マルハニチロの子会社アクリフーズ(群馬県大泉町)の工場で働いていた元・契約社員が、
同社の冷凍食品に農薬を混入したとされる事件で、被告に懲役刑が言い渡されました。
画像:【阿部利樹被告】
http://sankei.jp.msn.com/affairs/photos/140808/trl14080813060005-p3.htm
8日、前橋地裁は「偽計業務妨害」や「器物損壊」などの罪に問われた阿部利樹(49才)被告に懲役
3年6ヶ月(求刑4年6ヶ月)を言い渡しました。
判決内容によると、阿部被告は昨年10月3日~11月5日ごろ、冷凍食品のピザやチキンナゲットなど
22袋分に農薬「マラチオン」を噴射し、製造や出荷などの業務を妨害したとのこと。
画像:【ミックスピザ(アクリフーズ)】
阿部被告は犯行動機について
「2012年4月から給与制度が年功序列から能力重視型に変わり、ボーナスが26万円から最後には4万6千円まで減らされた。 自分の後に入った従業員の方が給料が多いことを知ってショックを受けた」
「上司への反発から農薬をかければ騒ぎになり、上司が責任を取らせられると思ったが、農薬をかけた製品が市場に出るとは思わなかった」
などと述べていましたが、野口佳子裁判長は
「極めて危険な行為で、思慮分別に欠ける悪質な犯行」
「待遇や上司への不満などの動機も特段くむべき事情にはならない」
「消費者の中には、体調の異変を訴える人もおり、刑事責任は相当重い」
と厳しい反面、
「真摯(しんし)に謝罪と反省の態度を示している」
として、検察の求刑よりも1年短い刑期を言い渡しました。
この事件では群馬の製造工場が操業をストップし、同工場製の冷凍食品94品目あわせて640万袋が
自主回収され、生産停止と購入者への返金などで少なくとも58億円の損害と約2900人と想定される
被害者が出ています。
当時のマルハニチロとアクリフーズの両社長は辞任し、同工場で働いていた従業員294人も半分以上
が辞める事態となりました。
再発防止策に、従業員にICタグ付きの帽子着用が義務付けられ、出入り口で認証をし、監視用カメラも
以前の5台から120台に増設され、今月1日から7ヶ月ぶりに操業を再開しています。
裁判の行方はどうなるのでしょうか・・