モバP『もし俺が空を見上げて「バカな…早すぎる…」ってつぶやいたら』
- 1: ◆hK60URwGfhGV:2014/09/07(日) 20:56:25.35 ID:YJvwegJx0
突き抜けるような青空、だが、確かに黒い色を宿した雲がこの街を覆わんとするかのように迫っている。
風は徐々にその強さを増し、木々が揺れ始める。
空を見上げ、怒りと驚きに満ちた声を漏らすP。
突然、よく知る鼻歌が聞こえ、その肩に優しく、そして熱い手がぽんと置かれた。
未央「やーれやれ…『アイツら』は待つって事を知らないねぇ…」
そう言ってニヤリと笑う未央。
不敵な笑みとは対照に置かれた手のわずかな震えを感じ、Pはその手を握り締め、決意した。
もう暗雲はすぐそこまで近づいてきている。
時間は無い、Pと未央は、来たるべき戦いへ向け、駆けだした。- 2: ◆hK60URwGfhGV:2014/09/07(日) 20:58:06.45 ID:YJvwegJx0
降りしきる火炎の中、人々は逃げ惑う。
悲鳴と爆音の充満するその地獄絵図の中、少女はまた首を振った。
するとその光景は一瞬で消え、辺りには無機質なプロジェクタが残るだけ。
頭にかぶった武骨な装置を外し、少女はその髪を翻す。
少女は自分を観測していたであろうカメラに顔を向けた。
泉「スタンバイ完了、いつでもいけるよ」
来たるべき厄災に対し、幾億ものパターンを組み込んだシュミレーション。
その最後のパターンが最悪を想定したものであったことに自嘲の笑みを浮かべ、お気に入りの歌を聴きながら泉はシェルターの外に出る。
絶対にその世界を現実にさせぬために。
- 3: ◆hK60URwGfhGV:2014/09/07(日) 20:59:31.35 ID:YJvwegJx0
花の咲き誇る静かな丘で、一人、花を摘む少女。
その少女の元に一人の男が現れた。一度、引き留め、その覚悟を知った少女は、その姿に笑顔で答えることしかできない。
あまりにも無謀で、希望の無い戦いに男は向かうのだ。
少女にそれを止めることは出来ない。
だから、せめて男が強く戦えるよう、全力で歌い、踊る。
彼女の踊りを楽しみ、歌に聞きほれていた男が、外套をなびかせ立ち上がった。
少女に顔を向け、さようならを告げる男に、少女、智絵里はクローバーの冠を渡す。
それを笑顔で受取り、戦いへ去っていく男を智絵里は泣きそうになりながら見送ることしかできなかった。
- 10: ◆hK60URwGfhGV:2014/09/07(日) 21:05:28.73 ID:YJvwegJx0
暗雲が都市の上空を覆う。
何の力も持たない人間にとって、それはたんなる雨雲に見えることだろう。
だが、この都市にも幾人か、それを感じる『力』を持つアイドルがいた。
そして、その一人は、器用に巻きつけた鞭で重心を安定させながら、電柱の上に立ち、暗雲を忌々しげに見つめる。
時子「……来たわね」
はぁ、と一回ため息を吐き、時子は地上へと何の躊躇いもなく飛び降りる。
その表情は、苛立ちと恍惚を孕み、傍からは笑みのように見えただろう。
衆生を従える女帝が、今、恐怖すら従えようとしているのだと。
- 12: ◆hK60URwGfhGV:2014/09/07(日) 21:08:25.67 ID:YJvwegJx0
何かが到来した。
それはおそらく悪意あるものであり、この世界に害為すもの。
だが、それを知ったところでどうせよというのか。
生半可な力ではただ、蹂躙され、滅されるのみ。
ならば、安全地帯に隠れ、震えたとしても、その恐怖を知った者の為す反応として糾弾こそはされ、否定は出来まい。
ここでも同様にその光景が見られた。力無きアイドルは怯え、ただ、その時を待つ。
だが、彼女は違った。歴戦のアイドルである彼女は。
泰葉「ええ、これは私の仕事です。みなさんはひっこんでいてください」
泰葉は残る皆の肩を叩き、励ますように、そして、諭すようにアレへと向かう。
彼女が普段使うことの無い、強い言葉。
残る者たちはただ、その言葉が、この戦いが未だない激戦であると決定づけたように思えてならなかった…。
- 13: ◆hK60URwGfhGV:2014/09/07(日) 21:10:04.88 ID:YJvwegJx0
言葉を残すは勇にあらず。
怯えて逃げるは善にあらず。
知って見過ごすは義にあらず。
…戦わずして屈するは偶像にあらず。
何も告げず、誰にも臆さず、断じて引かず、笑顔を残し、ただ戦うがアイドル。
ただ一掴みの小麦粉、一本の瓶、僅かな路銀とリュックを背負い、少女は戦地へと向かう。
アイドル、大原みちる。
その目は、野獣の如く、その牙は、折れることはなく、その心は、誰よりも気高かった。
- 16: ◆hK60URwGfhGV:2014/09/07(日) 21:29:57.79 ID:YJvwegJx0
逃げる人々の中で、唯一人、立つ少女。
その巨躯は、揺るがぬ巌の如く、惨劇が繰り広げられているであろう箇所をただ臨む。
その大樹を思わせる姿とは真逆に、彼女の持つか弱き心は己が為した罪にただ痛む。
無知は罪を犯す理由にはならない。
悲しみなど、苦しみなど、己が傷つけ続けていた仲間に、…かつての友に比べれば些細な物。
きらり「仕方がないにぃ、一発ケリをつけにいくよーっ!」
