか。


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:36:26.06 ID:oPJuhk6/0


「……むぅ。バカキョンの鈍感」

「死人にムチを打ってそんなに楽しいか?」

「そんなに言うならこっちにだって考えがあるわ」

 有希、その本貸して、とハルヒは先程俺が奪いとろうとしていた本を長門から受け取った。

「この本を明日までに熟読してきなさい。話はそれからよ」

 ハルヒは俺に雑誌を押し付けてさっさと帰ってしまった。
で、翌日。いつものように俺が着席すると、

「べ、別にキョンのことなんか、す、好きじゃないんだからね!」

 思わずにやけてしまう俺がいるのだった。


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:37:20.15 ID:oPJuhk6/0


終わり


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:48:49.00 ID:oPJuhk6/0


『仕草』

 夏も終わり秋がちらほらと顔を覗かせるようになったある日の放課後、俺はいつもどおり古泉とボードゲームに興じていた。
ちなみに今日はシンプルに将棋だ。長考したところで何が変わるわけでも無いのに古泉は顎に指をあてて盤面を見つめていた。
こいつは長考が無駄であることをいい加減気付くべきである。

そうなってくると手持ちぶさたになってしまい、ただぼんやりと他の団員を眺めていた。長門は相変わらず読書で、
朝比奈さんは湯飲みなんかを磨いていらっしゃる。ハルヒはハルヒでパソコンとにらめっこ中である。食い入るようにディスプレイを覗き込んでいたハルヒが、
顔にかかった髪が鬱陶しかったのか左手でそっとかきあげた。

たったそれだけ。だというのに、俺はまるで電撃を食らったような衝撃が身体中を走り抜けた。
普段は女性らしさの欠片も無いハルヒではあるのだが、何故だか今の髪をかき上げるという行為にひどく女性らしさというものを感じてしまった。
てらいもなく言わせてもらうと痺れてしまった。


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:49:58.21 ID:oPJuhk6/0


「どうしました?あなたの番ですよ」

 古泉の声で我に返る。古泉の視線が何か言いたげであったがそれは無視して適当なところへ打つ。
今はそれどころじゃなかった。ハルヒが髪をかきあげるシーンなんて今まで何度も見てきたはずだ。
なのに、何故今日に限ってこうも扇状的なのだろうか。理由らしい理由が見当たらず、頭を抱えたくなる。

「どうしたのよ、キョン。考える人みたいになってるわよ」

言い得て妙であるというか、そのまんまだな。

「いや、別になんでもない」

「そう?」


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:51:56.62 ID:oPJuhk6/0


ハルヒに見惚れていた理由を考えていたとも言えるはずもなく、適当に誤魔化したらハルヒは特に気にした様子もなく再びディスプレイを覗きこみ始めた。
不味い。どうしようもなく不味い。先程の出来事のせいでハルヒから目を離せない。もしもこの視線がばれたならあらぬ誤解を受け、
バカキョンだのエロキョンだのと不名誉な呼ばれ方をすることは請け合いだ。それはなんとか回避するべき事態だということは百も承知である。
しかし、だ。俺の理性はまるで現在の俺と古泉の盤面の如く煩悩に蹂躙され、理性が陥落するのは間近である。どちらが理性でどちらが煩悩であるかは言うまでもないとだろう。
 そんなことを考えていると、ばっちりハルヒと視線がぶつかってしまった。慌てて逸らすも時既に遅し。ハルヒがぎゃーぎゃーとわめき始めた。

「ちょ、ちょっと、キョン!アンタさっきから何見てんのよ!」

「知らん。たまたまだろう。謂われの無い言い掛かりはやめろ」

表面上は至極まともなことを言っているが内心はたまったもんじゃない。動揺を隠すために少々強気に出てみたのが功を奏したのか、
ハルヒはうぐっと黙り込む。咄嗟に思いついたにしては会心とも言える言い訳であった。


