春香「プロデューサーさん、ぶん殴っていいですか?」
- 1: ◆qgvFsqmWqG.F:2014/09/04(木) 19:08:05.97 ID:eHtQN5kU0
P「お、やっとその気になったか。良いぞ」
春香「じゃあ……いきますよっ、そーれ!」
バキィッ
P「ん」
P「……もういいのか?」
春香「はい、ありがとうございました。えへへ、なんかこう、スカッとしますね!」
春香「あの……本当に痛くないんですよね?」
P「ああ、痛くも痒くもないから安心しろ。なんたって俺は……」
P「無敵のプロデューサーだからな」- 3: ◆qgvFsqmWqG.F:2014/09/04(木) 19:12:15.89 ID:eHtQN5kU0
時は数日前に遡る―――――――――
P氏は担当アイドルの一人、菊地真をライブの舞台へと送り出そうとしていた。
真「じゃ、いつものアレ、いきますよっ!」
P「ああ」
右拳を前に突き出す真。
いつものアレとは、真がいつも求めてきていることだろうか。それともいつも自分がやっていることだろうか。
後者であると判断したP氏は、そっとポケットから手を出した。
その右手は真の拳とすれ違い、その先にある小さな『夢』を追うように伸びていった。
もみっ
真「へっ……?」
P「よし」
ほんの数ミリ程度、P氏で無ければ見逃してしまう程の小さな変化ではあったが、真の胸は確かに大きくなっていた。
担当アイドルの成長はプロデューサーにとって何よりも嬉しいもの。P氏は微笑んだ。
そう、これは単なる確認作業であり、プロデューサーとしての義務なのである。
しかし―――――
真「だぁあぁああっ!!!! な、ななななにするんですかプロデューサー!!」
バキィッ
P「ぐふっ」
理不尽にも、P氏は攻撃を受けた。
菊地真は、いや、765プロのアイドルたちは揃いも揃って自分の胸を確認されることを嫌っていたのである。
まるで風呂に入るのを拒否する子猫のような困った彼女たちを責めることも無く、P氏はここまで共に歩んできた。
逆境に耐えながら、全てはアイドルのために。
それが、プロデューサーなのだから。
- 4: ◆qgvFsqmWqG.F:2014/09/04(木) 19:13:34.38 ID:eHtQN5kU0
当時、P氏はまだ無敵ではなく、ごく普通のプロデューサーであった。
故に空手黒帯を有す菊地真による打撃がP氏の体に深いダメージを蓄積させていることは、当然のことであった。
そんなある日の帰り道―――
P「いたた……今日も効いたな、真のパンチ。律子の関節技も強烈だった」
P「これさえ無ければプロデューサーって良い職業なんだけどなぁ」
P「……」
P「こんな調子で続けられるんだろうか、プロデューサー」
P「このままじゃ、体が……」
P「はぁ~……」
――――――力が欲しいか
P「!!」ドクン
声が……聞こえた。
- 5: ◆qgvFsqmWqG.F:2014/09/04(木) 19:14:49.16 ID:eHtQN5kU0
P「だっ……誰だ!?」
――――――私は神だ
P「神……? マジか」
――――――うん
P氏は周りを確認した。人がいるようにも見えない。ならスピーカーか何かから?
違う。プロデューサーとしての経験から、電子的なものから出る音かそうでないかは判断出来る。その声は明らかに後者だ。
何より、脳に直接響いてくるこのどこか壮大な声は、P氏に神の存在を信じさせるのには十分なものであった。
P「どうやら本当……みたいだな」
P「なんてこった、まさか俺が神様に話しかけられるなんて」
P「ええと神様……力が欲しいかって、どういう?」
――――――汝に問う
――――――『無敵の体』を、所望するか?
- 6: ◆qgvFsqmWqG.F:2014/09/04(木) 19:16:35.04 ID:eHtQN5kU0
P「無敵の……体……!!」
瞬間、P氏の体に電撃走る。
P(ああ……これだ)
P(俺はどこかで、これを求めていたんだ)
P(プロデューサーにとって何よりも必要な、タフなボディ)
P(それさえあれば、俺は――――――)
P「はい!!!」
即答だった。迷う必要なんて、どこにも無いのだから。
――――――承知した
――――――ならば我が力の一部、汝に貸してやろう
P「ありがとうございます!!」
――――――早速、確かめてみよ
P「えっ」
――――――汝に授けた、『無敵の体』を
神のその言葉の意味を理解する暇も無く、それはやってきた。
神に脳を支配されていたP氏は背後から迫るそれに気付くことも出来ず……
キキーーーーーーーッ
ドンッ
- 7: ◆qgvFsqmWqG.F:2014/09/04(木) 19:17:34.23 ID:eHtQN5kU0
ガチャッ
運転手「や、やっちまった! 俺ぁ人を……! だ、大丈夫かアンタ!」
トラックの運転手は轢いてしまった男の元へ駆け寄り、絶句した。
P氏は生きていた。
P氏は立っていた。
P氏は―――笑っていた。
運転手「なっ……え?」
P「ふふ……ふふふ、なるほど! ははっ、ははは……!!」
P(痛くも痒くも無い! トラックに轢かれて、傷どころか、体に何の異常もないなんて……!)
