ハルヒ「キョンの部屋でエ口本探しよ!」
- 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/08/29(金) 01:52:47.46 ID:fEaEsajq0
ある晴れた日の日曜日のことだった。
ハルヒが突然に家を訪ねてきた。
「団長様が遊びにきてやったわ!」
当然の様に上がり込むハルヒに対して、
俺は止める術もなく自室への侵入を許してしまった。
そして妹が遊びに行っていると知った途端、
ベッドの上に仁王立ちになり発せられたお言葉が題名のセリフだった。- 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/29(金) 01:54:22.27 ID:fEaEsajq0
オレの抗議を無視して家捜しを始めたハルヒは、
「そうね。キョンのことだから妹の手が届かない高い場所か思い物の下に置いているはずだわ!」
などと名探偵よろしく推理して箪笥の上を調べる。
そして見つけてしまったのだ。
「えっと…なになに…熟妻倶楽部に人妻味比べ……」
ハルヒは取った本の題名を読み上げると、
「きゃっ」っとハルヒらしくない声を小さく出して本を放り投げた。
まさかあるとは思っていなかったらしい。
だが、俺も年頃だし、わかるだろ?
- 4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/29(金) 01:54:58.44 ID:fEaEsajq0
「なに?あんたああいうオバサンが好きなわけ?」
ハルヒは腕を組み口をへの字に曲げて睨みつけている。
「いや、別にオバサンが好きという訳ではなくてな……」
「じゃなくて?」
ハルヒの追及に言いよどんでいると、
「もういいわ!」
と、フンとでも言いたげな態度で振り返り、
「帰る!!」
とドスドスと足音を立てて出て行った。
俺は心の中で古泉に謝っておいた。
- 5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/29(金) 02:05:40.06 ID:fEaEsajq0
それから二十五年ほどたったある日の土曜日。
ハルヒは相変わらず不思議探索を続けており、俺たちも未だに付き合わされている。
変わったところと言えば、喫茶店でアイスコーヒーを啜っていた謎の高校生五人組が、
昼間からビールを飲む----正確にはハルヒ----だけなのだが、謎の中年五人組になったことくらいだ。
ハルヒはと言えば、度々起業して驚くほどの成長を見せる企業にしたかと思えば、
「飽きた」と言って売り払う一部では知らぬ人がいない程の有名人になっている。
古泉達が関係しているのかと疑った時期もあったが、
「我々としては涼宮さんのお手伝いをしたいのですが、出る幕がないほどに優秀な実業家ですよ」
とは古泉の弁。
見た目も相変わらずだ。
世の中には、台湾を代表する美人女優や、
若い頃にオバさんになったら若い子に負けるわ等と意味不明な供述をしていたアイドルが実際にオバさんになったら案の定若い子に圧勝していたり、
あんな奇跡のアラフォー連中に負けず劣らずの一般人なのは流石はハルヒと言うことなのだろう。
- 6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/29(金) 02:08:24.63 ID:fEaEsajq0
朝比奈さんは特盛の朝比奈さんになった時点で止まっている。
一度「いつまでも変わりませんね」と言ったところ、
「え?未来では普通ですよ?寿命も違いますし」
と答えてくれた。
嘘か真かは知らないが、少なくとも禁則事項は大きく減っているようだ。
普段はハルヒが会社を作る度に引っ張り回されているらしい。
- 7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/29(金) 02:08:52.59 ID:fEaEsajq0
古泉はにこやかな笑みを浮かべる一見軽薄だが、やり手なのが明らかな若々しいオジさまになった。
大企業にでも勤めていたら、次々に女性に手を出しながらも出世していくリアル島耕作にでもなっていたことだろう。
もっとも、実際には未だにハルヒのお付きをやっている訳なのだが。
- 8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/29(金) 02:10:02.17 ID:fEaEsajq0
長門は何故か相変わらず北高の制服だ。
身長は伸びていない。
ついでに言えば、体型も未だに女性らしくない。
もっと言えば、顔もそのままだ。
要するに一切変化なく、あの時のままの長門だ。
だが俺としては、今の時点で長門が存在してくれているだけで嬉しい。
十年後に存在しているか解らないと言っていた長門が二十五年後も存在していたのだからな。