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:53:24.97 ID:oPJuhk6/0


「というか、さっきからってどういうことだよ?視線に気が付いてたってことはお前も俺のこと見てたんじゃ無いのか?」

「そ、そんなわけないでしょ!何が悲しくてアンタの顔なんか見つめないといけないのよ!」

 ハルヒはそう怒鳴るが、顔が心なしか赤いような気がする。まぁ、ハルヒに限ってそれはないだろうから、
今のはただの牽制であり話題の転換を狙った俺の完璧なる話術であるのだ。

「ん?ちょっと待ちなさい。どういうことよお前『も』って。やっぱりキョンだってあたしのこと見てたんじゃ無いのよ!」

 完璧とは思われていた俺の話術は完璧から程遠い最低のモノであった。もうこれでもかと勝ち誇っているハルヒ。これは拙い。
どう考えても俺がハルヒのことを気にしていた風にしか思われない。確かにその通りではあるのだが、それはそれで癪である。

「なっ、それは言葉の綾だ!それにキョン『だって』って今言ったけど、それじゃあハルヒも俺のことを見てたんじゃないか」

「ち、違うわよ!それこそ言葉の綾っとものよ!」

 熱くなって髪が乱れたのか、ハルヒが再び髪をかきあげた。またしても身体中に電撃が走った。もうこれでもかというくらい打ちのめされてしまう。
これは困った。非常に困った。よりによってこのタイミングでその仕草をされてしまうとハルヒから目が離せなくなってしまう。
赤面しそうになるのを隠すために真面目な表情を取り繕い、先程ハルヒに言われた考える人のようにしてみる。


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:55:52.85 ID:oPJuhk6/0


「………………」

「………………」

 二人で睨み合う。ハルヒはハルヒで口をぱくぱくして酸素を求める金魚のようになっている。
どことなくその様子に親近感を覚えてしまうのは何故だろう。

「な、なんでそんな真面目そうな顔してんのよ?」

 ハルヒがそう訊いてきた。その声がどことなく上ずっている。緊張しているのか?
いや、照れているといったほうが正確か。

「べ、別になんでもない。そうさっきも言っただろう」


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:56:28.81 ID:oPJuhk6/0


ハルヒにつられて俺の声も上ずってしまう。これじゃあ動揺しているのが丸分かりなのではないだろうか。

「そ、そう?」

「あ、ああ、そうだ」

 しかしハルヒはそれに気付いた様子は無い。心を落ち着けるためな再三髪をかきあげやがった。なんという破壊力。
どうにもならないくらいハルヒを見つめてしまう。それを誤魔化すためにますます真剣な表情で塗り固める。

