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宮城県の全面LED植物工場。仕組みとその狙いは : ギズモード・ジャパン

宮城県の全面LED植物工場。仕組みとその狙いは

2014.08.14 23:00
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日本を救うのは、レタスかもしれない。

宮城県多賀城市に、1万7,500個LEDライトを使った植物工場が建設されています。設立したのは株式会社みらい。2,300平方メートルに及ぶこの植物工場は世界最大規模で、1日1万株のレタスが収穫できるそうです。


世界をリードする「グリーンルーム」


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グリーンルームとは、みらいの人工光を使った植物工場のこと。ここではセンサーによる環境の完全コントロールで、植物にとって理想的な環境下で水耕栽培が行われています。例えば、栽培用人工照明の調節によって日中と夜間のサイクルを作り出したり、二酸化炭素などの大気組成分を制御することで、光合成をサポートします。

植物の「呼吸」を意識した環境づくりをすることで、単純な昼夜サイクルよりも大きな効果が得られるそうです。また閉鎖式培養液循環システムや、最適な空調管理も同時に行うことでも、栽培効率を高めているようですね。

そしてシステムや環境面のほか、みらいが徹底しているのが「衛生管理」。作業者は工場の中に入る前に必ずシャンプーとボディーソープで身体を洗い流す規則があります。外気も遮断し、グリーンルームを無菌に近い空間できるので、農薬を使わない栽培が可能になっているのです。

このような環境作りのときに使われる、栽培ベッドの構造設計、栽培システムなどは全てみらいが自社開発したもの。世界トップレベルの植物工場技術として世界中から注目を集めていますが、この事業にここまで懸命に取り組むのにはもちろん理由があります。


必要なことを見据えた上で、夢のあるものを



「今回このプロジェクトが始まった経緯は、日本の農業の大規模化や工業化。今何が必要なのかをきちっと見据えた上で、夢のあるものを作っていこう、というのがこの計画の最初の入り口だった」

震災によって多くの人が直面した食糧難。お金さえ出せば何でも手に入る豊かな環境に慣れすぎていた私たちにとって、初めて食に対する意識が大きく変わった契機となりました。特に当事者である被災地の方はなおさら考え方が変わったことと思います。

しかしそこで終わるのではなく、それを次に活かす必要性。これをプロジェクトに関わったメンバーは強く感じていたのでしょう。

「被災したことを武器にしようよ。あの時食べるものがなかったよね、やっぱり食って大事なんだよね」

そういう状況を体験したからこそ分かったことを、これからの日本に活かしていきたい。この気持ちの強さが、プロジェクトの原動力になっているのです。


グリーンルームのメリット


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徹底管理された植物工場で野菜を栽培するメリットには、どんなものがあるのでしょう? 

1つ目は、安定性の面。季節や天候を選ばないコントロールされた環境で栽培されるため、安定した生産や収穫をできる事が挙げられます。従来の露地栽培では50%近かった生産物の廃棄率10%にまで減少させることができているそうです。

2つ目は、効率の面。グリーンルームでは上の画像のような多段の栽培ベッドで植物を栽培しています。狭い空間ですが、同じ面積でも多くの野菜が収穫できるようになるため、生産効率が飛躍的に向上するのです。単位面積当たりで露地栽培と比較すると、その面積効率は100倍なんだそう。

3つ目は、栄養価食べやすさの面。グリーンルームで栽培された野菜「みらい畑」は栄養価が高く、特にビタミンミネラルが豊富なんだそう。またえぐみや苦味が少ないため、野菜が苦手な方でも食べやすいといわれています。

安定的に安全な野菜を供給できる。食に対する意識が高まるような経験がなければ、ここまで急速にこれらの栽培技術を実現させることはできなかったかもしれませんね。


「みらい畑」のこれから


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みらいの植物工場は、現在すでに全国13都道府県25か所以上に導入されています。実店舗での取り扱いも続々と行われているようで、みらい畑を使った食事ができる店舗も出始めているようです。これからの事業実績に期待が高まりますね。

今後は東南アジアアメリカ中東などにも展開が予定されており、モンゴルへの輸出も決定しています。

レタスだけでなくサンチュや水菜、ペパーミントなど15種類の野菜が栽培ができるグリーンルーム。栽培ベッドの構造的に、今は葉物がメインのようですが、もしかしたらこれからの栽培技術の進歩で、大きさのある野菜も栽培可能になる日がやってくるかもしれません。もちろん、土の中から収穫されるメリットもあると思うので、双方のいいとこ取りをしながら次世代の農業に生かされればいいなと思います。


source: GE REPORTS, 株式会社みらい

(今野愛菜)

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