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これまでの研究によれば、80万年前、我々の祖先はしばしばカニバリズム(食人)を行っていたようだ。脂肪、筋肉、内蔵、皮膚など、成人から平均30kgの食料が手に入ったことを思えば、当時はそれが理に叶っていたのかもしれない。
現代社会においてそうした行為が許されることは決してないが、いくつかの地域においてカニバリズムの風習は今でも続いている。ここでは海外サイトで特集されていた、カニバリズムに関する興味深い10の事実を見ていくことにしよう。
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1. 人肉の味はどんな味?
人肉を食した経験のある人の多くが、見た目は牛肉のようだが、その味は豚肉に似た甘さがあると話しており、ときには子牛肉の味とそっくりだと評されることもある。
人肉の味にもっとも精通していたのは、おそらくドイツの殺人犯アルミン・マイヴェスだろう。彼はインターネットで自分に食べられたい人間を募集すると、応募してきた男性を殺害し、その肉を20kgほど食べている。刑務所内でのインタビューで、味は豚肉のようで、「やや苦みと歯ごたえがあり、実に美味しかった」と答えている。
こうした味は年齢、食べる部位、調理方法によって変化する。例えば子供の肉は非常に柔らかく、魚に似た食感がある。唐辛子などの調味料で焼いたり、煮込んだりするほか、しばらく熟成させて風味を増すといった、美味しく頂く方法が様々な部族で伝えられている。
2. 食人により引き起こされるクールー病
食人行為を行えば、一生を刑務所で過ごすはめに陥るだけでなく、クールーという病気に罹患する危険すらある。クールーは命にかかわる狂牛病に似た神経変性疾患で、現在のところ治療法はない。この病気が最初に発見されたのは、50年代のパプアニューギニアにおいてである。当地域に住んでいたフォレ族には遺体の肉や脳を食べる風習があり、その多くがプリオンというタンパク質に感染していたそうだ。
クールーを罹患すると、震戦、痙笑、ろれつが回らないといった症状がみられ、やがては身体を動かすことや嚥下することが困難となる。潜伏期間は10〜13年程度で、発症すると多くが1年以内に命を落とす。興味深いことに、2009年の調査で、大部分の者が遺伝子変異によってクールーの免疫を持つようになっていたことが判明している。研究者によれば、生き残った者の遺伝子が受け継がれた結果であり、自然淘汰の証拠だという。
3. エンドカニバリズムとエクソカニバリズム
カニバリズムは大きく2つのカテゴリーに分けることができる。1つがエンドカニバリズム(内食人)であり、部族や家族内の死者に敬意を表するため行うものであり、例えば前述のフォレ族がこれを行っていた。
他方がエクソカニバリズム(外食人)と呼ばれ、命を盗んだり、敵を威圧したりする目的で外部の人間を食するものである。世界では今日でも行われており、例えばシリアの反政府軍司令官は敵兵士の内蔵を食べたことが報告されている。ほかにも2014年、中央アフリカ共和国の「マッド・ドッグ」という男は、殺された家族の復讐を遂げるために、犯人のイスラム教徒を殺害し、その足を食べたという。この地域では、敵の肉を食べると途方もない力を授かるという信仰があるそうだ。
4. オートカニバリズム
上記のカテゴリーに加えて、オートカニバリズム(自食人)という形態もある。これは自らの肉を食べるもので、実はある程度は誰もがこれを行っている。と言うのも、舌や口の内側、鼻血や潰瘍から剥がれた死んだ細胞を知らないうちに飲み込んでいるからだ。一方で自主的にこれを行う者もおり、中には極端な人体改造の一環としての食人や、吸血行為として自らの血を飲むケースまである。
さらに悪質なケースでは、人に自らの肉体を無理矢理食べさせるものがある。2003年、国連はコンゴの部族がピグミー族に自らの肉を食べるよう強制しているとして、これを非難した。最も有名な事件は1934年、米フロリダで起きたケースである。この事件では2,000人からなる南部白人グループがクロード・ニールという黒人を捕え、焼き殺す前に自分の生殖器を無理矢理食べさせている。
5. ジョージ・W・ブッシュを食べ損ねた日本人
食料不足による困窮ゆえか、エクソカニバリズムとしてかは不明だが、日本兵は戦争捕虜や民間人を食べたと伝えられている(注:海外サイトの原文に忠実に翻訳したものであり、海外ではそのように伝わっているようだ)。1944年、未来の米大統領である22歳のジョージ・W・ブッシュは、硫黄島から北に240kmの地点にある小さな島で、九死に一生を得た。8名いた部隊で生き残ったのは彼1人であったが、グアム日本戦争犯罪裁判で証言した日本兵によれば、捕虜となった8名のうち4名はカニバリズムの犠牲となったそうだ。
捕虜となった1人、マーションは首を落とされた後、太ももから2.5kgほど肉が切り取られ、マトバ・スエオ少佐に手渡された。マトバ少佐は他の士官に酒とともにこれを振る舞い、自らは竹串に刺して焼いた肝臓を醤油で食べたという。(注:再度注釈するが、原文にそう書かれている)
6. 適応形質としてのカニバリズム
