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2011年3月11日の東日本大震災から2日後、この地域で取材を行っていたニュース雑誌”TIME”のチームにドミニク・ナールという写真家が加わった。ドミニクはスイスで生まれ、人生の多くを香港で過ごしていた。TIMEのスタッフとドミニクは、福島原子力発電所の状況を福島県双葉郡大熊町から発信していた。そして彼は、何度も福島を訪れ、その後の状況を世界に伝え続けている。
これらの写真はドミニクが撮影した事故直後の福島原子力発電所の様子である。日本国内で報じられているニュースとはまた違った角度からとらえられたこれらの写真やコメントは興味深いものがある。
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以下はTIMEのウェブサイトに掲載された記事を意訳したものと、ドミニクが撮影した写真である。現在でもTIME誌は、福島の原発事故に興味を失わず、報道し続けている姿がうかがえる。
福島原子力発電所は津波衝突の直後、冷却システムが停止し、三つの原子炉でオーバーヒートを起こし、メルトダウンを引き起こした。
数多くの取材クルーが避難する中、私達は「一体いつまでここに留まるべきか」を真剣に考えていた。私達も命の危険にさらされる事は避けたかったのだ。そんな私達を横にドミニクは線量計を買ってきていた。そして彼は私達に提案をした、「チェルノブイリ再来を書くだけの記事にはしたくない」と。その後私達は乾燥した昆布を食べ、ヨウ素が私達を見えない脅威から救ってくれることを祈った。
作業員がガラス越しに見える写真:福島第一原子力発電所で働く作業員
プールのように水が貯まっている冷却水だと思われる写真
東京電力は福島第四原子力発電所より燃料棒を回収した。第四原子力発電所はメルトダウンを起こさなかったが、マグニチュード9の地震は発電所全体に傷跡を残した。
福島第一・第二原子力発電所のコントロール・ルームで立つ東京電力作業員
福島の原子力発電所にある塔
福島第一原子力発電所から数キロメートルの地点でさっ処分された無数の牛
袋詰めされた放射性物質。福島原子力発電所より20キロメートル離れた場所に置かれている
福島原子力発電所の10~20キロメートル地点に設置されている市民用のガイガーカウンター。このエリア付近は危険区域と化していた
事故後数ヶ月、未だに福島第一原子力発電所の問題は解決されておらず、時が過ぎると共に東京電力のずさんな管理体制が日本国内で報道された。世界中のメディアはその注目の的を次の自然災害へと移した為、多くの人々がこの問題に対し無関心となっていった。
それでも、ドミニクは度々福島へと足を運び、取材を続けた。今年もドミニクは4ヶ月もの間福島県に留まり、3年半過ぎても尚収束を見せない事態に不安を感じる福島県の人々にカメラを向けた。
風呂に入る女性
自分が生まれ、暮らしていた福島で髪を洗う女性。彼女は放射線が自身の身体にどういった影響を及ぼすのか恐れている。その為常にガイガーカウンターを持ち歩いているそうだ。
道路に佇む4人の男性
アパート暮らしをする福島原子力発電所作業員が一酸化炭素中毒による自殺を試みた。アパートへ突入するレスキュー隊を見守る近隣住民である4人の男性。福島原子力発電所の事故以来、福島での自殺者は増加している。
手をつなぐ親子のシルエット
太陽が反射する福島のポスター
野菜を調べる
福島郡山市にある福島県農業総合センターで野菜の放射線量が確かめられている
墓の前の影
原子力発電所より数キロメートルの避難区域にある牛達の追悼記念碑
草刈り作業
手で草刈りをする四国電力株式会社・伊方発電所の作業員
バイキンマンとドキンちゃん
子供の甲状腺を確かめる医者。この診察は「NPO法人・いわき放射能市民測定室たらちね」が行っているものだ。政府機関や関連病院で行われる診察に懐疑的な人々は個人病院や私立病院等で診察を受けているという。
およそ12万5千人の人々が放射線の影響で故郷へ帰れず、その多くが仮設住宅で暮らしている。グランドゼロの地点で作業を行っている原子力発電所の作業員の人々は化学防護服に身を包み、ガスマスクをしていた。
我々とドミニクは化学防護服を少しの間だけ体験してみたが、化学防護服というのはとても重く、数時間で私達はヘトヘトになってしまっていた。
ドミニクはこう言った
「私はこの人々が感じている身体的・精神的苦痛を伝えなければならないという義務がある」と。「時に我々には忘れようとしても襲ってくる不安と恐怖がある。私は目の前でそういった不安と恐怖に打ちのめされ、崩れ落ちる人も目撃する事がある。この見えない物質に対する恐怖が、彼らの精神を最もすり減らしているんだ」。目に見えない恐怖は人々を不安の海へと陥れる。
