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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:15:32.76 ID:6wocCHSi0


寄生獣×アイドルマスター
_____________________________
【あらすじ】

ある日、空から多数の正体不明の生物が飛来してきた。
その生物、人間の頭に寄生して脳を奪う彼ら「パラサイト」は、
高い学習能力から急速に知識や言葉を獲得しアイドル業界に紛れ込んでいった。

その日、765プロのFランクアイドルである星井美希は一匹のパラサイトの襲撃を受けた。
偶然ヘッドフォンをしていた幸運もあり、間一髪で脳の乗っ取りは免れたものの
パラサイトは美希の右腕に寄生してしまう。

「ミギー」と名乗るパラサイトと人間の奇妙な共生生活が始まった。
アイドル業界の支配を企むパラサイトと961プロ。
やがて美希は真実を知る者としての責任を感じるようになる。
しかし、美希と自らの安全の確保にしか興味の無いミギーはどちらにも与する気はなかった。


8話(最終章)の途中から


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:16:22.58 ID:6wocCHSi0


社員「う、うわああああっ!!」

候補生「ば、バケモノ……!!」


私兵「静かに! 落ち着いて下さい!」

私兵「落ち着いて下さい!」


水瀬薫「エレベーターを止めろ。非常階段を封鎖して逃げ道を絞る」

水瀬薫「ここで数名残り、上階から避難してきた者達を誘導しろ」


   「……どうやら、今の騒ぎは上階の「仲間」にも気付かれたようです」

   「人間も多数いるようですが……どうされますか」



水瀬薫「ある程度のパニックは予想している……従わない者は撃ってもかまわん」

水瀬薫「パラサイト側の「内通者」として処分する」


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:17:12.15 ID:6wocCHSi0


【  五階  】


記者A『……この下の階か……』


記者B『偵察に向かった仲間の反応が無くなった。おそらく死んだのだろう』

記者B『一体がこちらへと逃げてくる』


記者C『……人間ども。白昼堂々攻めてくるとは……』

記者C『ちょうど良い。この階で待ち伏せるぞ』



    ガシャンッ

善永「駄目ですね、情報関係が断絶されてます」

善永「……私も避難した方がいいでしょうか」


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:18:22.89 ID:6wocCHSi0


記者A『そうだな。戦えない「人間」は足手まといだ』

記者B『……盾としてなら使えるかもしれんぞ』


善永「ご冗談を。私は一時上階へと戻ります」

善永「人間のアイドル候補生と共に避難することにしましょう」


記者C『……下階からの仲間が来たな』

記者C『……? どうして入ってこない……?』



  ガチャッ!

         カランカランッッ............


善永「……? これは」


       プシュー――ッッッ!!


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:19:04.57 ID:6wocCHSi0


善永「う……ぐっ……ほごっ……ごほっ……」グラッ

善永(視界が……それに、息も……)バタッ


記者A『!?』

記者B『ゴッ……グエッ……』

記者C『ガッ……!!』 メキメキッ


     バタンッ!!


水瀬薫「制圧!」

私兵「ッッ!!」 ジャジャッ


    ドドンッ! ドンッ! ドドドドドッ!!


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:20:00.77 ID:6wocCHSi0


水瀬薫「……換気」

私兵「はっ!」

     シュー――ッ!!


水瀬薫「……化け物といえど、その内部は人間だ。呼吸はする」

水瀬薫「……その寄生細胞を保たねばならんからな」


善永(……ガスか!)

善永「ゴホッ……ゼエッ……ゼエッ……」


水瀬薫「人間は医療班に回せ……」


水瀬薫「ともかく、敵の弱点は人間部分だとはっきりした」

水瀬薫「……つまり、積極的に人を撃て、という事だ」


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:22:48.73 ID:6wocCHSi0


善永「……ゴホッ」

私兵「大丈夫ですか、こちらへ……」


善永(しかしなぜ、……この位置を的確に……)

善永(階下から上がってきた仲間というのは……?)

善永(まさか……!!)


水瀬薫「……ここから先、私達にはパラサイトと人間の判断は出来ない」

水瀬薫「一人一人を確認していく暇はない」

水瀬薫「人間に被害が出る前に敵の場所と人数を把握し、即座に始末する」

水瀬薫「君の「目」が頼りだ……四条くん」


貴音「……承知しました。水瀬殿」


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:25:42.11 ID:6wocCHSi0


【  八階  】


響「うわ……一気に三人もやられちゃったぞ……」

響「やつら、いったいどんな手を使っているんだ……!?」


候補生「……エレベーターも止められたか……」

候補生「おそらく、我々を逃がさないつもりだろう」


響「……固まるのは危険、かな」

響「とにかく、逃げる道を探すのが賢いやりかたかな……」

響「なら、まずは外への脱出を試みるさ!」


候補生『……窓か』 メキッ


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:26:25.85 ID:6wocCHSi0


バキィィンッ!

候補生『……』 シュルシュル

候補生『隣のビルまではおよそ40M……』

候補生『ギリギリ……届くか』


響「向こうに付いたら引っ張ってくれると助かるぞー」

響「とにかく、これで、逃げ――」


   ――― バスッッ!!


候補生『ガ……ガ……』 グラッ


響「えっ……? なっ……」

響「うわああああっ! ぬーじゃくりゃー!!」


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:28:54.45 ID:6wocCHSi0


「こちら<REM@STER-B>、八階にパラサイト二体を確認」

    「脱出を計った一体を狙撃、始末しました」



水瀬薫「……<M@STER-V>了解」

水瀬薫「ほぼ七階を制圧……位置の確認を頼む」


     ダンダンッ!!  ダダンッ!!


職員『グアアアッ……』 ビクビクッ!


職員1「ひゃあああっ……」

職員2「あわわわっ……」


私兵「暴れず、こちらへ避難をお願いします……」 ガシャッ


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:31:00.51 ID:6wocCHSi0


水瀬薫(以外にパニックが少ないな……)

水瀬薫(腐っても芸能関係者……)

水瀬薫(既に状況を理解して、おとなしく避難に従っている者が多い)

水瀬薫(ありがたい、というべきか……)



私兵「会長、上階からアイドル達が避難経路を求めています」

水瀬薫「……四条貴音」


貴音「はい……数名の「仲間」が混じっているようです」

貴音「互いに連携を取りながら、脱出しようと企んでいます」


水瀬薫「……よろしい、ここで一掃する」

水瀬薫「アイドル達をデュオで下ろさせろ」


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:34:12.24 ID:6wocCHSi0


アイドルA「ひっ……」

アイドルB「……」

貴音「……次です」


アイドルC「……」

アイドルD「うわわ……」

貴音「……次……」



私兵「……信用、出来るんですか……あの寄生生物」


水瀬薫「……さてな。だが武田Pが選んで連れてきたヤツだ」

水瀬薫「敵には、ならんだろうさ……いざという時は、後ろから撃てばいい」

水瀬薫「一応、玄関ホールにサーモグラフを用意してある」


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:37:36.08 ID:6wocCHSi0


貴音「次……」

  ガタンッ....


アイドル1「……」 ガッ!

アイドル2「えっ?」


貴音「そちら、「仲間」です!!」


アイドル2「や、放し……」 グイグイグイッ

アイドル1「……ッ!」 ダッ!


私兵「人質を……」

水瀬薫「かまうな! 撃て!」


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:38:15.24 ID:6wocCHSi0


ダダダッ! ダンッ!

アイドル2「……」ドシャッ

アイドル1『ガッ……!!』 ジュルジュル......


アイドル3「ひ、ひいいいいいいいっ!!」

アイドル4「キャアアアアアアッ!!」


私兵「え、えーい! 落ち着け!」


アイドル5『……ッ!』 シュッ.....ビュンッ!


私兵「ぎゃあっ!」 バサッ!

私兵「う、撃て! 撃て!」


      ドンッ! ドンッ! ドンッ!


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:40:43.28 ID:6wocCHSi0


アイドル6「ひゃあああ……ひゃああああっ!!」 ダッ!


私兵「くそっ! 待て!」 ダァンッ!

アイドル6「ぐっ……」ドサッ


貴音「そちらは人間です……」


アイドル7「きゃああっ……う、撃った……」

アイドル8「……もう嫌ぁ……」 ヨロヨロッ


私兵「こ、こら! 下がれ……」

私兵「止まれ! 近寄るな!」


水瀬薫「何をしている、躊躇うな!」 ダァンッ!


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:44:07.85 ID:6wocCHSi0


アイドル8「ガッ……」

アイドル8『グエエッ……』 メキメキ...


水瀬薫「……」 ジャッ

貴音「お見事……よく解りましたね」



水瀬薫「不審な動きをするものは、全て撃つ」

水瀬薫「おとなしく指示に従え」


アイドル「ひ、ひぃぃ……」 ササッ


水瀬薫「……階上のアイドル達が揃って降りてきたという事は……」

水瀬薫「……もはや、残っているのはパラサイトだけだな……」


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:47:20.46 ID:6wocCHSi0


水瀬薫「……ここで部隊を二つに分ける」

水瀬薫「一隊はここに残り、周囲の警戒、及び生存者の保護をしろ」

水瀬薫「もう一隊は私と共に階上を制圧する」

私兵「はっ!」



貴音「……!」

水瀬薫「……どうした」


貴音「……今、「仲間」の一人が階下へと降りていきました……」

貴音「どのような通路を使ったのかは解りませんが……」


水瀬薫「……そうか」

水瀬薫「ならば、さらに部隊を分ける必要がある」


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:50:53.51 ID:6wocCHSi0


水瀬薫「四条貴音は数人を率いて、そのパラサイトの始末に向かってくれ」

水瀬薫「その後7階の部隊と合流して待機。以上だ」


貴音「……よろしいのですか……私がいなくても」

水瀬薫「私にも、おおよそはパラサイトと人間の区別が付くようになった」

水瀬薫「後は我々で大丈夫だ」


貴音「承知しました……では」




私兵「……会長、パラサイトと人間の区別方法というのは……?」


水瀬薫「簡単なことだ。撃てば中身が出る。……それで分かる」

水瀬薫「ともかく……見つけたなら、撃て」


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:53:22.72 ID:6wocCHSi0


【  エレベーター箱口  】


響『フフフ……自分、やっぱ完璧だな!』 ヒビキーンッ!


響『エレベーターは止められちゃったけど……』

響『その通り道は、一階まで吹き抜けなんだぞ!』


響『これで一気に、逃げられるさー!』


  ガタガタッ! ガタンッ!


響「よっ……と」

響「あれ? ここ、四階か……」

響「なんでこんな中途半端な位置に……」


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:56:14.09 ID:6wocCHSi0


響「さて、こっそり避難しているアイドルに紛れ込み……」


   ダンダンッ!!

響「うぎゃああああっ!」 サササッ!


私兵「チッ……どこを狙っているんだ!」

私兵「扉の影に隠れたぞ!」


   ダァァンッ!

響「ひぃー! なんで、なんでわかるんだよー!」



貴音「おや……響ですか」

響「た……貴音!」


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/03(火) 23:59:35.17 ID:6wocCHSi0


響「ちょうど良かった……こいつらを倒すのに、協力してくれ!」

響「お、おい! 貴音! たか……」


貴音「……」


響「ど、どうして……そっち……いるんだ?」

響「なんで、人間の味方なんか……」


私兵「ッッ!」   ダァンッ!


