上条「み、御坂さ~ん」美琴「触んないでよ。」
- 2014年09月18日 20:40
- SS、とある魔術の禁書目録
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- 7 : ◆jPpg5.obl6 2011/03/13(日) 23:29:37.04 ID:tbmAzIEAO
- 「み、御坂さ~ん」
「……」
本来ならば安息の地であるはずの我が家で、さっきから、ヒジョーに気まずい空気が流れているわけで…
「いつまで、そうしてるんですか。」
「…………」
この、うんともすんとも言わず上条に背を向けている少女は御坂美琴。
時間的には時計の尖った長い針が半周と少しほど、この状態が続いている。
―――…うぅ、なぜ、こんなにも息苦しいのだ
名前を呼んでもダメ。
理由をたずねてもダメ。
とりあえず、謝ってもダメ。
そもそも、いきなりだんまりを決め込まれた理由が上条には分からなかった。
この状況、上条さんにどうしろと?
上条宅に帰宅するまで、楽しく健全たる週末の学生デートを満喫していたはずだった。
ゲーセンに行って、パンチングマシンで勝負してはしゃいで、美琴が行きたいって言う、ファンシーキュートなキャラクターたちが並ぶカフェにだって行った。美琴同様に、目をキラキラ輝かせた女子たちに混じって並ぶにには、いささか恥があった。
「不幸だ……。」
小さな声で口癖をこぼした上条と同じ立場であろう男子が前方に並んでおり、その肩身の狭い気持ちは上条さんにはわかるのです!共に戦おうぞ同士よ…!と、視線を送っていたものだ。
かわいい!かわいい!と、満足げに笑みをこぼしながら言う美琴の姿に、上条の心も満たされる。
言葉にはしないけれど、この笑顔が見れるのだから、幸せだと感じていた。
- 8 : ◆jPpg5.obl6 2011/03/13(日) 23:33:35.06 ID:tbmAzIEAO
-
―――ぜんっぜんわかんねー。俺、何したよ…
家につくまでの、デートの回想をしてみたが美琴の機嫌を損ねるような出来事には思い至らなかった。
「…なぁ、美琴、こっちむけよ。」
背を向け、三角座りをする美琴の肩に手を伸ばす。
「――…ッ!触んないでよ!」
―――――バチッ
「…ッ!何なんだよ、いい加減にしろよ」
伸ばした手は、小さくバチッと光る電撃で触ることを拒否される。
思わず、言葉尻がきつくなった。
理由が分からないことに、
何も変わらない状況に、
何より、
美琴の態度に、
腹が立った。
美琴は、三角にした足を抱え込むようにぐっと手に力を入れた。絶対に顔をあげない、そう決め込んだような仕草だった。
「…」
頭を下げた、美琴の表情はうかがえない。
「…、あぁ!くそっ!」
- 9 : ◆jPpg5.obl6 2011/03/13(日) 23:38:21.86 ID:tbmAzIEAO
- 「やだっ!触んないでって……!」
美琴の肩を掴み、無理やり体勢をこちらに向ける。
触れた右手の力も働いて、先ほどの電撃攻撃は来ない。
「さすがの上条さんも限界ですよ。何も話さないのはズルいぞ美琴。さぁ、俺が悪いにしたって理由を話してくれなきゃ…ちゃんと、あやまること、も、できねぇ…って……え。」
上条は、思わぬ美琴の表情に言葉がつまってしまった。
唇をキュッとかたくとじて、うっすらと、瞳に涙がうかべている。驚きで、美琴の肩を掴んだ手の力がぬけた。
目が合った瞬間、その溜め込んだ涙がこぼれそうだった。
反射的に、美琴の目は上条を避ける。
「いや、ほんと、マジでわからないのですが。」
この涙の原因は間違いなく自分にある。そう感じて、声にはかすかに焦りがこもっていた。
こんな態度をとる美琴が悪いと心のどこかで決めつけた自分を後悔した。
こんな顔をさせるほど、自分は何かしてしまったのだ。
でも、何を?