「な、なぁ、ハルヒ……」

「な、何よ。そ、そんな真剣なキョンみたことないってぐらいに真剣ね……」

「いや、その、なんだ……」

「……………」

「いや、なんでもない」

「そ、そう。なんでもないのね」

そして、なんでもないと繰り返し笑い合う俺たち。乾いた笑い声が部室に響きわたるのだった。


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:57:02.80 ID:oPJuhk6/0


「え~と、これはどういうことなんでしょうか?」

「おそらく両者が普段気にしたことの無い仕草や表情がふと気になってしまい、照れているということでしょう」

「………バカップル」


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 04:58:51.17 ID:oPJuhk6/0


終わり


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 05:10:10.38 ID:oPJuhk6/0


『突然』

「なぁ、ハルヒ。話があるんだ」

「な、何よ突然?似合わない真面目な顔しちゃってさ」

「俺――ハルヒのことが好きだ」

「はぁ!?え、ちょ、ちょっと待ちなさいよ!何よ、そ、それは告白ってこと?」

「そうだ」

「い、いきなり過ぎるわよ!もうちょっとムードとかそういうの、ほら、いろいろあるでしょ!バカキョン!」

「……それで、どうなんだ?」

「……キョンは馬鹿だし、みくるちゃんにはすぐデレデレするし、あたしの言うこと全然聞いてくれないし、
文句ばっかり。そ、それなのに本当にあたしのこと好きなの?」

「ああ、好きだ」

「し、仕方ないわね!あ、あたしはキョンのことなんか全然まったくこれっぽっちも好きじゃないけど、
キョンが可哀想だから付き合ってあげるわ!感謝しなさいよ」


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 05:13:46.33 ID:oPJuhk6/0


まず最初に、誤解だと言っておく。上記の恥ずかしい台詞の連発は俺であって俺じゃない。
DIOのスタンドを目の当たりにしたポルナレフの気持ちとでも言えば、現在の俺の心境は伝わるだろうか。
とにかく、パニック状態に陥っているわけだ。何が何だかまったくわからないが、一応現在に至る流れなんかを説明しておく。

 遡ること5分前、掃除が終わって何時ものように部室に向かっている途中のことだ。
ハルヒを除いたSOS団の団員が揃いも揃って俺の前に現れた。またハルヒが何かやらかしたのかと古泉に聞いたところ、

「いえいえ、貴方が心配するようなことは何も」

 キザったらしいにやけスマイルで古泉はそう言った。詳しく――というほど難解な話ではないのだが――話を聞くと、
どうやら三人が三人とも定時連絡らしい。

「それで、貴方から涼宮さんに今日は行けないということを伝えてもらいたいのですが、構いませんか?」

 古泉だけなら自分で連絡しろと言い捨てるのだが、長門や朝比奈さんからの頼みごととなるなら話は別だ。

「わかった。伝えておくよ」

「キョン君ありがとう」

 そうにっこりと微笑まれた朝比奈さん。その笑顔を見れただけで対価としては十分過ぎる程だ。

「感謝」

 長門は長門で無表情に見えるのだが、その無表情の中に感謝の気持ちが見て取れる。

「それでは、失礼します」


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 05:18:02.29 ID:oPJuhk6/0


三人と別れ部室へと向かい、その扉を開こうとしたところで冒頭に戻る。中から声が聞こえてくるので、
鶴屋さんでも来ているのかと最初は思った。しかし、どうも様子がおかしい。
ドアノブに手をかけたままハルヒの声に耳を澄ますとなにやら誰かの声を真似しているようだった。

 物真似の練習をしているなら何の問題もない。練習をしているところを見られたり聞かれたりするのはいささか恥ずかしいが、
ただそれだけだ。だが、物真似をしている人物に問題があった。もうお分かりだろう。ハルヒは、何を思ったのか俺の口調と声を真似ていたのだ。
しかも、だ。恥ずかしい台詞を連呼している。

「……愛してるよハルヒ」

「あたしもよ、キョン……」

 聞こえない。何も聞こえない。いったいハルヒはどこを目指しているのだろうか。俺の真似をするのは百歩譲っていいとしよう。
しかしながら、俺の真似をしながら愛の台詞を囁くってのはいかがなものだろう。

「好きだ!好きだハルヒ!大好きだ!」

「ああ、キョン!大好きよ!」

「……何をやってるんだ?」

 流石に耐えきれなくなり、俺は部室の扉を開けた。そこで俺が見たのは、
部屋の中央でまるで自分を抱き締めるかのように両手を胸の前で交差させているハルヒであった。


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 05:22:44.90 ID:oPJuhk6/0


「…………」

「…………」

 ハルヒは顔面を完熟トマトのようにして、そのままの姿勢で固まってしまっている。
俺は俺でそんなハルヒに二の句を告げられないでいた。互いに見つめ――いや、睨み合ったまま数秒が経過した。沈黙が部室内を占拠する。

