IFA 2014 で開催したサムスンのプレスカンファレンスは、発表済製品のお披露目の場でもありました。それが
Samsung Gear S です。すでにお伝えしている通り、3G/2Gの通信機能を搭載し単体でネット接続できる点は、これまでのスマートウォッチとは大きく異なるところです。
OSにはTizen を採用。商用初のTizen OSスマートフォン
Samsung Z の発売が延期になり、ともすれば
Tizen初の携帯電話になるかもしれないSamsung Gear S。ここではその使用感を動画や写真を交えてお伝えします。
Samsung Gear S Hands on
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9 枚
「流星号、流星号、応答せよ」のアニメ『スーパージェッター』の時代から、腕に装着した情報デバイスで何がしかのやりとりをするのはエンジニアの夢なのかもしれません。古くは1998年に登場したセイコーインスツル(当時:セイコーインスツルメンツ)の腕時計型PDA「Ruputer」や、シチズンとIBMの「WatchPad」、ドコモが育んだ発明家、入鹿山剛堂氏(現:入鹿山未来創造研究所)の手がけた腕に着ける音声PHS端末「WRISTOMO(リストモ)」などもそうでしょう。
サムスンも新しい分野には積極的で、GoogleがAndroidを拡張する
Android Wear を発表する以前から、 Galaxy GearやGear Fitといったリストバンド型の情報デバイスを投入しており、Gear 2 に続いて登場したのは3G通信機能を搭載した Gear S でした。もちろんAndroid Wear対応のGear Liveも販売中です。
Android Wearやそのほかのスマートウォッチは、基本的にBluetoothでスマートフォンと連携し情報を確認、簡単な検索などが行えるものです。また、スマートウォッチ側のセンサーが読み取った歩数や心拍数といったデータをスマートフォン側に渡して、ライフログ系のクラウドサービスにアップロードするといったのも「スマート」なウォッチの機能です。
Gear Sは3G/2Gに対応し通話も単体で行えるので、Tizen採用の携帯電話といった印象です。アプリはスマートフォンを介してインストール。そこは他のスマートウォッチと同じです。SIMカードを挿入できて単体通信可能ともなれば、スマートフォンと連携しなければならない点がスマートではない気さえします。
単体で通信できることで、ちょっとした買い物や散歩ならスマートフォンを持ち歩かずとも済むでしょう。通話用のSIMをGear Sに入れて、データ通信用SIMをファブレットなり、タブレットに挿して使うといった利用もできそうです。
また、ナビゲーション機能もあるため、ジョギングやサイクリングなどにも期待できます。端末は防水で、Nike+もサポート。300mAhのバッテリーは2日程度もつとしていますが、例えば、3G通信とナビ機能がフルに動くナビ機能でどの程度の動作時間になるのか、注意が必要です。
大きさは39.8 x 58.3 x 12.5mm、重さは非公表。装着感は良好ですが、存在感は一般的に腕時計よりも感じるため、手首に装着して運動するにしても女性は重たく感じるかもしれません。
2インチの曲面ディスプレイは、スマートフォンウォッチとしては画面が大きくタッチ操作しやすい印象です。その分だけ物理的には大きいのですが、ここまで大きいとむしろ腕時計とのサイズ比較対象になりにくいところもあります。
Gear Sには、スマート「ウォッチ」という腕時計を連想する言葉を使わずに新しいリストバンド型情報端末のジャンルが生まれる予感があります。ただ一方で、Gear Sの腕時計表示はアナログ腕時計の文字盤を意識しており(選択可能)、もはや呪縛とも言える腕時計との熾烈な手首のレギュラーポジション争いも継続しています。