円形脱毛症(禿)を5ヶ月で完全回復させる薬が見つかる ―Nature Medicine
コロンビア大学メディカルセンターのAngela M. Christiano教授らの研究グループはこのたび、すでに公的な認可を受けている薬を用いることで、円形脱毛症を5ヶ月間で完全に回復させることが可能であるとする研究結果を発表しました。この成果は、科学誌Nature Medicineに掲載されています。
Christiano教授らは2010年、円形脱毛症(alopecia areata)の発症にはリウマチや糖尿病といった自己免疫疾患との関連が指摘されている8つの遺伝子が関与していることを突き止め、そのうちの一つが毛包に大量の免疫T細胞を引き寄せていることを指摘(※1)。これにより、免疫システムの過剰応答によって引き起こされる脱毛症のメカニズムを明らかにしています。
この時の成果をもとに、2013年にはマウスの背中に移植したヒトの皮膚表面に毛乳頭細胞を植え付けることで実際に毛髪を発生させることにも成功(過去記事)。しかし、経口摂取による治療法については、これまで開発されていませんでした。
研究グループでは今回、リウマチの治療などに使われている「JAK阻害剤(JAK Inhibitor)」のうち、代表的な「ルキソリチニブ(ruxolitinib)」と「トファシチニブ(tofacitinib)」に注目。これらを用いてマウス実験を実施したところ、安定した発毛能力を示したとのことです。
さらに、すでに米食品医薬品局(FDA)の認可を取得していたルキソリチニブを用いて3名の円形脱毛症患者を対象とした小規模の臨床試験を行ったところ、全員で完全な発毛回復が見られたと報告しています(以下参照)。
▼初期状態。頭頂部から後頭部にかけてはほとんど発毛が見られない。
▼ルキソリチニブ投薬開始から3ヶ月の時点。顕著な発毛回復が見られる。
▼投薬5ヶ月目。頭部のほぼ全面で発毛が回復。
研究を主導しているRaphael Clynes氏は、「テストはまだ始まったばかりだが、薬の効果と安全性が確認されれば、こうした症状に悩んでいる人々にとって非常に大きなインパクトになるだろう」と語っています。多くの人が待ちわびているであろう脱毛症の治療薬ですが、十分な検討がなされた上で安全性が確認されることに期待したいところですね。
ちなみに…加齢に伴う頭髪の喪失はこうした免疫不調による脱毛とはメカニズムが異なるようで、今回の薬では効果が得られないとのこと。ちょっと残念ですね。
[Nature Medicine via Sciencedaily] [the guardian] [dailymail]
(※1) Genome-wide association study in alopecia areata implicates both innate and adaptive immunity (Nature)
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著者
企業の研究所でR&D業務に携わっておりましたが、2013年4月をもって退職し、当サイトの専属となりました。Techinityはソース明示のポイントを抑えた解説を、Cul-Onはちょっとした小ネタ紹介的な内容にしていければと思っております。
とうとう人類の英知がハゲに勝利をおさめる日が来たか…
生きてる間に見られるとは思ってなかったぜ
意味ねえじゃねえか!!
ハゲはハゲでこの世に必要なんだよ
バカにされる代名詞もないとつまらないじゃないか
そろそろ髪切らなきゃなー(ファサー
(禿)
ハゲないようにする遺伝子とか出てきそう
円形脱毛症は、一番多い男性型脱毛症(AGA)とは原因が違うし、別物なんだけどね・・・
最後の一文ですべての希望をへし折られた……。
STAP細胞はありまぁす
AGAに効果ないのか