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コナン「ホテルで殺人事件起きた。カイジと解決する」


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あかり「・・・意気地なし」結衣「!?」




1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:05:58.21 ID:Ployau9Y0


時期:エスポワールの後、コンビニのバイトシーンまでの、4ヶ月間の間のどこかの出来事

 エスポワール号での限定ジャンケンによって、カイジは629万5000円の借金を背負う。
 そんなとき、遠藤から仕事の話が持ち上がる。

カイジ「仕事……?」

遠藤「そう……ギャンブルじゃない。ちゃんとした仕事だ」

カイジ「とか言って……騙すつもりじゃねぇだろうな……?」

遠藤「そう言うな。まあ……命の危険があるかもしれないがな……」

カイジ「っ……! やっぱりそういう話じゃねぇかっ……!」

遠藤「……警備員」

カイジ「あ……?」

遠藤「とある会社のパーティが開かれる。その警備員をやれって仕事だ」

カイジ「警備員って……そんなの専門の警備会社に頼めばいいじゃねぇか……」

遠藤「バカだな、お前は……その会社が、普通の警備会社に頼めるような会社だと思うか?」

カイジ「……なるほど……表の会社じゃねぇってことか……」


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:08:16.29 ID:Ployau9Y0


遠藤「そりゃ言い過ぎだ……だが、その会社、ちょっくら表に出せないことを多くやっててな……」

カイジ「……何故そんなに詳しい……? 言い方からして、帝愛と直接関係した会社には聞こえないが……」

遠藤「もうわかるだろ? その会社……帝愛から借りてたんだよ、高額の金を、な……」

カイジ「……“借金”という名の帝愛との“関係”か……え? 待て、借りてた……過去形?」

遠藤「そうさ……借りた金を元手に、その社長さんは上手く稼いで……利子を含めた借金をきっちり全額返した。できる大人ってのは、そういう大人だよなぁ……?」

カイジ「……ぐっ……」

 カイジは遠藤から眼を逸らし、歯を食いしばる。
 
遠藤「先日……その会社の社長から、相談されたんだ……」

 一週間ほど前。その会社の社長宛に、一通の脅迫状が届けられた。
 『今度開催されるパーティにて、御前の会社の最も心の悪しき人間を、此の手で抹殺する』と。
 その脅迫状を見た社長が、遠藤に警備員を誰か紹介してくれないかと言ってきたのだった。

遠藤「そりゃ、うちの管轄外だと断ったんだがな……多額の依頼料を出してきたんで、上から受けろと言われたんだ」

カイジ「脅迫状……」

遠藤「ワープロで書かれた脅迫状だったから、筆跡鑑定は無理だ……指紋も残っちゃいない……」

カイジ「脅迫状を出した本人の正体はわからねぇってわけか……」


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:11:15.57 ID:Ployau9Y0


>>3
どうも侵入安価の人です


遠藤「そんで……お前に、その会社のパーティに行ってもらいたい」

カイジ「それがわかねぇ……なんで俺がその会社のパーティに行くんだよ……?」

遠藤「依頼を受けた以上、ただ誰かを送るわけにもいかない……有能な奴……それでいて、抜けても帝愛の仕事に支障を出さない奴……」

遠藤「そこで思いついたのが、有能な負債者を送り込むって方法だ」

カイジ「有能って……俺が?」

遠藤「俺には、お前よりもっと有能な人間はいると思う……」

遠藤「が、なんとなく……俺も思うんだ……」

遠藤「お前なら……事件が起きても何かできる……他の奴にはできない、何かが……」

カイジ「……?」

遠藤「さて……どうする? もちろん、報酬は出す。仕事の内容によって変わるがな」


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:13:39.55 ID:Ployau9Y0


カイジ「……額を教えろ……」

遠藤「ククク……一日中付き添って、何も事件が起きなかったら……要するに単なるイタズラだったら、2万。事件が発生したが、被害を出す前に犯人を捕まえられたら……5万出そう」

カイジ「ご、5万っ……?」

遠藤「何だ? エスポワールで何百万って駆け引きしたから、金の感覚が狂っちまったか?」

遠藤「日給2万って考えてみろ。一日中って言っても、24時間付き添うわけじゃねぇ……時給で換算したら1000は超える」

カイジ「そんなことはわかってる……! むしろ逆だ……破格……多すぎる……! アンタのことだから、もっと少ない額かと思っていたが……」

遠藤「……もし……事件が発生し、そして犯人もわからなかった、なんてことになったら……依頼を受けたうちの信用に関わる」

遠藤「勝手な言い分にも聞こえるだろうが……ヘマしたら覚悟しておけ」

カイジ「……」

遠藤「まあ、事件が起こって、誰かが被害を受けても、その犯人を捕まえられたら……1万ぐらいにしておいてやるか……」

遠藤「こいつが契約書だ。さあ、どうする……?」

 結局カイジは、その金額に釣られ、契約書にサインする。
 その後、遠藤にパーティ会場への地図、依頼書、警備員の制服、交通費、仕事内容をまとめた書類、脅迫状のコピーを渡される。


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:17:25.08 ID:Ployau9Y0


パーティ開催当日。
 電車で移動している最中、カイジは書類にまとめられた、依頼者の情報を読む。

カイジ(麻倉鈴芽【あさくら すずめ】……表向きは、宝石会社『ホワイトハーツ・チューン』の女社長……)

カイジ(裏の顔は偽物の宝石を売る詐欺師……ばれたら『自分も知らなかった。自分も騙されていた。自分も被害者だった』と言い訳し、うまく逃げて生きてきた女……)

カイジ(こんな奴のために働けっていうのかよ……くそっ……)