- 10 : ◆jPpg5.obl6 2011/03/13(日) 23:50:02.27 ID:tbmAzIEAO
- 「…ごめん。俺のせいだと思う。」
好きな子が、自分のせいで悲しんでるのは間違いない。
そんなことにも気づけない自分が情けないと上条は思った。
「お前にそんな顔してほしくない。させたくないんだ。だから、…気づけない俺ほんとにバカだと思うし、無神経なこと言ってるかもしれないけど……でも、美琴が苦しんでいるわけを教えてほしい。」
「…。」
――――困らせてるのは分かってる。
「……っ…な、いのよ…」
「え、」
上条の表情をうかがうように美琴が小さく顔をあげた。
上条もまた、美琴の表情から気持ちを探ろうと真っ直ぐに見つめる。
―――べつにコイツが悪いわけじゃない。
そうじゃないの、
「私だって…、ッなんで…こんな、ヒクっ‥気持ちになってるのか……グス…わからないの‥…―」
ひくっと喉を鳴らして、美琴は上条の制服の襟元に視線を落とした。
上条の心配そうな顔は、美琴には自分のせいで困らせてしまっているようにしか思えなかった。
これ以上、言葉を紡いでも、何も言わず黙っていても、上条にとっては面倒な状況に変わりないだろう。
―…言ったら、嫌われるんじゃないか。そう思うと、美琴は怖くなってしまった。
続く言葉は出ない。
「美琴…?」
次の言葉を急かすのではなく、ゆっくりとした優しい低い響きが美琴の鼓膜を揺らす。
心にある引っかかりが少し緩んで外れそうな、そんな気持ちになった。
- 22 : ◆jPpg5.obl6 2011/03/14(月) 21:30:50.53 ID:1KOJvhFAO
- 美琴はゆっくりと、小さく唇をひらいた。
「……嫌だったの、」
ふっと、顔をあげほんの一瞬、うかがうように上条の目をとらえる。しかし、視線はすぐに外れてしまった。
今にも流れ出そうな涙を零さぬようにして、絞り出した声で美琴が言う。
「っ…て…」
「うん」
小さい子の話をゆっくり丁寧に聞くように、上条は頷きながら見守る。
子ども扱いされるのは嫌だけれど、この優しさはなんだか心地よくて、美琴はこの優しさを素直に受け入れることにした。
今から話そうとする内容も子どもじみているから、今の自分には子ども扱いはぴったりなのかも、とどこかで冷静に考えている自分がいた。
少し間を置いて、美琴は言葉を続ける。
「…‥はなすから…」
間が空いて、バラバラになった言葉を上条は頭の中でつないだ。
聞き取れた言葉は『て』と『はなす』。
「はなす…?『て』って、…手か?」
妙な言葉のリズムで、左手をグーパーしながら美琴に示す。
「なぁ、『手を離すから』ってこと?」
美琴は上条の動きに反応して、顔を上げた。言葉の内容を丁寧に確かめられて、どうしようもない恥ずかしさがこみ上げる。そして、先ほどの悲しげな瞳とは違って、羞恥にたえるような瞳に変わっていた。
- 23 : ◆jPpg5.obl6 2011/03/14(月) 21:35:05.71 ID:1KOJvhFAO
-
その変化を上条も妙なかたちで感じ取っていた。
――――なんでしょうか。
このような状況で、この顔は…上条さんは妙にそそられております。
潤んだ瞳に、見上げるような上目使い。
妙な情欲が上条の中にふいに沸き立つ。
美琴の表情に一瞬、抱いた欲望を押さえ込むように美琴の向こう側にある窓の景色に目をやった。
「……んっと?その、つまり、それは、一体どういうことなんでしょう」
言葉はつかめたがその中身は、上条には心当たりがなかった。
美琴は恥ずかしいから、嫌だって言いながらも、いつも、その手は上条の手に繋がれることを待ち望んで仕方ない様子だった。
今日だってもちろん手はつないでいた。
『手を離すから』
上条は、美琴の言葉を思い出す。
「んー、トイレに行った時?となると、美琴さんと上条さんはこれから用を足すときもいっし……「ばっっ!!ばかっ!なっななな何考えてんのよ!!!!」
勢いあまって、美琴の顔がぐいっと上条に近づいた。
「嫌だったのは……ッ!私の知らない女の子の前で手離したことよっ!」
- 25 : ◆jPpg5.obl6 2011/03/14(月) 21:54:00.70 ID:1KOJvhFAO
-
「………いつ?」
美琴がキッと上条を睨みつけた。青白い光がバチっと光る。
「いや、あ、あれか、……姫神か!」
上条宅に向かう帰路、公園の通りで姫神と確かに出会った。
よ!と、簡単に挨拶を済ませ美琴のことをつっこまれる前に退散しようとした。
その時の姫神の反応がイマイチ思い出せないが…
短いやりとりだったはずである。
上条はよくよく思い出そうと、うーんと腕を組み首を傾けて見せた。
「何それ、覚えてないの?」
上条の動作を見て、美琴の声に怒気がこもる。
その声がスイッチとなり、ふっと手を上げ答えた。
「はい!美琴センセー!思い出しました!」
「ふざけんなぁ!」
バチバチと音を立てほとばしる、青白い光。
「あ、や、すんません。確かに、『よっ』て声かける時に手離したかもしれな…‥」
「は・な・し・た・の!!!」
「ちょっと待て!一瞬だったじゃねーか。しかも、姫神と別れた後、俺はつなぎなおそうとしたはずだぞ!そっから、手つながなかったの美琴だろ」
「う、だ、だって……ッ!」
思ってもいなかった反撃に美琴は、ずいっと引き下がる。
- 27 : ◆jPpg5.obl6 2011/03/14(月) 23:29:32.31 ID:1KOJvhFAO
-
確かに、手をつなごうと差し出された上条の手にそっぽを向いたのは自分だ…
けど、そんな気持ちになった後、すぐに手なんかつなげるわけがない。
「…そんなに俺の手離したくなかったんなら、素直にそう言えよ」
「い、言えたら苦労しないわよ!それに嫌な気持ちになったの手だけじゃない……」
「何だよ。」
「ぅ…その‥‥~ほっ…」
――――何言ってんのよ…私ッ!
