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不思議の国のアリスをモチーフに薬物撲滅キャンペーンフィルムを作ったらトリップし過ぎて大変なことに! : カラパイア

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 米国立精神衛生研究所が1971年に製作した「知りたがりのアリス」は、薬物濫用の危険性を子供たちに啓蒙するためのキャンペーン映画だった。・・・

 だったはずなのだが、溢れる創造性でボタンをかけ間違えてしまったようで、当初の目的をよそに、斬新でサイケな幻覚に彩られたドラッグによるトリップ感覚を全面に押し出した作品になってしまった。
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Curious Alice, 1971

 以下はナショナル・アーカイブで、オードリー・アミドン女氏が本作品の犯したミスについて解説したものだ。

 知りたがりのアリス(1971年)—本を読んでいたアリスが居眠りをすると、そこにはタバコや酒、薬が並んでいる。どうやらここにはありとあらゆる薬物があるらしい。アリスが「私を飲んで」というラベルが張られたボトルを見つけると、ドラッグらしきものが入っていることに気がつく。

 しばらく躊躇した後それを飲み干すと、アリスはファンタジーの世界へと迷い込んで行く。不思議のドラッグの国で、アリスは帽子屋(LSD)、三月ウサギ(アンフェタミン)、眠りネズミ(バルビツレート)、ハートの王(ヘロイン)からドラッグについての理解を深める。

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 こうした「知りたがりのアリス」のストーリーは、アリスのドラッグによるトリップ感覚を表現しつつ展開して行く。残念なことに、このトリップ感覚はある種の楽しさを感じるもので、ドラッグの危険性を訴えるメッセージを弱めてしまう。

 不思議の国で展開されるサイケデリックなモンティ・パイソン風のアニメーションは、「知りたがりのアリス」の中でも特筆すべきものだ。しかし、本作品が全体的に誤ってしまった主要な要因の一つでもある。しっかりと耳を傾ければ、アリスはドラッグが危険な理由を数多く語っていることに気がつくだろう。


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 ところが作品の映像は非常に幻惑的で、そのメッセージに意識を向けることを困難にしてしまっている。しかもドラッグ使用者はマンガのキャラクターで、現実の人々やドラッグ問題とは何の関係もない。

 ワイリー・コヨーテは崖から落ちても次のギャグのためにすぐ復活すると判っているのに、三月ウサギのドラッグ問題のメッセージを真剣に受け止めるだろうか?


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 さらにメッセージを誤解させる要素に、「知りたがりのアリス」は情報のバランスがとれていない点が挙げられる。子供に関連した状況に焦点を当てるかわりに、ドラッグがどのようなものか、そしてその名称についてばかりを子供に伝えている。

 だがハートの王が杖のように携える皮下注射器の中身が病院の注射とは別物だということや、帽子屋のお茶会に出される角砂糖がLSDに浸してあるのだということを、小学生3年生が理解してくれるだろうか? ドラッグと日常使用される物との区別が不明瞭なのである。


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 アミドン氏の分析はさらに続くが、結論としては「知りたがりのアリス」は、欠陥はあるもののかなり出来がよく、失敗作として片付けることはできないとしている。

 本アニメーションは、結局のところ優れた作品なのだ。だが、かろうじて物語の体をなす詩的な台詞回しやテーマ構成は完璧に混乱しており、本作品を制作したデザインセンター社のスタッフが米保健教育福祉省と米国立精神衛生研究所に提出されるはずの本作品の性質を本当に正確に把握していたのだろうかと疑わせるほどだ。

via:io9・原文翻訳:hiroching

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