男「魔王なんですけど側近になってくれませんか?」 先輩「はい?」
- 1 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 10:47:28 ID:sjz4GfIE
日本 ○×商事・品川オフィス内
先輩「なにいってんの…?」
男「好きです、先輩」キリッ
先輩「いや、いやいや、あれ? 聞き間違い?」
男「先輩、僕 本当に先輩のこと好きなんですよ」
先輩「うん、仕事してくれるかな」
男「最近、冷たくないですか?」
先輩「書類提出に寄ってくる度に告られてれば、そりゃ慣れるよ」- 2 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 10:48:02 ID:sjz4GfIE
男「そんな気がしてたので、今日はバリエーションをつけてみました」
先輩「よりにもよって側近って。 何? その特殊な役職…」
男「いえ。最近の側近ってどこもすごく有能なんですよ?」
先輩「何、『最近の側近』って。明らかにおかしいよね。それで魔王ってのは?」
男「あ、はい。僕は本当は『崩壊の魔王』っていいます。よろしくお願いします」
先輩「ださい」
男「ひどいです」
先輩「魔王ねえ。ゲームごっこなら普通は勇者とかでしょ。魔王って倒すだけのキャラじゃん」
男「普通とはいいますが、最近は本にしたって魔王もシナリオ凝ってますよ? 先輩、本とか読まないんですね。若者の活字離れって深刻」
先輩「男クンの脳のが深刻だよ?」
男「産まれながらのファンタジー脳なんですよ、僕」クス- 3 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 10:48:45 ID:sjz4GfIE
先輩「開き直りすぎ。で、書類出して。早く」
男「はい、どうぞ。僕の気持ちです、受け取ってください」
先輩「うん。頼んでたのは、S社に提出するチップの対価格性能比較書だよね? 僕の気持ちって何よ」
男「ああ、あれならもう提出しておきましたよ。注文うけたんで、既にC社に発注かけてます」
先輩「はいっ!?」
男「明後日にはとりあえずで5000個が航空便で成田に届くはずです」
先輩「仕事はやいね! でも決済かけるなら私の印鑑つかなきゃだめだよ!」
男「つきましたよ?」
先輩「いつの間に…つか勝手に人の印鑑おしちゃだめだよ…?」- 4 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 10:49:38 ID:sjz4GfIE
男「何いってるんですか。勝手に使ったりしてませんよ。もちろん、ついたのは僕の予備印です」
先輩「私のですらないとか、意味わからない」
男「僕のお嫁さんになれば、名字は同じですから。将来的には先輩の印鑑にしてあげますね、予備印」
先輩「結婚までは旧姓をきちんと名乗らせて!」
男「あ。結婚はしてくれるんですね! 嬉しいです!」
先輩「はっ! しない! しないよ!?」
男「えー」
先輩「それより、じゃあ今もってきたコレは何の書類なの!?」
男「主に僕の心情報告書です」シレッ
先輩「いらない」- 5 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 10:50:13 ID:sjz4GfIE
男「添付としてデートプランの参考資料つけておきましたよ」
先輩「いらないってば!! 毎回の押しが強すぎてこれ以上下がりきれないよ!」
男「精神的な壁ドンですね。女の子は弱いって、こないだ週刊紙に書いてありましたよ」
先輩「私はドン引きって言いたかったの!」
男「残念。ドン違いでしたか」
先輩「しかもそれ、あれだよね! 少女マンガとかで、迫られるときに壁に押し付けるやつ! 『精神的な』とかは絶対なんか違うと思うよ!」
男「慌てちゃって、可愛いなあ。ちょっと物理的な壁ドンもさせてもらえませんかね?」
先輩「ここは会社! ここはオフィス! 場所柄を弁えてもらえる?!」
男「……じゃあ、明後日の朝、車でお迎えにあがりますね」
先輩「平日だしデートとかいかないってば!!」
男「は? いえ。発注した部品を空港で受け取ってから、S社にいくんですが…デートの方がいいですか?」- 6 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 10:51:06 ID:sjz4GfIE
先輩「うああああ! いきなり仕事の話に戻るとか! 私がバカみたいじゃないか!」
男「場所柄を弁えろと言われましたから」
先輩「うう…」
男「落ち込まないでください。それとも…」コソ
先輩「ちょ。そんな、耳元で何を…」
男「…本当に壁ドンしてあげましょうか?」クス
先輩「うあ」
男「あは。失礼しますね、先輩。書類、ちゃんと目を通しておいてくださいねー」フリフリ
先輩「~~~~なんってフリーダムな新人だ…っ!!」
―――――――――――- 7 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 10:51:42 ID:sjz4GfIE
先輩の家
ペラペラ…
先輩「…………」
『先輩のこと、本当に大好きなんですよ、僕』
『研修おわって、今の部署に配属されて…右も左もわからなくてちょっと落ち込んでた時だって・・・』
『先輩が声をかけてくれて、明るくさりげなく指示出してくれた時なんかは……』
パサッ!