先ほどは一切変化がないと言ったが、表情の変化のレパートリーが増えた。
ほんの僅かな変化で見逃してしまいそうになる変化だ。
もっとも、これは単に俺が気付くようになっただけかも知れない。
長門も相変わらずハルヒについて回っている。
場所を部室からハルヒの事務所に変えて本を読み続ける生活も変わってないという話だ。
- 9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/29(金) 02:11:39.93 ID:fEaEsajq0
俺はというと高校卒業後、ハルヒ達の行った大学からすると三流とされる大学に進学した。
ハルヒ達と言ったのは、俺以外の四人は同じ大学に進んだ----朝比奈さんは一浪したが----のだ。
道行く人十人に聞けば十人が超難関名門大学と知っている大学で、俺から見れば殿上人な大学だ。
古泉は、
「涼宮さんは同じ大学に進むことを望んでいるので受けてください。絶対に受かりますから」
などと言っていたが、模試の点数をハルヒに馬鹿にされ続けて意固地になってた俺は挑戦校以前の話の大学で受けなかった。
俺から見たら羨ましい限りの大学に進学したハルヒだったが、
入学してから三か月と経たないうちに「面白くない」と大学を辞めて起業家をはじめていた。
- 10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/29(金) 02:12:58.48 ID:fEaEsajq0
まぁ、在学中はハルヒが起業するたびに俺はアルバイトとして引っ張り回されて居た訳だが、
卒業後は親戚に紹介された企業に就職して、今では土曜日の不思議探索くらいでしかハルヒと会わなくなっていた。
ハルヒは俺の就職内定から今に至るまで、
「そんな所は辞めてあたしと一緒に働きなさいよ!」
とことあるごとに言ってくる。
親戚の紹介で就職した以上はそう簡単には辞められないのだが、ハルヒには理解できないことだろう。
- 11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/29(金) 02:14:15.62 ID:fEaEsajq0
それにハルヒには言っていないが、不安定で不毛なハルヒの起業ごっこに付き合うわけにはいかない理由があった。
安定して無ければいけない理由、それは俺に家族ができたことだ。
要するに結婚して二人の子供まで居るということだ。四十なんだし、別におかしくはないだろう?
大学時代にはバリバリと起業ごっこをしているハルヒを尻目に中学以来の女友達のいい感じになったこともあった。
もっとも、ハルヒの起業ごっこに付き合った俺の成績は散々なもので就職に苦戦していた一方で、
彼女の方はあっさりと財閥系の金融機関の総合職の内定を取ってしまい、俺の方が卑屈となり疎遠になってしまった。
大学のランクや成績を考えれば当然のことだったのだが。
当時は、
「くっくっくっ、いざとなれば専業主夫というというのもいいと思うよ」
などという言葉に腹を立てたが、今にして思えば彼女なりのやさしさの表れだったのかもしれない。
- 12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/29(金) 02:19:36.65 ID:fEaEsajq0
その後は妹の小学校時代からの友達といい感じになったりもしたのだが、
ある年の忘年会で自覚がないまま酷く深酒をしたのか俺は翌日ホテルの一室で横に裸の状態の同僚が居る状態で目が覚めた。
それが見事に命中したらしく、デートすらしたことがない同僚とできちゃった結婚をしたという訳だ。
俺の結婚を聞いた古泉は顔面蒼白となり、
「涼宮さんには絶対に言わないでください!」
と懇願されて未だに秘密という訳だ。
古泉は心配していたが、学生時代は兎も角、今は問題ないと思うがな。
何故なら、昔、学生時代に一度ハルヒにそれとなくモーションをかけた事もあるのだが、
「まだでしょ!」と一蹴されてしまった。
おそらく起業家ごっこが楽しくて未だに恋愛は精神病とでも思っているのだろう。
ちなみに未だに不思議探索に参加してるのは古泉に頼まれたアルバイトだ。
- 13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/29(金) 02:29:29.29 ID:fEaEsajq0
そんな事を考えているうちにその日の不思議探索も終わった。
不思議探索の後は、反省会と称して軽く飲むのが通例となっていた。
反省会とは名ばかりで他愛のない話に近況報告----俺の結婚は内緒だから細心の注意が必要----で終わる。
もっともその日の反省会は何時もと違うイベントが待っていた。
- 14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/29(金) 02:30:13.53 ID:fEaEsajq0
