女「わたしの話をしてあげます」
- 1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 00:53:53 ID:dV3sbCCs
- 男「・・人造人間?」
女「その言い方は好きじゃないんですけどね」
男「どこかのお偉い学者さまが女を造ったってことか?」
女「言っておきますけど、わたしも人並みに両親はいますから」
男「改造人間ってことか?」
女「んー、なんと言えば良いんでしょうね。身体そのものは完全に人工物ですよ」
男「誰かの右腕でも犠牲にしたのか?」
女「何も持ってかれてません」 - 2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 00:54:25 ID:dV3sbCCs
- 男「しかしそういう言い方をする以上、もとは普通の人間だったのだろう?」
女「わたし自身はそう思ってますが、わたしの意識は仮想世界からサルベージされたものらしいです」
男「仮想世界からサルベージ? 仮想世界ってヴァーチャル・リアリティみたいなのか?」
女「たぶんそのイメージで正しいと思います」
男「なにそれ羨ましい」
女「そうですか?」 - 3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 00:55:22 ID:dV3sbCCs
- 男「で、どこから質問すれば良いんだ?」
女「この話を他人に話すことなんてなかったので自分でも分からないです」
男「・・とりあえず女を造った? 人に会うことはできないのか?」
女「その人は死んでると思います」
男「え」
女「その人は仮想世界を組み立てたあとに研究を続けられなくなったみたいです」
男「じゃあなんで女がここにいるんだよ」
女「適当にサルベージする人間を選ぶ設計になってたんではないですかね」
女「わたしがわたしに関して把握している事情は、この身体に刷り込まれてた情報と、この世界で目覚めたとき部屋にいた少年に聞いた話くらいです」
男「少年?」 - 4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 00:55:52 ID:dV3sbCCs
- 女「話を聞いた限りではわたしを造った人、博士らしいですが、の孫のようでした」
男「手がかりになりそうじゃないか」
女「わたしが目覚めたとき博士は意識不明だったそうです。そうでなくとも当時で孫がいるくらいですから、現在は亡くなってるのではないかと思います」
男「もしかして会いたくないのか?」
女「・・まあそうですね」
男「なぜ?」
女「大切な人たちと二度と会えなくした人の顔なんて見たくもないです」
男「・・」 - 5 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 00:56:23 ID:dV3sbCCs
- 女「仮に博士が生きていたとしてもまともな状況じゃないでしょうし会うだけ無駄だと思います」
男「じゃあその少年や少年の両親とか」
女「少年と会ったのはそのときだけですし今どこにいるかなんて分からないです」 - 6 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 00:57:05 ID:dV3sbCCs
- 男「そうか・・しかしとりあえず」
女「とりあえず?」
男「俺が女を好きだと言う話と女が人造人間(?)であることとはなんの関係もないよな」
女「そこに話を戻しますか」
男「重要だからな」
女「はぐらかそうと思ってたんですが」
男「答えてくれよ」
女「嫌いではないですけどね」
男「じゃあ俺のこと好きなのか?」
女「やっぱり嫌いってことにします」
男「おい」 - 7 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 00:57:57 ID:dV3sbCCs
- 女「というか道で会って話す程度の人になにを言ってるんですか、あなたは」
男「デートすれば良いか?」
女「そういう問題では・・」
男「じゃあどうすれば良いんだよ」
女「むむ・・」
男「嫌いじゃないんだろ? それともほかに相手がいるのか?」
女「・・いませんが、例え誰でも相手にする気はありません」
男「女が人造人間だからか?」
女「・・」 - 8 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 00:58:34 ID:dV3sbCCs
- 男「俺はそんなこと気にしないし、女のためならなんだってする」
女「言っておきますけど、わたしはあなたよりずっと年上ですよ」
男「全然問題ないよ」
女「多分あなたの両親と同じくらいかそれより年上ですよ」
男「え」
女「・・」
男「もしかして歳とらないのか?」
女「人の身体じゃないですからね」
男「・・それでも俺は女と一緒にいたい」
女「わたしは一人で生きられるので、いつあなたを見限るか分かりませんよ」
男「俺が死んだら女が号泣するくらい惚れさせてやるよ」
女「仕方のない人ですね・・」 - 9 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 00:59:05 ID:dV3sbCCs
- 男「え、え? いまのはOKってことか?」
女「NOだと思いたいならそうとってもらっても構いませんよ」
男「いやいや、OKなんだな?」
女「仕方がなくとりあえず、ですよ」
男「うおおおおお、マジか」
女「と言っても何をするんですか?」
男「同棲しよう」
女「気が早いですね」
男「嫌か?」
女「構いませんよ、好きにしてください」 - 10 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 00:59:50 ID:dV3sbCCs
- 【引っ越し】
女「お邪魔します」
男「いらっしゃい、って荷物そんな少ないの?」
女「着替えくらいしか必要ないので」
男「そういうものか? 夕飯はもう食べた?」
女「大丈夫です」 - 11 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 01:00:22 ID:dV3sbCCs
- 【睡眠】
男「んー布団は一組しかないから女が布団で寝て、俺はソファかなあ」
女「わたしは寝なくても大丈夫なので布団使ってくれて問題ないですよ」
男「眠れないのか?」
