サケはすごい魚だ。彼らはその流れに逆らって何千kmも泳ぎ、生まれ故郷に戻って産卵するために滝を登り、熊に捕食される危険をあえて冒す。しかしその行く手を阻む障害物の中には手強すぎるものもある。
そこで登場するのがWhooshhの新技術「シャケ・キャノン砲」だ。まずはサケがエアシューターから飛び出すその姿を見てみよう。
Hydrovision 2014
Whooshhの新技術は本来は果物の輸送用に設計されたエアシューターだった(ちなみにこの"Whooshh"という名は、ビューッもしくはシューッといった気体などが素早く流れる様子を表す擬声語"Whoosh"をもじったもの)。
だがその会社は、ある日水力発電用のダムの運用と、そのダムが川に向かって遡上するサケの邪魔になる、という米ワシントン州の討議を見たことから自社の技術に別の用途があると気づいた。"仮にWhooshhチューブがリンゴを遠くまで飛ばし、傷つけずに送ることができるなら、魚を吸い上げてコロンビア川のダムを超えることもできるんじゃないか?"と。
5年後、彼らはサケにぴったり合うチューブをこしらえた。そのテストはワシントン州のローザ・ダムで行われ、今のところ魚たちは元気にチューブを通っている。
9月には米エネルギー省がまた別のテストを行い、サケが現れる時期に合わせ数週間にわたり、高さ約60mの堤防にあるトラックの荷台の中めがけてサーモン砲を打ち上げる。その時には米ワシントン州魚類野生生物局が長さ約46mのチューブ装置を使う予定だ。
ワシントン州のコロンビア川は大規模ダムの拠点であり、そこには海を回遊して川へと戻ってくるサケの邪魔になってしまうダムが数基ほど設けられている。
野生生物局と公共事業体は、サケに人工の障害物を乗り越えさせるべく、魚たちをトラックに積んだり、船に乗せたり、ヘリコプターでも空輸したりする。
このチューブについてデリガン氏は、労働力への依存度が少ない効果的な手段であり、さらに魚が受けるストレスに関しても、捕獲されてトラックであちこちに運ばれるよりは減るだろう、と語る。
6月のテストでは魚が自発的にそのチューブに入っていくことが明らかになった。泳いで入口に入った魚達は掃除機のような原理でチューブ内部に吸い込まれ、最初の加速を受ける。その後の魚は背後からの空気圧によってもう一方の端から飛び出すまで押し出される。
そのスピードは時速24-35kmで調節も可能だそうだ。またチューブを通る魚達の体は摩擦を減らしてビュンビュン進むように霧で保湿される。今のところチューブには手作業で魚を入れているが、デリガン氏によるとローザ・ダムの現場のテストで"魚が泳いでちゃんとそこに入っていく"ことがわかったそうだ。
via:theverge・原文翻訳:R
▼あわせて読みたい
サケが道路を横断中。そして犬がそれを捕獲するという奇妙な光景(米シアトル)
通常の2倍の速さで成長する遺伝子組み換えサケが食卓へ!?(アメリカ)
水空を制する。魚なのに空も飛べるトビウオってすごい!トビウオのかっこいい飛行写真
【動画】まるで鳥のよう!空飛ぶエイの大群が鮮やか見事!!
養殖場から脱出した魚たちにおきた奇妙な現象、「集団ジャンプ」
コメント
1. 匿名処理班
相変わらず、荒っぽいけど合理的で気を遣っているんだか遣ってないんだかよくわからない…
あぁ、アメリカンだなあ。
2. 匿名処理班
アメリカのこういう所が結構好き
3. 匿名処理班
Gentle & Fast !
4. 匿名処理班
途中、腹が裂かれた鮭(死んでる)がいるのはなんだ?
5. 匿名処理班
サケ・ あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!。
だろうなw。
6. 2
ちょっとでいいから、ダム横に迂回用小川とかダメですか。
本当はダム作る時に設計に加えてほしかったけれど。
7. 匿名処理班
魚が上がれない魚道なんかより、よっぽど合理的。
あ、それじゃ予算つかないかぁw
8. 匿名処理班
戻るときはどうするんだ?下りのチューブも作るのか?
9. 匿名処理班
鱒ドライバーでお引越し
10. 匿名処理班
米「sakeを打ち上げよう…素晴らしく派手に…」
世界「お…おお…USA!USA!USA!」
11. 鮭
↑ あの高低差では魚道を作るのは無理だね。
日本の4mぐらいの防砂ダムに魚道作っても、
効果はどれだけかと議論になってるぐらい。
12. 匿名処理班
おれがアメリカの新型魚雷か
13. 匿名処理班
※12
×おれ ○これ
14. 匿名処理班
※4
食品加工工場でも使えるって事じゃない?
15. 匿名処理班
※4
テスト段階で、さばいたサケ使って実験してるんだろう
16. 匿名処理班
いや実にアメリカっぽい。
きっと俺たちサケの救世主、ヒャッホーとか思ってる。
ある種とても合目的なんだけど、自然への畏敬とか崇拝とかそういう感覚がちょっと違うんだよね。
17. 匿名処理班
サケ「オレ飛んでるー!竜になって飛んでるー!」
18. 匿名処理班
まぁ アメリカらしいな。でもいたずらに 遊んでるわけじゃないってことはわかった。
19. 匿名処理班
日本だったら「アホか」で終わりそうな発想なので、良くも悪くもさすがアメリカw
20. 匿名処理班
鯉は滝を登って竜になるというし縁起がいいよねw
21. 匿名処理班
※8
鮭に関しては、上って産卵したらそれで死んじゃうから下りはいらないね。
22. 匿名処理班
※14
※15
むしろ見たところでは、加工場で死んだ鮭を運搬するための装置を生きてるやつ用に転用した感がある。