側近「魔王様の食事情」
- 1: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:06:12.41 ID:Dy0w1f320
魔王「あー疲れたー!」
側近「今日も政務お疲れ様です。何か甘い物でも飲みますか?」
魔王「んー、いいや。もうすぐ夕食だし」
側近「それもそうですね。ではお持ちしましょう」
魔王「ああ、頼む。ところで、今日のメニューは」
側近「……あ、届きました、準備がいいですね。今お持ちいたします」ガラガラ- 2: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:06:41.20 ID:Dy0w1f320
側近「前菜は冬虫夏草のシーザーサラダ、触手入り」
側近「スープは魔海ゴッドミソスープ」
側近「続きまして、メインの魚介は魔人魚の半身煮(上半身)」
側近「肉料理は岩石獣の皮付き肉」
側近「デザートはプリンとなっております」
側近「……おや、魔王様?いかがなさいました?」
魔王「頭痛くなってきた」
- 3: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:07:23.00 ID:Dy0w1f320
魔王「いや、もうどこから突っ込んでいいのか」
側近「突っ込むも何も、別におかしいところなど無かった気もしますが」
魔王「おかしいだろ!?なんでいきなり冬虫夏草食わせようとしてんだ!?私は魔王だぞ!」
側近「薬膳ですよ、何言ってるんですか」
魔王「誰が好き好んであんなもん食うんだよ!触手入りだし!」
側近「ハァ、我が儘ですね」
魔王「冬虫夏草が出来上がるまでの過程を見てから言ってみろ!?」
※調べてはいけません
- 4: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:08:02.01 ID:Dy0w1f320
魔王「それに、魚料理だって言ってるのに何故か出てくるのは人魚の上半身だし!」ツンツン
側近「ガワだけですよ、中はしっかり白身です」
「タスケ……タスケテ……」
魔王「……」
側近「フンッ」グシャッ
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」
魔王「……今の、何?」
側近「さぁ?」
- 5: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:08:44.42 ID:Dy0w1f320
魔王「肉だって岩石獣の皮付き肉なんて硬くて食べられたものじゃないし」
側近「あなた、仮にも魔王ですよ。その程度食べられなくてどうするんですか。顎を鍛えなさい顎を」
魔王「お前これ食えるのか?」
側近「無理に決まっているでしょう、あなた何を言っているんですか」
魔王「お前ぶっ飛ばすぞ」
- 6: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:09:49.97 ID:Dy0w1f320
魔王「……まぁいいや、とりあえず下げさせろ。今は食事する気になれん」
側近「勿体ない、我が国の貧困層に満足に食事だって出来ない哀れな子供たちもいるだろうに、トップがこれでは……」
魔王「じゃあ今すぐこの料理をその哀れな子供たちとやらに分け与えてこい」
側近「出来る訳ないじゃないですかそんな危険な事」
魔王「お前ホント変なところで正直だな!?」
- 7: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:11:36.88 ID:Dy0w1f320
側近「分かりました、ではこちらはちゃんと適当な人のお腹に収めてもらいます。それでいいですね」
魔王「……人選誤るなよ?」
側近「折檻用ですね。粗相を犯した人に処分してもらいましょう」
魔王「いいからさっさと持って行ってくれ……」
側近「……」
魔王「まだ何か?」
- 8: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:12:13.98 ID:Dy0w1f320
側近「一品だけ何も言ってくれなかった気がするのですが」
魔王「突っ込む気力もないわ」
側近「……」
側近「一品だけ」
魔王「わかった分かった突っ込んでやる!なんだよこのゴッドミソスープって!なんちゅうネーミングセンスだ!」
側近「……ゴッドミソスープ、神の味噌汁。それは神のみぞ知る……」キリッ
魔王「……」
側近「神のみぞ……」
魔王「早く片付けろ」
- 9: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:13:27.44 ID:Dy0w1f320
――――――
―――
―