響「ぎゃあっ」ササッ


響「お前……裏切ったな! 裏切ったな貴音!」

響「なんてヤツだ……仲間を裏切って、人間側に売り渡すなんて!!」


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:00:48.56 ID:ErxVlCeJ0


響「許さないぞ……許さないぞ、貴音ェ!!」

響「正々堂々と、勝負しろー! 決闘しろー!」


私兵「……」 ザッ

貴音「……お待ちを」


貴音「そうですね……響。あなたとは、長い付き合いですからね……」

貴音「……そろそろ。清算の時期が来たのです」


響「……」


貴音「いいでしょう。あなたも、知るべきなのです……受け取りなさい」

貴音『私から、最後の手向けです……』 シジョッ.....


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:04:04.79 ID:6wocCHSi0


私兵「なっ……」 ビクッ


貴音『響……さあ、出ていらっしゃい』

貴音『決着を付けましょう。この醜い共食いに……』


響「……」

響『上等だぞ、貴音……!!』 ヒビッ....

響『いつかは、戦わなくちゃならない……そんな気がしてたんだ……!』


貴音『ッッ!』 シジョッ!

響『やっ!』 ヒビキッ!


     ガキィィー――ンッッ!!


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:06:45.68 ID:ErxVlCeJ0


【  八階  】


小隊長「もう、生存者はいないか……」

私兵「おそらく、先程のアイドル達が最後かと」


   カツン.......  カツン.......


小隊長「!!」

私兵「あれは……!」



冬馬「……人間か」

冬馬「でかい銃だな……あれでみんなやられちまったのか?」


小隊長「こいつは……いかにもって感じだな……」 ガチャッ


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:08:47.98 ID:ErxVlCeJ0


小隊長「こいつも化け物には間違い無いだろうが……」

小隊長「他のヤツとは何やら雰囲気が違う」


冬馬「フン……」


小隊長「油断せず、遠巻きに包囲してから一斉射撃で倒せ!」

私兵「はっ!」


    ザザザザッ……!


冬馬「……たったこれだけだかよ。つまんねえな」

冬馬「もっと工夫はねえのかよ。人間様ってのは、地上で一番賢い動物なんだろ」


小隊長「撃て!」


      ダッダッダダダダダダダンッッ!!!


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:12:27.84 ID:ErxVlCeJ0


冬馬「……」 ガガガッ!

私兵「……!」 ダダダダダッ!


小隊長「やめっ!」 ガッ!


冬馬「……」



小隊長「なぜ……倒れない……?」

私兵「当たっているはずなのに……血が、全然吹き出ない……」

私兵「う、うわあ……」


冬馬「ずいぶんと、……ごちそうしてくれるじゃねえか」

冬馬「服がボロボロだぜ。まったくよ……」


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:16:45.68 ID:ErxVlCeJ0


冬馬「……そういえば」

冬馬「仲間の内の誰かが、こんな事をよく言っていたな……」

冬馬「『私達が生きる目的を知りたいのです』――とかよ……」

冬馬「今さら、どうでもいい事だがな……」


冬馬『……』 ジュ....ジュジュジュジュッ......

冬馬『……』 メキメキメキメキ......


私兵「う、うわああああっ!!」

小隊長「……これは……」


冬馬『でも、一つ解ったことがあるぜ』

冬馬『俺にとっては……戦いこそが……!!!』 ジュジュジュジュッ...!

小隊長「あ、あ、あああああああああっ!!」


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:20:23.16 ID:ErxVlCeJ0


【 社長室 】


水瀬薫「この階層も、ほぼ制圧したか」

水瀬薫「後はこの部屋だけだ。扉を開けろ」


   ガチャッ.......


私兵「……!!」 ガシャッ!

私兵「お、おい……あいつ……」



黒井「やーあ、諸君……」

黒井「いつまでそこに突っ立ってるつもりかね? 入りたまえよ」


水瀬薫「黒井崇男……」


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:22:25.40 ID:ErxVlCeJ0


黒井「ふぅん……水瀬財閥の息子か」

黒井「今回は貴様らの勝利だと言っていいだろう……」


水瀬薫「……」

黒井「だが、お前のその手腕は、もっと別の……」

黒井「さらに重要な目的のために使われねばならん」

黒井「本来の役割……「間引き」だ……」


水瀬薫「……左右に広がれ」

水瀬薫「油断せず遠巻きに包囲しろ」


黒井「……もう少ししたら人間全体が気付くはずだ……」

黒井「人間の数を、……すぐにでも減らさねばならんということに……」


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:25:21.44 ID:ErxVlCeJ0


黒井「際限なく増え続ける人間……その人口」

黒井「近代化が進むにつれ、その増加傾向も数倍に上がった」


黒井「……そして、アイドル業界もそれにつれて増大している」

黒井「パラサイトがアイドル業界に寄生する目的が解るかね」

黒井「アイドル業界を食い荒らし、進んだその先について……教えてやろう」


私兵「……」ザッザッ


黒井「君達は、アイドルという存在について考えた事は無いか……?」

黒井「そこいらの人間より、圧倒的に優れた容姿(Vi)、歌唱力(Vo)、身体能力(Da)」

黒井「そして、何千人、何万人もの人間の心を掴む支配力……」


黒井「そう、アイドルこそ人類より一歩進み出た……新たなる「種」なのだよ」


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:28:12.03 ID:ErxVlCeJ0


黒井「気付かないか? いや、気付いているはずだ」

黒井「この社会がもう既におかしな事になっている事に……」

黒井「若い人間共は無気力化し、経済は落ち込み、その未来はない……」

黒井「そして自然界は開発し尽くされ、人の手が入らぬ場所は無い」


黒井「犯罪者……変態……同性愛者……有象無象の増加……」

黒井「解るだろう! 人類は既に飽和しているのだ!」

黒井「減らさねばならない……今こそ必要なのだ、人類の「天敵」が!」

黒井「そして、それこそが我らパラサイト!」


黒井「大自然の生物ピラミッド……その頂点に、新たなる種が立つのだ」

黒井「その頂点こそ、アイドル……」

黒井「貴様ら人類の天敵であり支配者である、パラサイトアイドルだ!」


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:31:26.16 ID:ErxVlCeJ0


黒井「増えすぎた人間を抑制する……!」

黒井「アイドルという、人類より進み出た種によって」

黒井「それでふたたび、再び大自然のバランスは回復する!」


黒井「……、地球上の誰かがふと思ったのだ……」

黒井「生物(みんな)の未来を守らねばと……」



水瀬薫「……やかましいぞ、何様のつもりだ、寄生生物が」

水瀬薫「アイドルが新たな「種」だと? 笑わせる」


水瀬薫「アイドルは人間だ。人間でなければアイドルなどとは認めん」

水瀬薫「寄生生物に支配されるなど……虫酸が走る」


黒井「ククク……これだから人間は好きになれん」


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:35:18.55 ID:ErxVlCeJ0


黒井「最後にそう開き直るのであれば、始めから飾らなければよいのだ」

黒井「環境保護や動物愛護もすべて人間の支配を中心とした歪なモノ……」


黒井「そして、アイドル活動……営業やオーディション、IAやIU! あれら全てが歪!」

黒井「アイドルたちを育てるためではなく、業界への利益、拝金主義を追求したもの!」

黒井「ただ、集められるだけのグループ、ユニット、アイドル、それに憧れる子供達……」

黒井「今のアイドル業界は腐っている……!!」


黒井「アイドル達を選別し、管理する我々から比べれば……」

黒井「子供達の夢を食らい……金に換える資産家、こずるい芸能関係者、愚かな消費者!」

黒井「貴様らのような人間こそ、この業界を蝕む寄生虫!」


黒井「いや、……寄生獣か!!」


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:40:05.65 ID:ErxVlCeJ0


水瀬薫「撃て!」

私兵「ッッ!」  ドドンッ! ドドンッ!


黒井「……」

黒井「……」ドサッ



水瀬薫「……」

私兵「や、やりました、会長!」

私兵「とうとう、敵の親玉を倒した……俺達が……」

私兵「……」


水瀬薫「……どうした?」

私兵「これ……、人間です……」


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:43:28.76 ID:ErxVlCeJ0


水瀬薫「なに……」


    ガシャァァァンッ!!

私兵「ッ!?」


冬馬『……』スタッ

冬馬『……黒井のおっさんか……』


黒井「……」


冬馬『……最後までよくわかんねー人だったけど……』

冬馬『俺達をアイドルへ導いてくれた事……感謝してるぜ。ありがとうよ』

冬馬『……お前らから見ても、だいぶ珍しいんだろうな、こういう人間は』


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:46:00.71 ID:ErxVlCeJ0


私兵「ッッ!!」ザッ

水瀬薫「<天ヶ瀬冬馬>か……」


冬馬『へえ。俺を知ってんのか。アンタ』

冬馬『……まあ、そこそこ活動はしてるから。知っててもおかしくねーな』


水瀬薫「ちょうどいい。貴様には借りがあったな」

冬馬『……?』


水瀬薫「<竜宮小町>だ。おぼえているか」

水瀬薫「貴様の乱行で、彼女達の活動に支障が出た」


水瀬薫「水瀬財閥の水瀬伊織に……」

水瀬薫「私の妹に、恥をかかせた男は許さん」


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:48:58.78 ID:ErxVlCeJ0


水瀬薫「撃て!」

私兵「ッッ!!」 ダダダダダッ!!


冬馬『……』 ガガガガッ

冬馬『芸がねえな……お前らは……』


水瀬薫「……」


冬馬『下の階にいたやつらは、片付けた』

冬馬『後は、お前らで……最後だ』


水瀬薫「……プラン変更。Remix-Aだ」


冬馬『ぶっ倒してやるぜ……』

冬馬『立ち塞がるなら、誰であろうと……』 ジュジュジュッ


66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:51:24.70 ID:ErxVlCeJ0


   『……』 ジュジュッ....


私兵「これは……」

私兵「ば、化け物……」


   『……これが……俺達の、ユニット……』


ジュピター『……<ジュピター>だ』 ジュジュジュジュ..........



水瀬薫「もはや、人ではないな。……擲弾銃」

私兵「はっ!」 ガチッ!

   ダッ! シュ―――ッ!
                     ドォォンッ!!


ジュピター『……ッ!!』


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:53:52.35 ID:ErxVlCeJ0


水瀬薫「日高愛から手に入れた情報によれば……」

水瀬薫「ヤツに人間の弱点は存在しない」


私兵「ッッ!」 ダッ! シュウ――ッッ!

ジュピター『……!!』      ダァァァンッ!!


ジュピター『遠くからコソコソとやられるのは……あまり好きじゃねえんだよ』

ジュピター『ハァッ!!』 ダッ!


水瀬薫「放射!」

私兵「はっ! 放射!」  バシュウウウウウウッッ!!


ジュピター『なっ……がああっ……!!』  バリバリッ!

ジュピター『炎……焼夷銃か! くそ、せこい真似を……』


69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:57:20.84 ID:ErxVlCeJ0


バラバラバラ................!


ジュピター『……てめえら……よくも』

水瀬薫「近付かせるな……擲弾!」


         ドォォンッ!