 出発からおよそ一時間。
 カイジはパーティ会場、『杯戸シティホテル』へと到着する。
 受付で依頼書を見せ、雇われた警備員だと証明する。

萬田「ああ、伊藤カイジさんですね。萬田通(まんだ とおる)です。こちらへどうぞ」

 そして、警備員の部屋へ移動される。
 綺麗に整われたホテルの個室。そこに、カイジは案内された。

カイジ「随分良い個室ですけど……いいんですか?」

萬田「ええ。社長から指定されている部屋ですから。では、時間まで、おくつろぎください」

 スタッフが去った直後、カイジは荷物を置き、椅子に座る。
 書類を読み返す、タバコを吸うなどして、時間を潰す。
 そして、ドアがノックされた。

カイジ「はい」

 ドアを開けるカイジ。
 ドアの前には、ドレス姿の女性が立っていた。


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:19:39.93 ID:Ployau9Y0


麻倉「初めまして、カイジ君。私が麻倉鈴芽です」

カイジ「……初めまして。伊藤カイジです」

麻倉「今すぐ移動しても構いませんが……パーティの開催まで時間はあります。少しばかり、話をしたいことがありますので、よろしいですか?」

カイジ「え……? あ、はい……どうぞ……」

 部屋の中へ招き入れ、テーブルを挟んで向き合って椅子に座る。

麻倉「私……あの脅迫状は、もしかしたら社員が出した物ではないかと思っているのです」

カイジ「なっ……!?」

 麻倉の発言に、カイジは戸惑いを隠せない。

麻倉「明確な証拠はありません……ですが、あの脅迫状……『お前』を『御前』と書き、『この手』を『此の手』と書く……」

麻倉「私の会社で、よく使う文面なのです」

カイジ「よく使う……?」

麻倉「父から、重要な文書ほど漢字をしっかり書け……そう教育されて以来、部下にもそう教えてきましたから」

カイジ「じゃあ、その影響が、脅迫状にも出たと……?」

麻倉「あくまで可能性に過ぎませんが……」


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:21:53.08 ID:Ployau9Y0


麻倉「あ、それから……」

麻倉「馬鹿な部下が、脅迫状のことを気にして、探偵を呼びました」

カイジ「探偵? え、あの、お言葉ですが、帝愛の人間から聞きましたが、あなたの会社は、その、裏で……」

麻倉「ええ。ですから言いました。馬鹿な部下が、と」

麻倉「実を言いますと……脅迫状の一件自体は、私の会社専属の警備団体を作りまして、そちらに任せてあるのです」

麻倉「私があなたに頼みたいのは……むしろその探偵の方……」

麻倉「探偵に、この会社の裏を知られないよう……」

麻倉「会社の秘密を警備する。それを、あなたにお任せしたいのです」

カイジ(おいおい……遠藤と言ってることが違うじゃねーか……)

カイジ(まあ……脅迫状の犯人を捕まえるよりは、身の危険は無い……かな……)

麻倉「もちろん、脅迫状の件も、一応、お忘れないよう……お願いします」


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:24:30.62 ID:Ployau9Y0


そして始まったパーティ。
 宝石の業界における重要人物が集まり、親睦を深めるというのが目的の、娯楽中心のパーティである。
 立食形式で好きな食事を食べ、好きな飲み物を飲み、談笑する。

麻倉「まあ……裏では少し、取引を行うことになりますが……」

カイジ「そ、そうですか……」

麻倉「言っておきますが、あなたの情報は、帝愛を通じてこちらにすべて送られています」

麻倉「妙なことはしないように……あなた自身に警備員を付けるなどという愚行はしたくありませんので」

カイジ「は、はい……」

カイジ(くそっ……結局こういう恐怖を味わうはめになんのかよっ……)

麻倉「……でも、あなたには期待していますよ。第一印象から判断しただけに過ぎませんが……」

麻倉「あ、そうそう。あちらが、馬鹿な部下が呼んだ探偵です。彼の動きも注意してください」

 カイジは、麻倉の指さす方向を見据える。

麻倉「名探偵、毛利小五郎……巷では眠りの小五郎と言われている人物です……」


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:26:49.15 ID:Ployau9Y0


小五郎「いやー、まさかこんな豪華な食事にありつけるとは……」

蘭「ちょっとお父さん、あんまりがっつかないでよ、恥ずかしい……」

コナン「それに、ここには脅迫状の犯人を捕まえるっていう依頼を受けて来てるんだからね!」

小五郎「あぁ、わかってるよ……食いながら怪しい奴がいねーか探してるよ」

小五郎「腹が減っては戦はできぬ。依頼主の萬田さんだって、さっきそう言ってくれたしな!」

萬田「ええ。お二人も、遠慮せずにどうぞ」

コナン「ねぇ、ところでさ、脅迫状には、『最も心の悪しき人間』って書いてあったけど、殺されそうな人が誰なのか予想はついているの?」

萬田「いや……でも、社長を狙っているんだったら、多分社長って書くだろうから……」

萬田「僕の予想だと……会社の金を横領している疑いのある、社長秘書の緑川索子(みどりかわ さくこ)さんか……」

萬田「もしくは、高圧的な態度と強引な仕事の進め方から、あまり社員から良く思われていない、専務の筒井清美(つつい きよみ)さん……」

小五郎「? その二人は、どちらかと言えば社員から心の悪しき人と思われているのでは……?」

萬田「え、いや、その……」

カイジ「つまり、あなたも脅迫状は社員の仕業だと思ってるってわけですか……」

萬田「うわっ!?」

小五郎「だ、誰だ貴様は!? 随分と尖った鼻と顎をしてるが……」


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:28:48.11 ID:Ployau9Y0


カイジ「服装を見ればわかるでしょう? 警備員ですよ」

萬田「あ、さっきの……」

カイジ「ん? ああ、あの時の受付さん……」

コナン「ねぇ、『あなたも』ってことは、お兄さんも社員が脅迫状を出したと思ってるの?」

カイジ「いや、俺じゃなくて、社長さんがそう思ってるんだってさ」

麻倉「ええ。萬田、奇遇にもあなたと同意見よ」

萬田「しゃ、社長!」

小五郎「この人が、社長さん!?」

麻倉「麻倉です。私も社員の出した脅迫状ではないかと思っていましたが……狙われている人物の予想まではしていませんでしたね」

麻倉「萬田。よく考えましたね」

萬田「い、いえ……そ、そんなことは……」

カイジ(さっきは探偵を呼んだ馬鹿な部下とか言っていたが……ま、探偵の前でそんな言葉は吐けないか……)

 カイジが麻倉と共に小五郎と接触したのは、大きな理由がある。
 このように、麻倉の目の前で小五郎と会話することで、会社の裏の話をしていないと証明することができる。

カイジ(裏のことを探偵に話したんじゃないかと怪しまれるくらいなら、探偵との会話は、社長にすべて見てもらっておいた方が良い……!)

