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よくわからない夢を叶えます
テレビのリモコンは魔法みたいだが、あれが遠くまで届いたらいっそう万能感があるだろう。
たとえば県境をまたいで隣県のテレビのチャンネルを変えられたら、そのときの興奮は想像に難くない。県境を一直線に越える赤外線。音もなく変わるチャンネル。 そのうえ変ったチャンネルがスカパー!なら一石二鳥である。遠くのテレビを全部スカパー!にしてしまおう。(この記事はスカパー!とのコラボでお送りしております)。
林雄司(はやしゆうじ)
1971年東京生まれ。ニフティ株式会社勤務。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと新宿区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。> 個人サイト webやぎの目 Twitter(@yaginome) 舞台は多摩川神奈川と東京の間を流れる多摩川が今回の実験の舞台。本当に人の家のテレビを変えると怒られるので自前で河原にテレビを用意した。
東京側にテレビを設置し、対岸の神奈川県からリモコンを打つ。今回はあえて「打つ」という表現を使いたい、このあと登場するリモコンを見てもらえればその理由はわかると思う。 東京側のリビング(テレビがあるから)
河原にパラボラアンテナがあるのは初めて見る景色だがなかなかかっこいい。テレビを動かすための発電機も持ち込んだ。
設営を終えて、いいリビングができたと満足していたが、ひとつ気になることがあった。水が増してきているのだ。 前の写真から約30分後の写真
前の写真では水がうっすらかかる程度だった段が完全に水没している。
世間では新型のiPhoneが話題になっているなか、僕は川原で増える水に怯えているのだ(幸いなことにこれ以上増えることはなかった)。 特製・長距離リモコンこれが今回の実験で使用するリモコン。もちろん特製である。
ゴルゴ13気分で操作できるリモコン
銃口についている装置から赤外線が出る。技術的なところはテクノ手芸部のよしださんに作ってもらったのだ。
テクノ手芸部よしだともふみさん。6月の猫リモコンに続いてのリモコン制作。
ダンボール製の銃を持ってアー写みたいになっているが、遠くのテレビを確かめているところである。
この多摩川の実験からさかのぼること1週間前、よしださんが自らの地下事務所で作っていたのはこのような装置である。 --- ここから回想シーン --- 長距離リモコンのしくみよしださんが作っていたのはリモコンから出る光を強くする装置。
リモコンは目には見えない赤外線がものすごい速度で点滅している(らしい)。 そのパターンを読み取って大きなライトを同じパターンで光らせる。 リモコンから出る光のパターンをそのまま大きくする装置(これはテスト用に見える光で出してますが、本番では赤外線なので見えません)
レーザー光にするともっと簡単に遠くまで飛ぶらしいのだが、危険なのでやめた。我々はあくまで非暴力をモットーとするゴルゴ13である。怖いしね。
銃の筐体は真心を込めて林がダンボールで制作。
そして実験の4日前、東京カルチャーカルチャーで赤外線装置と筐体を組み合わせた(ガムテで)。
長距離リモコンが完成した瞬間
東京カルチャーカルチャーのバルコニーで試してみたところ、30mぐらいは余裕で届くことがわかった。
あんな先のテレビのチャンネルを変えられる
この実験でわかったのは、遠すぎてテレビのチャンネルが変わったかどうか分からない、ということだった。テレビの横にチャンネルが変わったかどうかの判定員が必要である。
この日の判定員はたまたま別の仕事でカルチャーカルチャーにいたライター地主くん
リモコンというよりも光線銃ゲームっぽくなってきた。
長距離リモコンは通りかかった外国人観光客のみなさんも興味津々。我が国にも持って帰りたいと話していた(想像)。
--- 回想シーンおわり ---
話は再び多摩川にもどる。
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