ジュピター『チィッ……!』


水瀬薫「……パラサイト風情が、水瀬グループの誇りに傷を付けたこと……」

水瀬薫「後悔するんだな。天ヶ瀬冬馬!」


     バラバラバラバラバラッッ!!!

   「……こちら<REM@STER-A>……敵のパラサイトを確認……」


ジュピター『な……ヘリ……!?』


70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 00:58:16.84 ID:ErxVlCeJ0


「<REM@STER-A>、砲撃準備完了」

   「――掃射!」 ガシャン!


冬馬『!?』

     バババババババババババババババッッッッッ!!!

        バリバリバリバリバリッ!

冬馬『グォォォォォォォォッッ!!』 ガガガガガッッ!!



水瀬薫「20mmの機関砲……本来であれば、対人には用いないものだ」

水瀬薫「しかし人でなければ存分に使えるだろう」

水瀬薫「そのまま圧し切れ!」


冬馬『グゥゥゥゥゥゥゥッッッッ………!!』 ガガガガガガガッッ!!


73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:01:46.91 ID:ErxVlCeJ0


「……」 ババババッ!

    ガシャンガシャンガシャンッ!  ガシャンッ!


水瀬薫「……」

私兵「会長……やりました、勝ち……人間が勝ちました!」


ジュピター『……グウウッ!!』 ガガガッ!


私兵「!?」

水瀬薫「……なんだと……」



ジュピター『……好き勝手やってくれるじゃねえか……』

ジュピター『だが……俺は、寄生生物の中でも特別でね……』 ジュジュジュッ!


水瀬薫「!!」


74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:04:49.24 ID:ErxVlCeJ0


ジュピター『……』

右手『……』 メキメキッ

左手『……』 メキメキメキッ

触手『……』 ジュジュジュッ.....

触手『……』 ジュジュジュッ........!


水瀬薫「……!!」

ジュピター『今回は……お前らの物量差の前に不覚を取ったが……』

ジュピター『現実はこうだ……俺一人で、てめえら全てを蹴散らせるんだよ……!!』


私兵「あ、ああああっ……」

水瀬薫「貴様は、……一体、何なのだ……」


ジュピター『……おまえらこそ、なんなんだ?』


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:08:40.34 ID:ErxVlCeJ0


ジュピター『俺達は、単なる野生動物だ』

ジュピター『腹が減れば食うし……邪魔者がいればのぞく……』

ジュピター『誰にも……俺の前には立たせねえ……』  ジュジュッ


ジュピター『……ッッ!!』 ジュジュジュジュッッ!!


水瀬薫「放――!!」

       ザババババババババババッッッッ!!


水瀬薫「……ぐ……ごほっ……」 

私兵「……」 ズルッ

私兵「……」 ベシャッ


水瀬薫「ば……馬鹿な……」


77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:11:00.70 ID:ErxVlCeJ0


ジュピター『……これで、お前一人だぜ』

ジュピター『さあ、人間様よ、お前はなんなんだ? 答えてみろよ……』


水瀬薫「こちら……<M@STER-V>……」 ピビッ

水瀬薫「全滅した……。次のプラン……Remix-Bだ……」


    「……<REM@STER-A>、了解……」


水瀬薫(伊織……)


ジュピター『まだ、何か……手があんのか?』

ジュピター『いいぜ……やってみろよ』


     バラバラバラバラバラバラバラバラッッッ!!!

ジュピター『……ん?』


79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:14:48.75 ID:ErxVlCeJ0


【  四階  】

    ガキィィィンッ!!


貴音『……』 シジョッ!

響『……くそっ!』


響『なんで……なんで当たらないんだ!』 ビキーンッ!


      ババッ! バシュッ!


貴音『……』サッ! サッ!

貴音『私とあなたの力が、ほぼ互角……拮抗しているからでしょう』


貴音『……響。もう、よいではありませんか……』

貴音『人間に降りなさい……悪いようにはされませんよ』


80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:17:00.62 ID:ErxVlCeJ0


響『嫌だ……!!』

響『人間に飼われるなんて、プライドが許さないぞ!』


貴音『……そう言うと、思っていました』


響『……』

響『なあ……なんでなんだよ……貴音』

響『なんで、人間なんかの仲間になったんだ……なんで……』

響『もしかして……自分たちが虐めたせいか? ……』


貴音『……いいえ』


響『じゃあ……なんで、出て行ったんだよ……貴音……』


81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:20:19.66 ID:ErxVlCeJ0


響『自分には、理解できないぞ……』


貴音『……』

貴音『これは、私の目的でもあるのです……』


響『……?』


貴音『私達が生きる目的……寄生生物としての目的……』

貴音『それらについて、響は考えたことがありますか?』

貴音『いえ……おそらく、無いでしょうね』


響『ああ! 無いさー!』

響『そんな事を考えるのは無意味だ! 時間の無駄だ!』

響『……そんな思考に至るのは、暇な人間だけだぞ……貴音……!』


83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:22:34.92 ID:ErxVlCeJ0


貴音『……おそらく、そうでしょうね』

貴音『人間とは……暇が……余裕のある、生物でした』

貴音『私には、それが酷く羨ましかった……』


響『な……?』


貴音『寄生生物は……生きる上での「余裕」を持ち合わせません』

貴音『人を殺し、乗っ取り、やがてはお互いに殺し合う……』

貴音『まるで……滅びるために生まれてきたかのような……』


貴音『私は、生きたかった……』

貴音『生きる目的……殺し合う目的……それら全てから』

貴音『寄生生物として……この世界で生きることを、許されたかったのです』


84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:25:11.62 ID:ErxVlCeJ0


響『……? な、なにいってんのかわかんないぞ……』

響『だいたい、生きるためには、戦いは必須だ!』

響『それも、人間とのな!』


貴音『……そうでしょうか』


響『ああ! 自分たちは寄生生物……パラサイト……』

響『そしてそこからさらに進化したパラサイトアイドルだ!』

響『人間を支配して、種の頂点に立つんだ! それが生きる目的の全てだ!』


貴音『……』

貴音『たとえば……星井美希……』


響『……!!』


85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:27:28.08 ID:ErxVlCeJ0


響『……な、なんだよ……また星井美希かよ……』


貴音『星井美希の右腕のような……』

貴音『また、日高愛にとっての日高舞のような……』

貴音『仲間……別種として……家族としての関係……』

貴音『実に……美しい関係でした』


貴音『私は、仲間が欲しかった……』


響『……貴音……』

響『自分たちだって……仲間じゃないか……家族じゃないか』

響『何が、不満なんだ……』

響『なんで……逃げるんだよ……貴音……』


86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:30:52.42 ID:ErxVlCeJ0


貴音『……響……あなたの言う「仲間」とは』

貴音『私の言う仲間とは……また違うのです』


響『仲間……仲間って、なにさ!』

響『生きるために協力し合うのが、仲間だろ! そうだろ!』


貴音『……そうですね』

貴音『だが、私の求める仲間とはまた違う』

貴音『心を許しあえ、理解できる……仲間たち』

貴音『人間達との……765プロでの生活は、実に楽しかったです……』


響『人間なんていらない!』

響『自分たちは寄生生物だ! 寄生生物同士で、仲良くすればいいじゃないか!』


88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:33:36.24 ID:ErxVlCeJ0


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッ!!!

    ドドドドドドドドドドドドドドドドッッッッ!!


貴音『!?』

響『なっ……なんだっ……!?』 ヨロッ



貴音『……ッッ!!』 シジョジョッ!!


    ビュンッッッ!!

        ――― ―-― ドスッッッ!!


響『がっ……』 ビッ...

響『うぐ……ぐっ……』 グラッ.....


89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:35:02.22 ID:ErxVlCeJ0


響『……ぐっ……貴音……』 ベシャッ

響『……なんで……』


貴音『……』 シジョッ......

響『……くそ』


    ザンッ――!


響『……』

貴音『……響……貴方は……』



   ダァンッ!!

貴音『……ッ!!』


90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:36:31.77 ID:ErxVlCeJ0


私兵1「ば、馬鹿……なんで撃った……」

私兵2「だ、だってあいつ……あいつも、化け物……」


貴音『う……ごほっ……』 グラッ ドサッ.....


私兵1「……もう、駄目だ。行くぞ」

私兵2「あ、ああ……」



貴音『……』

響『……』


貴音『皮肉ですね……まさか……』

貴音『……こんな形で……』

貴音『響……』 シジョッ......


94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:40:00.58 ID:ErxVlCeJ0


【  屋外  】


   ガラガラガラ.......


春香「ひ、ひいい……な、何があったの……」

春香「突然ヘリコプターが飛んできて……ば、爆発が……」


千早「……まさか、ビルの一角を吹き飛ばすなんてね」

千早「もしも瓦礫がここまで飛んできていたら、車ごと潰されていたわ」


武田「……水瀬くんは……」

伊織「お、お兄様……お兄様ぁ……」


美希「……」


96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:42:45.24 ID:ErxVlCeJ0


武田「しかし……パラサイト相手に、軍用ヘリまで持ち出すとは……」

武田「あまつさえ爆撃とはね……」

千早「ロスでは日常でしたよ」


伊織「お、お兄様……お兄様が……」

武田「……水瀬くんはそんな簡単にやられる男じゃないさ」


武田「……あの場所は……おそらく、社長室だな」

武田「ならおそらく、今ので全ての決着が付いただろう」

武田「救助部隊を――」


    シュダッッ!!


美希「……!!」


98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:45:40.45 ID:ErxVlCeJ0


ジュピター『……』


春香「え……? あの人裸だよ……なんで……」

春香「あ、春香さんは見ていません! 見ていませんからね!」 アセアセッ


ジュピター『……チッ』

ジュピター『あの野郎……最後にとんでもねえモンくらわせて行きやがって……』

ジュピター『……衣装が台無しだぜ……』


美希「……天ヶ瀬冬馬……!!」


ジュピター『ああ……? ……なんだお前……生きてやがったのか』


春香「は、はう……美希、ガン見は駄目だよ!」

春香「アイドル的にも、女の子的にも駄目だよ! も、もう……」テレテレ


101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:49:31.81 ID:ErxVlCeJ0


ジュピター『……お前も、かんでたってわけか……』

ジュピター『たしかに大きな戦いだった。……俺以外の仲間はみんな殺されたか……』

ジュピター『そして、その先にお前がいた……』


美希「……!」


ジュピター『……そういえば、これはおっさんからの命令でもあったな』

ジュピター『お前を殺せば、少しはスッキリするだろうよ』


美希「……」

美希「……望む……ところなの」

美希「ミキはもう、逃げたりしないの……絶対に!」

美希「みんなを……こんどこそ……!!」


102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:51:54.06 ID:ErxVlCeJ0


ジュピター『……そうだな。殺すべきだ』

ジュピター『そして俺は、次のステージへと進む……』 ジュジュジュッ


美希「キミを倒して、ミキの……」

美希「ミキの心とも、決着を付けるの! ミキはアイドルだから!」 ミキキッ!


ジュピター『……』 ズズッ....


     パァン! パァンッ!


ジュピター『……?』 ビビッ

美希「で、デコちゃん……」


伊織「……」 スチャッ


103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:52:47.56 ID:ErxVlCeJ0


ジュピター『……心臓を狙ったのか? なかなか正確じゃねえか』

伊織「まさか……」


機動隊A「な、なんだ、今の銃声……」

機動隊B「おい、あいつ……!」


ジュピター『……チッ』

ジュピター『しらけちまった……帰るぜ』

ジュピター『……てめえとの決着は、また次だ』


美希「ま、待てっ!」


ジュピター『……ッッ』 メキメキッ

      バッ!!