カイジ(会社の裏は話していないという主張……無罪の主張は、大きく見せつけておいて損は無い……!)


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:31:04.49 ID:Ployau9Y0


麻倉「でも……私は、脅迫状は社員のイタズラだと思っていますのよ。でなければ、さっさと警察を呼んでいますもの」

小五郎「まあ、そうですよねぇ」

カイジ(なるほど……警察を呼んでいない理由をうまく作ったか……)

萬田「でも社長、万が一のことがあったら……」

麻倉「だから探偵さんに来ていただいたんじゃありませんの?」

萬田「いや、その……」

麻倉「警察を呼んで騒いで、何もなかったら……それこそ大恥ではありませんか」

麻倉「それに、あの眠りの小五郎さんが来ていらっしゃいますもの」

麻倉「きっと、脅迫状の犯人を見つけ出してくださいますわ」

小五郎「ガハハハ、任せて置いてください!」

カイジ(さらに、脅迫状の犯人を捜すように社長自ら依頼する形にすることで……)

カイジ(この探偵に、脅迫状の犯人捜し以外の目的を作らせない……上手いな、この社長……)


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:34:27.64 ID:Ployau9Y0


小五郎との会話に得られた情報は、ほぼ事前に渡されていた書類の内容と同じものばかり。
 しかし、緑川と筒井。被害者になり得る可能性のある社員の予想。これは大きい情報だった。
 そして小五郎との会話後は、麻倉に付き添い、小五郎と陰で話していないことを見せつける。
 秘密は漏らしていないと主張……とにかく態度で主張……!

カイジ「社長、緑川さんと筒井さんって……どなたですか?」

麻倉「緑川は、私の秘書で……ああ、あそこのドレスを着た女性です。今日のドレスは、随分と布を重ねたものですね」

 麻倉の指さす方を見ると、確かに多くの布を羽織ったドレスの女性がいた。

麻倉「横領の話は……事実はまだわかりません」

麻倉「筒井は仕事のできる優秀な人物ではありますが……確かに部下への態度は良くありません」

カイジ「で? 筒井さんは、どちらに……」

筒井「お呼びですか?」

 カイジの背後から、暗い赤のドレスを着た女性が話しかけてきた。

麻倉「あら、筒井さん。珍しいですね。黒っぽいドレスなんて」

筒井「ええ。ちょっと気分を変えて……」

麻倉「私の好きな色だわ。そういうドレスも似合ってるわよ。あ、こちら、警備員のカイジさん」

カイジ「どうも……」


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:37:53.13 ID:Ployau9Y0


筒井「……雇った新しい警備員は……一人ですか?」

麻倉「わかっているでしょう? 数を増やせば、その分、会社の裏が多くの人に知れ渡る……」

筒井「……失礼しました。そうでした」

麻倉「それに、カイジさんには、裏のことがバレないようにしてもらうのが最大の仕事ですから」

筒井「そうですね……脅迫状の件は、警備団体に……」

 ピリリ……ピリリ……

筒井「失礼、電話が……向こうで済ませてきます」

 筒井は、手提げ鞄から携帯を取り出し、走り出した。

麻倉「お忙しいのですね、こんな日でも……」

 筒井は、パーティ会場の入り口の外へと走って行った。
 しばらくして、緑川も出ていく。

カイジ「あれ……秘書の人、出て行っちゃいましたけど……」

麻倉「お手洗いにでも行ったのでは?」

カイジ「ですかね……」


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:42:13.59 ID:Ployau9Y0


その後、特に事件も起きぬまま、パーティは続いていく。

麻倉「……このまま、何事もなくパーティが終わってほしいものですね……」

カイジ「はい……」

 このまま事件が起きなければ、カイジは2万を手にすることができる。
 カイジ個人としても、事件が起きないことを祈るばかりである。

司会「えー、皆様、ここで、一つお祝い事がございます」

麻倉「? 何かしら? そんなの聞いてないけど……」

カイジ「えっ……?」

 社長も知らないイベント。
 カイジは、何かの事件の兆候なのではないかと警戒する。


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:45:39.12 ID:Ployau9Y0


司会「これは、麻倉社長も知らないお祝い事です……というより、社長には隠していたことです」

麻倉「……?」

司会「来月、社長の誕生日を迎えます! かなり早いお祝いになりますが、来月には大きなイベントがないので、今日、前祝として、社長の誕生日をお祝いしようと思います!」

 会場に広がる、感動の声。
 そして拍手。
 カイジも、警戒を解き、拍手をする。
 麻倉を見ると、普通の顔をしながらも、嬉し涙を堪えているのがわかる。

司会「では、ケーキが運ばれます! 道をお開けください!」

 入り口の扉が開き、秘書の緑川が、大きなケーキを乗せたワゴンを運んでくる。

カイジ(ああ……この準備のために、さっき会場から出て行ったのか……)

蘭「ほら、お父さん、道開けて。多分、ケーキ、会場の中央のここら辺に来るから」

小五郎「もぐもぐ……んぐ、わかったわかった……」

 ゆっくりと運ばれるケーキ。
 ワゴンは、会場の中央で静止する。

緑川「社長。お誕生日おめでとうございます」

 緑川が微笑んだ、その直後。
 会場が闇に包まれた。


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:48:19.84 ID:Ployau9Y0


停電。
 カイジに、再び緊張が走る。
 会場も、急な出来事に、来客たちが驚き、慌て、狼狽える。

麻倉「何? 何が起こったの!?」

カイジ「落ち着いてください、社長!」

 ざわ……ざわ……。

緑川「きゃぁぁあああ!」

 突然、緑川の悲鳴が、会場に響いた。

麻倉「緑川!? どうしたの!?」

カイジ「待ってください! 動かないで! 何か起きたのならば、動いたら危ない!」

 会場はさらに混乱っ……! 連鎖する混乱っ……!

カイジ「っ! うわっ……っ!?」

 慌てた客と暗闇の中で接触したのか、カイジはよろけ、近くのテーブルとぶつかる。
 テーブルは倒れ、料理の盛られた皿や飲み物のボトルなどが落ち、大きな音を立てて割れる。

 そして、再び会場に明かりが灯る。
 直後……カイジは、先ほどの兆候は正しかったと実感する……!

 ケーキを乗せたワゴンを前に、緑川索子は倒れていた……!
 ナイフを背中に刺し、ドレスを血の色に染め上げて……!


