戻る

このページは以下URLのキャッシュです
http://elephant.2chblog.jp/archives/52097294.html


男「僕の初恋」|エレファント速報:SSまとめブログ

TOP

男「僕の初恋」

関連記事:幼馴染「あの窓が開けば、また」
1 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 17:48:54 ID:SSOKtNjc

僕の初恋は、まだ終わっていない

そう思いたい

明日終わるかもしれないけど

本当は3年前に終わっているのかもしれないけれど



2 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 17:49:24 ID:SSOKtNjc




僕には幼馴染が居る

『幼』と言う名前の女の子

保育園の頃からずっと一緒にいた女の子

隣の家に住んでいた女の子



3 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 17:50:02 ID:SSOKtNjc

仲良くなったきっかけは

幼稚園で同じ組になった時だ

僕の持っていたお菓子を彼女が欲しそうに見ていたので分けてあげた

そんな事だった

それから彼女は僕の後ろについて歩くようになった

お菓子を持っていれば、半分にして分けてあげた

彼女はいつも元気いっぱいにお菓子を頬張った



4 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 17:50:45 ID:SSOKtNjc

手を繋ぐようになったのは、彼女があまりに転ぶからだ

いつもはしゃいで走りだし、何もない道で転ぶのだ

絆創膏だらけの手足を見て

僕と手を繋げば、走らなくなるし、転ばなくなるだろう

手を繋ぎ始めたのはそんな理由だった

結局彼女が転ぶクセは中学に入るまで治らなかったけど



5 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 17:51:43 ID:SSOKtNjc

それをわーわーとはやし立てたのは

クラスメイトの男子達だった

でも僕らは手を繋ぐのをやめなかった

その頃の僕は冷やかされていた事が理解出来ていなかったのだ

彼女はどう思っていたのだろう

今となってはわかりようも無い事だが



6 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 17:52:20 ID:SSOKtNjc



窓と窓との行き来が始まったのは小3の頃だ

ある朝、窓の向こうから声がした

『おーい。窓開けてー』



7 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 17:53:03 ID:SSOKtNjc

カーテンと窓を開けると、ベランダの縁に立っていた彼女が

僕の部屋に、僕の胸にいきなり飛び込んできた

僕は必死で受け止めたけれど、重みに耐え切れず

後ろにひっくり返った

驚いてポカンとしていた僕を見て、彼女が笑いだした

つられて僕も笑ってしまった

少し頭を打った痛みも忘れて



8 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 17:53:41 ID:SSOKtNjc


僕が自分の部屋の窓から、彼女の部屋のベランダへ

飛び移る様になったのもすぐだった



9 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 17:54:15 ID:SSOKtNjc

ある日、彼女が僕の部屋へ飛び移るところをウチの両親に知られた

いつもの様に飛び移ってきた彼女を受け止め

よろめいて倒れた時、母が部屋に入ってきたのだ

抱き合って倒れている僕らを見て、慌てていた

どうしてそうなったのかを話すと、怒られた

2階のベランダから窓へ飛び移るなんて危ない事だ

大事な友達が怪我をしてもいいのかと

散々言われた



10 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 17:55:06 ID:SSOKtNjc


でも僕らは聞かなかった

それからもベランダと窓の行き来は続いた



11 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 17:56:07 ID:SSOKtNjc

一度だけ窓からの出入りを止めようと言った事があった

彼女が怪我をしたら嫌だな、と思ったからだ

すると

『大好きな男君と、一秒でも早く遊びたいから!』

と、言われ僕は黙ってしまった

だって僕も同じ事を思っていたから



12 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 17:56:48 ID:SSOKtNjc

この飛び移り移動法は

彼女の両親ももちろん反対した

けれど、一度言いだしたら聞き分けがなくなる彼女の性格を知っていたので

諦めて窓の下に立派な生け垣を作ってくれた

結局一度も落ちる事は無かったけれど

生け垣のお陰で、お互いの両親に許された気がしてホッとしていた



13 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 17:57:33 ID:SSOKtNjc

それまでも、それからも

僕らの生活は変わらなかった

お互いの部屋を行き来し、遊んだり勉強したり

お互いが傍にいるのが当たり前で

そんな空気が心地よくて

いつまでも続くと思っていた



14 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 17:58:06 ID:SSOKtNjc



中学に上がると、僕らにはお互いに親友が出来た

僕には友

彼女には幼友

とても仲良くなった僕らは4人で遊ぶ事が多くなった

2人で遊ぶ時間が無くなった訳ではなかったけど

友や幼友の家で遊ぶ時は少しだけ寂しいと思っていたのも

今ではちょっと恥ずかしい思い出だ



15 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 17:58:55 ID:SSOKtNjc

中2の秋、修学旅行の時だ

班毎の自由行動の時、僕たちは京都で迷子になった

最初はここは日本なんだから、道行く人に聞けばなんとかなる

と、言っていた友と幼友も

道を聞いてそれでも集合場所へたどり着けないと言う事が

3度続いた頃には参りきっていた



16 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 18:00:23 ID:SSOKtNjc

次はお前が聞け、いいやあんたが聞きなさいよ、と言い合っていた2人も

30分程も彷徨い歩いていると、だんだん険悪な雰囲気になってきた

今でも2人の間にはあの時の様な空気が漂う事がある

でも決まってその後、仲良く笑い合うのだ

喧嘩する程仲が良い事の典型的な例だと思う



17 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 18:01:04 ID:SSOKtNjc

それまでは何とかなるだろうと楽天的に考えていた僕も

集合時間を10分も過ぎた頃

さすがに不安になって振り返った

彼女が不安そうな顔をしていた

そんな顔はしてほしくない

その一心で、行動を起こした

『多分こっちだ!』と叫んでダッシュ

兎に角がむしゃらにダッシュ

その僕に3人が続く



18 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 18:01:41 ID:SSOKtNjc

深い考えがあった訳じゃない

ただ、彼女に不安な顔をして欲しくなかったのだ

