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国内未提供のストリーミング音楽サービス Spotify が沖縄で説明会を開催。試用レポート - Engadget Japanese


スウェーデン発の音楽ストリーミングサービス「Spotify (スポティファイ)」が、沖縄で説明会を開催しました。Spotify は世界で約4000万人のアクティブユーザーを抱える人気サービスですが、残念ながら現在日本では提供されていません。先行使用したレポートとサービスの詳細をお伝えします。


Spotifyとは

Spotifyはストリーミング型の音楽配信サービス。名前の由来は「Spot」と「Indentify」を組み合わせた造語です。2006年にスウェーデンで始まり、現在は世界に29のオフィス、1300人以上の従業員がいるとのこと。サービス提供国は57カ国以上ですが、日本ではまだ開始していません。




音楽のデジタル配信は、日本では iTunesなどに代表されるダウンロード型がメジャーですが、Spotifyはストリーミング型のサービスです。Spotify Japanの代表ハネス・グレー氏は「ダウンロード型の場合、購入の際にユーザーが決断する必要がある。しかし、ストリーミング型だと決断する必要がないため、気軽に音楽を楽しむ事ができる。結果、新しい音楽に触れることができる」とストリーミングサービスの特徴を述べます。

その他にも、PCやスマホなど利用シーンに合ったデバイスが選べ、ムードやシチュエーションにハマる曲を2000万曲から選べる、2つの意味でしっかりはまるサービスと強調していました。



対応モバイルOSはiOSやAndroidに加え、Windows Phone、Blackberry、更にはSymbianにも対応。幅の広さは世界で広く使われている証拠かもしれません。さらにPC、スマホだけでなくAV機器への対応も徐々に拡大。ただApple TVやChromecastなどのセットトップボックスへの対応は未定です。




Spotifyは基本サービスを無料で提供するいわゆるフリーミアムなビジネスモデル。機能に制限があり広告も表示される無料のプロモーション会員と、月額9.9ドル/ユーロ/ポンドで全ての機能をフルで使えるプレミアム会員の2種類を用意します。国内で提供する場合の金額は現在検討中。ちなみに日本円に換算すると月額約900円〜1500円になります。




毎月SpotifyからFacebookへ20億投稿されており、6月作成されたプレイリストは6000万件。アクティブユーザーの一日の平均利用時間は100分。





またSpotify Japanのレーベル担当である野本晶氏によると「SpotifyはOggというファイルフォーマットを使っており、同じビットレートのMP3やAACよりも音質はいい。再生レスポンスはかなり意識しており、タイムラグなく気持ちよく使える」と、ストリーミングサービスで気になる音質と操作性の不安はないことを強調していました。

Spotifyで音楽業界も変わるのか

またSpotifyは、配信者側(レーベル、アーティスト)にも大きなメリットがあると主張しています。無料のプロモーション会員に表示される広告や、有料のプレミアム会員の月額料金は再生回数に応じてレーベルに還元される仕組み。1再生で約0.4円を保証しており、再生回数が増えれば増えるほど単価が上がります。



2013年、Spotifyの収益の2/3の500億円が音楽レーベルに支払われました。これは音楽レーベルのデジタル音楽の収益源として2番目に大きいとのことでした。


更にSpotifyの登場により「音楽にお金を使わなくなっていた若者層が再びお金を使うようになった」としています。



ストリーミングサービスのSpotifyが既存のCD販売やデジタル配信などの需要を喰い潰すのではなく、音楽に触れる間口を広げ、音楽業界全体を盛り上げていくのだと説明します。



またSpofity導入後に違法・海賊行為が減少したというデータも紹介。「面倒くさい海賊行為で音楽を聞くより、手軽に合法的に聞ける手段があると、自然と使う人はいなくなる」と野本氏は説明します。



更にアーティストは再生データを細かく解析ができるので「この地域にファンが多いから、ツアーで回ろう」とプロモーションに役立てるとのことです。



沖縄、コザでSpotify説明イベントを開催

今回Spotifyのサービスを説明するワークショップが、沖縄本島の中部に位置する沖縄市(通称:コザ)で開催されました。

コザは戦後、嘉手納基地ゲートの城下町として栄え、本物のロックを求める米兵を相手に地元ミュージシャンがド派手なパフォーマンスを繰り広げました。そこで確立されたオキナワンロックは沖縄県民の音楽レベルを引き上げ、数々の有名アーティストを排出する下地を作ったとも言われています。

音楽に歴史のあるコザが、今回はSpotify Japan側を熱意を込めて呼び込み、地方都市ながらイベントが開催されました。

ワークショップ参加者も半数近くが地元アーティスト及びその関係者と思われ、激動する音楽業界でSpotifyのビジネスモデルへの高い注目が伺えます。地元アーティストよるミニライブも行われました。





