「クール・ジャパン」の魅力とは何? エリート外交官が語る日本だけの「クールさ」
「クール・ジャパン」といえば、音楽や映像、ゲームなど優れた日本の魅力を海外に知ってもらう取り組み。ただ、日本に暮らしている僕たちにとっては海外でどのように受け取られているのか、実感がわきにくいと思いませんか?
それなら日本文化を研究してきた、生粋の日本好きに聞いてみるのはどうでしょうか? 東京のチェコ大使館で一等書記官兼チェコセンター初代所長を務めたペトル・ホリーさんがネタ元の無限大(mugendai)で「クール・ジャパン」が与える影響について語ってくいます。
14歳で日本の文化に見せられ、名門カレル大学日本学科で学び、早稲田大学大学院では歌舞伎、鶴屋南北を研究。歌舞伎研究者の古井戸秀夫先生から指導を受けたミラーさんは、ファッションやアニメ、現代アートまでを伝えようとする「クール・ジャパン」が海外に住む人の行動まで変えていると見ています。
私は、「YOUは何しに日本へ」というテレビ番組をよく見るのですが、先日は、東京の街をコスプレで歩きたくて、はるばるデンマークからやって来た男女4人組が登場していました。コスプレが世界中で若者に大人気と言っても、まだそれは自国でやろうとすれば、奇異の目で見られるのでしょう。コスプレする自由を求め、お金を貯めて「本場」日本までやって来て思い切り楽しもうとするのも、クールだと思いますよ。
ただホリーさんは、「クール・ジャパン」にも含まれる伝統芸能の裏には、文化的な土壌やどのように芽生えたのか、また関係者の言葉には表せない努力や訓練、精進があると語り、それらの情報も「クール・ジャパン」を通じて外国に広がって欲しいと指摘します。
そしてアニメやゲームなど新しい文化に目が行きがちな「クール・ジャパン」でも、それらのコンテンツが生まれる日本の伝統文化や民度の高さをアピールして、新旧の「クールさ」を世界に発信する活動にして欲しいとも強調します。
さらにホリーさんは「クール・ジャパン」が伝えようとするカッコよさと歌舞伎の共通点について次のように語っています。
例えば歌舞伎は、「傾(かぶ)く」が語源だと言います。元は「頭を傾ける」ことを「傾く」と言ったそうで、やがて「首をかしげるような行動」についても言うようになり、そこに登場した「派手で異様な衣装や奇妙奇天烈な風体の者たち」を「傾奇者(かぶきもの)」と呼ぶようになったと言います。「傾奇」は、明治以降「歌舞伎」と書かれるようになります。言ってみれば、「傾奇者」の初めは、今で言うコスプレだったのではないでしょうか。
歌舞伎がコスプレかもしれない...とは大胆な見方。無限大(mugendai)ではホリーさんが日本文化をどう学び、何を感じるのか、など海外視点から見た日本について詳しく紹介されていますので、ぜひご覧ください。
(鴻上洋平)