USB 3.0の規格化団体であるUSB 3.0 Promoter Group が、以前より新型コネクタとして発表していた『USB Type-C』規格を策定したと
発表しました(リンク先はプレスリリースPDF)。正式版となった仕様は、早くもUSB 3.1規格の一部として
PDFファイルが公開されています。
タイプCコネクタ自体は
本誌でも既報の通り、2013年12月に開発を発表していました。小型化が進むスマートフォンなどの機器に向けたサイズの縮小と、最大100Wまでの給電を可能にする
USB PD(Power Delivery Specification)への対応、そして表裏どちら向きにも挿せる構造が特徴です。
気になる端子サイズは、マイクロUSB 2.0コネクタとほぼ同等となる幅8.4×厚さ2.6mm。そして理論上の耐久性に関しては挿抜可能回数が10000サイクル以上である点や、電流量としてコネクタは5A、標準ケーブルは3Aにまで対応することが定められています。
公開された仕様から読み取れる興味深い特徴としては、コネクタの形がアップルのLightningコネクタに似た楕円形状になっていること。これはおそらく装着をしやすくすると同時に、耐久性の向上にも貢献しているものと思われます。
なお、ケーブル側の端子は従来のUSB端子と同じく、周辺にカバーを設けた仕様。ケーブルがLightningと区別が付かなくなる心配はなさそうです。
ともすればUSB 3.1専用という印象があるタイプCですが、コネクタ自体は従来のUSB、つまり3.0や2.0でも使える仕様なのもポイント。実際に仕様書には、USB 2.0用の(内部端子を減らした)タイプCコネクタや、USB 2.0用タイプCケーブルの仕様も記載されています。
低価格スマートフォンなどではまだまだUSB 2.0が使われる機会はありそうですが、そうした機器でも利便性を高めるべく「コネクタだけはタイプC」という仕様は今後増加しそうです。
また、タイプCケーブルとコネクタは当然ながらまったく新しい形状となるため、現行コネクタとは互換性がありません。そのため仕様書には、従来のUSB端子との変換アダプタも記載されています。
さて、規格が正式に決まったとなれば、当然気になるのは今後のスケジュール、つまり搭載機器がいつになるのかですが、残念ながらプレスリリースには一切記載されていません。
ただしここでヒントになりそうなのが、6月のCOMPUTEX TAIPEIで発表されたエイスースのTransformer Book T300 Chiです。同モデルはインテルの次期CoreシリーズCPU(おそらくCore Mと思われます)やWQHD(2560×1440ドット)対応の液晶を搭載する、ハイスペックな合体式Windowsタブレット。合体時でも最厚部が14.3mm、最薄部が5.25mmという薄さが持ち味です。
ASUS Transformer Book T300 Chi
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しかし、発表会場での展示機(ショーケースに入れられており、実働は不明でした)ですべての面を確認したところ、USB端子は本体側にあるマイクロUSB 2.0×1基のみ。つまりCore M搭載機でありながらUSB 3.0非搭載という、非常にバランスを欠いた仕様でした(下の写真で上部にあるのが本体で、右端がUSBコネクタです。全面からの写真は上記スライドショーをご確認ください)。
もしこれがほぼ同サイズとなる(USB 3.1、または3.0の)タイプCコネクタに変更されると仮定すると、仕様の面からも妥当ですし、新仕様をいち早く搭載するエイスースのイメージにも合致します。
T300 Chiの発売日は未公表ですが、インテルによるとCore M搭載PCの第一弾は年末商戦としているため、それ以降なのは確実。一方でCOMPUTEXに合わせて発表した以上、次のCOMPUTEX、つまり2015年6月までには発売することもほぼ確実。つまり2014年末から2015年前半となります。
これまでのUSB規格が製品化された時期から推定しても、このタイミングで搭載製品が登場するのは、十分ありえるタイミングではないでしょうか。
いずれにせよ、「USBとは本当はUniversal Serial Busの略ではなく、『(端子の向きが)上か? 下か? バカめ、そこはLANポートだ』の略ではないか?」とまで言われ、これまでユーザーの焦りと不興を買ってきた端子が改善されるというのは、間違いなく好ましい話。ユーザーとしては一刻も早い製品の登場を待ち望みたいものです。