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:52:56.30 ID:Ployau9Y0


しばらくして、警察が会場に到着した。
 既に緑川の命の灯は消え、肉と骨、そして乾きかけた血だけの存在となっていた。

目暮「警視庁の目暮です」

麻倉「宝石会社『ホワイトハーツ・チューン』の社長、麻倉鈴芽です」

目暮「では、事件の詳細をお聞かせ願いますかな?」


目暮「なるほど……パーティの最中に停電が起き、電気が復旧したら、死体があったと……」

麻倉「はい……」

目暮「さらに、このパーティで事件を起こすという脅迫状が送られていたそうですが

目暮「……どうして警察にすぐ連絡しなかったんですか?」

麻倉「それは、その……」

小五郎「代わりに私を呼んでいたんですよ、警部」

目暮「何だ、またいたのか毛利君……」


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:55:44.95 ID:Ployau9Y0


小五郎「麻倉社長の部下の萬田さんから、依頼を受けましてね」

小五郎「萬田さんも社長も、社内の誰かが送ってきたものだと思っていたそうです」

目暮「何だと?」

麻倉「ええ……社内でよく使う文面に似ていたので……」

麻倉「社員の仕業なのなら……イタズラの可能性が高いと思って……」

小五郎「ま、私を呼んだのでちょっとばかり油断しちゃったんでしょう。社長を責めないで上げてください」

目暮「だったら、依頼されたのに事件を起こしてしまった君は反省すべきじゃないのかね?」

小五郎「い、痛い所を突いてきますねぇ、警部……


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 20:59:07.40 ID:Ployau9Y0


高木「被害者の名前は、緑川索子。麻倉鈴芽さんの秘書です」

高木「死因は、背中に刺さったナイフが心臓まで達したことによる失血死……」

高木「被害者のドレスはマントのように多くの布を羽織っており、刺した程度の出血は布に吸われ、犯人に返り血はほとんど付いてないと思われます」

目暮「返り血から犯人を特定するのは難しそうだな……」

鑑識「警部……この被害者のナイフの刺さり方ですが……」

目暮「? 何か問題があったかね?」

鑑識「ええ……やや上から刺さった角度になりますので、、犯人は被害者よりも背の高い人物だと思われます」

鑑識「それと、犯行当時停電が起こっていたらしいですから……被害者の急所を狙うには、近い位置にいる人間でないと刺せないかと……」

目暮「ふむ……申し訳ありませんが、皆さん。犯行当時に居た場所に移動していただけますかな。簡単な再現を行いたい」


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:01:54.04 ID:Ployau9Y0


麻倉「私は、警備員のカイジさんと一緒に、この倒れたテーブルの近くに……」

目暮「ケーキのワゴンから少々離れておりますな……」

麻倉「サプライズパーティでしたので、最初からケーキの置かれる場所にいたわけではありません……近づこうとしたときに、停電になりましたし……」

目暮「このテーブルは、事件当時倒れていたんですか?」

カイジ「いえ……そいつは停電の最中、俺が誰かとぶつかった拍子に倒しちまったんです。すみません……」

目暮「いや、謝ることはないが……カイジさんでしたかな? 社長さんは背が低いようですが、あなたは背が高い方のようですな……」

カイジ「お、俺を疑ってるんですか!?」

目暮「離れているといっても、ここからワゴンまでテーブルなどの障害物はない……全力疾走で行けば、なんとか……」

麻倉「カイジさんは、停電の最中、緑川の悲鳴の直前と直後に、私と会話しましたわ」

麻倉「緑川さんが殺された瞬間、私の近くにいたということです」

目暮「ふむ……その証言が正しければ、カイジさんに犯行は不可能ですな……」

カイジ「ほっ……ありがとうございます、社長……」

麻倉「別にあなたのためにやったわけではありません」

麻倉「嘘を言っても仕方がありませんし、容疑者は少しでも減らした方が、犯人は早く捕まりますから」


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:04:02.58 ID:Ployau9Y0


筒井「私は、この辺りにいたかと……」

目暮「麻倉社長よりも後ろですな……あなたがここに居たことを証明する人はいますか?」

筒井「さあ?」

 筒井は、何も持っていない両手を横に広げ、わからないという仕草をする。

筒井「でも、私が社長より前の位置にいたら、社長は私に気付くと思います」

目暮「? 何故ですかな?」

筒井「今日は、社長好みの色の服を着ているんです。社長は、自分の好きなデザインや色に、すごく敏感なので……」

目暮「そうなのですが、麻倉さん?」

麻倉「ええ……少なくとも、私の視界の中に、彼女はいませんでした」

目暮「ふーむ……やや不安定な根拠ですが……身長も被害者よりやや低いようですし……」

筒井「でしょう?」


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:06:30.40 ID:Ployau9Y0


萬田「僕は……この辺りに居ました」

目暮「ワゴンから近い方ですな……」

萬田「で、でも、停電したとき、倒れそうになったお客さんがいて、支えてたんです」

目暮「どなたですかな?」

蘭「あ、私です」

目暮「蘭君?」

蘭「停電が始まった直後に、よろけちゃって……誰かにぶつかって、そのまま支えてもらってて……」

蘭「電気が照らされたら、萬田さんが私を支えててくれました」

目暮「そうですか……」

コナン「僕は蘭姉ちゃんの隣にいたよ」

目暮「ハハ、コナン君はどう見ても背的に犯人にはありえんから大丈夫だよ」

コナン「だよねー」


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:09:28.64 ID:Ployau9Y0


目暮「そして……ワゴンに最も近いテーブル付近にいたのが……」

小五郎「……え? ちょっとやめてくださいよ警部! 私を疑ってるんスか?」

目暮「誰であろうと疑うのが警察でな……それに、君は背も高いし……」

小五郎「やめてくださいって。だって私は依頼されてここにやってきて、初めて緑川さんと出会ったんですよ? 動機がないじゃないですか」

目暮「そりゃそうだが……今のところ犯人の条件に当てはまる人物は君しかおらんぞ」

小五郎「いやいやいや! 勘弁してくださいよ!」

小五郎「そうだ! 事件のときの停電! あれは、間違いなく犯人が共犯だっていう証拠ですよ!」

小五郎「片方が停電を起こして、その間にもう片方が被害者を……」

千葉「警部! 電気設備室に、タイマーで停電が発生する装置が……」

目暮「どうやら……犯人は単独犯のようだな……共犯ならばそんな装置はいらん」

小五郎「そ、そんなぁ~」


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:12:08.81 ID:Ployau9Y0


カイジ(……どうも、俺にはあの探偵が犯人には見えねえ……)

カイジ(確かに、刺されたナイフがやや上からっていうことは、犯人は被害者の緑川さんよりも背の高い人間……)

カイジ(だが……自分の体格がわかるような刺し方をするか……?)