実際にSpotifyを使用してみた

今回、Spofityのプレミアム会員として先行使用しました。使い勝手を紹介します。

なおサービスはラップトップはMacBook Pro、スマートフォンはXperia Z2で使用しました。Macは専用のappファイル、Xperia Z2はapkファイルをダウンロードし、直接インストールします。以下はMac版のアプリケーションのホーム。左側に各種タブが並んでいます。



モバイルアプリも同じアカウントでログインできます。



ログインした時点でPC版で保存したアーティストやアルバムがすぐに表示がされます。この辺りはストリーミングサービスの強みですね。



ブラウズ機能を使えば、そのシーンに応じた音楽のプレイリストを簡単に見つかります。ポップカルチャー、クラシックなどの定番からスリープ、ディナーまで25種類ものシーンが用意されているので、大げさに言うと人生にBGMを付けるという表現もできます。





例えば、ディナーのジャンルの中でも「イタリアンを食べている時にオススメのプレイリスト」「BBQの時のオススメのプレイリスト」など、更に細分化されているので、何かしらハマるプレイリストを見つけ、すぐに再生できるのです。




ラジオ機能は特定のジャンル・アルバム・曲などに類似した曲をSpotify側が検索し、連続再生します。



デスメタルを選択するとそのジャンルの曲がすぐに流れます。



このラジオ機能は、どの曲を再生している時でもすぐに呼び出せます。Aの曲を再生中にラジオを立ち上げると、Aに似ている曲をドンドン引っ張ってきます。



「オフラインで利用可」にチェックを入れると、本体にダウンロードできます。都度読み込む必要はなく通信量を節約したり、オフラインで再生したりできます。




Spofityの活用方法は大きく3つ。
  1. 検索で特定のアーティスト・アルバム・曲を探して聞く
  2. ブラウズで多彩なジャンルの中からプレイリストを選択
  3. ラジオで特定のジャンル・曲に類似した曲探し、エンドレスで流す
※気に入った曲やアルバム、プレイリストは「自分のミュージック」にショートカット可。



実際にスマホで操作している動画。NTTドコモのLTE回線で接続していますが、読み込みも良好です。



実際に使用してみると、常にオンラインでデータを転送するストリーミングの弱点はカバーできている印象で、音質も気にならずレスポンスも良好。 それ以上にブラウズ機能の幅広さが素晴らしく、作業中のBGM、食事中のBGM、就寝前のBGMと、多い日は10時間近くも利用するヘビーユーザーになっていました。

ズバリSpotifyは日本で流行るか

ストリーミング方式の音楽サービスはソニーのMusic Unlimited、ドコモのdヒッツなどが日本でも既にサービスが提供されています。国内サービスについてはいまだ提供開始の発表はありませんが、Spotifyがどこまで広がることが出来るのか考えてみます。

実際に使用すると非常に満足度が高く、あとは邦楽のラインナップや月額料金が普及の鍵になると思われます。特に邦楽であれば、アニメやアイドルなどのコアファンが多いジャンルを突けば、日本だけでなく海外でも更に広がりが出てくると考えられるため、期待したい所です。

今回Spotify Japanはこうした説明会を音楽の街、沖縄市で開催しました。地元ミュージシャンやレーベル関係者を集め、Spotifyとそのビジネスモデルを理解してもらうという取り組みです。草の根運動で音楽業界を味方に付けてラインナップの拡充に期待します。




ただ1つ、国内サービスが始まったとしても、参入が遅れたことによる決定的なマイナス要因があります。

この数か月で各携帯会社は料金プランを刷新し「通話は定額・データ通信は段階制」の方向に大きくシフトしました。固定回線がないユーザーはSpotifyをガシガシと使うとどんどん通信量を消費します。オフラインで特定の曲・アルバムだけを聞けますが、そうなると新しい音楽との出会いをウリにしたSpotifyの魅力が失われます。

実際に1時間、Spotifyでストリーミングをしてみると標準の音質で約44.67MBでした。



例えば1日2時間の使用=89MB、1ヶ月=2.6GBとなり、その他のWEBやアプリケーションの利用と合わせると結構な量に達する可能性もあります。ドコモのように家族でパケットをシェアする仕組みだと「音楽好きの娘のせいで一家全員通信規制へ」と最悪のシナリオも考えられます。モバイルでの通信規制が緩かった2年くらい前に参入していればこの辺りの問題が顕在化しなかったと思われるだけに惜しいです。

元メジャーリーガーが日本のプロ野球界に適応できず苦戦することもあるように、海外で実績を残しているSpotifyも日本の特殊な環境で苦戦する可能性も考えられます。ストリーミングサービスとしては後発になるので、レーベル・アーティストを巻き込み、充実の邦楽ラインナップと頑張った料金を期待して、ローンチの日を待ちたいと思います。
国内未提供のストリーミング音楽サービス Spotify が沖縄で説明会を開催。試用レポート

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