側近「と、申しておりまして、魔王様は私の作った面白カッコイイ料理を食べてくれません」
オーク隊長「いや、アンタ何がしたいんだよ」
側近「ちょっとしたお茶目です。私の高度なセンスが分からない貴方もまだまだですね」
オーク隊長「分かりたくもないっての」
側近「一応、これは由々しき事態です魔王様に好き嫌いがあってはなりません」
オーク隊長「それ以前の問題な気がしないでもない」
- 10: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:14:26.56 ID:Dy0w1f320
竜爺「ほう、あの娘好き嫌いをしておるというのか?」
側近「あ、竜爺様。居たんですか」
竜爺「若い子はダメじゃのう、食える時に食わねば勿体ないというに」
側近「……ふむ。では竜爺様、これ食べてみます?」
オーク隊長「うえ!?なんじゃこりゃ!?なんか蠢いてるぞ!?」
側近「さっき私が魔王様に食べさせようとしたものです。オーク隊長も食べますか?」
オーク隊長「いりません」
竜爺「おお、ちょうど飯がまだだったんじゃ。頂こうかのう」ガリッゴリュッ
オーク隊長「マジで!?」
- 11: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:15:14.26 ID:Dy0w1f320
竜爺「カフッ」ドサッ
側近「あー、やっぱり」
オーク隊長「やっぱり!?」
側近「独学では限界がありましたね。料理なんて作った事さえありませんでしたから」
オーク隊長「それを魔王様に食べさせようとしてたのかよ……」
側近「あの娘なら大丈夫ですよ、多分」
オーク隊長「多分!?確証無しかよ!?」
竜爺「中々の歯ごたえじゃが味がダメじゃ」ムクッ
オーク隊長「アンタ丈夫だな!?」
- 12: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:16:02.26 ID:Dy0w1f320
側近「しかし困りましたね、これでは魔王様はお城で食事をとってくれません」
オーク隊長「食べてなかったのか?っつーか本人がいいって言ってるなら別に無理して食べさせることも無いだろ」
側近「ダメです。国のトップを飢えさせておいて何が側近ですか。それにあの娘は育ちざかりなのですよ、このままでは行けません」
オーク隊長「……で、何をさせる気だよ」
側近「簡単な事です。魔王様に相応しい明日の食事を用意するのです」
オーク隊長「嫌な予感しかしねぇよ……」
- 13: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:17:16.10 ID:Dy0w1f320
――――――
―――
―
側近「と、いう訳で始まりました第一回魔王様のハートを食事で射止めるのは誰だ大会ー」パフパフッ
魔王「……」
側近「何ですか、乗ってくれないのですか」
魔王「仕事あるんだけど……」
側近「そんなもん全部私が終わらせておきました。貴女は今日一日遊び呆けていればいいのです」
魔王「酷ェ!?」
側近「お城の料理が口に合わずにほとんど外食で済ませている貴女の為にやっているのです、少しはこちらの気持ちを汲んでください」
魔王「そ……そうなの?」
側近「……イエス」グッ
魔王「絶対ウソだろ」
- 14: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:18:15.19 ID:Dy0w1f320
側近「それでは一品目、お願いしまーす」
オーク隊長「ういー、俺が一番手だな」
魔王「オーク隊長か……子育てもしてるし何だかんで安心出来るな」
オーク隊長「俺が作ってきたのはこれだ!!ハンバーグステーキ定食!!」ドンッ
魔王「ウッ……朝から重い物を……」
オーク隊長「何言ってんだい魔王様!肉はみなぎるエネルギー!朝食わねぇでいつ食うっていうんだ!」
魔王「にしても量がだな……」
側近「魔王様は小食です、そんな気遣いも出来ないようじゃまだまだですね」モグモグ
オーク隊長「何でアンタが食ってんの!?」
側近「毒味ですよ。ふむ、随分と濃い味付けですね。確かにこれなら魔王様のようなお子様や中年男性は喜ぶでしょう。しかし私はそうは行きません」
魔王「お前の意見は求めてねぇよ」
- 15: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:19:29.12 ID:Dy0w1f320
側近「これではカロリーの偏りで魔王様のこの麗しいちっこく可愛い体系が維持できなくなります。そこんとこ分かって……」
魔王「あ、美味しい」モッキュモッキュ
オーク隊長「だろう?一応今回はお試しって事で濃い味付けの物持ってきたけど、いつもはちゃんと栄養バランスを考えてだな……」
側近「何か分からんがくらえぃ」バリバリバリッ!!