カイジ(俺だったら……自分の体格に関係のないような刺し方……もしくは殺し方をする……)

カイジ(探偵なら……いや、普通の人間なら、そのぐらい考える……)

カイジ(まさか、あのおっさんが、人を殺す時だけアホになるってことはあるまい……)

カイジ(もし、背の低い人物が犯人ならば……何か台に乗って、高い位置からナイフを刺したのか……?)

 カイジは考える。ワゴンの近くに台になりそうなものがあったかどうか。
 または、誰か、台にできるようなものを持っていないか。
 だが、当然、そんなものは無く、誰もそんな物を持ってはいない。
 周囲の人間を観察していたとき、カイジは、ふと、気付いた。

カイジ(あれ……あの人、どうして……)

 停電前と停電後の、明らかな違い。

カイジ(……事件に……関係してるのか……?


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:16:04.22 ID:Ployau9Y0


コナン「……」

 コナンは、ワゴンを見つめる。
 凝視……ただただ凝視……。
 そして思い出す……事件発見前の記憶を……。

コナン「……これは……?」

 コナンは、停電前と停電後の、僅かな差を見つける。

カイジ「おい……そこの子供、何やってんだ……?」

コナン「えっ? あ、さっきの警備員のお兄さん」

カイジ「ん……? あ、あの眠りの小五郎と一緒に居た子供か……」

コナン「うん。江戸川コナン。確か、カイジさんだったっけ」

カイジ「おう。伊藤カイジだ。しっかし……江戸川コナンとは変わった名前だな……」

カイジ「あれ? 苗字が毛利じゃないってことは、あの探偵の息子じゃないのか……?」

コナン「うん。僕のお父さんとお母さんがちょっと外国に行っちゃってて、預かってもらってるの」

カイジ「小さいのに両親と離ればなれかよ……苦労してんなあ、お前……」

コナン「まあね。それよりもさ、これ、どう思う?」

カイジ「これ……?」


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:18:24.53 ID:Ployau9Y0


カイジ「そいつは本当なのか……? これが……」

コナン「うん。事件が起こったときと比べて、ほんの少しだけ」

カイジ「……俺も気になっていることがあるんだ……」

コナン「えっ?」

カイジ「あいつの……」

コナン「……なるほど……」

カイジ「事件の前後で発生した、相違点……」

カイジ「俺には……何かあるようにしか思えない……」

コナン「うん、僕も」

カイジ「……お前、見た目はどう見ても小学生だが……何か、妙な感じがするぜ……」

コナン「妙な感じ?」

カイジ「悪い意味じゃない……そこら辺の小学生より、お前はずっと頭が良さそうだ……」

カイジ「いや……下手すりゃ、そこら辺の大人よりずっと……」

コナン「そ、そんなわけないよ……ハハハ」


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:20:39.41 ID:Ployau9Y0


カイジ「実は俺……この事件を俺の手で解決したいんだ……訳はちょっと言いにくいが……」

カイジ「そして、お前もあの眠りの小五郎の疑い……晴らしてやりたいだろ?」

コナン「う、うん……」

カイジ「……協力しねーか……?」

コナン「協力?」

カイジ「直観だが、警察なんかよりも、お前の方がよっぽど力になりそうだ」

カイジ「俺も、可能な限りこちらしか知らないような情報は、お前にやる。なんてったって警備員なんだからな。結構知ってるぜ」

コナン「……カイジさん、随分変わった人だね」

カイジ「えっ……?」

コナン「普通だったら、小学生と事件を解こうなんて思わないよ?」

カイジ「……そりゃそうだが……」

コナン「……僕なんかで力になるんだったら……いくらでも協力するよ」

カイジ「! 頼むぜ……コナン……!」


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:23:05.87 ID:Ployau9Y0


コナン「早速なんだけど、さっき、目暮警部と話してた時、誰かとぶつかったって言ってたよね?」

カイジ「ああ……それで、テーブルを倒しちまって……」

コナン「そのぶつかった人……何か気になるなぁ……」

カイジ「……じゃあ、その倒れたテーブル、見てみるか……?」


コナン「カイジさんは、事件の瞬間、ここにいたんだね?」

カイジ「ああ……派手にテーブルを倒しちまったよ。テーブルクロスもぐちゃぐちゃだ……」

コナン「落ちたのは……料理と……紅茶だね」

カイジ「紅茶……?」

カイジ「あ……ボトルが割れたんだと思っていたけど、こりゃティーセットか……」

コナン「ダージリンティーの匂いがする」

カイジ「……わかんねえ……」

コナン「インド北東部西ベンガル州北部のダージリン地方で生産される紅茶で、強い香りが特徴だけど……わからない?」「

カイジ「嗅いだことも飲んだこともねえんだよっ……! そんな名前の紅茶っ……!」

コナン「あ、そう……ご、ごめんなさい……えへへ」


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:24:44.01 ID:Ployau9Y0


コナン「……! ねえ、これ……」

カイジ「あん? 何だ?」

コナン「何か、床の絨毯に……水が滴った跡がある……それも、しばらく続いてる……」

コナン「ダージリンティーの匂いがするから、何かに紅茶がかかって、その何かを、誰かが運んだんじゃないかな」

カイジ「何かって……何だ?」

コナン「それは何かはわからないけど……誰も、紅茶で濡れた何かを持ってはいないみたい……」

 カイジとコナンは辺りを見渡すが、誰の体も紅茶で濡れてはおらず、荷物も同じく、何の染みもない。

コナン「……とりあえず、この件は保留にしておこうか」

カイジ「ああ……事件に関係するかどうかもわからねえしな……」