P「これが……新たな俺……!!」
運転手「……」ポカーン
その日、彼は無敵になった。
- 8: ◆qgvFsqmWqG.F:2014/09/04(木) 19:20:13.91 ID:eHtQN5kU0
翌日
P(昨日のアレ……夢じゃないよな?)
真「おはようございまーす!」
P(おっ、テンションは最高のようだな。俺も最高のテンションで返さないとな!)
P「おはようの、パイ、たーっち!」
ぺたっ
真「なっ……なにするんですかぁ!!」
バキィッ
P「……」
真「ああっ、しまった、つい本気で……大丈夫ですかプロデューサー!」
P(なるほど……現実だったみたいだな)
P「大丈夫。全然効いてない」
真「へ?」
P(これならプロデューサー、続けられるぞ。この肉体があれば、俺は最高のプロデューサーでいられる!)
P「今日の仕事だが、春香、真美と一緒に舞台の稽古だったな。行こうか」
真「あっ、はい」
真(効いてないって……どうなってるんだ?)
- 11: ◆qgvFsqmWqG.F:2014/09/04(木) 19:51:32.46 ID:eHtQN5kU0
春香「フッ……その程度?」
真美「ううっ、強すぎる……」
真「ど、どうしましょう! このままじゃみんなやられてしまいますわ!」
春香「誰も私には敵わない。世界がそう決めたのだから」バサァッ
春香「恐れ! 平伏し! 崇めたてまつりなさい!!」
――――――――――――――――――
―――――――――
―――
スタッフ「お疲れ様でーす!」
真美「いや~、はるるんメッチャ良い感じだったね~!」
春香「えへへ、そう? なんかノってきちゃって!」
真「なんかさ、ハマり役!って感じだよね。ボクも春香も」
真美「いやまこちんは全然……」
P「みんなお疲れ。これ、差し入れな」
真美「あ、兄ちゃん!」
春香「プロデューサーさん!」
真(全然……?)
- 12: ◆qgvFsqmWqG.F:2014/09/04(木) 19:52:34.54 ID:eHtQN5kU0
真美「美味しいね、どら焼き!」
真「うん! へへっ、もう食べちゃった」
春香「ありがとうございます、プロデューサーさん」
P「はは、喜んでくれて嬉しいよ」
真美「でも……なんか喉渇いちゃったね」
真「たしかに、甘いもの食べると飲み物欲しくなるよね」
P「それもそうか。じゃあそこの自販機で……」
春香「私が買ってきます! みんな、お茶で良いよね?」スクッ
P「ん、悪いな春香」
春香「えへへ、良いんですよっ。待っててくださいね!」タタッ
P「……ん? おい春香、そこ……!」
P(奈落……なんで開いて……!)
春香「え? !! あっ、とっ、ああっ!」
ユラッ
真「!!」
真美「はるるん!」
P「くそっ!」
ダッ
グイッ
春香「え?」
真「あっ」
真美「やっ……」
春香「プロ……ッ!」
ドシャッ
- 13: ◆qgvFsqmWqG.F:2014/09/04(木) 19:53:39.13 ID:eHtQN5kU0
スタッフA「!! おい、誰か落ちたぞ!」
スタッフB「バッキャロー! なんで確認しなかったんだ!!」
春香(そ……そんな……)
スタッフC「大丈夫ですかぁー!?」
スタッフD「大丈夫なわけねぇだろ! 急いで救急車呼べ!」
春香(私の……せいで……)
P「大丈夫ですよー」
スタッフD「ほら見ろ大丈夫って……ええっ!?」
春香(プロデューサーさんが……ん? 大丈夫?)
春香「……」ヨタヨタ
春香「……」ヒョコッ
P「おう」
春香「!!!」
春香(立ってる。普通に……)
春香「え? え、どういう……こと?」
真美「兄ちゃん無事っぽいよ~! 良かった~!!」
スタッフC「そりゃ良かった」
スタッフA「んなバカな」
真「……」
真(やっぱり……プロデューサー、おかしいぞ……?)