ちょいと小洒落たバーで飲んでいるとハルヒが話しかけてきた。
「あんたいい加減あたし達と一緒に働きなさいよ!SOS団の一員の自覚がないの!?」
ここまでは毎回言われていることだ。
「さっさとここに名前を書いて印鑑を押しなさいよ!」
ハルヒはそう言うと紙を一枚テーブルにバンと叩きつけた。
入社届かと思いその紙を見る。
見覚えのある書き込み欄はほとんど書き込まれている。
- 15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/29(金) 02:37:07.80 ID:fEaEsajq0
「証人、古泉一樹…と朝比奈みくる………なんだこれ?」
俺はハルヒに質問してみる。
ハルヒはそっぽを向いて、
「どうでもいいからさっさと書きなさいよ!」
ハルヒはそう言いながら紙の一部に指を乗せ見えなくしている。
俺はハルヒの「コラ!やめなさい!」との抗議を無視して、その指をどかす。
そこには『婚姻届』と書いてあった。
- 16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/29(金) 02:45:14.19 ID:fEaEsajq0
「なんで今なんだ?」
俺の当然の質問に対して、
「だって、あんたは熟女好きなんでしょ?熟すまで待っててあげたんだから感謝しなさい」
ハルヒはどこか照れながら、さも当然と言った感じ答えた。
「どこで何を考えたらそうなるんだ?」
「だってあんたの部屋にそういう本があったじゃない」
「本?」
「そうよ。高校生の時。箪笥の上に」
俺は遥かな記憶を辿りながら、エロ本の一件を思い出す。
- 18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/08/29(金) 02:48:53.89 ID:fEaEsajq0
「お前は何を言ってるんだ?」
「あら?嬉しいからって照れなくてもいいわよ!
あんたみたいな冴えない中年を貰ってあげるんだから感謝はして欲しいけどね!」
「何を勘違いしたのか知らないが、当時の俺は人妻ブームだったんだよ!」
「え?熟女好きじゃなかったの!?」
「熟女というより、高校生ならではの年上のお姉さんが良い的なアレだ」
「まぁ、人妻好きでも同じね。結婚したら相手は人妻なんだし」
「いや、そこで言う人妻一般に自分の嫁は含まん」
「なんでよ!」
「ここでいう人妻は他人の芝は青い的な奴だ」
「ぐぬぬ……」
ハルヒがとコメント一覧
-
- 2014年08月29日 08:41
- 夢で良かったな。夢で。
-
- 2014年08月29日 09:00
- なんか悲しくなった
-
- 2014年08月29日 09:09
- わ朝倉さんが一番良いと思うな。だから
-
- 2014年08月29日 09:15
- んー、なんかハルヒと古泉とキョンにコレジャナイ感があるな
容姿が変わらないとは言え長門が制服のままってのも無理あるだろ
自分的にはちょっと無理だわ
-
- 2014年08月29日 09:17
- 世界改変されとるww
-
- 2014年08月29日 10:05
- 女子3人中2人が若い頃から容姿変わってないならBBAを選ぶ理由なんて皆無だろと思いました
-
- 2014年08月29日 10:06
- 二歩ワロタ
-
- 2014年08月29日 10:26
- ああ、このカオスと極まった先の世界改変はまさしくハルヒSSだ
-
- 2014年08月29日 10:45
- ああ打っちゃった打っちゃった
-
- 2014年08月29日 11:04
- 一番かわいいのは佐々木
一番結婚したいのは朝倉
一番愛おしいのは長門
ハルヒにおける真理である
-
- 2014年08月29日 11:18
- 二歩って聞くと古泉のイカレたss思い出す
-
- 2014年08月29日 13:25
- 朝倉さんとは一緒におでんをつまみたい。
ささっきーとは飲み友になりたい。
ながもんにはゲームでボコられたい。
朝比奈さんとは激しく前後したい。
国木田とは監禁プレイしたいしされたい。
-
- 2014年08月29日 14:10
- こうみると改変能力恐ろしいな
-
- 2014年08月29日 18:39
- 一瞬でなかった事にか
恐ろしいな
-
- 2014年08月29日 19:20
- 夢だったけどさ、夢の中のキョンと同じような境遇の男性が家庭板に何人もいるのを知ってるから、もやっとしてしまった。
なかった事になったからいいものの。
しかしまぁ、キョンがもてるのは原作で既に疑問だけど、好いてくる女子の素直じゃない率も半端ないな。
照れ隠しに逐一コンプレックス刺激されてちゃやってられんわな、確かに。
-
- 2014年08月29日 20:54
- 読み引かれる文章で良かった。
またハルヒで書いてくれ
-
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