米シアトルのデザインコンサルタント Teague と、自転車ビルダーの Sizemore が、ハンドルが外れて盗難防止用ロックになる電動アシスト付き自転車 Denny を発表しました。米国の5都市が参加して、究極の街乗り自転車をデザインするコンペ「The Bike Design Project」に出品中です。
同じ「The Bike Design Project」コンペにポートランドのチームが出品した
Solid は、Bluetooth や GPS を搭載し、ハンドルの振動でナビゲーションをするなど、 テクノロジーによる便利さに重点を置いていました。
シアトルの Teague と Sizemore が作った Denny は、どちらかと言うとアナログ的ながら工夫を凝らした「シアトルならではの街乗り自転車」。自転車盗難の多発、多雨、丘陵にある住宅街といった特徴をもつシアトルの街で快適に使える自転車となっています。
最も特徴的なのは、リング状のハンドル。駐輪の際はハンドルごと取り外して大きなU字ロックのように使うことができます。また、ハンドルを取り外さずにそのまま辺りの鉄柱などに固定することもできます。ちなみにシアトルは米国でも自転車の盗難が多い街とされ、在シアトル日本総領事館のサイトにある安全情報でも「1分でも自転車から離れるときは施錠すること」といった注意書きがたびたび見られます。
別名 Rain City とも呼ばれるほど雨が多いシアトルですが、Denny には普通の自転車のような泥除けは付いていません。そのかわり、雨天走行時にちょうどタイヤから水が跳ねあがる位置にゴムブラシ状の物体を取り付けてます。実はこれが巧妙に設計された泥除けになっていて、ブラシが跳ね上がる水や泥を掃き落とします。ただ、ゴムやプラスチックはどうしても劣化するので、普通の泥除けに比べてと耐久性がどうなのかは気になるところです。
荷台は後部にはなく、ハンドルの前方に板が1枚据え付けられているだけ。荷物はこの板の上に乗せ、ネットまたはストラップベルトで固定します。シアトルといえば、かのスターバックスコーヒーやタリーズコーヒー、ゾッカコーヒーといったシアトル系と呼ばれるコーヒーショップが生まれた土地。テイクアウトのコーヒーも上からネットで固定すれば、こぼすことなく職場や自宅まで持ち帰れそうです。
ほか、補助的な機能としては、アップダウンの多いシアトルでも快適な走行ができる電動アシストや自動変速機構を搭載。バッテリーは着脱式で、取り外して家の中で充電が可能。また、安全装備としては、夜間の走行用に自動点灯する LED ライトととブレーキランプに加え、左右のウィンカーまで備えます。
開催中の The Bike Design Project は、究極の街乗り自転車をテーマとするデザインコンペ。シアトル、シカゴ、ニューヨーク、ポートランド、サンフランシスコの5都市が自転車を出品しています。現在は8月2日までの期間で一般投票を行なっており、最優秀作品に選ばれた自転車は Fuji Bikes から量産、発売の予定です。