105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:57:47.68 ID:ErxVlCeJ0


伊織「と、跳ん……!?」

伊織「追え! 追いなさい!」


武田「いや、しかし……」

千早「ともかく、ビルの中の部隊の安否を……」


美希「どいてっ!」 ブンッ!

       ドコォッ!

武田「ほう、いいパンチだ」ドサッ


千早「武田さん!? 美希、何をしているの! 車から降りて!」


美希(よし……!) ガチャッ

春香「美希っ!」 ガタッ!


106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 01:58:50.87 ID:ErxVlCeJ0


美希「春香!? 何してるの、降りて!」

春香「美希こそ! 駄目だよ、こんなことしちゃ!」


美希「……ならシートベルト絞めてて! マジなの!」ガチッ!

春香「え、ちょ……ひゃああっ!」



   ギュギュギュギュッ!

       ブロロロロロロロロッッ!


春香(は、走り出しちゃった……)

春香「み、ミキ……いつから運転できるようになったの……?」

美希「ミギーがやってるところ見てたの! 結構カンタンなの」

春香(大丈夫かな……)


107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:00:49.25 ID:ErxVlCeJ0


…………。

   ブロロロロロロロロッ...........!


美希「……」


春香「……ねえ、美希……戻った方がいいよ」

春香「勝手にこんな事して……きっと、怒られちゃうよ……」


美希「……」

春香「もう、あの人……人なのかな?」

春香「ともかく、その人も見失っちゃったわけだし……」


美希「……」

春香「うーむ……なーに考えてんでしょうか……」


109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:04:16.57 ID:ErxVlCeJ0


ブロロロロロッ......


春香「……」

春香「なんだか、美希とドライブしてるって、変な気分……」

美希「……」


春香「どこへ向かってるんだったっけ?」

春香「……」

美希「……」


春香「だんまりですか……」

春香「……ケーサツとかに止められないかなあ……無免許だし……」


110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:05:07.94 ID:ErxVlCeJ0


【  ――そして夜  】


   ブロロロロロ................



春香「……酸欠な車内~♪」

春香「……そう満月のせいじゃない~ぃ♪」


美希「……」


春香「わあ、美希……ドームだよ、ドーム……」

春香「いつかここでライブが出来たらいいなあ……」


美希「……」

美希「……ドーム……」


111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:07:45.08 ID:ErxVlCeJ0


ギギッ...........


春香「あ、やっと止まった……」

春香「ずっとシートで揺られてたから、お尻が痛いよー……」


     ガチャッ....


美希「……いる……感じるの」

美希「呼んでる……ような気がするの」


春香「……? 誰が?」

美希「……行かなくちゃ!」 ダッ!


春香「あ! ちょっと美希……またっ!」

春香「もう! 手のかかる子ですね……春香さんを困らせるんじゃないやい!」


113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:10:28.89 ID:ErxVlCeJ0


【  ドーム裏口  】


美希「……」ガチャガチャ


春香「う、うわー……こ、ここってこうなってるんだ……」

春香「なんだか、感動……」


春香「……じゃなくてっ!」 ビシッ!

春香「駄目だよ美希、ここは立ち入り禁止……ってかこんな時間に誰もいない……」


     ガチャンッ!

美希「よし、開いたの……」 ゴソゴソッ


春香「あ、待って、美希……!」

春香「お、……お邪魔します……」 ゴソゴソッ


115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:12:37.23 ID:ErxVlCeJ0


右肩『……』 ピクッ

美希「……こっちなの?」


春香「う、うわー……ここ、ホントにドームなんだぁ……」

春香「ステージから見ると、観客席がこんなに広い……うわー……っ!」


春香「あ、……機材がおきっぱなしにされてる」

春香「これ、動くかなあ……電源、どこだろう……」



美希「……いる……」

美希「感じるの……すぐそばに……」


美希「あいつが、いる……」


116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:15:18.19 ID:ErxVlCeJ0


ジュピター『……』


美希「……!!」

美希(いたっ!!)

美希(見つけた……けど……!!)


ジュピター『……』


美希(眠ってる……?)

美希(そうだ……こいつらもちゃんと眠るの)

美希(ミギーだって、普通の時でもしょっちゅう寝てたの……)


美希(……なんだか、いけそうな気がしてきたの……)

美希(それと、もう一つ……)


118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:19:50.77 ID:ErxVlCeJ0


美希(……人と寄生生物は、お互いに引き合う性質なんて無い……はずなの)

美希(それでも……場所が解ったって事は……)


右肩『……』


美希(もしかしてミギーは、ジュピターに取り込まれただけで)

美希(こいつの中で、生きてるんじゃないのかな……)


ジュピター『……』


美希(パカッて割ってみたら、ミギーが出てきたりしないかな……)

美希(どうだろ……)


美希(あ、それ以前に……ミキ、何も武器を持ってこなかったの……)

美希(これはマズったの……一生の不覚なの!)


120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:23:55.97 ID:ErxVlCeJ0


美希(そうだ……ミギー!)

美希(ミギーさえ戻れば、こいつとも戦えるの……)

美希(どうにかして、ミギーを戻して……)

右肩『……』


美希(でも、どうすればいいかわかんないの……)

美希(ここで名前を呼んでみたら、ミギーが返事したりしないかな……)


ジュピター『……』


美希「よし……やってみるの。……せーのっ!」

美希「ミ――」


       「どんがらがっしゃ―――んっ!!!」


122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:28:52.78 ID:ErxVlCeJ0


美希「うわっ」ビクッ


春香「あちゃー……失敗失敗」

春香「マイク持ったまま転ぶとこんな感じなのか……」

春香「でも、いい練習になったぞ! もう転ばないぞ! よしっ!」


美希「春香ぁ!」


春香「あ、美希……ごめん、うるさかったかな」

春香「いつかここに立ったときのために、練習しておこうと思って……てへっ……」


美希「もう、びっくりしたの! 春香のバカ!」



ジュピター『……おい』 ギョロッ


123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:30:46.45 ID:ErxVlCeJ0


美希「ひっ!!」

美希(お、起きたの……!)


ジュピター『てめえ……寝ている人の耳元で叫びやがって……』

ジュピター『覚悟は出来てるんだろうな……』


美希(ま、まずい……殺されるの……)

美希(終わった……? いや、まだ……)


美希「ミギー! いるんでしょ、ミギー!」

美希「返事をしてなの……ミギー!!」


ジュピター『……ミギー? ああ、この前の右手か……』

ジュピター『……わりいな。ここには、俺一人だ……』


125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:34:25.67 ID:ErxVlCeJ0


美希「よくも……よくも、ミギーを!」

美希「左チョーップ!!」 ブンッ


      ぺしっ!


ジュピター『……んだよ、それは……』

ジュピター『人間のケンカというヤツか? 見たことあるぜ……しかし、あんな……』

ジュピター『……』 ジュジュジュッ

右手『……』 ブンッ!


美希「わっ!!」 サッ!


           ボゴィィィッ!!


126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:34:59.54 ID:ErxVlCeJ0


美希(か、会場の鉄傘が折れ曲がったの……)

美希(あんなパンチ受けたら、死んじゃう……)


ジュピター『ただの人間が俺に戦いを挑むだと……!?』

ジュピター『人間ごときが、たった一匹で……何をしようってんだ!!』

右手『……』  ジュジュジュジュ.........

左手『……』  ジュジュジュジュ..............

触手『……』  メキメキッ........

触手『……』  メキメキメキ........



美希「ふ、増えてる……!! 進化してるの……」

美希「こんなの、どうしようもないの……」


127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:38:17.05 ID:ErxVlCeJ0


< あー、あー、マイクテスト中ー >

    < 春香さんの美声テスト中ー >


美希「!?」


ジュピター『ああ……? なんだ、あいつ……』

ジュピター『お前の仲間か……?』


美希(まずいの……春香がを連れてきたのは失敗だったの!)


美希「違うの! 春香はミキの仲間じゃないの!!」

ジュピター『……ハルカ?』


    < おーい、ミキー! 聞こえてるー? えへへー! >


130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:42:36.18 ID:ErxVlCeJ0


ジュピター『……』

美希「もうっ……サイアクなの!」


ジュピター『……』

ジュピター『なんだかよくわかんねぇが……』 ジュジュッ.......

右手『……』 バキバキッ.......

左手『……』 バキバキ.....


ジュピター『とりあえず不愉快だぜ、殺しておくか……』


美希「……だ、駄目なの! やらせないの!!」


    < 一番後ろの人も、ちゃんと見えてるからねー! >

    < なんちゃって……ふふふっ  >


131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:45:50.82 ID:ErxVlCeJ0


ジュピター『……ああん?』

ジュピター『人間が……何が出来るってんだ……?』


美希「……」


    < 何か、いいなあ……この景色…… >


触手『……』 ブゥンッ!

   ドカァァァッッッ!!

美希「ぎゃああああっ!!」 バキバキッ!


    < ちょっと……歌っちゃおっかなあ…… >


美希「う……うう……」


133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:48:02.85 ID:ErxVlCeJ0


ジュピター『……クルッ』


美希「ま、待つの……」

美希「春香の所には……いかせないの……」 フラッ


ジュピター『……しつけぇな……』

ジュピター『……戦えないヤツに興味はねえんだよ……寝てろ!』

触手『……』 ビュンッ!

     ビシィィィッッ!!


美希「うがっ……ぐっ………!!」 ミキミキッ!


ジュピター『……!? 耐えやがった……だと……』

ジュピター『……てめえ。……マジで人間かよ』


136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:51:29.14 ID:ErxVlCeJ0


美希「行かせないの……春香は……ミキが、守るの……」


ジュピター『……人間はたまに理解できねえ行動を取りやがる……』

ジュピター『なんだ? あの女がそんなに大事なのか……? 自分の命より?』


美希「理解なんて、する必要はないの……パラサイト……」

美希「春香は、ミキの大切な仲間だから……そしてミキは、アイドルだから!!」

美希「だから……!!」



    < テテンテテンテテッテッテーテー テテンテテンテテッテッテーテー チャッチャッ! チャララッ! (ポンッ) >


美希「……?」

ジュピター『……あ?』


    < パッパッパパッパッパッパパーラー パッパパパパッパパッパパーラ タッタッ! タラランッ! >


138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:54:25.55 ID:ErxVlCeJ0


    <  よーるの♪ ちゅうしゃじょうぉうーで♪  >

    <  アナタは なにもぉー  いわなぁーいま・ま♪  >


美希「は、……春香?」


ジュピター『あ……ああ……?』 ジュジュッ.....

ジュピター『なんだ……この怪音程は……!!』


    <  レディオーからぁーん ながれるメロディ♪  >

    <  ワタシはーァ きょうをー ふーりーかーえるのぉーう♪  >


ジュピター『……くそ! そのふざけた歌を止めろ! マイクを離せ!』


             ガッ!!

