妹「起きて、起きてお兄さん」ユサユサ 兄「う、ううん……」
- 1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/11(木) 23:58:05.97 ID:8cgPM4eco
- ○
兄「……も、もうちょっと待って」
妹「ダメです。お味噌汁や白米が冷めます」
兄「……ぁ……でも、ほら、いま頭痛くてね……」
兄「だからもうちょっと……」
妹「だから、ダメですって。起きて。ほら、はやく」ユサユサ
妹(ん……? 掛布団が濡れてる……?)
妹「……っ! もう! いやだァ! お兄さん漏らしてるじゃないですか?」
兄「え゛っ? 嘘、だよね?」
妹「嘘じゃないです。お兄さんのすっごく濡れちゃってますよ」
妹「ほらぁ!」ガバァ
布団「」ビッショリ
兄「う、うわぁ」
兄「……」ジョワァァァ
妹「って、また漏れてる!?」
兄「あっ、ごめん」 - 2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/12(金) 00:14:23.08 ID:9+Vo/rlco
- ○
妹「どうしてこんなことになってしまったのか、理由をきっちり考えて、反省してください」
兄「反省……。昨日、人生で他に類を見ないへべれけな酔い方したし、その置き土産かな、って思ってます」
妹「あなた、お酒強くないし、そんな好きでもないですよね?」
兄「たまに飲んでみたくなるときくらいはあるよ」
妹「そういうことは、自分を律することができる範囲の飲み方して言ってください」
兄「はい」
妹「二回目? ちょっと飛沫かかったんですよ」
兄「…………」
兄「本当にごめんなさい」
兄「ごめんなさい。この通りです。申し訳ございませんでした」
妹「はぁ……」
妹「じゃあ、この話はこれでお終い」
妹「今日の朝ごはん、お味噌汁どうでした?」
兄「あっ、ちょうどいい、塩分加減でした。おいしかったです」 - 3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/12(金) 00:20:34.94 ID:9+Vo/rlco
- ○
兄「何してるの?」
妹「…………折り紙」
兄(あっ、これまだ怒ってるな)
兄「そ、そう」
兄 妹「………………」
兄(今日は何作ってるんだろう)
兄 妹「…………」
兄(完成品見ればいいか)
妹「…………なに、してるんですか?」
兄「え?」
妹「今、なにしてるんですか?」
兄「何……って、昼寝だけど」
妹「外で友だちでも作ってきたらどうです?」
兄「この年で、砂場遊びか?」
妹「そんなわけないでしょ。やりたいなら別に止めませんけど」 - 4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/12(金) 00:38:31.80 ID:9+Vo/rlco
- ○
兄「あっ、完成したのか」
妹「ええ、完成しましたよ」
兄(鷹とワニと犬……。いつもながら完成品ほんと良くできてるな)
兄(折り紙の折り方教えてくれる本のおかげなんだろうが)
妹「……で、さっきの話の続きですけど」
兄「続き?」
妹「お兄さんのお友だち作りについてです」
兄「それまだ続くの」
妹「いけません?」
兄「いや、いけなくはないですけど」
妹「お兄さんもいい加減外に出て、新しい友だち作った方がいいと思うんです」
兄「お前はどうなんだよ」
妹「私には趣味繋がりの同性の友だちがちゃんといますよ」
兄「え?」
妹「メールとか電話とかSNSとか。時々お昼一緒したりもしてますよ」
兄「え?」 - 5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/12(金) 01:05:15.12 ID:9+Vo/rlco
- ○
妹「~~~」ペチャクチャ
男「…………」
妹「――ね? 深い親交のある友だちがいることの様々なメリット、これではっきりしたでしょう?」
兄「あー、うん、そうだね」
兄「……だけどさ、妹一人がいたらそれで話し相手その他諸々十分だと、俺は思ったな、正直」