そう叫び、人の流れとは真逆に舞台へと躍り出る。
大地を割るグラディエーターは、贖罪のため、己の心を凍らせた。
- 17: ◆hK60URwGfhGV:2014/09/07(日) 21:30:51.05 ID:YJvwegJx0
ここは遙か遠く、異郷の地。
かつては砂と風に包まれたこの地で、一人の少女がゆっくりと目を開く。
美しい褐色の肌に流れるような金髪。
その碧眼は、遠い何処かを見つめ、まだあどけない顔に冷や汗が滲む。
ライラ「あの方々…ついに動き出したでございますか…!」
少女は踵を返し、父の元へと向かう。
忌避していた相手だが、このときばかりは信頼できる味方だ。
それに…仲間を救うために、意地など張る暇は無いだろう。
- 18: ◆hK60URwGfhGV:2014/09/07(日) 21:34:11.91 ID:YJvwegJx0
雷鳴とどろく小高い丘。
眼下に広がる街は、未だ誰も危機を知らない。
まゆ「……」
今、危機を伝えればこの都市にひしめく幾万の命の内、多くは助かるだろう。
だが、まゆは僅かに微笑むとその場を後にする。
まゆが望むはただ一人の安全。
その為に、この都市には時間を稼いでもらわねばならないのだから。
歪な愛が、恋と名も知らぬ数多の命を、天秤にすらかけさせない。
たった一人の命を救うため、少女は荒野に駆けだした。
先ほどまで眺めていた人々など、覚えていないかのように。
- 20: ◆hK60URwGfhGV:2014/09/07(日) 21:57:44.96 ID:YJvwegJx0
歪んだ空間、その穴から漏れだすは瘴気。
泥土を思わせる混沌、その先には冥府へ続く門が。
ここで怯えるは自然の理。人が死の恐怖に打ち勝つことは難しいのだから。
だが、それでも時には立ち上がらなければならない。
少女は怯え、震える足を無理やりに動かして進む。
少女が背負うは一族の誉れ。そして何よりも、自らの一門全員の命。
そこが死地だと知ったとて、家族の為に、歩みを止めることは許されない。
巴「お前ら、準備はととのうたか? じゃあ行くぞ!」
大音量の先導に発破をかけられ、鼓舞される男たち。
闇の世界へと向かうその小さな背中は、既に皆を支える頭を思わせた。
- 21: ◆hK60URwGfhGV:2014/09/07(日) 21:58:33.66 ID:YJvwegJx0
- 先走る少女たちを追いながら、ただ一人、嘆息する。
あい「まったく彼女達は…」
絶望に挑もうとするその意気やよし。
だが、無謀な勇気はときとして、ただの臆病より甚大な被害を引き起こす。
前方から悲鳴。
それは惨劇の現場を見た故か、それとも…。
最悪の事態を想定し、間に合えと己を鼓舞し、あいは闇夜を駆ける。
月光に映し出されたその姿は、場違いなほど美しかった。
- 22: ◆hK60URwGfhGV:2014/09/07(日) 21:59:46.98 ID:YJvwegJx0
荒廃したビルの屋上、そのフェンスに身を預け、小柄な少女が先ほど飛び出した仲間を目で追う。
しかし、追うことはなく、新たなロリポップを包み紙から引き出すのみ。
ころころと舌の上でロリポップを転がしながら、まだ何も起こっていない街を退屈そうに眺める。
仲間の目に映る狂気を思い出した。あの目は…、いつかの…。
小柄な少女は一つ盛大にため息を吐き、目をこすりながら屋上へと飛び降りた。
杏「まったく…どいつもこいつも喧嘩っ早いんだから」
そう言い、ボロボロのぬいぐるみを引きずりながら階下へと向かう。
そのぬいぐるみには、かつての友の名が。
彼女が動くは義理だけだろうか。その答えは、風すら知らない。
- 26: ◆hK60URwGfhGV:2014/09/07(日) 22:53:03.46 ID:YJvwegJx0
薄闇に包まれた路地裏を少女が歩いている。
その身は至る所に傷を受け、おそらく骨はおろか、内臓もすでにいくつか使い物にはなっていない。
だが、そのような姿になってなお、少女は歩く。
一歩一歩、引きずるように歩を進め、愛する友の元へ。
伝えなければならない、この街に迫る悪を、危機を、災厄を。
その為には、この命など惜しくない。炎のように燃やし尽くしてしまおう。
だがしかし、その目はかすみ、地面へと崩れ落ちる。
地面に倒れこむ寸前、誰かが彼女の体を支える。
見上げると、見慣れたヘッドフォンの少女。
半分泣いてしまっている彼女に体を預け、最後の力を振り絞って伝える。
もう情報を話すには力が足りない、だから、自分の思いをただ告げる。
夏樹「お前はアタシの希望だ」
だから、頼んだよ、だりー…。
- 28: ◆hK60URwGfhGV:2014/09/07(日) 22:54:01.81 ID:YJvwegJx0
不釣り合いなほど大きなタブレットを抱え、少女は人のいなくなった街を駆ける。
タブレットからはナビの音声が絶え間なく続き、周囲の現象を解析しているようだ。
と、少女が足を止める。
猥雑な落書きがほどこされたレンガ塀。
何回もタブレットに目をやり、正確な位置を確認する。
そして少女は大きく息を吸うと、その壁に一定の周波数で歌い続ける。
ぐにゃり、と位相が歪み、塀に穴が。
少女はその隙を見逃さず飛び込む。しかし、その先にもまた無人の世界。