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:27:27.32 ID:Ployau9Y0


カイジ「そうだ……ナイフが上から刺さったから、背の高い奴が犯人だってやつ……」

カイジ「俺には……背の低い奴が、何らかのトリックを使って、背の高い奴の仕業に見せかけたように思えるんだが……」

カイジ「考えすぎか……?」

コナン「……犯人っていうのは、基本的に自分に疑いがかからないようにする」

コナン「僕が犯人だったら……背の高い人間が犯人だと特定されるような刺し方はしない」

カイジ「だよな……だが……背の高さを稼げるような台みたいなものは何も……」

コナン「……あ……」

カイジ「どうした……?」

コナン「カイジさんの、背中に……料理に使われてた食材かな……何かついてる」

カイジ「げっ……マジか……? テーブル倒したときに飛んだか……? くっ……どこだよ……?」

コナン「いや、そっちじゃなくて、もっと左……」

カイジ「ああ、もう……悪い、コナン、取ってくれ、ほら……あ……」

コナン「! そうか……その手が……!」

カイジ「なるほど……だが、被害者はどうしてこんなことを……」


50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:29:54.59 ID:Ployau9Y0


コナンの脳内を、今まで集めた情報が駆け巡る。
 背の高い犯人が刺したナイフ。
 停電前と停電直後の異変。
 ダージリンティーの滴り。
 そしてカイジの背中の異物。

 これらの情報を、一直線に並べる、定規。
 コナンは思考を重ね、ついに発見する……!
 走り出すコナン。

カイジ「お、おい……」

 カイジもコナンの後を追おうとした。が、しかし。

目暮「悪いが毛利君。このままでは重要参考人として君を連れて行かねばならんな……」

蘭「そ、そんな!」

小五郎「い、いや、ちょっと待ってくださいぃいい!」

カイジ「くっ……!」

 カイジはコナンと逆方向……目暮警部の方へと走り出した。


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:32:38.54 ID:Ployau9Y0


カイジ「ちょっと待ってくれ、警部さん……!」

 目暮の肩を掴み、カイジは警部を止める。

目暮「君は……さっきの警備員の……カイジくんだったか」

カイジ「いいのか……? 誤認逮捕で名探偵捕まえても……!」

目暮「誤認逮捕……? 何だね? まるで犯人がわかっているかのような口ぶりじゃないか」

カイジ「ああ……わかったんだよ……この事件の真相が……!」

 ざわ……ざわ……。

 騒然とする会場。
 このとき、カイジの頭の中ではっきりと解けていた謎は、コナンと共に解いた謎、たった一つだけ。
 そもそも、コナンと同意見なのか、そしてその答えが合っているのか。
 小五郎が無罪なのか。
 カイジにはわからない。だが、止まらない。止められない。
 既に動いてしまった以上、進むしかない。


コナン(くそっ……カイジさん、何やってんだよ! 早くアレを確認しねぇと……)

コナン「すみません! 司会者さん! ちょっと教えてほしいことが……」


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:35:39.62 ID:Ployau9Y0


麻倉「カイジさん……それは本当ですか……?」

カイジ「もちろん……」

カイジ(嘘です……)

目暮「じゃあ、教えてくれんかね? 真犯人を……」

目暮「毛利君以外で、そこそこ被害者に近い位置に居て、背の高い人物ということになるが……」

カイジ「そもそも……犯人は背の高い人物ってのが間違いっ……間違いなんだよっ……!」

目暮「何ぃ? だが、ナイフは間違いなく上の方から刺されて……」

カイジ「ナイフを上の方から刺すんだったら……何も犯人が背を高くしなくてもいい……!」

カイジ「被害者の方が……低くなればいいんだからな……!」

高木「被害者が!?」


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:38:54.78 ID:Ployau9Y0


カイジ「大人の背中にゴミがついていて、それを子供に取ってもらうとしたら、大人はしゃがまなくちゃならない……!」

カイジ「つまり……被害者が姿勢を低くしていれば……」

カイジ「犯人の身長が子供ぐらいの大きさでない限り、上から刺すことはできる……!」

目暮「な、なんと……」

高木「つまり……被害者は、停電の最中、姿勢を低くしていたんですか?」

カイジ「ああ……おそらくはしゃがんでいた……」

高木「……何の、ために……?」

カイジ「……へっ……想像できねえか……?」

目暮「うーむ……停電の中……姿勢を低く……?」

カイジ(……警部が考えてる間に……俺も考えねえと……)

カイジ(勢いで思わずここまで言っちまったが……こっからどうすりゃいい……?)

カイジ(……そういえば……コナンは……? 確か、あっちに……あれ、いない……)

コナン(カイジ声)「わかんねえんなら……説明するぜ……」

カイジ「!?」


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:41:25.51 ID:Ployau9Y0


カイジ「な、何だっ……!?」

目暮「? ど、どうしたんだね? 説明すると言ったが……」

カイジ「あ、はい、説明します、けど……」

 カイジはさりげなく辺りを見渡し、先ほどの声の主を探す。
 そのとき、カイジの足を誰かがつつく。
 足元を見ると、カイジのすぐそばのテーブルの下、テーブルクロスの中に、コナンが蝶ネクタイを片手に隠れていた。

コナン(小声)「しばらく、口パクでお願い」

カイジ(小声)「あ……ああ……」

カイジ(よくわかんねえけど……任せていいだよな、コナン……?)