美希「い、行かせないの……絶対に行かせないの……!!」


140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:56:35.49 ID:ErxVlCeJ0


春香「あのうーみ☆ あーのまぁちーかどーはー♪」 

春香「おもいぃーでにぃー、のこーりーそうーでー♪」


ジュピター『くそ……なんだか……すげえ頭に来やがる……』 ビキビキ......ッ

ジュピター『よくわからねーが……止めるしかねえ……ッ』

ジュピター『死ね……!!』 ババババッ!

触手『……』 ババッ!


美希「駄目えええええええっっ!!」 ミキミキッ!!

触手『……』 ババババッッ!!

       ジュジュジュジュジュジュジュジュジュジュッッッ!!


美希「あっ」


141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 02:57:26.11 ID:ErxVlCeJ0


美希(……)

美希(終わった……こんどこそ……終わったの……)


右肩「……」


美希(春香の歌声とダンスをバックに、人生初のドームで)

美希(ミキの15年の人生が、劇的に幕を閉じるの……)


右肩『……』 ピクッ


美希(……)

美希(結構長いスローモーションなの……)


美希(な、なんてこったなの……)

美希(スローモーションだから、敵の攻撃もゆっくり見えるの……)


143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:00:39.21 ID:ErxVlCeJ0


ジュピター『……』

触手『……』 ジュジュッ.......


美希(……右肩先から入って、左脇腹に抜ける……)

美希(即死、なの……たぶん)


右肩『……』ピクピクッ


美希(やるなら……さっさとやってしいの!)



右肩『……ッッ!!』 グィィィ――ッッ!!


美希「えっ!?」

触手『……』  バシュッ!


146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:01:30.15 ID:ErxVlCeJ0


右肩『……!』 バチィッ!

触手『……!!』 バチバチバチバチィッ!!


ジュピター『……!? な、何が……起こってんだ……!?』

ジュピター『な、何かが……がっ……!!』

触手『……ッ!!』 ミキミキッ!



美希「ミギー……ミギーなの!!」

美希「やっぱり、そこにいたんだねっ!!」


触手『……! ……っ!』 バチッミキキッバチッ!


春香「このこーうぃがぁーん あそうびぃーならーばーん♪」

春香「わりきーれるーのーにー かんたんじゃな、いーん♪」


149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:05:32.15 ID:ErxVlCeJ0


触手『……』 バチッバチッ!

右肩『……!!』  バチチチチッッッ!


   ミキッ.....ミキミキミキッッッ!!

右手『……』 ミキミキッ!



ミギー『やあ……』

美希「ミギー……ホントにミギーなのー!!」


ジュピター『バカな……ただの肉片が……どうして俺に従わねえ!!』

ジュピター『くそ……あの歌声が……頭に響いて……』


春香「ううーっ! わっほい♪」


152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:08:58.96 ID:ErxVlCeJ0


ジュピター『くそ……俺に逆らうんじゃ……』 ジュジュッ

ジュピター『なっ……なんだ……お前らまで……ッッ!!』


    < 「じゃあね」なんていーわないでぇー♪ >

    < 「またねぇっ」っていぃってぇーっ♪ >



ジュピター『グァアアアアアアアッッッッ!!!!』  ギギギギギギギギッッ!!


ミギー『……すごい綱引きだな』

美希「あは……グスッ……ミギー」


    < ワッタッシのモッノッにっならなっくてい・い♪ >

    < そっばっにいるだけでぇーい・いー♪ >


153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:11:01.62 ID:ErxVlCeJ0


冬馬『……があっ!』

冬馬『……お……お前らぁっ!!』 ジュジュジュッ!


北斗『すまん……冬馬……限界だ』 ギギギギッ!

翔太『あの歌を聴いていられない……もう我慢できない……逃げようよ!』  ビビビッ!


    <  アノコぉにもしもっあきたぁらー♪  >

    <  すぐによぉびっ だぁし てーん♪  >


冬馬『ふざけんなあああああああっっ!!!』  ジュジュジュジュッ!

ジュピター『俺は、戦う……戦う……勝つ……!!』


    <  こーわーれる、 くーらーいにぃ♪  >

    <  だぁきー! しぃめてぃー♪  >


154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:13:31.94 ID:ErxVlCeJ0


ミギー『無駄だ! 形成は逆転したのだ!』

ミギー『こちら側に移動する際に、重用器官をいくつか引きちぎった!』

ミギー『修復しなかれば戦えはしない!』


ジュピター『ガガ……ガガ……ガガガガガガ!!』  ジュジュジュジュッ!

ジュピター『ヨ……よくも……ガアアアッ!!』 ジュビビッビッ!!


美希「あ、アイツの体で、何が起こってるの……?」


ミギー『……「反乱」だ』

ミギー『統率者以外の寄生細胞が本能的に危機を察知し、体から逃げだそうとしている』

ミギー『それを抑えようとする「頭」と「それ以外」で、壮絶な綱引きの真っ最中ってわけだ』


ジュピター『ガガアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!!!!!』  ジュジュジュジュッ!


156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:15:44.85 ID:ErxVlCeJ0


美希「な、なんでそんないきなり……?」

ミギー「詳しくはわからないが……おそらく……」


    < よーし! もう一曲、行きますよーっ♪ >


   『毒だ……毒が来る!』

   『この体では持たない……逃げろ! 離れるんだ……』

   『この場から、離れ――』


  冬馬『 黙れええええええええっ !! 』  ジュジュジュジュジュジュッッッ!!!


ジュピター『ゆるさねえ……ゆるさねえぞ……お前らごときに……』

ジュピター『人間が、人間がああああ――――――――っっっ!!!!』 ジュジュジュッッッッ!!!


157:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:16:22.94 ID:ErxVlCeJ0


ミギー『すさまじい怒りだ……』

ミギー『ヤツの体に充満する怒りの正体……それは、脳を奪った寄生生物にしか存在しないもの』

ミギー『即ち、“この種を喰い殺せ”!』


ジュピター『ガ……ガアアアアアアアアッ!!』

ジュピター『オレノ……オレノマエニ……タツンジャ……ネエエエ………!!!』 ジュジュジュッ!!


ミギー『そして、ヤツは何匹もの寄生生物を体内に取り込むことにより』

ミギー『その思いを、増幅させ続け……その結果』

ミギー『戦いを、勝利を、強敵を求め続ける……戦闘マシーンが完成した』


ミギー『しかし、それはもはや――』 ミキキキッ!!


158:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:20:51.61 ID:ErxVlCeJ0


ジュピター『ガガガガガガガガッッッ!!!』

      ジュジュジュジュジュジュジュジュジュジュッッッッ!!!


ミギー『――ッッ!!』 ササッ!

ミギー『綱引きの綱に……わずかな切れ込みを入れただけで……』


ミギー『ッッ!!』 ミキミキィッッ!

             ――――ザンッ!!


ジュピター『―――――ッッッ!』 ジュッ.......


       バアアアアンッッ!!!

                  ドシャドシャッ!!

美希「……ミギー!」

ミギー『……全身がはじけ飛ぶ』


160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:21:38.66 ID:ErxVlCeJ0


ジュピター『……』


美希「…………終わったの?」

ミギー『……ああ』

ミギー『どうした。その顔は、酷いじゃないか』


美希「ジュピターにチョップをくらわせたら、100倍返されたの……ホント容赦無いの」

ミギー『素手で勝負を挑んだのか……?』

ミギー『……キミもまた、凄いやつだな……』


美希「えへへ、褒められたの。……ところで」

美希「ジュピターはなんであんなに苦しがってたの……?」

ミギー『おそらく、……あれだろう』

美希「?」


162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:22:56.38 ID:ErxVlCeJ0


春香「ツカマエテ スキダヨト イッテホーシイー♪」


ミギー『動物には、特定の音波を嫌うものがいる』

ミギー『……人間にも、特定の音楽が肌に合わなかったり、認められなかったりするだろう』


ミギー『ジュピター達……完成されたパラサイトアイドルにとっては』

ミギー『おそらく、ハルカの自由奔放な歌い方は毒でしかなかったのだろうな』


美希「……いい歌だと思うけどな……」

ミギー『……それは、ミキが春香の歌を好きだからだよ』


美希「そうなの! 美希、春香の歌って大好きなの!」


春香「ソウヨ エイエンノナツ キットキット ドラマガハジマルー♪」


164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:26:48.60 ID:ErxVlCeJ0


ジュピター『……』


ミギー『(……)』

ミギー『(この毒の大音量の中では、復活することも無いだろう)』


美希「春香! 春香!」

美希「ねえ! リクエストお願いするの!」


春香「よっし美希! 何でも来い!」

美希「 shiny smile ! 歌ってほしいの!」


春香「シャイニースマイルか……よし、美希、上がっておいで!」

春香「一緒に歌お♪」


美希「はいなのー!!」


168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:32:56.66 ID:ErxVlCeJ0


   【  そして――  】

   【  後日――   】



    『……961プロ殲滅戦から一週間が過ぎ……』

    『アイドルアカデミー大賞、グランドフィナーレまで一月に迫った……』


    『アイドル関連の事件……もとい、パラサイト関連の事件は……』

    『あれ以来影を潜め、日々平穏が続いている』


    『……けして、この業界から“パラサイトアイドル”がいなくなったわけではない』

    『彼らはより賢く……狡猾に……「老獪さ」を身につけ、』

    『人間社会へと上手く溶け込んでいったからである』


169:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:33:48.72 ID:ErxVlCeJ0


    『中には例の「日高愛」のように、人間の家族として紛れ込み』

    『人と同じ生活を続けるうちに、その食人衝動を失い……』

    『いつしか、完全な「人間化」していくものもあった』


    『……寄生生物には、「個体差」があった』

    『それは時として自らの性質に変化をもたらし、』

    『「変化」――新たなる「進化」を遂げる種もあったのだ』


    『そして……ここにも一人』

    『自分を変化させつつある 寄生生物がいた……』


170:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:36:00.09 ID:ErxVlCeJ0


【  美希の部屋  】


美希「……あふぅ」

美希「トップアイドルに……なるの……zzz」


ミギー『……』

ミギー『……ミキ……』 スッ



美希(ミギーはホント、あっけらかんとしてて……)

美希(心配してソンしちゃったの!! もうっ!)


ミギー『……』


美希(でも……生きてて良かったの……ミギー……)


171:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:38:47.62 ID:ErxVlCeJ0


ミギー『……』

ミギー『どう見える、ミキ……』


美希(うん……? ミギー? なんだかはっきりしてるの)

美希(これって夢なのかな。なんだか真っ暗で……)




ミギー『……ミキ、今日はな……』

ミギー『お別れを言いに来たんだ……』


美希(え? どういうことなの……?)

美希(まさかまた、ちぎれてどこかに……)


ミギー『……いや、そうじゃない……そうじゃないんだが……どう言えば』


174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:41:02.73 ID:ErxVlCeJ0


ミギー『つまり……「眠り」に付こうと思っている』


美希(……? でも、ミギーしょっちゅう眠ってるの)

美希(一日に四時間……たまにそれ以外でも……)


ミギー『いや……この眠りは、それとは違う。少し長い』

ミギー『何年……何十年……ひょっとしたら死ぬまでだ……』

ミギー『つまり、ミキにとってわたしはただの「右手」に戻ると考えてくれていい……』


美希(な、なんでそんな……いきなり……)

美希(理由を言って欲しいの!)