こんなこと言ったら
「っ…他の…知らない女の子と‥話してるのも、嫌だったし…」
こいつ絶対、私のことバカにするじゃない。
「それが、なんかムカついて…」
「ふむふむ。つまり…やきもちって、ことですか?」
からかう言い方に腹が立ったが、どうにもこうにも、否定はできない。
これが事実。
「べ、べつに、何ともないことぐらいわかってるわよ…?こんなの、大したことない、し………で、でも!…嫌だって思ったのよ」
どうしようもない恥ずかしさに、視線は上条をとらえるなんてできなくて…
「…それに、」
言いたくない!という脳からの指令はことごとく無視され、一度出した言葉たちは、後戻りできない。
「…こんなことがいちいち、嫌だって言ったら、面倒くさいだろうし……その、面倒になって私のこと…嫌になるかも‥…‥」
一体どんな顔して聞いてるのかしら、頭の隅っこで、考えてしまう。
気になって仕方がないが、相手の顔をうかがう余裕なんてなかった。
- 35 : ◆jPpg5.obl6 2011/03/15(火) 23:57:04.13 ID:Kzy3KMCAO
-
らしくない自分を見たくない気持ちで、美琴はきゅーっと目を閉じた。
「……」
――――なんで何にも言わないのよ!
あぁ~それより私が何言ってんのよ…って感じか。
もう、やだ…
恥ずかしい。
何の反応もない上条に不安になるが、この静けさにも耐えられない。
静まり返った部屋の少し重苦しい空気(私がそうしてしまったんだけど)を変えようと、美琴は当てのない言葉をつないだ。
「それで、その…‥そう思っ…た、ら…その…何も言えなく…なっ、て…」
声がだんだんとフェードアウトしていく。そして、美琴の言葉が完全に消えかかる前に、上条が動き出す。
ふわっと、ゆるい風にのって彼の匂いが近づいた。
美琴は、鼻をくんとならして…その匂いを確かめるように、自然と目をあける。
- 36 : ◆jPpg5.obl6 2011/03/16(水) 00:01:50.56 ID:oXoeqoNAO
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「…」
「ふにゃあ!?」
美琴の眼前には、上条が。
上条が自分に近づいたことは分かった。しかし、目を開け、もう予想だにしなかった距離に美琴は思わず声をあげた。
「…―」
―――…なに?
なんで、そんな顔してるの?
美琴の顔を覗き込んでいた上条は、まっすぐ美琴をとらえて離さなかった。
逃げ出したいと思うほど、上条は見つめる…
その瞳から、逃げるように唇へと美琴はみる場所を下げた。
とたん、上条の唇が柔らかく開いた。
「なぁ、美琴」
聞き慣れた、
優しい声。
心が彼にすい寄せられる。
「…思いっきり抱きしめていい?」
その言葉が鼓膜に響いて、脳内できちっと理解される前に、美琴の体は上条の手に捕らえられていた。
コメント一覧
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- 2014年09月18日 22:04
- (・・;)))
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- 2014年09月18日 22:22
- (;´・ω・)
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- 2014年09月18日 22:23
- ぼくはいいとおもいます。
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- 2014年09月18日 22:23
- みこっちゃんに手コキされたい
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- 2014年09月18日 22:35
- やはり上琴は良い!!
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- 2014年09月18日 22:41
- ぐあぁぁぁぁぁぁ
やめろ!俺にラブラブのssを見せるんじゃねぇよ。
死にたくなるだろ
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- 2014年09月18日 23:16
- 上琴のイチャイチャは、何故か安心して見ていられる不思議。
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- 2014年09月18日 23:37
- 黒子「(#゚Д゚)滅殺」
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- 2014年09月19日 00:03
- 真顔ポソコンカタカタ
(´・-・)…