花娘「この花が…咲くときはね…」
- 1 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 16:48:32 ID:4i1qFo.E
- 男「花姉ー!」
花娘「はーい」
男「ばあちゃんの注文のブーケ、もう出来てたっけ?」
花娘「出来てるよー!」
男「だってさ。ちょっと待っててな」
おばあちゃん「買い物のついでで、予定より早く来たのに悪いね」
男「いいさいいさ」
男「めでたい贈り物なんだから気にすんなよ」
花娘「おばあちゃん、お待たせ!」
花娘「はい!ご注文のブーケです」 - 2 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 16:51:12 ID:4i1qFo.E
- おばあちゃん「まあ!綺麗なブーケ!」
おばあちゃん「さすが、花の民『アルラウネ』の技ってとこかね!」
花娘「ふふっ、ありがとう」
おばあちゃん「…亡くなったおじいさんの手際とも、すっかり遜色無くなったわねぇ」
花娘「ううん…」
花娘「私はブーケを作ったり、生けたりするのが得意なだけよ」
花娘「育てるのは男ちゃんの方が優秀よ」
男「そ。でも俺達二人でも、じいちゃんにはまだまだ遠く及ばないさ」
男「それだけじいちゃんが凄かったんだよな…」 - 3 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 16:52:11 ID:4i1qFo.E
- おばあちゃん「ふふふっ、姉弟揃って謙遜しなくてもいいじゃない」
おばあちゃん「素敵なブーケをありがとう。孫も喜ぶわ」
花娘「うん。孫ちゃんにもよろしく言っておいてね!」
花娘「結婚おめでとうって!」
おばあちゃん「間違いなく伝えるよ」
おばあちゃん「ありがとうね」
男・花娘「ありがとうございましたー!」
おばあちゃん「あ、そうそう!」 - 4 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 16:53:38 ID:4i1qFo.E
- おばあちゃん「花娘ちゃんに、また縁談が来てるんだけど…」
花娘「あー…その、ごめんなさい…」
男(またか…)
おばあちゃん「あら、また?」
おばあちゃん「アルラウネだからって気にしなくていいのよ?」
おばあちゃん「人間の中でも、これだけ美人で気立ても良い働き者、なかなか居ないからねぇ」
花娘「お、おばあちゃん…////」
おばあちゃん「おまけに純潔ときたもんだ」
花娘「おばあちゃんっ、恥ずかしいよぅ!」アタフタ
おばあちゃん「ふふっ、早く頭のその蕾が開くのを見てみたいんだけどねぇ」クスクス
花娘「はう////」 - 5 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 16:55:11 ID:4i1qFo.E
- おばあちゃん「あちらさんは是非ともって言ってるんだけど」
花娘「うん…それだけ私のことを褒めてくれるのは嬉しいけど…」
花娘「私は人外のアルラウネ族だし、それに…」
花娘「今はこの花屋が一番だから。そんなんじゃ、相手の人に失礼だもの」
おばあちゃん「花娘ちゃんらしいね」
花娘「折角のお話だけど、ごめんね…おばあちゃん」
おばあちゃん「気にしなさんな。その芯の強さもあなたの魅力なんだし、気が変わったら、また言ってちょうだいね」
花娘「うん、ありがとう!」
おばあちゃん「こちらこそ、ブーケありがとう」
花娘「帰り道、気をつけてね」
おばあちゃん「ありがとう」 - 6 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 16:56:23 ID:4i1qFo.E
- 男「気をつけてな」
おばあちゃん「あんたもいい嫁さん、早く見つけなね?」
男「うーん…花や庭いじりが趣味の男になびく女の人なんか、なかなかいないわな…はははっ」
おばあちゃん「ホントにあんたたち姉弟は…、根っからの職人だね」
男「ああ。この仕事には誇りを持ってるよ」
おばあちゃん「あんた達の心意気が、このブーケにも出てるよ」
おばあちゃん「じゃあね」
男「気をつけて」
男「また、よろしくお願いしまーす!」フカブカ - 7 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 16:57:15 ID:4i1qFo.E
花娘「さ、もうひとがんばりしましょうか!」
男「ああ」