やれやれと肩をすくめ、押し付けられた解析眼鏡を装着し、世界の欠落を知った少女は呟いた。
ありす「やれやれ…やはりデータ通りにはいきませんか」
- 29: ◆hK60URwGfhGV:2014/09/07(日) 22:54:54.10 ID:YJvwegJx0
欲望渦巻く賭場。
きらびやかな光と、目に痛い装飾の中、一人の男が狂ったかのように暴れだす。
その目はあまりにも正常で、しかしその行動、言動は支離滅裂。
男の視線の先には一人のディーラー。
男は狙いを定めると、獣を思わせる速度でそのディーラーに突進する。
その後の惨状を予想し、誰もが目を覆う。
だが、悲鳴はおろか、全ての音が一瞬消失し、響くは騒がしくも掠れたBGMのみ。
静かに目を開く客たちが見たのは、ナイフを男の喉元向け突き出し、笑みを浮かべるディーラーの姿。
レナ「パーティーの始まりよ」
一瞬で男の顎を蹴り上げ、胸元から出した新たなナイフで、器用に傷つけることなく男を床に縫い留める。
あぶくを出す男の姿に、レナは一瞬、嫌な予感を感じた。
数日後、それは現実のものとなる。
…それが世界の存亡にかかわるとは、思ってもいなかったのだが。
- 31: ◆hK60URwGfhGV:2014/09/07(日) 23:22:39.67 ID:YJvwegJx0
騒がしい午後の繁華街、少女は友人と共に久々の休日を楽しんでいた。
少女の気質と午後の陽気が合わさり、緩やかな時が流れる。
その時、少女は空に一対の影を認める。コメント一覧
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- 2014年09月10日 23:21
- 俺の好みどストライクです
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- 2014年09月10日 23:24
- すみません、誰かこのssの内容を分かりやすく説明してください。(マジで分かりません。)
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- 2014年09月10日 23:32
- 元ネタはそういうスレが昔あったんだけど、説明文が邪魔だな
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- 2014年09月10日 23:32
- 飛鳥Pだな(確信)
さっさと動物アドベンチャー走ってこいよ
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- 2014年09月10日 23:32
- 蘭子が出るのをワクワクしてたら予想外の登場の仕方だった。
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- 2014年09月10日 23:33
- ※2 導入部分だけで壮大に一向に何も始まらない。以上
ラスト3つが酷えw
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- 2014年09月10日 23:34
- 誰だ蘭子の妄想小説をまとめた奴は?
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- 2014年09月10日 23:35
- 元ネタあったよな?
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- 2014年09月10日 23:35
- *2
もともと
空を見上げて「バカな・・・早すぎる・・・」ってつぶやいたら
ってスレがあって(これはググればすぐ見つかる)
それをベースに中2成分マシマシで物語風(Pに言わせればなにも始まってないが)にしたてたものかと
つまり特に意味とか寓意とかはなくてただかっこいい(かどうかは個人差があるが)散文
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- 2014年09月10日 23:35
- ああコレ、タイトルだけで思い出して笑ったw
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- 2014年09月10日 23:37
- あべななさんじゅうまんにせんじゅうななさい
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- 2014年09月10日 23:42
- 懐かしいなコレw
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- 2014年09月10日 23:45
- 懐かしいな
元のスレリアルタイムで見てたけど、モバマスキャラでやっても案外見れるもんだね
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- 2014年09月10日 23:54
- まあモバマスキャラ三割は中二だから…
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