戻る

このページは以下URLのキャッシュです
http://japanese.engadget.com/2014/07/25/2014-nasa/?ncid=rss_truncated


宇宙博2014:NASAエリア最後は宇宙開発技術史。スペースシャトル機首部分レプリカなどを展示 - Engadget Japanese


幕張メッセで9月23日まで開催中の宇宙博2014より。米航空宇宙局(NASA)に関する展示物が並ぶNASAエリアの後半はアポロ計画司令船着水時の気球実物、スペースシャトルコクピットの実物大レプリカなどの大型展示が見られます。

今回はNASAエリア最後の「技術革新(Innovation)」ゾーンをご紹介します。

宇宙博2014

すべての写真を見る

338 枚


宇宙へ、月へ、そして長期滞在へ。宇宙開発を取り巻く技術の発展が分かる「技術革新(Innovation)」ゾーン



NASAエリアEnduranceゾーンの月面車を過ぎると、マーキュリー宇宙船の実物大レプリカが見えてきます。1959年から1963年のマーキュリー計画は、米初の有人宇宙船による地球の周回、人体機能調査と地球への帰還が目的。そのため機体は小さく構造はシンプルです。船内の居住空間は1.7立方メートルと狭く、船内の至る所に電気的なスイッチ、ヒューズ、レバーなど合計120個の制御装置があるのみでした。



マーキュリー宇宙船の対面にジェミニ宇宙船再突入モジュール実物大レプリカが並びます。
マーキュリー計画に続くジェミニ計画は1965年から1966年にかけて実施。アポロ計画に向けて弾道飛行、地球周回飛行、複数宇宙飛行士の長期滞在、宇宙船の軌道を修正してほかの宇宙船とランデブーとドッキングをする技術の開発、船外活動など幅広い実績を残しました。

宇宙船の構造は定員2名の操舵区画と電力、推力、燃料、生命維持に必要な物資を分離可能な推進区画の2構成に変化。また、計器の管理と操縦をするコンピュータを初めて搭載しました。




マーキュリー計画の後、アポロ計画がスタート。1968年から1972年まで月着陸を目指し、アポロ1号からアポロ17号が打ち上げられました。会場にはアポロ17号司令船帰還時に使用されたパラシュート実物と、その下にアポロ司令船(CM)の実物大訓練シミュレーターが展示されています。パラシュートが天井から吊るされた迫力ある姿から、宇宙飛行士3名を無事に帰還させるために必要だった技術と要件の高さが伝わってきます。




アポロ計画以降宇宙飛行士の滞在時間は飛躍的に長期化。そのため、飛行士の生命と宇宙船の機能を維持するための技術も向上しました。

実際使用された生命維持に関わる機器が1ケースにまとめられています。左側手前から、月着陸船の二酸化炭素ブラケット、二酸化炭素除去装置、アポロ宇宙船の燃料電池。アポロ13号はこの燃料電池が爆発し、酸素タンクから酸素を失いました。事故発生後、写真の四角い二酸化炭素除去装置を月着陸船の小さな円筒形の差込口に連結するエピソードは、映画「アポロ13」で詳細に再現されています。




ロケットの打ち上げや宇宙飛行には地上管制のアシストが必要です。会場にはNASAの管制室を再現したエリアがあり、当時の様子が伺えます。展示向かって左側から、アポロ計画時代の運用管制用コンソール2台、シュノーIIの打ち上げ用コンソール。

全て実際に使用されたもので、卓上には機器の取扱いに関するマニュアルなどがそのまま残されています。また、コンソールを囲むトタン製の壁にはマーキュリー計画の軌道計画図、アポロ16号の月へと向かう軌道計画図など5種の計画図が掲示されています。



1国での宇宙技術開発が円熟期を迎えると他国との協業が視野に入ります。1950年代から熾烈な宇宙開発競争を繰り広げてきた米ソも、アポロ18号とソユーズ宇宙船をドッキングさせ、国際宇宙ステーションの技術開発などの布石となりました。

ゾーン中央部に置かれたジェミニ計画のアジェナ標的機トレーナーは、ドッキング技術を訓練するために打ち上げられた練習用の宇宙船。1966年には宇宙でのドッキングに成功、その技術をアポロ計画に活用しました。




アポロ計画終了後、人類の宇宙長期滞在に向けた挑戦が始まります。NASA初の宇宙ステーションスカイラブは1973年に打ち上げられ、6年間地球の周囲を回り、9人の宇宙飛行士が延べ171日滞在しました。実際に使用された体質量測定装置などの実験器具、スカイラブ3号の自動安定型船外活動装置(ASMU)などの船外活動機器、スカイラブのトイレなどの生活用具がまとめて展示されています。




月面着陸を目指すアポロ計画と同時に、再利用ができるスペースシャトル計画の運用がスタート。1981年から2011年にかけて135回打ち上げられ、多くの貨物と複数の宇宙飛行士を宇宙へ運びました。

NASAエリア最後には、スペースシャトル アトランティス号(Atlantis)の機首部分実物大レプリカが置かれています。後方の1階部からはミッドデッキのレプリカ、階段から2階部分に上がるとアクリル板に覆われたフライトデッキを見学可能。宇宙船実物大レプリカは全てコックピットが見られるようになっており、技術革新と進歩が感じ取れます。

なお、実用化されたスペースシャトル5機のうち、チャレンジャー号は1986年発射73秒後に爆発。また、コロンビア号は2003年の大気圏再突入時に空中分解事故を起こし、チャレンジャー号と同様7人全員が犠牲になりました。チャレンジャー号の爆発事故以降、安全対策へ高額な費用が必要となり運用の廃止が決定。2011年7月8日アトランティス号の打ち上げをもって30年にわたったスペースシャトル計画は終了しました。現在は月や火星まで到達できる性能を持つ次世代宇宙船の開発が行われています。完成までには時間がかかるため、国際宇宙ステーションISSへの往復事業はロシアのソユーズ宇宙船または民間宇宙船で継続されます。

宇宙博2014:NASAエリア最後は宇宙開発技術史。スペースシャトル機首部分レプリカなどを展示

0 コメント