自然界には人知を超えた現象があり我々を常に驚かせているのだが、ルーマニアにあるトロヴァント(Trovant)の石もまさにその1つである。
石がまるで細胞分裂を繰り返すかのごとく、成長し分裂していくのだ。
トロヴァンの石は、固い石の核が中心にあり、その核のまわりには殻のように砂がくっついている。この石は、極めて多孔質の砂の集まりと、炭酸カルシウムを多く含む水によって固められた砂岩の堆積から作られているのだ。
“トロヴァント”(トロヴァンティ)という名前は博物学者のマゴチ氏の「第三紀のオルテニア」という著作物の中で名づけられ紹介された。
では、なぜこの石は増えるのか?炭酸カルシウムを多く含んだ水が重要な要素となっている。トロヴァントは激しい降雨の後に、雨のミネラルを吸収する。ミネラルは石の中の化学物質と結びつき、後に反応して内部に圧力をもたらす。その圧力は常に中心から端に向かって石を成長させ、そして増やす。1000年に4〜5センチの割合で大きくなる。
トロヴァントはたいていなめらかでとがった部分の無い形をしていることが多いが、円筒状のものもあれば、多くの節を持っているもの、球状もある。固まる成分が不規則に分泌するため、トロヴァントはこのような一貫性の無い形で育ち、増える。数ミリメートルから10メートルほどの大きさに育つものまで、形成されたものを見ることができる。
トロヴァントはその構造や、育ち増える能力があることだけが変わっているのではない。なんと場所を移動する事もできる。さらに、根のように伸びた部分をもっているもの、石を切ってみると年輪があるものもある。これらの独自の特徴を持つ理由を科学者はまだ見つけていない。
これらの石は600万年前の地震によって誕生した。川によって運ばれた砂の堆積物が何度も沈殿することによって砂の貯留層が作られた。
植物と岩石の特徴を兼ね合わせているので、トロヴァントを生物とみなすか、無生物とみなすか、実に紛らわしいところだ。しかし生きているかどうかに関わらず、これらの石は見ても触っても使っても面白い。墓石の材料として人気があることに加えて、地元の人々はこの石をおみやげ作りに使っている。
border="0" alt="8_e2" hspace="5" class="pict" />
Trovanti - romanians trovants
トロヴァントを間近で見たかったら、ルーマニアのヴァルシア郡に行くといいだろう。コステスティ村の近くの砂採取場か、ホレズからおよそ約15キロメートルのオテサニ村の近くのグレサリア・ブルークの川沿いのどちらかにそれはある。また、コステスティ村の自然保護区にある「トロヴァント博物館」でも見ることができる。ここは環境保護の意識を高める目的であるコガヨン協会によって運営されている。
google map コステスティ村
また、成長する石は、ルーマニアだけではなく、ロシア、カザフスタン、チェコなどにもある。また、日本にもあるといわれていて、中ノ島の那須神社にある石は、室町時代あたりから続く、伝説の生きる石なんだそうだ。
via:whenonearth・原文翻訳:Erene
▼あわせて読みたい
デスバレーの動く石の謎、ついに解明か?
涙の結晶?オーパーツ?海岸に点在する巨大な丸い石「モエラキ・ボルダー(Moeraki boulders)」
保存状態が良すぎて生きているみたい!タイムスリップを味わえるロシアの化石(ロシア古生物学博物館)
自然が作り上げた石の要塞:ヤフーツクに立ち並ぶ巨大石柱の森「Lena’s stone forest」
伝説の巨人が作った六角柱の石階段、世界屈指の奇景「Giant’s Causeway(ジャイアンツコーズウェイ)」
コメント
1. 匿名処理班
オープン鍾乳石
2. 匿名処理班
地球ってスゴい
3. 匿名処理班
ARMSつくろうぜ!
4. 匿名処理班
家の水道の蛇口もミネラルが結構成長したわ。
5. 匿名処理班
生物の起源は自己複製する性質を持つ分子らしいし、案外生物の一形態かもな
6. 匿名処理班
自然ってスゴい
7. 匿名処理班
火の鳥鳳凰編に出てきそうな造形
8. 匿名処理班
石が成長することによく気づいたね…
9. 匿名処理班
よく化石が中に入っているノジュールって言うのと同じかな?
10. 匿名処理班
これは卵なんじゃよ
11. 匿名処理班
水垢かな
12. 匿名処理班
ミネラルが結晶化するのは珍しくないけど
地表でこんな形になるのは面白いな
13. 匿名処理班
さざれいしの
いわおとなりて
こけのむすまで
14. 匿名処理班
雨のミネラルで成長するってんなら、何故この石が世界中に無いのかってのが理解できない。
もしかしてこいつは本当にケイ素系の生物だったりするんじゃなかろーか
15. 匿名処理班
無生物版ストロマトライト
16. 匿名処理班
リアルさざれ石
17. 匿名処理班
すげぇと思ったけど1000年で4,5センチってわかるか!
18. 匿名処理班
柱の男とかもどっかにいそうだねww
19. 匿名処理班
尿結石みたいね
20. 匿名処理班
>ミネラルは石の中の化学物質と結びつき、後に反応して内部に圧力をもたらす
コンクリートの劣化原因のひとつに「アルカリ骨材反応」ってのがあるけど
それと同じ理屈かな?
21. 匿名処理班
石筍だってそうだと思う。
22. 匿名処理班
えー、これ庭に置いたら面白そうだなー。
でも、自分が生きてる時間くらいじゃ変化は見えないか。残念。
23. 匿名処理班
これがさざれ石っていうやつか
24. 匿名処理班
鉱石には魂があるって言うね
25. 匿名処理班
これを墓石はないだろw
知らない人が成長する墓石見たら恐怖しかないと思うw
26. 匿名処理班
※19
あれは命を刈り取る形しとるやろ!
こんな丸々してたら苦労せんわ!
27. 匿名処理班
珊瑚も石にしかみえないもんな。
丸い石触ってみたい
28. 匿名処理班
非常に硬いマリモみたいな植物じゃないかと予想
29. 匿名処理班
シリコニー?
30. 匿名処理班
宇宙から降って来たシリコン生命体だと思う、シリシリ。
31. 匿名処理班
日本でも似たようなのあったな
住職が死ぬと新しい石が寺の崖から生まれるみたいな感じの
32. 匿名処理班
この歳になってもまだわけわからん自然現象があることを知る。カラパイアにはいつもお世話になってます。
33. 匿名処理班
子生れ石 ?
34. 匿名処理班
トロヴァント(我々の周囲を目まぐるしく動くあの有機物は一体なんなんだろう?)
35. 匿名処理班
ヨコハマ買い出し紀行で見た
36. 匿名処理班
こないだ検索したばっかなので、さざれ石かと思ったが違った。
さざれ石はもっと小石が集まって固まった感じだった。