東京電力福島第一原発による事故をきっかけに、避難生活を強いられた末、自殺した女性の遺族が

賠償責任を求めていた裁判で、東電支払いを命じる判決が出ました。

画像:【勝訴の垂れ幕を掲げる弁護団】
勝訴の垂れ幕を掲げる弁護団
http://sankei.jp.msn.com/affairs/photos/140826/trl14082613560002-p2.htm

訴えていたのは、亡くなった妻・渡邉はま子(58才)さんの夫・幹夫(64才)さんら遺族4人。

画像:【遺影を持つ遺族】
遺影を持つ遺族
http://news.nicovideo.jp/watch/np1084425

訴状によると、はま子さんは原発事故の約3ヵ月後の2011年6月、川俣町山木屋地区の自宅から

福島市に避難。

被災により、つとめていた山木屋地区の養鶏農場が閉鎖。

仕事を失い、慣れないアパート生活を強いられた挙句、不眠や体重減少、うつに苦しみ、約3週間後、

一時帰宅が許された際に自宅の庭先で、ガソリンを体にかけ、焼身自殺しました。

遺族らは

「避難生活で精神的に追い詰められ、うつ状態になったため」

として、約9100万円の賠償責任を求めて、東電を提訴。

東電側は

「原発事故で強い心理的負担が生じたことは認めるが、事故前から睡眠障害で薬を飲んでおり、原発事故以外の原因を考慮するべきだ」

と反論していました。

裁判では原発事故とはま子さんの自殺の間の因果関係が争点となりましたが、26日、福島地裁の潮見

直之裁判長は原告の訴えを認め、

「展望の見えない避難生活への絶望と、生まれ育った地で自ら死を選んだ精神的苦痛は極めて大きい」

とし、東電に約4900万円の支払いを命じました。

判決を受けた東電は

「渡邉はま子さんがお亡くなりになられたことについて、心よりご冥福をお祈りいたします。本件の対応に対する詳細は回答を差し控えるが、今後、判決内容を精査したうえで対応について検討してまいります。判決が言い渡されたのは事実であり、引き続き真摯(しんし)に対応してまいります」

とコメントしています。

原発事故と自殺の因果関係を認めた判決は初めてとなります。

なお、原発事故と自殺による遺族との争いは過去に裁判外紛争解決手続き(ADR)で、東電が賠償する

ことで和解した例もあります。

東電側の出方が気になるところですが、今後も同様の裁判が続出する可能性が高まりました。