コナン(カイジ声)「すみません……変な虫が俺の周りを飛び交ったみたいで……」

コナン(カイジ声)「被害者の緑川さんが、停電の最中にしゃがみこんだ理由……それは、麻倉社長の誕生日イベントと関係があります……」


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:43:58.98 ID:Ployau9Y0


コナン(カイジ声)「あのイベントは、いわゆるサプライズ……祝う相手を驚かせるのが目的……」

コナン(カイジ声)「確認しましたが……どうやら緑川さんが中心になって行われたイベントのようです……」

 ――数分前。

コナン「ねえ! 司会者さん! 誕生日のイベントって、誰が言い出したの?」

司会「その……死んでしまった緑川さんだけど……」

 ――。

コナン(カイジ声)「しかし……あまりに早すぎる。来月の誕生日を、今月祝うなんて……」

コナン(カイジ声)「おそらく……犯人が利用するために緑川さんに申し出た、偽のイベント……」

 ――。

コナン「ただケーキを秘密で作るだけ? 他にも何かやるって言ってなかった?」

司会「そうだなあ……そういえば、何か、誰かと協力してマジックみたいなことをやる予定だったらしいな……」

司会「誰と何をやるつもりだったのかは、よく知らないけど……」

 ――。

コナン(カイジ声)「あるマジックをやろうとしていた……」

目暮「マジック……?」


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:46:55.28 ID:Ployau9Y0


コナン(カイジ声)「あくまで推測ですが……ワゴンを運んでいる人物が……一瞬の停電の間に、違う人物と入れ替わるマジックですよ……!」

高木「瞬間移動系のマジックですか? 一体どうやって……」

コナン(カイジ声)「ここで気になるのが……停電後と停電前で、ワゴンのシーツのしわが、微妙に変わっている点……」

目暮「……そうなんですか?」

麻倉「ええと……よく覚えていませんが……言われてみると、そうかもしれません」

コナン(カイジ声)「おそらく……シーツの下は、別の物を入れることができる空間がある」

高木「そうか! そこに誰かが隠れて、シーツでその姿を隠し、停電の最中に出てきて、ワゴンを運んでいた人と入れ替わる!」

目暮「ワゴンの中から出てきたから、シーツが動いて、しわが微妙に変わったというわけか……」

コナン(カイジ声)「そういうことです……! そして、このマジックをする場合、まず、ワゴンの中に隠れていた人物がワゴンから出て……」

コナン(カイジ声)「その後、ワゴンを運んでいた人物が、ワゴンの中に隠れることになる」

カイジ「……そうか! 姿勢を低くしないと、ワゴンの中には入れないってことか!」

目暮「なるほど! ……って、なんで自分の推理に自分で納得しているんですかな?」

カイジ「えっ……あ、いや……」

コナン(小声)「勝手に喋らないでよ、カイジさん!」

カイジ(小声)「わ、悪い……」


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:49:57.19 ID:Ployau9Y0


コナン(カイジ声)「は、話を続けます……!」

コナン(カイジ声)「緑川さんは、姿勢を低くして、ワゴンの中に入ろうとして……そのときに刺されたんです」

コナン(カイジ声)「そして、本来いるはずだった人物が、ワゴンのすぐそばにいなかった……!」

高木「本来いるはずだった……人物?」

小五郎「なるほど……ワゴンの中に隠れていた奴が、入れ替わったことを証明するために、ワゴンの隣にでもいないといけない……」

コナン(カイジ声)「その人物がいなかったってことは……そいつが緑川さんを殺し、そしてその場から急いで離れたんだ……!」

コナン(カイジ声)「つまり犯人は、停電の直前まで、ワゴンの中に隠れ、俺たちは犯人を見ていないことになる……」

目暮「じゃあ、犯人は誰も目撃していない……これじゃあ犯人を特定できないんじゃ……」

コナン(カイジ声)「逆ですよ……停電直前まで、誰にも見られていない人物が犯人になる……!」

目暮「そ、そうか……」

コナン(カイジ声)「さて……それじゃあ、教えてもらおうじゃねえか……」


コナン(カイジ声)「筒井清美さん……あんたは一体、停電直前までどこにいたのか……!」


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:53:34.89 ID:Ployau9Y0


筒井「なっ……私が犯人だというの!? 私はずっと、社長よりも後ろの位置に……」

コナン(カイジ声)「あんたがその社長の好きな色の服を着てるのも、“社長より前に居たら社長は絶対気付く”っていう印象を与えるため……」

コナン(カイジ声)「ま、色的に返り血を誤魔化す気もあったのかもな……」

筒井「勝手なこと言わないで! 私はここにいたのよ! 社長より後ろの位置に……」

コナン(カイジ声)「そこに居たと証明できる人物は……?」

筒井「うっ……で、でも……私がワゴンの中に隠れていたという証拠はありません!」

コナン(カイジ声)「でもな……あんたは停電の最中、俺とぶつかっただろ……」

筒井「えっ……?」

コナン(カイジ声)「社長より後ろにいて、俺とぶつかって……また社長より後ろに戻ったんなら……その理由は何だ……?」

筒井「な、何言ってるの……? 私はあなたとぶつかってなんかいないわ!」

コナン(カイジ声)「あんたは俺とぶかって……俺がテーブルを倒し、そのとき、ダージリンティーがあんたにかかった……」

コナン(カイジ声)「絨毯に、ダージリンティーで濡れた何かから、滴り落ちた跡があったぜ」

警部「高木君、確認を!」

高木「あ、あります! ダージリンティーの香りがする染みが!」


66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:55:49.18 ID:Ployau9Y0


筒井「何を言ってるのよ? 私の体のどこにダージリンティーがかかったっていうの?」

筒井「御覧なさい? どこも濡れてないし、染みも残ってないわ」

コナン(カイジ声)「ホントにラッキーだったよな……アンタ自身にはかからなくて……」

コナン(カイジ声)「だが……あんたの持ち物にはかかった……!」

筒井「っ!」

コナン(カイジ声)「ワゴンのシーツのしわだけじゃない……」

コナン(カイジ声)「停電前と停電後の違い……」


コナン(カイジ声)「あんたの手提げ鞄は、どこに行ったんだ?」


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 21:58:11.78 ID:Ployau9Y0


筒井「て、手提げ鞄なんて、私、最初から持って……」

コナン(カイジ声)「忘れたのか? 俺と社長は、手提げ鞄から携帯を取り出すあんたと会話してる……!」

麻倉「覚えていますわ。筒井さん、あなたは確かに手提げ鞄を持っていた」

筒井「う……」

コナン(カイジ声)「ま、その電話は時間的に、ケーキの準備ができたことを知らせてくれるコールだったんだろうな」

コナン(カイジ声)「マジックのトリックが重要になるこの殺人計画……マジックの立案者もあんたか……?」

筒井「……」

コナン(カイジ声)「おそらく、中に凶器のナイフを入れていたから、犯行の瞬間までずっと持っていた……」

コナン(カイジ声)「そして、現場から離れるとき、俺とぶつかって、テーブルが倒れ……」

コナン(カイジ声)「そのときダージリンティーがかかったことに気付いたあんたは、鞄をどこかに隠した……」

コナン(カイジ声)「考えられる隠し場所は……テーブルの下か?」

目暮「高木君! 千葉君!」

高木&千葉「ハッ!