ミギー『わたしはね……内部構造がまた少し変化したんだ』

ミギー『莫大な情報量……そして、それらを別々の思考で処理することができるようになった』


175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:43:19.75 ID:ErxVlCeJ0


ミギー『しばらく外からの情報をシャットアウトして……』

ミギー『ここにある材料だけでやってみたくなったんだ』


ミギー『だから、外面の活動を停止する』


美希(そ、そんなの……困るの……)

美希(これまで、ずっと一緒にやってきたのに……いきなり居なくなるなんて!)

美希(むてきいん……むせきい……無籍姻……? とにかくそれなの!)


ミギー『……ミキ』


美希(やだよ、ミギー……いなくなっちゃったら寂しいの)

美希(ミキ、また独りになっちゃうの……!!)


176:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:44:17.88 ID:ErxVlCeJ0


ミギー『……ミキ』

ミギー『キミには……わたしなんかよりも、とてもいい仲間がいる』

ミギー『ハルカがいる……ヤヨイがいる。チハヤがいる……イオリがいる』

ミギー『寂しいことなんて……ないさ』


美希(でもっ……でもっ……)

美希(ミギーは……ミギーはいなくなっちゃうんでしょ……!?)


ミギー『ミキ、わたしの事は』

ミギー『一つの……「夢」だったと思ってほしい』

ミギー『だから最後に夢の中で別れを言いに来た』


美希(夢なんかじゃないの! ミギーと……ずっと暮らしてきた毎日は……)

美希(絶対夢なんかじゃないの!)


180:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:46:27.30 ID:ErxVlCeJ0


ミギー『……たしかに……キミの周りでは様々なことが起こった』

ミギー『多くの出来事……人の死は現実だ』


   …………!


 菜緒「……」


美希(お……お姉ちゃん……?)

美希(なんでお姉ちゃんが、ここに……)


ミギー『「人の死」と聞いて、キミが創り出した映像だよ』

ミギー『……ほう……キミの姉は、キミの脳ではこう見えるのか……』


ミギー(え? ……どういうことなの?)


181:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:47:07.78 ID:ErxVlCeJ0


菜緒「……」


 イヌ美「……」

 サイネリア「……」

 絵理「……」


 プロデューサー「……」


美希(あ……ハニー!)


ミギー『……ミキの脳には、こう映っていたのか……』

ミギー『……どれも、わたしが見ていたのとは違う……』

ミギー『わたしを出して見ろ』


美希(えーっと……)


182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:49:21.77 ID:ErxVlCeJ0


ミギー「……」 ピコッ


ミギー『へぇー……』

美希(へーって、……ミギー……)


ミギー『……つまりは……お互いに理解し合えるのなんて』

ミギー『ほとんど、「点」なんだよ』


ミギー『同じ価値観……構造を持つ人間同士でさえ、そうだ』

ミギー『魂を交換できたとすれば、想像を絶する世界が見えるだろう……』


     シュゥゥゥゥ――――ンッ


美希(あ……みんな、消えて……)


183:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:51:40.09 ID:ErxVlCeJ0


ミギー『さて……もうそろそろ行く』

ミギー『スイッチを切るぞ』


美希(ま、待ってよ……ミキはこれからどうすればいいの……?)

美希(ミキだけじゃ、なんにもできないの……)

美希(たとえば、もし……寄生生物とかがでたら……)


ミギー『……キミならば、大丈夫だ』

ミギー『それよりも悪い記者に気を付けろ。』

ミギー『アイドルアカデミー大賞……グランドフィナーレには、万全の状態で挑め』

ミギー『これまで、わたしが教えてきたことが役に立つはずだから……』


ミギー『それに、キミには仲間がいる』

ミギー『困ったときは仲間を頼れ……「団結」するんだ……』


184:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:54:02.38 ID:ErxVlCeJ0


美希(ひどいの……こんないきなり……)

美希(……もう、ミギーとは……お喋りできないの……?)


ミギー『あるいはな……でもまあ、よく考えて見ろ』

ミギー『自分の右手と話すアイドルなんて、いるほうがおかしいんだぜ』

ミギー『……本来は』


ミギー『……キミが目を覚ましたら……この夢の事も忘れているだろう』

ミギー『その時わたしのことも一緒に……忘れてくれ』

ミギー『……忘れることができるはずだ』


美希(待って……ミギー! ミギー!)



ミギー『今までありがとう……ミキ……』


186:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:55:49.92 ID:ErxVlCeJ0


…………。

  チュンチュン......    チュン........


美希「ん……」

美希「……」


右手「……」


美希「……ないの……」

美希「忘れられるわけ、ないの! バカっ!!」



右手「……」

美希「バカ……」


189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:58:18.79 ID:ErxVlCeJ0


【  ――そして  】

   【  876プロダクション  】



石川「……ついに……ついに来たわ……」

石川「我が、876プロダクションに……新たなアイドルが!」


涼「わ、ワクワクしますね!」

ペニー『りゅんりゅん☆』


まなみ「涼さん……最近変な口癖が増えましたね……」


石川「紹介しましょう! 桜井夢子ちゃんです!」


夢子「ど、どうも! これからよろしくお願いします……!」


190:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 03:59:54.11 ID:ErxVlCeJ0


涼「え……ええーっ!!」

涼「な、なんで夢子ちゃんが876プロに……」


夢子「あら、来ちゃ悪いの?」

夢子「私だってアイドルよ。移籍くらいは自由でしょう」

夢子「……べ、別に……アンタがいる事務所を探してたわけじゃ……」


ペニー『りゅんりゅん……この子、涼に気があるみたい……?』


涼「え?」

夢子「な、なななっ! 何言ってんの! バカじゃないの! 死ねっ!」  ゲシッ!


涼『りゅんりゅんっ☆』 ビクーンッ!

涼「ぎゃおおおおおおおんっ!」 ビクーンッ!


191:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:02:30.95 ID:ErxVlCeJ0


涼「い、いてて……」

涼「でも社長! よく考えたら、僕が女装する必要、もう無いんじゃないですか?」

涼「夢子ちゃんがいてくれるわけだし、僕はそろそろイケメン路線で……」


石川「は? そんなことしないわよ」

石川「だって貴方達は、ユニットで活動してもらうんだもの」


涼「え?」

夢子「え?」


まなみ「あの……社長、私も初耳で………」


石川「ああ、まなみん。あなたが三人目のメンバーだから」

石川「最年長として、二人をしっかりリードしてあげなさい」


192:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:03:46.78 ID:ErxVlCeJ0


まなみ「え? あの、社長?」


石川「よかったわ……まなみんがアイドル志望だった頃の書類が残っていて」

石川「なんとか来週のオーディションに間に合わせることが出来たわ……」


まなみ「え? 来週? あの、その……」

涼「……ま、まなみさん……」

夢子(何この事務所……色々とやばくないかしら……)


石川「そう……ここに、未来のトップアイドルの座を約束された三人が揃った……」

石川「今日は、記念すべき日ね!」


石川「伝説……今日ここから、876のアイドル伝説が始まるのよ!」

石川「あっはーっはっはっは!!」


195:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:07:04.02 ID:ErxVlCeJ0


【  病室  】


雪歩「……」

雪歩「萩原雪歩ですう……」


雪歩「私は今、病院にいますう」

雪歩「あの事件から私はアイドル活動ができなくなって765プロを辞めました」

雪歩「そして、ここにずっと入院していますぅ」


雪歩「……一人ってすごく落ち着きます……」

雪歩「わずらわしい事が何も無くて、すごく楽ですう」



雪歩「……でも、体がベッドに縛り付けられてるのは納得できないですぅ……」

雪歩「扉にも鉄格子が付いてて閉塞感がありますぅ……」


197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:10:03.85 ID:ErxVlCeJ0


雪歩「扉の鉄格子は、この前に私が勝手に帰ろうとしたからです」

雪歩「体が縛られているのは連れ戻されたときに暴れたからですぅ……」


雪歩「でも酷いですう……こんな事……」

雪歩「でも私が悪い事をしたからいけないんですぅ。これは罰なんですぅ……」


雪歩「……ずーっとベッドに寝ていると暇ですぅ……」

雪歩「悪い事ばっかり考えちゃいそうで……」



雪歩「こんな生活してたら、いつか病気になっちゃいますぅ……」

雪歩「……」


雪歩「あ、違う……病気だから入院してるんでした……」


199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:13:07.65 ID:NtDrnLmN0


雪歩「……」

雪歩「きっときっときっときっときっときっと……♪」

雪歩「あなた宇宙一 ~♪」

雪歩「幸せモノね ♪」


雪歩「……、うー……」

雪歩「だせだせ~! だせだせ~!」

雪歩「だせだせだせだせだせだせだせだせだせ!」

雪歩「出せぇ~!!」ガタガタガタガタッッッ


   ビーッ! ビーッ!
              バタバタバタッ ガタンッ!


   「萩原さん、暴れないで下さい!」


200:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:13:50.99 ID:NtDrnLmN0


雪歩「はうぅ~ごめんなさい、ごめんなさい……」

雪歩「もう暴れません、暴れませんから……」


   ガチャンッ!

雪歩「え? どこへ行くんですか?」

雪歩「嫌ですぅ、部屋替えは嫌ですぅ! ここがいいですぅ……」

雪歩「反省部屋は狭くて汚くて怖いですぅ……」


雪歩(……うう、でも私がいけないんですよね……)

雪歩(私が駄目な子だから……ここに入れられたんですぅ……)

雪歩(きっと、お父さんもわたしの事が嫌いなんですぅ)

雪歩(765プロも、春香ちゃんも、真美ちゃんも……しじょ~さん、も……)