「…………」

「……おい、何事もなかったかのように自席へ座るな」

 窓のほうを向いたままハルヒが再び固まる。

「ぬ、盗み聞きなんて趣味悪いんじゃないの?」

「聞くつもりはなかったし、聞きたくもなかった。でもな、あんなでかい声を出してたせいで廊下にまで丸聞こえだったぞ」

 ひょっとしたらコンピ研の連中にも聞かれてしまったかもしれない。
そのことを考えると、鬱になる。拳銃はどこにしまったかな。


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 05:25:13.79 ID:oPJuhk6/0


「ね、ねぇ。ど、どの辺りから聞いてたの?」

「『なぁ、ハルヒ。話があるんだ』ってとこからだ」

「……」

 結構最初のほうからじゃないという呟きが聞こえたような気がする。あまり深く追及はしたくないのだが、そういうわけにもいかないわけで……。

「あのな、ハルヒ」

「な、何よ?」

 こっちを向かないハルヒに聞こえないようにやれやれと呟く。

「別に俺の真似をするなとは言わん。でもな、恥ずかしい台詞で練習するのだけはよしてくれ」

 そう言ったところでハルヒが急に振り向いた。その表情を見る限り、かなりご立腹のようだ。

「あ、あんた本当に馬鹿なんじゃないの!?意味わかんない!何でそうなるのよ!違うでしょ!
キョンの物真似がしたいわけじゃないってことくらい気付きなさいよ!バカ!アホ!鈍感!スケベ!」

 物凄い剣幕でハルヒがそうまくしたてる。さっきまでのピンク色の空気はどこへやら。
レッドゾーンへ即突入といった具合か。


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 05:28:38.26 ID:oPJuhk6/0


「あたしが!キョンのことを!好きだから!真似してたのよ!」

 肩を怒らせながら近づいて来たハルヒが、一言一言を区切りながら学校中に響き渡るんじゃないかというぐらいの大声でそう言い放った。
ちょっと待て。今、物凄いことを言われたような気がするんだが……。

「ホントはキョンに言ってもらいたかったの。でも、絶対に言ってくれないから。
だから、自分で真似してたのに、それなのに、それなのにキョンは――」

 ほんの数瞬前まで怒っていたハルヒが、今度はポロポロと大粒の涙を流し始めた。
言葉の終わりは嗚咽で何を言っているのかわからない。鈍感と罵られた俺。それでも。それでも今何をすべきなのはわかっているつもりだ。

「悪かった。だから、泣くなよ」

 そっとハルヒを抱き寄せて、優しく頭を撫でてやる。想像以上に柔らかく、あんまり力を入れると壊れてしまいそうな程にハルヒは華奢だった。
ハルヒも女の子なんだなと変に実感した。

「バカ……キョンのバカ……」

 泣き止まぬハルヒを何も言わずに撫で続ける。優しく、優しく、包み込むように。


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 05:30:24.36 ID:oPJuhk6/0


「もっと優しくしてよ。もっとあたしのことだけを考えてよ。キョンが好きなの」

 女の子、それもハルヒみたいにとびっきり可愛い女の子にそんな風に言ってもらえるなんて、俺は幸せ者なんだろう。

「キョンはあたしのこと好き?」

 さて、どうしたものか。腕の中のハルヒが不安そうな瞳で俺を見つめている。そんな上目遣いでその台詞は卑怯だ。

「……ああ、好きだ」

「そ、良かった……」

 ああ、まったく。展開が早すぎやしないだろうか。しかし、そんなことはどうだっていい。腕の中のハルヒが可愛い。
今の俺にはそれだけが真実ってわけだ。

「ねぇ、キョン――」

 紡がれた言葉。答えはいつも俺たちの胸に――


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 05:32:31.74 ID:oPJuhk6/0


終わり


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 05:39:23.04 ID:oPJuhk6/0


最近はハルヒなんてまったく見なくて寂しい

『Are you jhon?』

「ねぇ、ジョン。宇宙人とか超能力者の知り合いはいないの?」

ジョンって誰だ?俺だ。

まったく、どうしてこんなことになったんだろうね。北高に入学してまだほんの一週間程である。
それなのに、俺の後ろに席を陣取っている涼宮ハルヒはそんな電波な内容の話題を俺に振ってくる。そもそも、ジョンってなんだよジョンって。
中学の時から使われているあだ名であるキョンなら判らないこともないが、何故か涼宮ハルヒは俺のことをジョンと呼ぶ。その理由を訊ねたところ、

「ジョンが自分でそう名乗ったんでしょ」

 という御言葉が返ってきた。わけがわからん。俺がそう名乗ったと涼宮は言ったが、俺は涼宮とは北高に入ってから知り合ったわけであって、
事実に矛盾する。他人の空似ってオチだろう。涼宮みたいな頭のネジがぶっ飛んでいる、インパクトの強い奴に出会っていれば、きっと忘れようもないだろうさ。

「で、どうなのよ?」

何がだ?

