2014年08月10日21:45
好きにブログを更新していくスタイルにしました。
『新しき世界』
監督:パク・フンジョン
脚本:パク・フンジョン
主演:イ・ジョンジェ、チェ・ミンシク、ファン・ジョンミン
http://www.atarashikisekai.ayapro.ne.jp/
PV
http://youtu.be/zpTQdHEUqEg
評価
★★★★★★★★☆☆(8/10)
●あらすじ
韓国最大の犯罪組織・ゴールドムーン。ある日、その会長・ソクが事故死した。
空席になったトップの座に誰が収まるか、跡目争いが始まろうとしていた。
一方、潜入捜査官としてゴールドムーンで働いていたイ・ジャソンは、実質的ナンバー2であるチョン・チョンの片腕であったことを理由に、次期会長選挙に干渉するよう命令される。警察庁はゴールドムーンのトップに自らのスパイを据えることで、最大の犯罪組織を操ることを画策していたのだ。
大きすぎる力を握るため、戦いが始まろうとしていた。
●レビュー
『インファナル・アフェア』+『ゴッドファーザー』とキャッチコピーにある。
本当にこれである。
本作の主人公イ・ジャソンはマフィアのナンバー2の片腕にして、潜入捜査官である。
ソク会長の事故死により、ようやく八年の潜入捜査の任を解かれるかと思いきや、警察内部の上司・カン課長により次期会長選挙に関わることとなってしまう。本人はそれを望んでいないにも関わらず、会長の座へのお膳立ては着々と進んでいく。
潜入捜査官という設定、警察の正義と潜入先のアウトローとの絆に揺れるというストーリー運びは『インファナル・アフェア』のようだし、元々は地位を望んでいなかった男がマフィアのトップへと駆け上がっていく展開は『ゴッドファーザー』のようである。
しかし本作はある種意識的に、しかも明らかに分かる形で『インファナルアフェア』をなぞっていると言ってもいい。
もちろん、潜入捜査官がヤクザやマフィアの組織内での仲間と警察官としての正義を天秤にかけて悩む展開自体はその設定につきもので、『レザボアドッグス』やその元ネタ『友は風の彼方に』、漫画でも『土竜の唄』など、数多くの作品で登場する。
が、ここに「高級腕時計のコピー品」がキーアイテムとして登場し、自分以外の潜入捜査官がターニングポイントの一端となったら、どうだろう。ご覧になった方なら分かると思うが、これらはいずれも『インファナルアフェア』の印象的なシーンである。もうお気づきかと思うが、これらのシーンは本作『新しき世界』にも登場する。
一度それに気づいてしまうと、どうにも元が頭をちらついてしまって、仕方がなかった。
とはいえ、単なるパクリ映画というわけではなく、韓国映画お得意のバイオレンスシーンもしっかり存在し、冒頭からハンマーで足の指を叩き潰すわ、海に沈める相手にセメントを飲ませてからドラム缶でコンクリ漬けにして沈めるわで、退屈はなかなかさせない。
もっとも、潜入捜査官の主人公の素性がバレそうになる理由が「凄腕のハッカーによる警察庁データベースへの攻撃」だったり、終盤に突如としてそれまでの暴力からスケールが一気に飛躍した大乱闘が発生するあたりは個人的にはやや違和感があった。
よく出来た映画だとは思うのだが、どうしても立派な先駆者がいるだけにそこが気になってしまった。
結局、どんな映画かと尋ねられたらやっぱり「『インファナルアフェア』みたいなマフィアへの潜入捜査官モノなんだけどラストが『ゴッドファーザー』」と答えるし、それであんまり間違ってない。
面白いんだけども、それは先駆者あってのものなので、ある種のずるさを感じるというか。
劣化コピーを脱するだけの腕はあるんだから、もっと捻って欲しかったというか。
ただし、哀愁漂うラストシーンは素直によかった。
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