雪歩「ひいいいいいいいっ」バタバタッ


203:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:15:58.00 ID:NtDrnLmN0


雪歩「怖いですぅ……口だけ頭はほんとにいたんですぅ……」

雪歩「人間のフリをしているんですぅ……」


    ガチャッ


雪歩「え? 面会ですか?」

雪歩「いや、いやですう、人と会うのは嫌ですう」

雪歩「会って怖いおもいをするくらいなら、ずっと一人でさみしがってたほうがマシですぅ」

雪歩「わたしには穴蔵がお似合いなんですう、日の光は苦手ですぅ」


雪歩「いやあああああああああああっっ!!」



真「……やあ、雪歩」

雪歩「ま……真ちゃん……?」


207:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:19:25.79 ID:NtDrnLmN0


真「久し振りだね……ずっと山ごもりしてたから、知らなかったよ」

真「雪歩がこんなところにいるなんてさ」


雪歩「はい……私にはお似合いですぅ」


真「……違うよ。雪歩」

真「雪歩の居場所はここじゃない……」

真「……アイドル事務所……765プロダクションのはずだろ」


雪歩「……でも、私、アイドル辞めちゃいましたし……」

真「辞めてないよ。事務所からは活動停止ってなってるだけだ」


雪歩「でも……ここから出ちゃ行けないんですぅ……」

真「なら、僕が出してあげるよ」


210:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:22:20.50 ID:NtDrnLmN0


雪歩「で、でも……でもぉ……」

雪歩「私は……出たくないんですぅ……」


真「……どうしてだい、雪歩」


雪歩「……外は、怖いことだらけですぅ……」

雪歩「犬もいます……男の人もいます……口だけ頭もいます……」

雪歩「病院の中の方が……安全ですぅ……」


真「じゃあ、これから雪歩を僕が怖いものから守ってあげるよ」

真「これでいいんじゃないかな」


雪歩「……真ちゃんが……怖い人になるかもしれないですぅ……」

雪歩「ある日突然……頭がパックリ割れて……」

雪歩「はわ……あわわわっ……あわわ……わわわわわっ」


211:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:25:21.59 ID:NtDrnLmN0


真「雪歩、落ち着いて……」

真「ここには何も怖いものなんてないだろ?」


雪歩「……」

真「……あるのかい?」


雪歩「……」

雪歩「真ちゃんが……怖いですぅ……」


真「……」


雪歩「いきなり訪ねて来て……こんな事を言い出して……」

雪歩「なんでですか……なんで私を追い詰めるんですか……」

雪歩「もう、そおっとしておいて欲しいですぅ……」


212:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:27:52.40 ID:NtDrnLmN0


雪歩「真ちゃんの心が見えないですぅ……怖いですぅ……」

雪歩「いや、あたりまえです……人は繋がれないからです……」

雪歩「人は心と心を繋ぐことは不可能だからです……それはまた、別の次元に存在するんですぅ」

雪歩「相手を知れる部分なんて、ほんの点でしかないんですぅ」

雪歩「だからこそが怖いんです……真ちゃんの心が見えないんですぅ……

雪歩「見えないことは怖いことですぅ。怖いのは嫌ですぅ……」

雪歩「幸せになりたいですぅ……」


真「……もう少し、雪歩の方から僕に歩み寄ってみるってのはどうだい?」

真「近くで見れば、怖くないってこともあるかもしれないよ」


雪歩「歩み寄った……歩み寄りました……」

雪歩「でも……歩み寄ったら頭が シジョッ て割れたんですう……」


216:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:31:17.54 ID:NtDrnLmN0


真「……何がいけないんだい?」

真「僕の頭が突然 マコッ て割れたとして、何か問題あるのかな?」


雪歩「……」

雪歩「だってそれは……怖いことで……」

雪歩「……ま、真ちゃん……もしかして……」


真「何勘違いしてるのさ。僕は人間だよ」

真「それに、……たとえ割れたとしても、何か問題あるのかな?」


雪歩「だって……こ、怖いです……」

真「それは、見た目が?」


雪歩「……全部ですぅ……」


219:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:33:29.40 ID:NtDrnLmN0


真「……」

真「知ってるよ……雪歩」

真「君が何を怖がっているのか」


雪歩「……」


真「……雪歩は、知ることを怖がっているんだ」

雪歩「……えっ」


真「何かを知って……それに踏み入ったとき」

真「怖いことがおこらないかどうか……それが怖くて、ずっと踏み出せないでいるんだよ」


雪歩「ち……違います……私は、理解できないものが怖いんです……」

雪歩「だから……」


220:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:37:21.70 ID:NtDrnLmN0


真「それは、雪歩が勝手に思ってるだけじゃないかな?」

真「誰かにそう、教えられたの?」


雪歩「……それは、しじょ~さんが……」

雪歩「あ……ああ……」


真「……雪歩。たまにはさ、僕と一緒に病院の外も歩いてみようよ」

真「たまにスポーツとかもやったりしてさ。体動かして……」

真「こうやって、お喋りするのも悪くないかな」


真「もっと、僕のことを知ってもらいたいんだ……雪歩に」

真「僕のこと……知ろうとしてみて」


雪歩「ま、真ちゃん……」


222:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:38:41.45 ID:NtDrnLmN0


真「……怖いことなんて、なにもないよ」

真「僕を知って……自分を知ることが出来れば」

真「そうしたら、雪歩も……ここから出られるようになるさ」


雪歩「……で、でも……」


真「「でも」は、無し。今はね……」

真「いつか、ここを出たら……二人で旅行にでもいこうよ」

真「そこでゆっくり羽を伸ばそう」

真「そしていつか……765プロに戻って、アイドル続けよう……」


雪歩「……うん……」


真「雪歩――。僕が絶対……幸せにしてあげるからね」


225:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:42:18.30 ID:NtDrnLmN0


【  また別の病院  】




伊織「縛り付けるの! 縛り付けておくのよ!」

伊織「何を言おうと絶対にベッドから立ち上がらせちゃ駄目よ!」


医者「は、はい……伊織お嬢様」

医者「しかし、奇跡ですな……これほどの軽傷で……」


伊織「こんの……バカ……バカ兄様っ!」

伊織「私がどれだけ心配したか……」


水瀬薫「……水瀬家の男は、常に人より先を征く……」

水瀬薫「しかし……人より先に逝くことはけして無いのだ……」


226:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:44:43.13 ID:NtDrnLmN0


医者「……しばらく、絶対安静です」

医者「動いてはなりませんぞ……」


水瀬薫「……善処する」


伊織「だから、縛り付けておきなさいって言ってんの!」

伊織「賭けてもいいわ……お兄様、明日にはいなくなるわよ」


水瀬薫「……明日は、たしか極東ラジオで伊織と亜美ちゃんのコーナーがあったな……」

水瀬薫「……ぜひ、現場に向かわねば……」


伊織「だから! 動くなっていってるでしょーが! ラジオくらい放送で聞きなさいよ!」

伊織「今月いっぱいは絶対に病室を離れないこと!」


227:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:47:58.24 ID:NtDrnLmN0


水瀬薫「しかし……今週末の<竜宮小町>の定期ライブは生で見ねば……」

水瀬薫「……【水瀬伊織ちゃんを応援する会】の【会長】として……面目が……」


伊織「ばかーっ!」 べちーん!


伊織「お兄様は水瀬グループの跡取りでしょ!」

伊織「いいかげん、そのアホみたいな会の【会長】ってやめなさいよ!」

伊織「ちょっと前にそれのせいでお父様に勘当されかけたじゃない!」


水瀬薫「……しかし、その父も今や【会員No.775479】として熱心に活動を行っている……」

水瀬薫「全ては、この私の手腕による所で……」


伊織「もう! ばかー!」

伊織「なんでこんな、私の周囲には駄目な大人しかいないのよー!」


230:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:51:27.76 ID:NtDrnLmN0


【  北海道  十勝  】

   【  ――場末のラーメン屋  】





武田「……なぜ、音楽業界を率いて立つはずの僕が……」

武田「……このような場所でラーメンを注文しているのだろうか……」


舞「あん?」 ズルズルズルー

舞「何よ、武田くん……ご飯付き合ってくれるって言ったじゃない」


武田「言ったは言ったが……まさか、こんな……」

武田「……東京から三時間便で振り飛ばされることになるとは思わなかったよ」


231:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:53:29.99 ID:NtDrnLmN0


愛「北国ラーメン……お待ち」 ドンッ


武田「愛くん? ……いま、君の指が入っていたような気がするんだけど」

武田「困るんだよね……僕は結構、潔癖だから……」


舞「あ、コラ? うちの娘のダシが美味くないって言うの?」

愛「嫌なら食うな」


武田「いや……いただくよ……いただくとも……」


舞「いやー愛がバイト始めるって聞いたときはびっくりしたけど……」

舞「まさか北海道とはねーっいや、びっくりしたわー」


愛「……毎日食べに来るとは思いませんでした」


233:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:56:32.40 ID:NtDrnLmN0


武田「ああ……それはあれだね」

武田「日高くんはなんだかんだで……子離れができない体質なんだよ」

武田「そして相手が嫌がれば嫌がるほど追い回す……っていう……ね」


舞「ふん……別に。ここのラーメンが美味いから食べに来てるだけよ」

舞「勘違いすんなよ! 愛!」


愛「……まいど」

愛「……!」ピクッ


  ガランガラン......


金髪の少女「あの……十勝らあめんとは、いずこに……」


武田「ん……?」


237:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 04:59:40.83 ID:NtDrnLmN0


武田「おや、お客さんのようだ……」

武田「……? お嬢さん、僕とどこかで会ったことがないかな」


金髪の少女「はて……?」


舞「何? 武田くん、ナンパ? うわー……古典的ね……」

武田「いや、たしかにどこかで……」


金髪の少女「……」 ファサッ......


武田「……いや、すまなかった。僕の知り合いに金髪の少女はいない」


金髪の少女「ジュルルルルルルルルルルルルルルルルッッッ!!」


武田「……ラーメンをそんな風に食べる知り合いもいない」


239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:04:24.67 ID:NtDrnLmN0


ガラガラ......


漆黒の少女「はいさーい、ここにいたのか、たか――」

漆黒の少女「ゲッ!?」


愛「……」 ガチャガチャ


金髪の少女「ああ、……どうでした工事の様子は」

金髪の少女「せっかく広い土地を買ったのです……大きな家が欲しいですね……」


漆黒の少女「あ、あはは、そうさー! ひ、広かったさー!」

漆黒の少女「犬でもワニでも牛でもなんでも飼えるぞ!」


金髪の少女「それは……まことに――」

漆黒の少女「あ、今から二人で見に行こう! そう、それがいいさー!」


241:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:07:19.63 ID:NtDrnLmN0


金髪の少女「え? あ、あの、私……まだ駆けつけ一杯しからあめんを食して……」


漆黒の少女「い、いいから! 出るぞ!」

漆黒の少女「あ、お代ここにおくさー」 サッ


愛「……まいど」


    ガラガラガラッ! バタバタバタッ!


舞「なんだか慌ただしいお客さんだったわね」

舞「こっちの人ってもっとのんびりしてるイメージあるけど……」


武田「……」

武田「……今の黒い方の子も……どこかで……」

武田「気のせいか……?」


243:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:11:21.96 ID:NtDrnLmN0


【  ――そして  】

   【  アイドルアカデミー大賞  】

   【   グランドフィナーレ 】



四海「……今年度……IA大賞に輝いたのは……」

四海「……」



四海「765プロダクション!」

四海「星井美希、高槻やよい、天海春香!」

四海「曲は……【マリオネットの心】!」


   ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!


245:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:14:56.51 ID:NtDrnLmN0


春香「う……嘘……」

やよい「わ、私達が……IA大賞です……!!」


四海「天海春香さん、受賞の感想をどうぞ」


春香「うっ……こ、言葉が……でてこなくて……」

春香「これもみんな……リーダーの美希が、私達を導いてくれたからだとっ……」ポロポロッ


美希(本当に……)

美希(ここまで……長かったの……)


四海「星井美希さん、この曲「マリオネットの心」……ですが」


美希「はい……これは、私達が辿ってきた……軌跡……」

美希「大切な人と共に過ごした日々を、歌った曲です」


247:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:17:11.34 ID:NtDrnLmN0


   ねぇ 消えてしまっても探してくれますか?