「だから、宇宙人とか超能力者の知り合いはいないのかって訊いてるの」

目を輝かして、俺のことをジッと見つめる涼宮。普通にしていればかなり可愛いのだが……。


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 05:42:47.40 ID:oPJuhk6/0


「いるわけないだろ。どこをどう見てもただの一般人だ」

 やれやれと肩を竦める。貴重な昼休みをこんな無駄な問答のために浪費しているかと思うと、げんなりだ。
こんな調子じゃ友達を作ることすらままならない。それどころか、大半の男子からは羨みと怨みの籠もった視線に晒され、
少数の男子からは――谷口とか言う奴を筆頭に――憐れみの視線を投げ掛けられる。その憐れみの視線を向けてくる連中に共通すること。
それは、全員涼宮と同じ東中出身だということだ。

 谷口の話を聞く限り、涼宮は中学の頃から少々――いや、かなりぶっ飛んでいたらしい。
しかし、今みたいに明朗快活というわけではなく、いつも不機嫌そうだったという。高校デビューなんて言葉をよく耳にするが、
きっとそれに近い何かなんだろうね。理由が何であれ迷惑な話だ。いや、理由が俺らしいという話も出ており、迷惑さ倍増だ。

「実はいるんでしょ?誰にも言わないからあたしだけにこそっと教えなさいよ!」

 そんなバカでかい声で話していたら隠すも何もないだろう。というか、俺の話を聞いてなかったのだろうか。

「何よ?」

「いや、別に…」

目の前にいる年中晴れハレな感じの涼宮が、中学の頃は今とは全然違うと言われてもいまいち想像できない。

「そういえば、ジョンの不思議な能力っていったい何なの?三年前に今と同じ格好で出会ったから、やっぱりタイムトラベル?」

俺の思考はさて置き、涼宮が有りもしない俺の能力について考察を始めた。涼宮のトンデモ話によると、
どうやら涼宮は三年前の七夕に今の俺と出会ったらしい。その話は確実に真実ではないのだが、仮にそうだと仮定すると、
今涼宮が言ったとおり俺は時間を跳ぶことができるらしい。実は隠れた能力がある日突然芽生えて、時空間を跳べるようになったと考えればつじつまは合う。


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 05:46:53.70 ID:oPJuhk6/0


つまり、今の俺は休眠状態で、そのうち何かの拍子に覚醒なんかして超能力に目覚めるのだ!……馬鹿馬鹿しい。そんなのはアニメや小説の中で十分だ。
いや、今時のアニメや小説だってもう少しまともな設定だったりするだろうよ。しかし、『事実は小説より奇なり』なんて格言もあるわけだし、
もしかすると俺は――いかん、どうやら俺の脳細胞も涼宮ハルヒという猛毒に冒され、妄想がはびこるようになってしまったようだ。

「あ、やっぱりそうなんだ」

 俺が脳内で客観的意見を論じあっている様を見て、涼宮は何故か一人で納得したようだ。困る。それは困る。
そんなことを言い触らされてみろ、確実に俺は涼宮の仲間入り決定だ。涼宮が一人でそういうことに興味を持つことは結構なことだと思う。
そういうのは個人の自由であって、他人があれこれ口出しするようなことでもないだろう。しかし、だ。
その中に俺も含まれるとなったら話は別だ。俺は一般人であるわけで、そんな奇妙なことには正直言って関わりたくはない。
変人・奇人は涼宮だけで十分だ。だから、断固として否定しなければならないのだ!