先輩「…本当に心情報告書だった!」ガーン!!- 8 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 10:52:17 ID:sjz4GfIE
先輩「男クン、馬鹿なのかな! A4で5枚綴りってどんだけの文字数なの!?」
先輩「しかも……」チラ
『大好きですよ、先輩』
先輩「どこを読んでもこんなんばっか…うあ、病む。むしろ洗脳される」
先輩「………文章だと、わりと爽やかそうに見えるんだけどなぁ…」
~~~~
「本当に、壁ドンしてあげましょうか?」クス
~~~~
先輩「うん、本物の男クンは悪魔だ。絶対に関わっちゃいけない人種だ。普通、あんなこと言えない」
先輩「……寝よう。なんでこんな、家に帰ってきてまであいつのことを…はぁ」
―――――――――――- 9 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 10:52:49 ID:sjz4GfIE
翌日 会社
先輩「あれ? 男クンは?」キョロ…
部下女「男さんでしたら、今日は外出ですよ。仙台なんで、直帰になるでしょうね」
先輩「そ、そっか。なんか久しぶりに1日居ないんだな、男クン」
部下女「仙台のM社ですから…あれじゃないですか? こないだの2億の…」
先輩「ああ、あれか」
部下女「入社してからまだ短いのに、ずいぶんやりますよねー。 意外ですよねー」
先輩「とはいったって、入社時期は部下女と一緒でしょ。まあ、男クンは中途採用だし。元々デキる子だったのが慣れてきたってことかな」
部下女「慣らしちゃってんですねぇ、センパイ」ニヤニヤ- 10 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 10:53:20 ID:sjz4GfIE
先輩「なっ、なっ、なっ」
部下女「あんまりいちゃつかないでくださいよー」
先輩「違う! 私は違う! あいつが一方的に絡んでくるだけだから!」
部下女「夜だけ絡みついてるんですね、わかります」ケラケラ
先輩「ちょ、女だったらそーゆーことゆーなってば!」
部下女「あ。そういえば、新刊きまったんですよー。今まだ印刷所ですけど」
先輩「新刊? ああ、趣味で書いてるっていうまんが?」
部下女「同人誌ですってば。買います? 主人公に男さんをモデルにしたキャラつかってるんでなかなかリアルですよー」
先輩「肖像権の侵害! いくら趣味でも売買はだめ!」- 11 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 10:53:54 ID:sjz4GfIE
部下女「大丈夫ですよぉ、ちゃんと本人の許可とりましたからー」
先輩「えっ…許可したの、男クン…」
男『攻めで、ロリ無しならOKだよ、鬼畜に書いてねっ!』
女部下「…って超絶爽やか笑顔でしたよ?」
先輩「わかんない! 男クンがよくわかんないよ!」
部下女「買います? 本人からいろいろ参考に聞いてるんで、本当にリアルですよ」
先輩「…………」
部下女「ちなみに来週末の即売会では、男さんが売り子してくれる約束なんですよー」
先輩「えっ、売り子って?」
部下女「コスプレして販売のブースに立つんです」- 12 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 10:54:27 ID:sjz4GfIE
先輩「コスプレって…」
部下女「スーツですね」
先輩「え? 普通じゃん…なんだ、ちょっとびっくりしちゃったよ」
部下女「チチチ。キャラにあわせてコスチュームを着こなすからコスプレなんです。普段のスーツとは別に用意しましたし」
先輩「スーツなんか着こなし方もなにもないでしょ?」
部下女「甘いなあ……」
