デスバレーの動く石の実働シーン初撮影、謎氷解…なのか?
デスバレーでは干上がった湖底で石が笠地蔵のように歩く怪現象があり、谷を渡る村人を昔から震え上がらせていたのですが、このたびやっとあの石が動いてる現場をカメラが撮影に成功し、長年の謎がいくぶん氷解しました。
石を押していたものの正体はずばり、氷と風、だったのです。ドスン。
デスバレーの「動く石」(英語でsailing stones=帆走する石、大きいものでは320kgもある)の原理を巡っては、ハリケーンの強風の煽りで動くという説から、つるんつるんの藻草で滑るという説まで、諸説ありました。
が、実はただ氷に押されて漂ってただけなのです。わかってしまうと、な~んだ…ですよね。2010年にはジョンズ・ホプキンス大学のラルフ・ローレンツ博士が台所のタッパに砂を敷き詰めて凍らせて実証した「氷いかだ」説が発表されて有力とされましたが、もっと単純なことだったようです。
今回UCサンディエゴの古生物学者リチャード・ノリス博士らがPLOS ONEに発表した新論文は、動く石の実働シーンを世界で初めて撮影に成功したという部分が画期的です。
実験を始めたのは、2011年冬に遡ります。先のタッパの博士も交えた科学班は、公園の許可を得て干上がった湖底「レーストラック・プラヤ」にカメラを設営し、動く石にGPSを括りつけてその動きを追いました。動く石は下手すると10年動かないこともあります。ピッチ実験のような心境で。
じっと待つこと数年。2013年12月にとうとう完璧な氷と風の組み合わせに恵まれ、湖底を何百個もの石がシャッフルしたのです!
石は今年2月まで都合5回に渡って動いたのですが、ノリス博士たちがたまたま寄った12月には、レーストラック・プラヤには深さ7cmの水が溜まっていました。夜間に氷が張って、昼になるとその氷が溶けてパキパキと割れ、やがて氷片が絶え間ない風に流されて前にある邪魔な石をズリズリと推し始めたんです。
氷の厚さは3~5mm、風速は秒速3~5m、その程度でも石は動いたんだそうですよ? これには論文共著者のローレンツ博士も、「思ったより氷が薄いので正直驚いた。僕が思ったような浮力は関係なかったんだね」と話してます。
移動距離は長いもので60mにも達しました。
以下はその模様を初めて捉えた映像です。
これにて一件落着…といきたいところなんですが、今回の観測では一番大きな石は動いてないんですよね。いったいあの巨岩はどう動いたのか? やっぱりデスバレーには宇宙人がいるのか? レーストラック・プラヤの謎は続きます。
Top image: Nagel Photography/Shutterstock
source: PLOS via UCSD
Sarah Zhang - Gizmodo US[原文]
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