所詮中2の考える事、とても浅はかだったと今でも反省しているが

暫く走っていると偶然クラスの皆と合流出来た

友と幼友は必死に言い訳していたが

結局4人共担任に怒られた

でもあの時の、クラスの皆と合流した時の

彼女のホッとした顔は今でも忘れられない



19 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 18:02:24 ID:SSOKtNjc

修学旅行から帰ってすぐ

2人でお互いの親に強請って、携帯電話を買ってもらった

それまで彼女と電話で話す事などなかった

窓さえ開けば、直接話せるからだ

しかし修学旅行の迷子には参った

参りきっていた

電話さえかけられれば、道に迷わずにすんだのにと思ったからだ

二人で色違いの同じ機種を選んで買って貰った

僕らが携帯を手にしたのと同時期に、友と幼友も携帯を持った



20 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 18:03:05 ID:SSOKtNjc


彼女とは意味もなく、メールのやり取りをした

上手い事が言えたら、すぐ解った

隣の家から快活な彼女の笑い声が響いてきたから



21 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 18:03:42 ID:SSOKtNjc

結局この携帯電話で彼女と通話をした事は一度も無かった

家に居る時はメールの返事が急いで欲しければ、窓を開ければ直接聞けたし

外ではほとんどいつも一緒に居たので、通話する機会が無かったからだ



22 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 18:04:23 ID:SSOKtNjc



中学の3年間はほとんどと言っても良い程、4人で遊んだ

『2人って、もう夫婦みたい』

友と幼友にそう言われた時、物凄く恥ずかしかった

何故だろう

他のクラスメイトに何を言われても別になんとも思わなかったのに

2人に言われると凄く照れてしまった

彼女は嬉しそうに笑っていた

その顔を見てさらに照れてしまっていた



23 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 18:05:20 ID:SSOKtNjc

今にして思えば僕はこの頃から彼女の事を少しは意識していたのかもしれない

親友以上の感情を持っていたのかもしれない

そして、友と幼友の間に流れる雰囲気に憧れていたのかもしれない

そんな2人に言われたからこそ、照れてしまったのかもしれない

今にして思えば、だけど



24 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 18:05:56 ID:SSOKtNjc



皆で仲良く過ごした3年間の中で

彼女とほとんど会えなかった時期がある

中3の夏休みだ

夏休みに入って暫くして、彼女が遊びに来なくなった

彼女は家に居なかったのだ

窓もカーテンも締め切ったまま

メールしても返信はほとんど無かった

後でその理由を知ったのだが、その時は理解出来なかった

急に隣りのベランダへの距離が遠くなった気がした



25 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 18:06:43 ID:SSOKtNjc

夏休みも終わりに近づいた週末

彼女からメールが来た

2人だけで夏祭りに行こうというお誘いのメールだった

もちろんオーケーというメールを打つ手が震えていたっけ

嬉しさと不安で震えていたっけ



26 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 18:08:01 ID:SSOKtNjc

祭りの夜、会場入口で待ち合わせた

生まれて初めて、彼女と家の外で待ち合わせをした

約束時間の30分前に会場に着くと

彼女はすでにそこに居た

浴衣を来て、顔は沈みがちで

僕が声をかけると、彼女はちょっと引きつった笑顔で言った

『やっ!なんだか久しぶりだねっ!』



27 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 18:09:02 ID:SSOKtNjc


僕は何も言わずに彼女の手を取った

左手で、しっかりと彼女の右手を握った

どこかに行ってしまわないように

その時はそう思った



28 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 18:10:25 ID:SSOKtNjc

出店を回っている間はほとんど会話が無かった

手だけはしっかり握って離さなかった

しばらく会場を回った後、2人だけの秘密基地に向かった

神社の裏手の獣道をしばらく進んだ所にある秘密基地

今でもこの場所だけは友にも幼友にも言っていない

小4の頃作った2人だけの秘密基地



29 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 18:11:18 ID:SSOKtNjc

やがて花火が始まって

夏の夜空を綺麗な大輪の花が覆い尽くす頃

彼女が花火ではなく、僕の事を見ているような気がした

でもそれを確かめるのが怖くて、僕は夜空を見上げるばかりだった

言いたい事があるなら言ってくれるだろう

何故家に居なかったのか

何故メールの返信が無かったのか

聞きたい事は沢山あった

でも、僕は何も聞かなかった



30 : ◆L0dG93FE2w 2014/08/19(火) 18:11:53 ID:SSOKtNjc

言いたくないなら言わなくていい

言いたい事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote
    • 月間ランキング
    • はてぶ新着
    • アクセスランキング

    SSをツイートする

    SSをはてブする

    コメント一覧

      • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年08月19日 20:26
      • 5 甘酸っぺえ
      • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年08月19日 20:30
      • 5 あぁ、あれの別目線かー
        いいなー
        青春だなー
      • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年08月19日 20:53
      • 5 いい
      • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年08月19日 22:45
      • 5 あまーーーーーーーーい!
      • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年08月19日 22:46
      • 5 もういやだこんなSSもう見たくないもうたくさんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

    はじめに

    コメント、はてブなどなど
    ありがとうございます(`・ω・´)

    カテゴリ別アーカイブ
    月別アーカイブ
    記事検索
    スポンサードリンク
    最新記事
    新着コメント
    QRコード
    QRコード
    解析タグ
    ブログパーツ
    ツヴァイ料金
    スポンサードリンク

    • ライブドアブログ

    ページトップへ

    © 2011 エレファント速報:SSまとめブログ. Customize by yoshihira Powered by ライブドアブログ