―――
――
―- 8 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 16:58:26 ID:4i1qFo.E
- [CLOSE]パタン
男「んー」ノビー
花娘「お疲れさま」
男「花姉こそ、お疲れさま」
男「…」
花娘「男ちゃん、どうしたの?」
男「ん?ああ…」
男「じいちゃんと遜色ない…か」
花娘「ああ、昼間おばあちゃんに言われた…」
男「うん」
花娘「ようやく…ここまでこれたね」
男「…うん」 - 9 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 16:59:14 ID:4i1qFo.E
- 男「孤児だった俺達の育ての親になってくれて」
花娘「私なんて、人外のアルラウネ族だったのに…」
男「男手一つで大変だったろうな…」
花娘「だからこそ」
花娘「少しずつでも、恩返し…できてる…よね?」
男「この花屋を守ることで」
男「恩返しできてる…ハズだ」
花娘「だといいね」
男「じいちゃん、喜んでくれてるといいな」
花娘「うん」 - 10 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 17:00:08 ID:4i1qFo.E
花娘「でも、やっと二人で一人前だからねぇ…」
花娘「お互い、もっと成長しないと、ね?」
男「そうだな」
花娘「じゃあ、片付けお願い」
男「おう」
花娘「晩ごはんの用意してくるね」トタトタ
男「うん」- 11 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 17:01:07 ID:4i1qFo.E
- ―
――
―――
男「よいっしょ、と」ドサッ
男「ふー」
男(花姉、また縁談断ってたな…)
男(特に最近はひっきりなしだ…)
男(…確かに、弟の俺から見ても)
男(よく気がついて)
男(淑やかで)
男(働き者で)
男(美人でスタイルもいい)
男(…嫁にしたいのは納得だ) - 12 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 17:01:56 ID:4i1qFo.E
男(花屋のこともあるから、二の足を踏むのはわかるけど、花姉も年頃だし…)
男(話だけでもするように、勧めてみるか…)
花娘「片付け終わった?」ヒョコ
男「ああ、丁度今終わったところ」
花娘「ご飯の用意もできたところだから」
男「はーい」- 13 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 21:29:21 ID:4i1qFo.E
- ―
――
花娘「ね、男ちゃん」
男「ん?」モグモグ
花娘「明日の業者市、やっぱり泊まり掛けにするの?」
男「うーん、明日のは業者の数が今までより多くて、規模がデカイらしいからな」
男「苗とか、場合によっちゃ新種、希少種なんかも多く出回ってるかも…」
男「肥料なんかも新商品とかあるだろうし…」
花娘「じゃあ、ゆっくり見るためにも泊まりにしておいでよ」
男「でも花屋…」
花娘「少しくらい大丈夫だよーぅ」 - 14 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 21:30:32 ID:4i1qFo.E
- 花娘「だから男ちゃんはしっかりいい品物、仕入れてきてね!」
男「じゃあ…そうするか」
花娘「うん!期待してるからね?」ニッコリ
男「ああ」
男「ところで花姉」
花娘「今度は私ね。で、何?」モグモグ
男「また縁談、断ってたな」
花娘「う…」ピタ
花娘「…うん」
男「他にもいくつか断ったんだってな」
花娘「えっ!?なんで知ってるの?」 - 15 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 21:32:11 ID:4i1qFo.E
- 男「八百屋のオヤジさんから聞いた」
花娘「な、なんで言うかな…」
男「みんな、結婚した後も花屋をしてても構わないっていう人達ばかりなんだろ?」
花娘「うん、まあ…」
男「花姉も年頃だし、女の幸せを求めるのもいいと思うけどな」
花娘「うーん…」
男「…もしかして、俺が居るから?」
花娘「え?」
男「ここは基本、花姉の作業場で、俺は外の花畑での作業が多いから、わざわざここに住まなくても大丈夫だし」