先輩「何が…。え? ほんとに何が? なんか違うの?」
部下女「気になります? 来てみます?」- 13 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 10:55:03 ID:sjz4GfIE
先輩「……か、買わないよ!」
部下女「いえ、むしろ売ってください」
先輩「わ、私はコスプレとかほんとに無理だから!」
部下女「あ、今回は完全に女性向け内容なんで、女性売り子のコスはやりませんから安心してください」
先輩「……」
部下女「男さん、ノリノリでしたし。きっと面白いものを見せてくれますよ」
先輩「ら…来週末、暇だったらね!」プイッ
部下女(この先輩をからかう気持ちがわかりすぎて、いろいろ捗る)
―――――――――――- 17 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 13:05:43 ID:sjz4GfIE
先輩の家
先輩「さて、と。明日の目覚ましは…あ、しまった」
~~~~
「朝、車でお迎えにあがりますね」
~~~~
先輩「直行なのに、時間を相談しわすれた… S社にいくっていってたし、多分朝イチだよなぁ」
先輩「んー…23:30かぁ…。仕方ない。ちょっと夜おそいけど電話してみようかな…」
先輩「まあ…もし寝てたとしても、男クンなら怒らないだろう、うん」
トン、トトト… ピ
プルルル… バチッ
…プルルル…
先輩「なんか変な音が…電波わるいのかな?」- 18 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 13:07:01 ID:sjz4GfIE
プルル、プチッ
男『…はい』
先輩「あ…、夜遅くにすみません。男クンの携帯であってますか?」
男『…え?』
先輩「あ、えっと… ◯×商事の先輩女と申しますが…」
男『……先輩…』
先輩「ごっ、ごめんなさい! 間違えたみたいです! 失礼しましたっ!」
男『あ、待って。合ってる』
先輩「え」
男『このまま。待って』
先輩「あ、う、うん…」- 19 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 13:07:56 ID:sjz4GfIE
先輩「………」
男『お待たせしてすみません。 …先輩女って、先輩ですよね?』
先輩「そうだけど…男クン、だよね?」
男『はい。ていうか、電話してきたの先輩のほうじゃないですか』アハハ
先輩「い、いや。そうなんだけど、なんか最初の声がイメージ違ったっていうか…」
男『…気のせいですよ。それよりどうかされましたか? 眠る前に僕の声が聞きたくなったとかなら歓迎なんですが』
先輩「あほう! 明日の仕事の予定の時間確認!」
男『ああ。これは失礼しました。うっかりです…S社には11時でアポとりましたよ』
先輩「あ、じゃあそこまで急がなくて平気かな」- 20 : ◆wWJIc4lvNc 2014/08/20(水) 13:08:28 ID:sjz4GfIE
男『成田からS社まで、念のために2時間見ておきました』
先輩「じゃあ成田に9時かぁ…こっからだと…」
男『ああ、じゃあ朝の… ?「魔王様、どうぞ座ったままで結構ですよ」
先輩「え?」
男『あっ。すみません、今ちょっと出先でして。では明日の朝、お迎えにあがりますね』プチッ
先輩「あっ、ちょっ、だから時間…」
プー… プー…
先輩「きれてる…」
先輩「……魔王様…って…?」
―――――――――――- 21
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- 2014年08月20日 23:57
- つまらん
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