オーク隊長「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?」
魔王「た、隊長ーーーーーーー!!」
- 16: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:20:27.23 ID:Dy0w1f320
オーク隊長「」プスップスッ……
側近「ああ、美味しくこんがり……いえ、無益な殺生をしてしまいました」
魔王「何で魔法で射抜いた!?隊長が何した!?」
側近「彼は甘言で貴女を誘惑し自分が先鋒でありながら満腹中枢を満たさせてこの企画を終わらせようとしました。その罪は重いです」
魔王「……また頭痛くなってきた」
側近「では次、行ってみましょうか」
- 17: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:22:27.26 ID:Dy0w1f320
「ヘイ、ワタシ、魔界ノコックネ」キシシシシ
魔王「……誰?」
側近「ウチ(魔王城)のコック長です。魔界では厨房の神様と呼ばれていました。貴女のお父様、先代が直々に引き抜いて来たんですよ」
「ワタシ、魔界デ200万ノレシピ、学ンダネ。ダカラ美味シイネ」シャキンシャキン
魔王「……何だこのまったく信用できないコッテリとした人物像は」
側近「ヒトは見掛けで判断してはいけませんよ、腕は確かです」
魔王「それに私は城の料理が口に合わないから外食をしているんだけど」
側近「今回は魔王様のお口に合うものを用意してきたとか。ではどうぞ」
- 18: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:23:12.15 ID:Dy0w1f320
「魔王様、魔界産ノ料理ニガテッテ言ウカラ、マイルドニシタネ」
魔王「……スープ、だな」
側近「スープですね。魔王様は朝食は軽めに済ませるのでこれとサラダをセットで取れば十分という結論に至ったのでしょう。いいんじゃないですか」
魔王「……お前、このドス黒い青色のスープを見て食欲はそそるのか?」
側近「魔界出身の私でも無理です」
「色ハマダ研究途中ネ、コレカラモット良クナッテイク予定ネ」ジャキンジャキン
魔王「ま、まぁせっかく作ってきたんだから食べない訳にはいかないよな」
側近「昨日の私が作ったものは食べてくれ無かった癖に」
魔王「やっぱりアレお前が作ったんだな!?」
側近「そんなことよりレッツトライ☆」
魔王「仏頂面でそんなノリノリにならんでもいいだろ……」
- 19: ◆cZ/h8axXSU:2014/08/14(木) 03:23:59.67 ID:Dy0w1f320
魔王「……」ズズッ
側近「ドキドキ」
「ドキドキ」
魔王「……」
魔王「まじゅい♪」ダバァ
「ギャアアア!魔王様ガ笑顔デ吐イタネ!!」
側近「ああもう、布巾持っコメント一覧
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- 2014年08月14日 10:21
- 一家に一人、側近
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- 2014年08月14日 10:42
- これはいい魔王ペロペロ(^ω^)
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- 2014年08月14日 10:54
- 吸血鬼V「イワシを食え。健康にいいぞ」
吸血鬼R「納豆を食べなさい。健康的よ」
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- 2014年08月14日 11:09
- 側近君の料理を最高やな!
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- 2014年08月14日 11:47
- 平和だのう…少女魔王たんかわゆ(*゚∀゚)
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- 2014年08月14日 12:10
- ちょうどいい匙加減のツンだな
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- 2014年08月14日 13:41
- オーク一家の組み合わせどこかで見た気がするけどシリーズものか?
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- 2014年08月14日 14:56
- シリーズが気になったら「イノセントミュージアム」で検索!
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- 2014年08月14日 15:31
- 勇者のおにぎりが絶妙な塩加減と海苔のハーモニーが絶妙でOCです
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- 2014年08月14日 16:38
- 勇者が胸の装甲からブレストバーン出してない。没!
*BGM:“勇者はマジンガー” From “GREAT-MAZINGER”
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- 2014年08月14日 22:10
- はた魔みたいなノリかと思って開いたがこれはこれで。
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- 2014年08月14日 22:23
- 面白かったけど
やっぱりパスタは出るのね
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