整列する日本の警察
>彼らは原子力発電所から20キロメートル地点内部に取り残された遺体を探す為、これから避難区域へと赴く。
日の丸
弔意を表す為に半旗で上げられた日の丸。この学校は福島第一原子力発電所より30キロメートルの地点に建っている。数多くの住民が現在この地へと戻ってきている。
車の中の子供
福島県楢葉町の仮設住宅で暮らすリク君(3歳)とサラちゃん(2歳)。買い物へ行く為、両親であるキタザワ・タクミさんとマユミさんが戻ってくるのを待っている。
テレビとコタツと老夫妻
仮設住宅で暮らすイドガワ・イクコさん(右:82歳)とイドガワ・ツゴウさん(左:85歳)。イクコさんが胸に抱えているのはこの夫妻が共に暮らしてきた大熊町の家である。夫妻が暮らしていた家は福島第一原子力発電所のそばにある為、避難区域に指定された。もう生きて元の家に帰る事は出来ないのかも知れない。
暗雲
今年撮影された福島県浪江町の避難区域に指定されている福島県第一原子力発電所より20キロメートルの平野
入院中のマスクをした男性
現在、闘病生活をしている、東京の病院で入院中のドマエさん。彼は元ヤクザの一員で、友達を助ける為に福島第一原子力発電所がメルトダウンの時、地域の救助活動を買って出た。ドマエさんの現在の目標は原子力発電所の付近に暮らす子供達の状態を数多くの人々に知ってほしいという物だ。
ある夜、ドミニクは福島県で暮らす人々の家で一晩泊まる機会があったそうだ。そこで彼はサイレンを聞き、急いで外へと事情を確かめに出かけた。
道路へと出ると、甘い、焦げるような臭いが鼻に付いた。サイレンの方に目をやると、近所の家の一つから煙が巻き上がっており、救急隊員と消防隊が救助を行っている真っ最中であった。
どうやら、その家の住民が一酸化中毒による自殺をしたそうだ。ドミニクは自殺した住民が福島原子力発電所で働いていた作業員だと聞かされた。そして、ドミニクはその時を思い出しながら言った。「俺とその人は、同い年だったよ」
堤防
福島第一原子力発電所より40キロメートル地点の写真。この写真は地震の数週間後に撮られた。
桜
福島第一原子力発電所から20キロメートル地点の空き家の窓に映った桜。
面影
ワタナベ・ヤエコさん。福島原子力発電所の事故以来、発電所で働き続けた旦那さんは2012年癌で亡くなった。もはや捨てられてしまった川内村で旦那さんを想い涙が零れ落ちる。
煉瓦と人影
2011年6月10日、福島県と宮城県の県境で農業を営んでいたシゲキヨ・カノさんは自身が所有する納屋で首を吊って亡くなった。
放棄された車
捨てられた車の中で放置されたマネキン。福島第一原子力発電所から10キロメートルの地点にあるこの富岡市は昨年3月25日のやっと警戒区域解除がなされた。
動物のはく製
福島県いわき市にある小屋に放置された動物のはく製。
持ち主不明の写真
津波によって傷つけられた思い出の写真。持ち主が現れる事を願い、南相馬市で保管されている。
via:lightbox・原文翻訳:riki7119
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コメント
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2. 匿名処理班
本物のマスコミ人であり勇者
こういう人がいるからこそ海外のマスコミは
拍手もらえるのだろう
3.
4.
5. 匿名処理班
日本のジャーナリストは何してんの?
6. 匿名処理班
原子力を完全否定はしないが、それを扱う組織、国、人間のレベルが低くては悲劇を繰り返すだけ。
責任感の無い管理者、富を増やすことに熱心な大企業、その利権にすがり寄る政治家。
結局のところ、原子力は日本にとってはただの癌だったってこと。
今やるべきは、事態の収束と、安全で安価な次世代のエネルギー開発。
失墜した日本のエネルギー開発技術の底力を世界に見せて欲しい。
7. 匿名処理班
つらい
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12. 匿名処理班
こういうのが見たかったんだ。
13. 匿名処理班
いやいや、川内村が捨てられた村ってwww
村長めっちゃ頑張ってますし、村民も戻りつつあるんだけど。
まぁ元々寂れた村だからしょうがないっちゃしょうがないのかな。
川内村に親戚が住んでる身としてはおいおい、と思ったw
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