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宇宙博2014:NASAエリア前半は米ソ宇宙開発史。タイタンIのロケットエンジン現物など展示多数 - Engadget Japanese


幕張メッセで9月23日まで開催中の宇宙博2014より。有人宇宙飛行計画を年代、プロジェクトごとに展示した「NASA展示エリア」では、「鳥の飛翔に関する手稿」で飛行装置の概念図を示したレオナルド・ダ・ヴィンチなどの芸術家の紹介や、20世紀後半までに宇宙開発に携わった科学者たちの研究成果が見られます。

今回はNASAエリアから、芸術や理論の面から空を飛ぶことを表現した芸術家、科学者を紹介する「宇宙を夢見た人たち(Dreamers)」、米露宇宙開発戦争時代をまとめた「宇宙開発競争のはじまり(Go Fever)」、アポロ計画を中心とした有人宇宙飛行のロケットエンジンなどを展示する「宇宙に挑んだ先駆者たち(Pioneers)」の3ゾーンをご紹介します。

宇宙博2014

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338 枚



宇宙を概念や芸術で表現した学者、芸術家ゾーン「宇宙を夢見た人たち(Dreamers)」で宇宙開発初期の歴史を紐解く




宇宙博のメインエントランスを進むとコンクリートでできたゲートが見えてきます。ここがNASA展示エリアの入り口です。上部に描かれた「LC-39A」の文字はNASAの施設であるケネディ宇宙センター第39複合発射施設(Launch Complex 39)を意味し、ゲートを通ると発射棟からロケットへ伸ばされるスロープが現れます。




スロープを進むと見えてくるのは「宇宙を夢見た人たち(Dreamers)」ゾーン。芸術の面から空を飛ぶことを表現した芸術家、作家の肖像画10点と、その代表作や有名な理論が紹介されています。天井には天球儀が配置され古くから宇宙に関心を寄せてきた人類の歴史や作品が見られます。

第二次世界大戦後の宇宙開発競争時代を学ぶ「宇宙開発競争のはじまり(Go Fever)」ゾーン




第二次世界大戦でジェットエンジンやロケットに関する技術は目覚ましい進歩を遂げ、米露を中心とする宇宙開発競争が始まりました。このエリアは1950年代終わりから1960年代の展示物が進路向かって左側に米宇宙開発の内容(青)、右側に露宇宙開発の内容(赤)と左右に分けて並べられています。



米国の展示内容は1915年に設立されたNACA(米航空諮問委員会)が開発し、世界で初めて音速を突破した飛行機「ベルX-1」に搭載していたマッハ計、SF小説や新聞、雑誌の現物やテレビ報道のビデオ、宇宙グッズと呼ばれる宇宙をモチーフにした生活用品やおもちゃのほか、米国人初の宇宙飛行士アラン・B・シェパードや、1961年に「10年以内に米国人を月に送る」と宣言した第35代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディなどの米宇宙開発初期のキーマンのパネル展示。米宇宙開発の歴史と宇宙人気、1958年NASA設立までの流れが分かります。



ロシアの展示内容は第二次世界大戦以前民間組織で行われていた頃から、ソ連の最高指導者ニキータ・フルシチョフが軍事目的と時刻の技術力の高さをアピールするために宇宙技術開発を推進した時代まで。1961年4月12日ポストーク1号で人類初地球を1周したユーリ・ガガーリンのパネル、人類初の人工衛星スプートニク1号のレプリカ、新聞、ポスター、記念メダルや飾り皿などの宇宙グッズ、当時の報道ビデオ。人類初の宇宙飛行、世界最初の女性宇宙飛行士ワレンチナ・テレシコワ誕生、世界初複数の宇宙飛行士打ち上げなど、宇宙開発競争におけるソ連の功績が分かります。

有人宇宙飛行までの技術変遷と携わる技術者、科学者の足跡をたどる「宇宙に挑んだ先駆者たち(Pioneers)」ゾーン




宇宙開発戦争を学んだ後は、宇宙科学に携わった科学者の功績をまとめた「宇宙に挑んだ先駆者たち(Pioneers)」へ進みます。ゲートを潜って進む通路にはロケットの概念や月面周回ランデブー方式の概念図と数式が描かれた透明パネルが設置されています。




エリア手前にある大きな展示物は、ジュピター・ロケットから回収されたノーズ・コーン(ロケット先端部分)。透明なアクリル板から内部の様子が見られます。アメリカ陸軍弾道ミサイル局で開発され、大気圏再突入試験に使用されました。



ノーズコーン後ろに展示されているネズミを用いた実験用モジュールは初期の宇宙開発における有人宇宙飛行の可能性を探るための実験器具。ネズミ、イヌ、サルなどが人類より前にこのような専用モジュールへ入れられて打ち上げられました。




宇宙科学に関する理論や概念を発表したコンスタンチン・ツィオルコフスキー、ロバート・ゴダード、ヘルマン・オーベルト、セルゲイ・コロリョフ、ヴェルナー・フォン・ブラウン5名にまつわる事物や著書、世界初の長距離弾道ミサイルV-2ロケットのインバーター、金属外皮などはまとめて1ケースに収められています。



先駆者たちのショーケース横には、ロケット開発変遷がわかる72分の1サイズの模型が展示されています。正面左から、V-2ロケット、マーキュリー・レッドストーンロケット、マーキュリー・アトラスロケット、ジェミニ・タイタンロケット、アポロ・サターン1Bロケット、アポロ・サターンVロケット、スペースシャトル・コロンビア号。アポロ・サターンロケットシリーズ以降から有人宇宙飛行のために開発、製造されています。




多段式大陸間弾道ミサイル(ICBM)のタイタンI(Titan I)ロケットエンジンは、第1段と第2段が展示されています。大きいエンジンが1段、小さいものが2段エンジンです。タイタンIは米国空軍で1962年から運用され、より長い飛行距離と積載量を実現するタイタンII、その後衛星打ち上げ用のタイタンロケットシリーズに発展していきました。



タイタンは同時期に米空軍で並行開発、運用された大陸間弾道ミサイルCGM/HGM-16 アトラス(Atlas)の保険プロジェクト。実戦配備されたアトラスが失敗した場合の代替機という側面と、より大型で長い射程の2段式のミサイルを搭載し、人工衛星の打ち上げを可能とする大積載量をかなえるという2つの側面がありました。

タイタンロケットエンジン以外にも、月着陸船の上昇段用試作エンジンやサターンI/アトラス/タイタンのRL-10ロケットエンジンのジンバル・アクチュエーター(エンジンの上下左右を軸にした回転を調整する)の現物やエンジンのカットモデル、アレッジモーター(無重量状態時に燃料を正常に送り込む装置)などが並び、当時の技術を身近に感じられます。




展示ゾーン右側にはサターンVロケットの10分の1サイズ模型を設置。内部構造が詳細に分かるよう工夫されており、先端部の司令船とその下の月面着陸船アポロが格納されている模様が確認できます。サターンVロケットは全長111m、3段式でそれぞれにエンジンを搭載した大型ロケット。1967年から1973年まで全てのアポロ計画と米宇宙ステーションスカイラブ計画で使われ、米有人宇宙飛行の歴史に深く携わりました。

なお、映画「アポロ13」の基となったアポロ13号打ち上げにもサターンロケットが使われました。酸素タンク爆発事故という重大な事故に見まわれ、月面着陸を断念したものの乗員3名は無事地球へ帰還。「Successful Failure(成功した失敗)」として話題になりました。

宇宙博2014:NASAエリア前半は米ソ宇宙開発史。タイタンIのロケットエンジン現物など展示多数

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