「あのなぁ。俺の話を聞いてたのか?頼むから俺を巻き込まないでくれよ」

「ジョンのくせに生意気よ」

 いったい何様のつもりだろうか?

「あのね、ジョンが居るかもしれないと思ったからあたしは北高を選んだの。そしたら、その読みはばっちり当たったわけ。
これって運命じゃない?あ、運命とかあたしは信じるほうよ。理由は、そっちのほうが面白そうだから。話が少し逸れたわね、戻すわよ。
で、何が言いたいかってことなんだけど。せっかくあたしとジョンは廻り合ったんだから、二人で協力して世界を大いに盛り上げないとダメなのよ。
だから、あたしを失望させないでね」


58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 05:50:41.68 ID:oPJuhk6/0


涼宮の中では、もう既に俺はよくわからん計画に組み込まれているらしい。まったくもって勘弁願いたいところだ。

「まずは名前よね……」

 ぶつぶつとあーだこーだと呟いている涼宮はやけに楽しそうで、尚且つ誰にも止められないんじゃないかっていうオーラすら纏っている。
迷惑極まりない。

「そうよ!世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団で、SOS団よ!あたしが団長で、ジョンは団員その1よ!」

 突っ込みどころ満載過ぎて、どれから突っ込みを入れたらいいのやら……。
とにかく、これだけは、はっきりさせておかないとな。

「俺はパスだ。涼宮だけでやってくれ」

「却下よ。もう、さっき言ったでしょ。失望させないでって」

 爛々と目を輝かせている涼宮にきっと何を言っても無駄だろう。不本意ながら、俺はSOS団だなんて活動内容が一切不明な団に入団させられた。
これで、安らかなる俺の高校生活は泡となって消えたわけだ。
 
 まったく、やれやれだ。

「まずはジョン以外に団員を集めるのと、場所の確保ね」

 萌えキャラは重要だとか、クールキャラも必要だとか、謎の転校生も欠かせないだとか、
今後の予定を立てている涼宮のことを見て、俺はこう思うのだった。



――ポニーテールが似合っているとな。


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 05:52:42.30 ID:oPJuhk6/0


終わり


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 05:57:34.49 ID:oPJuhk6/0


『I am Jhon』

「ねぇ、ジョン。最近何か変わったことあった?」

 ジョンって誰だ?俺だ。

 ジョンと呼ばれ始めて早くも一年が経過しようとしていた。ハルヒのやつが俺のことをジョンと呼んでくれたおかげで、
俺のあだ名はキョンからジョンへと変化した。ジョンもキョンも、正直なところあだ名としては勘弁してもらいたいと思っている。
しかしながら、一度定着してしまったモノをいまさら誰も変えようとはせず、俺はこのあだ名を受け入れねばならないのだ。
それもこれも、涼宮ハルヒに出会ってしまったのが運の尽きなのだろう。やれやれだ。

 そんな奇妙奇天烈なハルヒと過ごした一年間なのだが、はっきり言って凄まじく慌ただしかった。と言うのも、
我らがSOS団の団長である、前述の人物が次々にトラブルを運んで来てくれるからだ。いや、当の本人はそのことに気付いていないのが、
尚更質が悪い。無意識の産物というモノに、どれほど悩まされたことか。

 そのおかげで、宇宙人や未来人、さらには超能力者と知り合いになれた。それが俺にプラスになったかと言えばそうでもなかったりする。
ハルヒの無意識が作り出す閉鎖空間というのに入ったり、美少女宇宙人に襲われたり、可愛い未来人さんと過去へ飛んでハルヒに会い、
ジョン――つまり、俺と知り合うきっかけを作ってみたり、夏休みをループしてみたり、おかしな映画を撮ってみたり、世界が改変されそうになったりと、
少し例を挙げただけでもこの有様だ。実際のところ、事の大小はさておき、これの数倍以上のトラブルまたは思いつきによる突飛な行動があったりする。
これだけで、俺が波乱万丈な一年を過ごしたことが判るだろう。