女「眠れますが、ほとんど眠る必要はないです」
男「じゃあ女が布団使いなさい」
女「眠るにしてもわたしがソファで大丈夫ですよ?」
男「俺をソファで寝かさせてくれって」
女「男の甲斐性ですか」
男「そういうこと」
女「・・しょうがないですね」 - 12 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 01:01:10 ID:dV3sbCCs
- 【朝ご飯】
男「?♪」
女「朝から上機嫌ですね」
男「まあな」
女「とりあえずご飯とみそ汁を作ってみたので食べます?」
男「なんだこれ」
女「・・何か変ですか?」
男「いや幸せすぎてなんだこれって言ってしまった」
女「初めてつくったので何か変なのかと思ったじゃないですか」
男「料理初めてなの?」
女「そうですね、というかこの身体は食べる必要がありませんし」
男「・・スマン」
女「なにを謝ってるんですか」
男「うん、すげえ美味いよ」
女「・・刷り込みされてたおかげです」 - 13 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 01:01:43 ID:dV3sbCCs
- 【呼び方】
女「男は仕事に行くんですよね? 弁当も作ってみたので食べられそうなら持ってってください」
男「・・ありがとう。って名前で呼ばれた!?」
女「いつまでもあなたでは変でしょうに」
男「・・それはそれで夫婦みたいで捨て難いが」
女「何を言ってるんですかあなたは」
男「むむう悩む」 - 14 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 01:02:24 ID:dV3sbCCs
- 【メール】
仕事中
男「ん、メール?」
女『夕飯、何か希望はありますか』
男「ふむ・・女が作ってくれるならなんでも嬉しいよっと」
男「そういえば女はなにでメールを送ってきたんだ? それらしい端末は持ってないように見えたが・・」
帰宅
女「ああ、そんなこと気にしてたんですか。適当にその辺の回線に物理的に情報を流しただけですよ」
男「物理的って」
女「ジャックですよ、電波ジャック。情報工学や電気工学に関する知識は一通り刷り込みされてる上に、色々な機能が内蔵されてますからインターネットの閲覧も脳内でできるんですよ」
女「人間離れしてて気持ち悪いって思いました?」
男「いや、単純に凄いなって思ったよ」
女「ちなみに男の送受信したメール内容も電波で分かるので、変なことはしないでくださいね」
男「・・」
女「引きましたよね」
男「いや大丈夫、大丈夫」 - 15 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 01:03:04 ID:dV3sbCCs
- 【電子マネー】
男「今までどんな風に生活してたんだ?」
女「どんなふうにもなにも、人に不審がられない程度に色々なところを歩いてまわってただけですよ」
男「もしかしてホームレス?」
女「その通りですがなにか?」
男「そのわりには綺麗な身なりしてたよな」
女「電子マネーって便利ですよね」ボソッ
男「・・聞かなかったことにするよ」 - 16 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 01:03:37 ID:dV3sbCCs
- 【人恋しい】
男「しかし歩いてるだけではそのうち顔覚えられて不審者扱いされるのでは」
女「電車とか使ってましたし」
男「かなり大規模な移動してたのか」
女「そうですね」
男「じゃあなんで連日俺に会ってたんだ?」
女「あなたが最初に会ったときからずっと別れ際にまた明日とか言うから仕方がなくです」
男「律儀だな」
女「・・いい加減人恋しかったのかもしれないですね」 - 17 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 01:12:45 ID:dV3sbCCs
- 男「女は元の世界に戻ることや、その身体をなんとかすることは諦めてるのか?」
女「元の世界に戻るも何も、元の世界にわたしはいますからね」
男「は?」
女「サルベージと言いましたけど、単純にコピーらしいですよ」
女「だから今ここにあるわたしの意識をあの世界に戻すことはできないんです」
女「それに時間が経ち過ぎてますから、戻っても自分も知ってる人も残ってないと思います」
女「もしかしたらあの世界、部屋すらもうないかも知れませんしね」
女「身体についても、身分証明がない以上、適当に誤摩化しつつ生活できるこの身体は便利ですからどうするつもりもないです」
男「それは女の意思ではないだろ」
女「でもこの身体でなければこの世界でわたしが生きることはできませんよ」
男「俺が女を助けると言ったら?」
女「・・なんでそこまでわたしに入れ込んでるんですか」 - 18 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 01:13:16 ID:dV3sbCCs
- 男「最初は単にかわいい人だなと思って軽い気持ちで話しかけただけなんだがな」
男「ただ話してるうちに楽しくなって、話を聞いてくれるのが嬉しくて、ずっと一緒にいてほしいと思った」
男「そんな理由では駄目かね?」
女「なんだかしょうもない理由でがっくりです」
男「人が人を好きになる理由なんてそんなもので十分だろ」
女「たったそれだけの条件を満たせる人なんてほかにいくらでもいるでしょうに」
男「よく一緒にいられるって条件が意外に厳しいんだよ」
女「つまりほかにそういう人がきたらなびくってことですね」
男「嫉妬してくれるほどに惚れた?」
女「どうぞ勝手になびいてください」
男「・・」 - 19 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/13(水) 01:13:49 ID:dV3sbCCs
- 男「とにかくだ、俺は女とずっと一緒にいたいから女が助けてほしいと思ってるなら助けたい」
男「それを踏まえた上で、女は今の状態でも良いと思ってるのか?」
女「今のままでも誰かコメント一覧
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- 2014年08月13日 23:36
- 18号……?
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