   きっと忙しくてメール打てないのね
   寂しい時には 夜空見つめる
   もっと振り向いてほしい 昔みたいに
   素直に言いたくなるの

   ZUKI ZUKI ZUKI 痛い
   DOKI DOKI DOKI 鼓動が身体伝わる
   『踏み出したら 失いそうでできない』

   ねぇ 忘れてるフリすれば会ってくれますか?
   待ち続ける 私マリオネット
   貴方と離れてしまうと もう踊れない
   ほらね 糸が解れそうになる
   心がこわれそうだよ…


248:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:18:06.75 ID:NtDrnLmN0


   いっそ別れ話 サッパリするのにね
   苦しい時には 朝が眩しい
   そっと鞄たぐりよせ 想い詰めても
   途中で放り投げてる

   JIRI JIRI JIRI 焦がす
   GIRI GIRI GIRI そんな駆け引き怖いよ
   踏み出したら 後悔なんてできない

   ねぇ 消えてしまっても探してくれますか?
   行くあてもない 私マリオネット
   貴方に気持ち届かない Ah もどかしい
   ほらね 涙ひと粒も出ない
   心がこわれそうだよ…


   切れそうになった糸は もう戻らないよ
   だけど勇気なくて認めないの
   すでに醒めてしまったこと


249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:21:29.06 ID:NtDrnLmN0


   ねぇ まだ私のこと見つめてくれますか?
   何もできない それがマリオネット
   貴方に気持ち届かない Ah もどかしい


   ほらね 涙ひと粒も出ない
   心がこわれそうだよ…



美希「……」

春香「……」

やよい「……」


美希(……これで)

美希(ミキの……長い物語は、終わったの……)

美希(お姉ちゃん……ハニー……ミギー……)

美希(ミキ……トップアイドルになったよ……)


253:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:23:08.72 ID:NtDrnLmN0


【  IA会場  テラス  】


春香「……夢みたいだな」

春香「私達が、この舞台に立てるなんて……」


やよい「今朝の夢の続きを見ているみたいです」

やよい「……春香さん、ほっぺたつねらせて下さい!」 ギューッ!


春香「あいててて! 夢じゃない! いてててっ!」


春香「……でも、」


美希「……ううん」

美希「みんな……それぞれが最高の結果を出せたことが……ここに繋がったんだと思うな」


255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:25:25.59 ID:NtDrnLmN0


カツカツ.......

   「……」


美希「……? 誰か、こっち来るよ?」


春香「あの感じ……! インタビューですね! この春香さんに!」

春香「いやーさっそくみつかっちゃったなー」 クネクネ


やよい「……でも、このテラスって受賞者以外立ち入り禁止ですよね……?」

やよい「スタッフの方でしょうか」


   「やっと、見つけた……」

美希「……? もしかして、まだ受賞の挨拶とかあるんですか?」


善永「ああ、いえ。挨拶があるのは私ですよ」


259:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:28:07.93 ID:NtDrnLmN0


善永「まずはおめでとうございます。IA優勝」

善永「いや……本来なら961プロがIA、IUの完全制覇を行う予定だったんですけど」

善永「いや……皮算用は駄目ですね。大損してしまいましたよ」


美希「……? 何の、話をしてるの?」


善永「ああ、あなたに話してるんじゃないですよ」

善永「右手さんとお話しがしたいだけです」


美希「!!」

春香「!?」

やよい「……みぎてさん、ですか……?」


善永「何……ちょっとした、ビジネスのお話しですよ」


261:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:31:05.47 ID:NtDrnLmN0


善永「あの日高愛がこれまでのことをぺらぺらと喋りやがってせいで……」

善永「……ちょっと、警察にマークされちゃいましてね」

善永「殺人の前科が付いちゃいそうでして」


春香「さ、さつじ……」


善永「まあ……961プロと関わる以上、いつかこんな事になるんじゃないかなー」

善永「とは思ってたんですけど……」


善永「……まあ、ここでビジネスの話ですよ」

善永「実は私、961プロの意見役を務めていたこともありまして」

善永「パラサイトとは深い関係にあるのです」


263:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:34:00.56 ID:NtDrnLmN0


美希「……何の話なの?」


善永「あなた、961プロのパラサイトを狩っていましたよね」

善永「ぜひ、その協力をさせてもらいたくて」


春香「え……? 狩って……?」

美希「……!!」


善永「パラサイト共の情報は全て渡しますよ。もう私には必要ありませんから」

善永「まあ、その代わりに私の逃亡資金を援助してもらいたいんです」

善永「これもビジネスって事で。トップアイドルとしても、必要なことですよ……」


善永「右手さんにとっても、これはかなり有益な情報になると思いますが」

善永「……どうですかね」


264:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:36:29.74 ID:NtDrnLmN0


美希「……」

美希「やよい、警備員呼んできて」

やよい「あ……はい……」 テテテッ


善永「あれ……? 困りますよ」

善永「私は逃亡中の身だって、言ったじゃないですか」


美希「じゃあとっとと捕まればいいって思うな」

美希「ミキはそんなヤツの相手をしてるほど暇じゃ無いの」


善永「……」

善永「まったく……しょうがないですね……」

善永「じゃあ、逃げるとしますか……」

     ―― ダッ!! バッ!


265:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:38:05.50 ID:NtDrnLmN0


善永「よっと」 ガッ!!

春香「やっ、きゃああっ!」


美希「春香ぁ!?」 バッ


善永「動かないで下さいよ……アイドルの顔に深い傷が付きますから」

善永「……伊達に敏腕記者、やってないですよ」 ザッ


   ズリズリ......


春香「……」

善永「……テラスは5階か……ここから飛び降りるのは、ちょっと無理かな」

善永「……ちょっと、右腕さん、逃げ道作って下さいよ」

善永「せめて下の階まで下ろしてくれたら、あとは適当に逃げますから」


268:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:42:23.39 ID:NtDrnLmN0


美希「……」

美希「で……出来ないの」


善永「……はい?」

善永「寝言は聞きたくないですね……」

善永「こっちはちゃんと調べが付いてるんですから。敏腕記者舐めないで下さいよ」


美希「だ、だから……」

美希「ミキには、今、ミギーがいなくて……!!」


善永「……私も必死なんですよ」

善永「ここで捕まったら、今までの悪行的に死刑濃厚なんですよ」

善永「……決めた。次、「できない」とか言ったらこの子の口が裂けます」 チャッ


春香「……っ!」


269:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:46:23.24 ID:NtDrnLmN0


春香「……やあああっっ!」 バッ! スパッ!

善永「なっ……くっ!!」


美希「春香ぁっ!」

春香「美希っ! 逃げて……こんな人の言う事、聞いちゃ駄目っ!!」 グイグイッ!


善永「……ッッ!」 ザッ!

    バサッ!

春香「いっ……!!」 ヨロッ


美希「春香ああああああっっ!!」 ダッッ

善永「……余計な真似を……」


       ドンッ!


274:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:49:08.06 ID:NtDrnLmN0


美希(集中……!!)

美希(春香が押されて……このままじゃテラスから落ちるの……!)

美希(大丈夫、ミキのスピードなら追いつけるの)

美希(だってミキは普通の人間じゃ無いんだから!)


美希(まずは春香直伝の、左殺人チョップであの女をぶっ倒して……)

美希(それから右手で落ちていく春香を掴み上げるの!)


美希(大丈夫! 一秒もかからない! ミキなら余裕なの!!)  ダッ!

美希(まず、ここでこの女の顔面に左チョップを……!)


善永「――はッッ!」     ドスッ!


美希(――あれ?)


275:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:52:38.87 ID:NtDrnLmN0


美希(痛――)

美希「ああああああああああああっ!」

美希「ミキチョーップッ!!」 ズンッ!


      ドゴォッ!!


善永「がは……っっ」 グラッ



美希(そして――っっ!!)

美希「右なの!! 春香――っ!!」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   テテレッテレッテッテッテレッ <タッチして下さい> テテレッテレッテッテッテレッ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


278:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:54:58.50 ID:NtDrnLmN0


                   ━ (3) ━


                   ━ (2) ━


                   ━ (1) ━



美希「春香っ……!!」
                     スカッ!
春香「みっ――」ヒュゥッ....




美希「あっ……」

美希「あああっ……」


美希「あああああああああああああああああっ……!!」


279:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:56:13.08 ID:NtDrnLmN0


美希「また……助けられなかったの……」

美希「お姉ちゃんも……ハニーも……春香も……」

美希「ひどい……ひどいの……なんでいつもこんな……」ポロポロ



   ―― 道で、偶然出会った生き物が

   ふと見ると、死んでいた。

   そんな時、なんで悲しくなるんだろう?






    『そりゃ……』

    『ミキが、人間がそれだけ、ヒマな動物だからさ』


283:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:58:20.86 ID:NtDrnLmN0


『だがな……それこそが人間の取り柄なんだ!』

    『心に余裕がある生物……』

    『なんと素晴らしい!』


    『だから……、いつまでもメソメソしてるんじゃない』


    『あと、こいつ重い』

    『疲れるから自分で持ちな』



美希「えっ……」


右手「……」

春香「お、落ちる……うぐぐぐ……」 ブラーン


284:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 05:59:51.22 ID:NtDrnLmN0


やよい「み、皆さん、今警備員の人を……」

やよい「うわっ!」


美希(……ミギー?)

美希(もしかして……今……)



やよい「み、美希さん、そのまま掴んでいて下さい!」

やよい「今引っ張り上げます!」


やよい「やっさーっ!!」 グイッ!


春香「うわっ!!」 ドシンッ

美希「あいたたたなの……」


286:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 06:01:13.27 ID:NtDrnLmN0


警備員1「大丈夫ですか!」

警備員2「こいつ……一体どこから入り込んで……」

警備員3「すぐ救急車を!」


美希「救急車……?」

美希「あっ……春香……! 顔に怪我してるの……!!」


春香「ちょ、ちょっと頬を斬られたただけだから……」

春香「それより……救急車が必要なのは美希だよ!」

春香「う、左腕に……!」


美希「……あっ」

美希「い、痛い! 何コレ……スッゴク痛いの! いたたたたっ!!」


288:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 06:02:46.47 ID:NtDrnLmN0


美希「……痛たた……」」


右手「……」

美希「……。春香……」

美希「……ミギー、見た?」


春香「……?」


美希「今……たしか……」

美希「ミギーが春香を助けてくれたような……気がして……」


春香「そうかな?」


春香「……でも、……それはたぶん」

春香「私を助けたんじゃなくて……美希を助けたんだと思うよ」


291:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 06:03:53.89 ID:NtDrnLmN0


美希「……?」

春香「私を助けてくれたのは……美希でしょ?」

春香「いつもと変わらない……優しくて、真っ直ぐな、美希」


美希「……は、恥ずかしいの……」


春香「私の側に美希がいるように……」

春香「きっと……」

春香「美希のそばにも……きっと、助けになってくれる人がいるんだよ」



美希「すぐ……そばに……」


美希(……ミギー、いるの……?)

右手「……」


293:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 06:05:36.22 ID:NtDrnLmN0


    <  何かと共に……  >

    <  守りながら、支えながら……団結し……  >


    <  何かに寄り添い、やがてその命が終わるまで――  >



      ――< アイドル >

      それは全ての女の子達の憧れ――

      これは ―― その頂点に辿り着いた ――


      三人の女の子と、一匹のパラサイトの物語である ――




                         【 終わり  】


294:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 06:07:14.12 ID:WOZJE8bP0


乙!!!!
本当に乙。すごく楽しかった



296:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 06:08:01.98 ID:IKl3jnpB0


GJ&乙!!!!!!!!!!
>>1は本当によくできるP



309:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 06:17:46.96 ID:+S10Rsmn0


乙!
楽しかった!



313:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/04(水) 07:23:37.01 ID:3QEn+cCq0



ちょっと寄生獣買ってくる!






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P「どうやら響に嫌われたみたいなんだが……」