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 06:02:09.13 ID:oPJuhk6/0


さて、そんな一年間だったわけなのだが、今日もそのトラブルの種に為りかねない状況にある。どんな状況かと言うと、
公園のベンチにハルヒと肩を並べているという状況だ。それだけを聞くと、甘酸っぱい恋などと勘違いされそうだが
、実際のところ毎週欠かさずやっている不思議探索と呼ばれるソレである。その休憩として、公園に来ている次第だ。

「……あるわけないだろうが。何度も言うように、俺はただの一般人だ」

 ため息混じりに、幾度となく吐いたセリフを繰り返す。確かに、この一年間で数えきれない程の不思議には出会ってきた。
しかし、俺自身によって引き起こされた不思議というものは存在しない。結局のところ、頼んでもいやしないのに俺は巻き込まれてしまう形にある。
少しぐらいハルヒに分けてやりたい気もするが、それはそれで厄介なことになりそうだ。

「つまんないの…」

 ハルヒが口を尖らせる。不機嫌そうに取れる仕草ではあるのだが、目は楽しそうに輝いているわけだから、
別に不機嫌という程のことでも無いようだ。

 ハルヒから視線を外して空を見上げる。春の空は青々と澄みきっとおり、鳥が悠々と飛んでいく。

「UFOでもいた?」

「いない」

「そう?」

「そうだ」

 当たり障りの無い会話が終わり、沈黙。この不思議探索に於いて、いつのまにか決まった暗黙のルール。
俺はハルヒとペアを組むということ。ハルヒが強制したわけでも、俺が誰かに強制されたわけでもなく、
自然な流れとしてこうなった。俺個人としても、そのことに文句は無い。要は慣れということだろう。


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 06:07:58.21 ID:oPJuhk6/0


「ねぇ、ジョン。そろそろあたしたちも良いんじゃない?」

「何がだ?言っておくが、時間なんてものは跳べないぞ」

「違うわよ」

ハルヒがあからさまに不機嫌そうな顔をする。どうやら俺は地雷を踏んでしまったらしい。

「じゃあ何だよ?とりあえず判るように説明してくれ」

「……別にいい」

 そのまま黙り込み、再びハルヒはアヒルのように口を尖らせる。取りつく島もない。全くわけがわからん。
ハルヒの言わんとしていることがさっぱり伝わってこない。首を捻ること数分、諦めてハルヒにもう一度訊ねようとそちらに顔を向けた時である。
ハルヒの見事なポニーテールが風に揺れているのに気が付いた。なんと言うか、物凄く触ってみたい。言うなれば猫じゃらしを目の前にした猫といったところか。
とにかく、ポニーテールを触ってみたい衝動が俺を突き動かす。


65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 06:09:54.43 ID:oPJuhk6/0


「ちょっと、何すんのよ!バカジョン!」

 当然のことながら、ハルヒが驚いて怒鳴る。

「いや、急に触りたくなってな。ダメか?」

 いまさら言い訳をしたところで意味はない。なら、敢えて正直に願望を伝えるのも一種の策ではなかろうか。
……そうでもないな。まるっきり変態だ。言ってしまってから後悔してももう遅い。ビンタの一つや二つを覚悟する。
しかし、いつまで経ってもハルヒは何もしない。ただ顔を赤くして……照れているのか?

「ジョ、ジョンがどうしても触りたいって言うなら触らせてあげなくもない……わよ」

 いったいこれはどういう風の吹き回しなんだろうね。考えたところで、結論は出そうにない。
なら、ここはハルヒの言葉に甘えて触らせてもらうとするか。

「や、優しくしてよ」

「わかってるさ」

 そうして、俺はハルヒのポニーテールを撫で続けるのであった。


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 06:13:09.20 ID:oPJuhk6/0


終わり


69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/27(木) 06:23:05.08 ID:IkzFJl5G0



あるよあるある俺に需要ありまくるよ
また暇な時にでも投下してくれさい




P「どうやら響に嫌われたみたいなんだが……」
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