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カオスな情報置場:【不定期映画レビュー】第32回 ダグ・リーマン監督『オール・ユー・ニード・イズ・キル』


2014年08月07日19:25

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生活に変化がありました(挨拶)


『オール・ユー・ニード・イズ・キル』


監督:ダグ・リーマン
脚本:ダンテ・W・ハーパー、ジョビー・ハロルド、スティーヴ・クローヴス、クリストファー・マッカリー、ティム・クリング、ジェズ・バターワース、アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー
主演:トム・クルーズ、エミリー・ブラント

2014年7月公開


公式
http://wwws.warnerbros.co.jp/edgeoftomorrow/
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PV




評価
★★★★★★★★★☆(9/10)



●あらすじ

 近未来、地球は宇宙からの侵略者・ギタイにより攻撃を受けていた。ハンブルクに始まり、東京、ニューヨーク、上海など数々の都市が陥落していく中、人類はギタイと戦うための機動ジャケットを開発し、反撃を開始する。
 ギタイと戦う多国籍軍UDFのメディア担当である主人公ウィリアム・ケイジはPR活動により軍への志願者を募ることが仕事だったが、ある日、上官に逆らったことが原因でフランスの前線に脱走兵として送り込まれてしまう。実戦経験0に等しいケイジは慣れないジャケットのまま戦地に出るがあっという間に死亡。
 しかし、目覚めるとそこは出撃の前日の基地だった。死ぬたびに、ケイジはその瞬間に戻ってくる。
 ループの始まりだった。


●レビュー

 初めに言っておくと、これは日本のライトノベル『All You Need is Kill』の実写映画化ではない。

 これはハリウッド“版”『All You Need is Kill』、あるいは『Edge of Tomorrow(英題)』である。
 設定と中盤までの展開は同じだが全体像を見れば別物で、別物だが面白い。そんな映画だ。


 まず、主人公の設定からして違う。
 原作の主人公キリヤ・ケイジは初年兵の少年だが、映画の主人公ウィリアム・ケイジは軍のメディア担当の中年である。ヒロインにしても、リタ・ヴラタスキという名前こそ同じものの、細身の少女からマッチョの女優に変貌している。キャラだけとっても違いを挙げればキリがない。
 
 序盤はとにかく主人公・ケイジが死ぬ。
 慣れない戦場で死ぬ。銃のセーフティが外せずに死ぬ。
 ヒロインであるリタと出会い死ぬ。リタに会いに行くのに失敗して死ぬ。
 笑えるようなうっかりで、小気味良いリズムで死ぬ。ジャッキーNGシーン集のように死ぬ。
 原作では割と絶望感しかないループのシーンだが、映画では冒頭の主人公のキャラ造形もあって、笑える。
 そうやってケイジは自分の命を使いながら虱潰しに手段を模索していく。
 その中で、ゆっくりと物語は原作からズレてゆき、原作とは異なる地点に着地する。
 中盤からは原作と全く異なる展開へと転がっていくが、原作を踏襲したシーン自体はそこかしこに見受けられるし、「ここにソレを持ってくるか」と思えるような意外性もある。
 もちろん賛否両論はあるだろうが、「別物として観ればこれはこれで」のラインを超えて、個人的には楽しめた。
 特にケイジが、主人公にも関わらず上司を脅迫してでも前線から逃れようとするようなキャラということもあり、ループの中で研ぎ澄まされていく過程は原作にも増して際立っている。中盤、ケイジが完全に豹変するシーンなどは本当に痺れた。
  
 30キロ、40キロあるという機動ジャケットを着た兵士たちとギタイとの戦いは『スターシップトゥルーパーズ』やその原作『宇宙の戦士』のようだし、1300トンの土砂と550メートルに渡るグリーンバックで作られた戦場は『プライベートライアン』のノルマンディーのようだし、180億円の制作費がかかってるだけあり映像的にも非常に豪華である。
 特に、トム・クルーズ演じるケイジが戦場を滑るように移動し、スーツを纏った自らの拳でギタイを殴り殺していくシーンは凄まじく泥臭くて良い。(原作に登場しメイン武器となるバトルアクスは映画には出てこない。リタが最初に使っている武器もヘリの回転翼である。)