- 14: ◆qgvFsqmWqG.F:2014/09/04(木) 19:54:32.49 ID:eHtQN5kU0
春香「プロデューサーさん、助けてくれて本当にありがとうございました!」
P「当然のことをしたまでだよ。プロデューサーとしてな」
真美「兄ちゃん、チョーかっこよかったよ!」
P「惚れたか?」
真美「うええっ!? そ、そんなの、分かんないよ……」
真「……プロデューサー」
真「説明してくれますか? その体、普通じゃありませんよね」
P「!」
P(やっぱバレるか。ま、当然だよな)
P「……分かった」
P「隠すようなものでもない。事務所に戻ったら、全部話そう」
P「俺の……無敵の体についてな」
春香「無敵の……体?」
真美「なになに? 兄ちゃんキラキラした星とか飴とかそーゆーの取ったの?」
- 15: ◆qgvFsqmWqG.F:2014/09/04(木) 19:55:24.71 ID:eHtQN5kU0
事務所
真「かっ……神様ぁ!?」
P「そう。俺のこの無敵の体は、神から与えられた俺だけの力なのである!」
春香「神様って……あの神様ですか?」
真美「イエスとかアッラーとか若林直美みたいな?」
P「よく分からんが多分そんな感じの神様だ」
あずさ「うふふ、プロデューサーさん、面白いですね~」
律子「笑えませんよあずささん。プロデューサー、頭でも打ったんですか?」
P「頭を打つってのは……」
P「こういう風にか?」
律子「えっ?」
ガツゥンッ
律子「え……あ……!!」
伊織「ちょ、ちょちょちょっと! 何やってんのよ!!」
律子「つっ、机の角に頭を……今すごい音しましたよ!? きゅ、救急車……」
P「この通り、無傷だ」スクッ
律子「ひいっ!」ビクッ
真「律子、神様云々はともかく、プロデューサーは奈落に落ちても傷一つ付かなかったんだ。無敵の体ってのは本当なんだよ」
春香「そうなんです! 私助けられちゃって……」
律子「な……なるほどね」
コメント一覧
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- 2014年09月04日 21:49
- ヒューッ!みろよPの身体を…まるでハガネみてえだ!!
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- 2014年09月04日 21:51
- 許さねぇ… 許さねぇぞ神様!
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- 2014年09月04日 21:57
- 俺はアストロン使えるから関係ない
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- 2014年09月04日 22:00
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千早は前面だけは常に無敵やね。
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- 2014年09月04日 22:04
- う〜ん…いい感じのブラックさだな
ただ最後がな
僕も一部だけなら硬化出来るよ
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- 2014年09月04日 22:06
- Pの無敵の肉体も響の完璧な異臭には敵わんさ
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- 2014年09月04日 22:12
- 暇を持て余した
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- 2014年09月04日 22:13
- 神々の
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- 2014年09月04日 22:15
- 遊び
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- 2014年09月04日 22:16
- 能力はいいにしてもアイドルが暴力に走るのはおかしいだろ
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- 2014年09月04日 22:18
- その後も書けよ!
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- 2014年09月04日 22:19
- 雪歩に掘られたい
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- 2014年09月04日 22:22
- 雪歩のマントルをこの俺の
すぅぱぁドリルで………)ボロン
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- 2014年09月04日 22:23
- 死んだ後が見たかったが奇妙な話なら仕方ない
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- 2014年09月04日 22:24
- オチが読めた
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- 2014年09月04日 22:32
- 俺たちのアストロンじゃ一部な上に結局痛いから真似しちゃダメだぞ
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- 2014年09月04日 22:33
- その後のアイドル達の反応見てみたい
ストレス発散対象いなくなって発狂するのか、哀しみに涙するのか
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- 2014年09月04日 22:34
- トゲトゲした武器多いな
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- 2014年09月04日 22:36
- 星新一か火浦功の短編に似たような話があった気がするな
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- 2014年09月04日 22:36
- ※13
小汚いたけのこはピラニアにくれてやれよ
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- 2014年09月04日 22:48
- ※4
なんで千早の名前がでるんだ! 千早の胸は確かに壁だけど 鉄壁なワケではないんだぞ!
壁だけど!
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- 2014年09月04日 22:52
- ※4
絶壁と鉄壁は違うから
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- 2014年09月04日 23:01
- 普通。
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- 2014年09月04日 23:02
- 最後が物足りない
その後どうなったかまで書いてたらおもしろそうだったのに
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- 2014年09月04日 23:25
- タモリのを意識してるなら書かない方が良いな
やっぱ春香ってクソだわ
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- 2014年09月04日 23:34
- 星井はまた事務所で昼寝か
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- 2014年09月04日 23:42
- これってラストの4月1日でエイプリルフールのウソでしたー、ってオチじゃないの?
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- 2014年09月04日 23:58
- ※27
そうだよ
だから返すのは(今日事情を説明しても嘘だと思われるから)明日にしてって頼んだんだよ
その後は誰が殺したのかで言い争いになり結局プロデューサーは失踪した事にしようと水瀬+大手事務所の圧力により名実共に芸能界から消えたのであった