花娘「な、何言って…」 - 16 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 21:33:30 ID:4i1qFo.E
- 男「ここを新婚生活で使うなら、俺が出ていって、花屋に通えば…」
花娘「男ちゃん…」
男「はい?」
花娘「本気で言ってるの?」ジロリ
男「え」
花娘「本気で言ってるのかって聞いてるの!」ジロリジロジロ
男(縁談の話すると機嫌悪くなるんだよな、いつも…)
男「本気も何も花姉自身はどうなんだよ?」
花娘「私はまだまだ花屋として上を目指すの!」
花娘「それに!!二人でちゃんとおじいちゃんに恩返しするんでしょう!!?」
男「そ、そうだけど」 - 17 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 21:35:46 ID:4i1qFo.E
- 花娘「だったら!縁談の事には口をはさまないで!」
男「でも、幸せな結婚をするのもじいちゃんへの良い報告になるだろう?」
花娘「私には私のやり方があるの!」
花娘「だから余計な心配はしないで!」
男「でも…」
花娘「!」イラッ
花娘「お、男ちゃんこそ!」
男「え!?」
花娘「さっさと可愛いカノジョ見つけなさいよ!」
男「ええっ!?」
花娘「男ちゃんだって他人の事言えないでしょう!?」
花娘「男ちゃんの結婚だって、おじいちゃんへの良い報告になるじゃない!」
男「…う、まあ」 - 18 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 21:37:01 ID:4i1qFo.E
- 花娘「そうでしょう!?」
花娘「だから変なお節介しないで!」プン
男「なっ!お節介ってそんなつもりじゃ…」
男「俺は本当に花姉に幸せになってほしいから言っただけで…!」
花娘「ちゃんと自分が結婚したい人を見つけて、幸せになってからお説教して下さい!!」ツーン
男「説教ってそんな…」
花娘「ふん!」パクパクモグモグ
男「…」モグ…
―――
――
― - 19 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 21:38:07 ID:4i1qFo.E
―翌日・夜―
男「ふぅ」
男(いい買い物ができた)ホクホク
男(しかし…)
男(余程、花姉は昨日の事が気に食わなかったらしい…)
男(今朝だって…)- 20 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 21:43:13 ID:4i1qFo.E
- …
……
男「じゃあ、行ってくる」
花娘「はい」ツーン
男(う…)
男「あの…花姉は欲しい花の苗とか種とか…」
花娘「別に無いよ」ツーン
花娘「しっかり花屋のためになる買い物してきて頂戴」ツツーン
男「…あ、あそ…」
男「い、いってきます」
花娘「はい」ツーンツーン
……
… - 21 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 21:44:43 ID:4i1qFo.E
男(やっぱり、花姉とあのままじゃ、ゆっくり買い物なんてする気になれないや…)
男「はあ…」
男(つーわけで、予定を切り上げて早く帰ろうとしたけど…)
男(なんやかんやで夜になってしまった…)
ガチャ
男「ただいま」
シーーーーン
男「ありょ?」
男「ただいまー!」
シシシーーーーン- 22 : ◆loxSgAubwY 2014/08/01(金) 21:49:10 ID:4i1qFo.E
- 男(灯りも消えて…自分の部屋かな?)
コンコン
男「花姉?」
シーン
男「…」
男(普段、夜は出掛けたりしないし)
男(いつもなら寝るには早い時間だけど…寝てるのかな?)
男(やっぱり昨日の事、相当怒ってんのか) - 23 :
コメント一覧
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- 2014年08月02日 23:11
- 人外娘最高!
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- 2014年08月02日 23:11
- 花(屋の)娘(の某アイドル)かと思いました
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- 2014年08月02日 23:48
- 最後でうるっときたわ。
最近まじで涙脆くなったな。年かなww