妹「あーもう! そういうの絶対よくないですって」
兄「なんで?」
妹「どっちかが先に死んでしまったら、そのあと片方はひとりぼっちになってしまう。でしょう?」
兄「それは、確かにそうだが……」
兄「今更新しい友人作るなんてやっぱり面倒じゃないか」
兄「料理は妹担当。他の家事を俺がやる。俺としては現時点これで滞りなく大満足なんだよ」
妹「あのね、私はあるかもしれない未来の話を今……」
妹「……はぁ。いいです。もう。あなたが筋金入りの面倒くさがりだってことは良く知ってますから。諦めました」
兄 妹「…………」
兄「そう言えば、今日の昼ご飯は?」
妹「から揚げ」
兄「なに、昼から油物か。胃がもたれそうだな」
妹「夜もから揚げですからね」
兄「え゛っ」 - 6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/12(金) 01:16:00.29 ID:9+Vo/rlco
- ○
妹「久しぶりに外でかけませんか?」
兄「何のために?」
妹「健康のために? 理由はなんでもいいです。ずっと家に籠ってたら体がなまってしまうじゃないですか」
兄「おい、日用品とか食材、二人あるいは代わりばんこで買ったりしてるぞ」
妹「それじゃ機会が少なすぎます」
妹「せめて近所のあの川、あれを越えてしばらくくらいまでは今日歩きましょう」
兄「え……えぇ……歩くの疲れるよ」
妹「疲れるから、体にいいんですよ」
兄「そんな無茶苦茶な」
妹「さあ、立って。立ちなさい」
兄「……はぁ」ヨッコラショ
兄「ああ、首を回すといい音がする」ゴキゴキ
妹「……今日、天気予報雨でしたっけ? 晴れでしたっけ?」ガサゴソ
兄「えぇ? 遠くまで行くの?」
妹「そのつもりはないですけど、確認です」
兄「晴れだったよ」
妹「そうですか」 - 7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/12(金) 01:26:21.55 ID:9+Vo/rlco
- ○
兄「うーん、太陽が気持ちいいなぁ……」スタスタ
妹「ちょ、ちょっとお兄さん。歩くの速すぎです。お願いだからペース落として」テクテク
兄「あっ、ごめん」テクテク
兄「歩幅とテンポが違うからな。仕方ないな」
兄「……で、どこ行く? なんなら二人でカラオケでも行ってみるか?」
妹「疲れるから嫌です」
兄「なんだそれ」
妹「ストレートに言うと、私たち二人とも大して歌が上手くないのわかってるので、嫌です」
兄「あっ、はい」
兄「…………だとすると、どこ行くんだ? お前にはどっか行きたいところが?」
妹「そうですね……。いつもより遠くのスーパーでも行ってみますか?」
兄「なんだお前、ついに狂ってしまったのか」
妹「失礼な」 - 8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/12(金) 01:30:46.46 ID:9+Vo/rlco
- ○
妹「ただいまー」
兄「ただいま」
兄 妹「…………」
兄「予想通り疲れたが、暇つぶしにはなったな」
妹「そうですね」
兄「家でテレビ見たりとかなんかして、二人で話してるのと実際やってたこと同じだからな」
妹「まあ、はい」
兄「冷蔵庫の中、何か飲むか?」ガチャ
妹「麦茶ください」
兄「わかった。コップにいれておくから、その間にちゃちゃっとテレビつけといてくれ」
妹「はいはい」 - 9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/12(金) 01:39:35.78 ID:9+Vo/rlco
- ○
<ワーワー ワーワー
兄「テレビの音量がでかすぎる。少し小さくしてくれ」
妹「わかりました」
<ワーワー
兄 妹「…………」
妹「お兄さん」
兄「ん?」
妹「趣味、作った方がいいと思うんですよ」
兄「俺が、だよな」
妹「はい」
兄「なんだよ、藪から棒に。さっきの話の続きか?」
妹「そういうわけじゃないですけど……」
妹「でも、これだ! って何かがあったら、人生に張り合いが出てくるんじゃないかと思って」
兄「張り合いねぇ……」