68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 22:00:24.39 ID:Ployau9Y0


高木「ありました! ダージリンティーの香りのする鞄が、テーブルの下に!」

コナン(カイジ声)「丁度……あんたの真横のテーブルだな……」

筒井「違うのっ……それはっ……」

筒井「停電前にっ……飲んでいたダージリンティーを零してっ……」

コナン(カイジ声)「じゃあ何故隠したっ……!? 説明して見せろっ……!」

筒井「うっ……ぐっ……」グニャ~

筒井「違うっ……私はっ……私はっ……」

筒井「私が横領していた会社の金をっ……緑川の仕業にみせかけていることにっ……緑川に気付かれてっ……」

筒井「そしたらっ……逆に金を強請られてっ……」

筒井「金を渡さなければっ……このことを公開するってっ……」

筒井「だからっ……だからっ……」


70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 22:02:58.90 ID:Ployau9Y0


カイジ「……ふざけるなっ……」

コナン(え……?)

カイジ「自分勝手っ……あまりに自分勝手っ……」

カイジ「金っ……そんなに金が欲しいかっ……!?」

カイジ「会社の金を横領してっ……人に罪を着せてっ……」

カイジ「それがバレたからっ……人殺しっ……殺人を犯すっ……」

カイジ「言い訳するなっ……! それだけ罪を重ねてっ……!」

カイジ「言い訳する力があるならっ……謝れっ……心の底からっ……」

筒井「うっ……ぐっ……」

筒井「ごめんなさいっ……ごめんなさいっ……」ボロ……ボロ……


72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 22:05:11.56 ID:Ployau9Y0


こうして、事件は解決した……。
 小五郎の疑いも晴れ、カイジの警備員の仕事も終了……。

目暮「す、すまなかったな、名探偵……」

小五郎「……」プイ

目暮「き、機嫌を直してくれよ、毛利君……」

小五郎「……変えるぞ、蘭、コナン」

蘭「はーい」

コナン「うん……あ、ちょっと待ってて」

 コナンは一旦小五郎と蘭から離れ、走る。
 カイジの所へ。


74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 22:06:56.23 ID:Ployau9Y0


カイジ「よお、名探偵。見事な推理だったぜ……」

コナン「あ、あのね……僕、声真似が得意で……」

コナン「す、推理は、実は、僕の知り合いの兄ちゃんがすごい探偵で……携帯でメールして事件の真相を……」

カイジ「……ま、そういうことにしておいてやるよ」

コナン「……あ、怪しまないの? 変な小学生だって……」

カイジ「どうだっていい……お前は変な小学生でも、普通の小学生でもない……」

カイジ「江戸川コナン……探偵……だろ?」

コナン「……本当に変わってるね、カイジさんって」

蘭「コナンくーん? どうしたのー?」

カイジ「ほら、行けよ」

コナン「じゃあね、カイジさん。また、どこかで……」

カイジ「今度は事件が起きないところで会いたいもんだぜ……」


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 22:07:40.59 ID:Ployau9Y0


数日後、カイジのアパート。

カイジ「どういうことだ……!? 報酬は払えないだと……!?」

カイジ「事件が起こって、被害が出ても……犯人を捕まえれば1万って契約だったはずだっ……!」

遠藤「落ち着けって……お前、テーブル倒したろ……?」

カイジ「え……?」

遠藤「あの麻倉社長が言ってたんだよ。お前がテーブル倒して、お気に入りのティーセットぶっ壊したってな」

遠藤「その弁償金が……お前の活躍を考えて差し引いても……1万より下にはできねえってよ」

カイジ「ま、まさか……」

遠藤「帝愛に請求書突きつけるとは……あの女社長……すげえことしやがる……」

遠藤「犯人にぶつかったとしても、よろけてテーブルにぶつかったのは本人の責任だとさ……つまり、お前を差し出した俺たちの責任」

遠藤「お前に出すべき報酬から、1万抜かせてもらう……つまり、今回の仕事の報酬は無しだ」

カイジ「ふ……」


カイジ「ふざけんなぁぁああっ……!」


 おわり


84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 22:14:47.21 ID:Ployau9Y0


カイジ「わかってる……わかってんだよっ……」

カイジ「短いっ……短すぎるっ……」

カイジ「安価に頼らないSSっ……まさかこれほど短く……そして難しかったとはっ……」

カイジ「書いてる側も予想外……完全なる想定外っ……!」

カイジ「カオスな安価が来るよりマシだと思っていた……がっ……駄目っ……」

カイジ「何故……何故なんだっ……? カオスな安価で書いてる方が……」

カイジ「クオリティも……内容の長さも……内容の濃さも……ずっと良くなるっ……」

カイジ「何故っ……どうしてっ……!?」


87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 22:21:47.77 ID:Ployau9Y0


カイジ「どうでもいいおまけっ……圧倒的どうでもいいおまけっ……」

カイジ「宝石会社名……『ホワイトハーツ・チューン』……」

カイジ「白發中を由来に命名っ……」

カイジ「皆無……まるでネーミングセンス皆無っ……!」

カイジ「麻倉鈴芽……鈴芽=スズメ=雀……」

カイジ「麻と雀で麻雀……くだらないっ……!」

カイジ「緑川索子……緑一色……ソーズ……!」

カイジ「筒井清美……筒子……清一色……!」

カイジ「萬田通……萬子……一気通貫……!」

カイジ「全員の名前を考えるのに……三時間っ……無駄っ……圧倒的時間の無駄遣いっ……!」


89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 22:24:11.33 ID:Ployau9Y0


カイジ「くそっ……くそっ……!」

高木「あのー、そろそろ帰っていただけます? こっから僕のターンなんで」

カイジ「あっ、すいません……」

高木「それじゃ、また今度ー」

高木「あー、あー、ん、ごほっ、おほん……」

高木「ネークストコナンズヒーント!」


コナン「やっぱり侵入安価」


カイジ「最後に……このスレを読んでくださった皆様に……」

カイジ「感謝……!」ボロ……ボロ……


91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 22:39:38.08 ID:duc4i/Ky0


おつかれっす!
面白かったよー



93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/12(金) 22:42:21.40 ID:vGd7u0SgO


終わってた、、またやってくれよ乙






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ちなつ「今回だけですよ!京子先輩!!!」