進化論の研究者ルイス・ペトリノビッチによれば、人間は飢餓状態にあるときカニバリズムを行うが、これは生き残るために備わった適応形質なのだという。生存的カニバリズムと呼ばれるこの行為は、大規模な飢饉においてよく見られ、通常は有している食人に対する嫌悪感を克服して生き残るための基本的な本能である。
これに関する最も有名な事例は、1972年にアンデス山脈に墜落した飛行機に乗っていたウルグアイのラグビーチームのものだろう。彼らは死んだ乗客を食べ、食料がない雪山において2ヶ月間生き抜くことができた。
カニバリズムは長期的には人類という種の生存に不利となるものだ。しかし短期的で危機的な状況においては、飢えた個人を救う優れた戦略となり得る。それゆえ歴史上、こうしたことは何度も繰り返されてきた。
7. 自然界でのカニバリズム
多くの動物が共食いを行う。カマキリやクロゴケグモのメスが交尾した後、オスを食い殺すことはよく知られているが、交尾後にオスを捕食してしまう昆虫は他にも多く存在する。これは、良好な栄養状態を保ち、卵の発育を促すためであると考えられている。
ある研究ではガラガラヘビの68パーセントが死産の卵を食べることが判明している。産卵後の体力を回復するために、体重の11パーセント分も子供を食べるそうだ。またヘビの子供自体も自分より小さな兄妹を食べ、口減らしをすることで、生存の可能性を上げている。またライオンのオスは、メスの連れ子を食い殺し、自分の子供に群れを継がせる準備をする。
8. チンパンジーのカニバリズム
人間と98パーセント同じDNAを持つチンパンジーもカニバリズムを行う。オスのチンパンジーが非常に攻撃的であることは予てから知られていたが、1976年、動物学者ジェーン・グドールは2匹の母娘のチンパンジーが3匹の赤ちゃんチンパンジーを食べるというショッキングな場面を目撃した。グドールによれば、叫び声を上げて邪魔をしていなければ、4匹目も食べていたはずだという。
また最近でも子連れの6匹のメスが、怪我をしたチンパンジー親子を追い回す場面が観察されている。こうした争いは、人間によって生息域を狭められたチンパンジーが、限られた資源を確保するために増加しているのだと考えられている。
9. ヨーロッパの医療カニバリズム
ヨーロッパ人はカニバリズムと聞けば反射的に野蛮と見なすが、そんな彼らも中世においては食人を普通に行っていた。それは医療を目的とするものであり、頭痛から痛風まで、様々な病気に対して人体を材料とした薬を使っていた。人体の脂肪は傷の回復を早め、関節炎やリウマチに効果があるとされ、また血液はてんかんなどの痙攣性症状を軽減すると信じられていた。こうした素材を手にするために、死刑執行人にお金を払って死刑囚の血肉を購入していたのだ。
初期にはエジプトのミイラの一部が使われた。しかし当然その供給量は限られたものであったため、次第に死んだばかりの遺体を、乾燥させたり、塩やハーブで燻したりするなど、防腐処理を施すようになる。戦場で死んだ屈強な兵士の死体のほか、絞首刑にされた若い男性や処女の遺体は特に高値で取引された。未経験女性の経血に加え、絞首刑にあった男性は血管収縮を起こす神経が切断されることで生殖器が興奮状態となるため、力強さの象徴として珍重されたのだ。
10. カニバリズムと精神疾患
カニバリズムは生存や儀式を目的とするもの以外にも、精神疾患の結果として行われることがある。アンドレイ・チカチーロ、佐川一政、アルバート・フィッシュ、エド・ゲイン、リチャード・チェイスら、多くの食人鬼は統合失調症と診断されている。また、自身の行為を理解していながらも、罪の意識を全く感じていないことから、精神病質と診断されることもある。
また、カニバリズムには常習性があるという見解も存在する。精神病質な人間の頭の中でカニバリズムの空想が繰り返されることで、その常習性が次第に強化され始める。最終的にその空想を実行に移したとき、彼らの脳にはドーパミンが大量に分泌され、快感を感じる。そして、その感覚を再度味わうために食人を繰り返すようになり、止められなくなるのだという。彼らに対して共感を教える方法がない以上、食人中毒に陥った人間を治すことはできない。
via:listverse・原文翻訳:hiroching
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コメント
1. 匿名処理班
つい最近でも玉の主食会なんてあったね
2.
3.
4. 匿名処理班
おもしろかったいつもありがとうございます
5. 匿名処理班
最後のパルモたんのコメントの、食人中毒って単語が、なかなか怖い^^;
6. 匿名処理班
肉骨粉食べさせられた牛が狂牛病になるように、
人肉食べた人間も狂うのか
7. 匿名処理班
>カニバリズムは長期的には人類という種の生存に不利となる
この表現は進化生物学者からは批判される風潮にあるね
カニバリズムが忌避されるのはそれが何かしら個体の適応上のマイナスを持つからだろう
前述のクールー病なんかはまさにそれなんだろうけど、
もう少し複雑な淘汰が働いてそうで、それが知りたい
8. 匿名処理班
ザクロの味というのが本当なら、結構酸っぱいんだなあ
日本兵の件はあれこれコメントが付きそうだけど、他に取り上げられた部族の人たちがこの記事を見たら「それすごい特殊な事例だから!」って抗議したくなるのかもな
アルミンや佐川くんは異論ないだろうけどね
9. 匿名処理班
世界各地では犬食や鯨食、色んな食文化があるけど食人は食文化と言えるのだろうか?