妹「何かないんですか?」
兄「何か……。昔は本の活字を眺めるのがまあまあ好きだったが……」
兄「今は字を目で追って読むのが正直億劫でたまらん。最後まで読んだら疲れるにきまってる」
妹「わかりませんよ。一度やってみたらいいじゃないですか」
兄「まあ、そうなんだがなぁ……」
兄「そうなんだよ……」
兄「うーん」 - 10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/12(金) 01:51:03.37 ID:9+Vo/rlco
- ○
兄「ただいま」
妹「おかえりなさい」
妹「本、買えましたか?」
兄「そらあ、買えたよ」
妹「何買ったんですか。見せてくださいよ」
兄「いやいや、それもいいけどまずはさ、聞いてくれよ」
妹「…………どうしました?」
兄「帰り道、犬にわんわん何度も敵意丸出しで吼えられた」
兄「あれ、無茶苦茶怖いね。怖すぎて漏れちゃうかと思ったよ」
妹「……野良ですか?」
兄「飼い犬。飼い主と散歩中だった。でっかい犬だ」
兄「ああいう吼えるか吼えないかって、しつけでどうにかなるもんじゃないのかね」
兄「たしかゴールデン・レトリバーとか言うのは優しい犬なんだろ?」
兄「外を出歩く飼い犬は、みんなそういう奴らであって欲しいよ。なぁ?」
妹「気持ちはわかりますけど、とりあえず靴、脱いだらどうですか?」
兄「あっ、うん」 - 15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/15(月) 17:52:43.70 ID:Ko6Xa/SCo
- ○
妹「さっき犬の話聞いて思ったんですが」
兄「うん」
妹「生き物飼ったらどうですか?」
兄「なんで」
妹「外に出て、新しい人間の友だち作るのが面倒でも、動物とかだったら家で触れ合えるでしょう?」
妹「探せばどれか一種類くらい、お兄さんに合う生き物があると思うんです」
兄「……生き物は世話がなー」
兄「俺が小学生のころのこと、覚えてない?」
妹「なんですか? それ?」
兄「俺がクワガタ飼うことになって、世話続けられなかった話」
妹「……クワガタたちは?」
兄「大参事だったはずだよ」
兄「俺が放棄して、あわやお前へとお鉢が回りかけたとき」
兄「お前が虫イヤッ! っと一蹴して、じゃあどうするってあれよあれよとなってるうちにね」
妹「まったく記憶にないです」
兄「……あー、俺が小学生のころのしょーもない話だから、覚えてないのがむしろ普通なんじゃないか?」
妹「小学生のころのこんな話、本当によく覚えてましたね……」 - 16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/15(月) 18:00:56.04 ID:Ko6Xa/SCo
- ○
兄「小学生のころの話と言えば」
妹「ええ」
兄「お前、お兄ちゃんっ子でもっと可愛げあったよね」
妹「それを言うと、お兄さんはもっと頼もしかったと思いますよ」
兄 妹「…………」
兄「思い出補正じゃないか?」
妹「と言うより多分、人を見る目があの頃の私にはなかったのでは」
兄「あ、ああ……そうだね」
兄(うん。直接ばっさり言われると、これはこれできつい) - 17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/15(月) 18:08:17.58 ID:Ko6Xa/SCo
- ○
兄「なあ」
妹「なんですか?」
兄「お前って、結婚しなくてよかったのか?」
妹「はぁ?」
兄「いや、小さい頃は、ちょっと引くくらいお嫁さんに憧れてただろ?」
兄「花嫁衣装はこうだとか、子どもは何人とか、家は一戸建てのがーとか散々聞かされた記憶あるんだが」
妹「……本当に、よく覚えてますね。それ、いつの話ですか」
兄「いや、わからんけど。たしかそんなことあったよなーって」
<コメント一覧
-
- 2014年09月16日 23:42
- こういう兄妹も嫌いではない
スポンサードリンク
ウイークリーランキング
最新記事
アンテナサイト
新着コメント
QRコード
スポンサードリンク
えぇ話やぁ