 原作の設定を上手く踏襲しながら、しっかりと新たなものを作り上げた、良作だったと思う。
 また、『高機動幻想ガンパレード・マーチ』のプレイ日記から着想を得て書かれたライトノベルがこうして大作映画となって輸入されてくるというのはすごく夢があって良い。現在執筆中だという『All You Need is Kill 2』にも期待したいところである。トム・クルーズ主演で映画化予定の『戦闘妖精雪風』にも期待してもいいのかもしれない。

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この記事へのコメント

1. Posted by カオスな名無しさん   2014年08月07日 20:14 ID:d5GI3PUS0
トム・クルーズが好き。
吹き替え声優さんの声も好き。
こういう設定も好き(原作未読)。

間違いなく楽しめそう。
2. Posted by カオスな名無しさん   2014年08月07日 20:14 ID:s3ITkUgv0
円盤出たら見ます
3. Posted by カオスな名無しさん   2014年08月07日 20:26 ID:V7zutqu.0
え雪風も映画化するのか
4. Posted by 鮭(管理人)   2014年08月07日 20:44 ID:C25eeEKE0
※1-2
よろしくお願いしますね(´・ω・`)b

※3
映画の原題は「YUKIKAZE」になるみたいで、『タイタンの逆襲』の脚本の人が脚本担当になるとかならないとか
『オブリビオン』『All You Need is Kill』『戦闘妖精雪風』とSFが連続してるんですが、トムに何かあったんですかね

ただ、『ミッションインポッシブル5』と『アウトロー』の続編(ジャック・リーチャーシリーズ新作)も準備中みたいなので、だいぶ先になるかもしれません
5. Posted by カオスな名無しさん   2014年08月07日 21:09 ID:f18YhJMm0
骨折で「リセット」されるのがまるでゲームの主人公みたいだ
…俺らがやってるゲームの世界でも、もしかしたらこんなことが起きてる可能性が微レ存w
6. Posted by カオスな名無しさん   2014年08月07日 21:09 ID:.oa9gnK50
鮭君はラストをどう解釈したのか気になる
あたしゃ、リタや分隊の連中がどうやっても死ぬので
たった一人でケリを着けたと思ってる
二等兵扱いじゃなかったのは将軍と取引をしたんじゃないかと思う
7. Posted by 鮭(管理人)   2014年08月07日 21:27 ID:C25eeEKE0
※5
骨折一つでケイジを始末するのは、パラレルワールドは無限に発生する論者の僕としては正直サイコっぽくて怖かったです。
パラレルワールドが分岐して「ケイジが死んだ世界」が存続するとしたら、その時間軸のリタ達は(手負いとはいえ)希望であるケイジ抜きで戦うことになってるはずなんですよね(((´・ω・`)))
「あ、やっぱり生かしとけばよかった・・・」って後悔してそう

※6
僕も概ねそれで間違ってないと思います。
一人で始末しに行ったか、あるいは少佐という階級もあるので、交信装置を得た時のように将軍と交渉して、それで米軍を動かしてΩを潰したのかな、と

リタを初めとするUDFの功績を「PR」する人間だったケイジが自らの功績を誰にも知らせずに皆を守る、っていう冒頭と結末での対比構造なんじゃないでしょうか
8. Posted by 774   2014年08月07日 23:39 ID:JPS5kgQd0
戦闘妖精雪風がハリウッド化か…。
アニメ版は原作小説とは別の"在り得たかもしれない"エンディングと、
スーパーシルフやメイヴの格好良い大胆なデザイン変更が気に入っている。
ハリウッド版に期待するとしたら"フェアリィ語"とVFX満載の空戦。

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