10.
11.
12. 匿名処理班
太平洋戦争に従軍したのはWじゃなくて、親父の方じゃね?
13. 匿名処理班
中世ヨーロッパで薬として使われてたって言うけど、この風習は大陸では共通のものなのかな?
魯迅の作品の中に、人血を饅頭(まんとう)に染みこませて食べると肺病の薬になる、って聞いて死刑囚の血をもらいに行く話があった。
アフリカの方だと、人の肉を食べるとその人の能力を得られる、っていう伝承があるって聞いたことがある。
日本ではその手の文化は聞いたことはないけど
14. 匿名処理班
※7
そうか?
同属食べ放題な種族に進化しちゃったら、食べものを苦労して探すより、フェロモンで寄って来た配偶者食べたり、子を生んでそれを食うこともできるわけで、そんなことをやってたら以降の種の存続はおぼつかないだろう。
同属は食べない、という選択をした種たちが生き残るのは単純で明朗な淘汰だと思うな。
15.
16. 匿名処理班
佐川くんが言ってたけど「美味しい、そう思わなきゃいけない強迫観念があった」と。
確かに人類の敵になるのに、他の動物と変わんない・・・という答えは出せないよなー。
17.
18. 匿名処理班
気分が悪くなった・・・・
19. 匿名処理班
現代人はあらゆる重金属、科学薬品、食品添加物に汚染されているから食えたものじゃないとか。
食べるならオーガニックマニアのベジタリアンだな。
20. 匿名処理班
※14
自然界ではカニバってる種が沢山いて、連中も淘汰されないでしっかり残ってるんだから、非共食いこそ最適戦略ってのは少し単純すぎるかもね
しかし自然界じゃ当たり前に行われている事に我々が強い嫌悪感を感じる事は事実
我々が動物から人間になったからそのような嫌悪感が生じたのだろうか、あるいは我々がそのような行為を忌避する種族だったからこそ我々が動物から人間になれたのかも、と考えると暇つぶしにはなる
21.
22. 匿名処理班
クールー病じたいあまり信憑性が無いんだよね。
知らべた人がキリスト教神父で、成人女性が主に食べたが潜伏期間が10〜13年で平均寿命が40年くらいしかないから食べなくても変わらないし、症状が蛋白質、脂質欠乏性痴呆症と変わらないから病気か栄養不足かわからない。
あと、調べた後、ちがう病気で人口が急激に減り病気の感染経路が不明のまま。
23. 匿名処理班
はい、焼き肉だよ〜って出されたらわからないから食べちゃうんだろうけど…。
24. 匿名処理班
バカリズムかと思った。
25.
26. 匿名処理班
オートカニバリズムってぽんこつ車から使えるパーツを流用することかと思っていたよ。
27. 匿名処理班
日本の大森貝塚からも食人の風習があったのでは?と疑われる人骨が発見されてる。
ただし「大森貝塚」の著者モースは、日本の古記録(古事記、日本書紀、風土記etc)にそのような習慣に関する記述が全く残されていないことから、食人は風習的に行われたものではなく、何か突発的な、生命の維持の必要に迫られた事態に陥った時になされた行為なのでは…と推測している。
28.
29. 匿名処理班
飢饉とか、戦時中とか、差し迫った状況なら本能的に食べざるを得なかった
なんてことは過去どの国にもあっただろうけどね。
未開の地だったらそういう病気にたいしてもわからなかったりするだろうし。
でもそこからその味を好む人たちが増えたなら怖いな。
30.
31. 匿名処理班
ロシアの南西部でも人肉売ってたよな、今もあるか分からないけど。
ジャーキーみたいに加工してあったけど苦いって印象だったわ。
つか食人風習ってどこの世界にも少なからずあるよな、
それ自体が大きい事だから記事が沢山残っているのだろうけど。
32. 匿名処理班
※20
でもその自然界でカニバってる種っていうのは、昆虫のように短期の生命サイクルを繰り返す種ばっかりで、哺乳類のように長期でのサイクルを持つ生物はなるべく共食いを避けるんだよね。
例えば狂牛病だけど、これは飼料に牛骨紛を混ぜて共食いさせた結果(クールー病と同じように)異常プリオンが発生して起こった病気だし。
少なくとも哺乳類にとっては、同種食いがリスクの高い行為であることは間違いないと思う。
33.
34. 匿名処理班
自らの肉は食べないけど
自らの皮なら食べる
たまに剥がれるほっぺ内側の皮は コリコリして旨い
35. 匿名処理班
俺の脂肪誰か食べてくれ
36. 匿名処理班
7は親ペリカンから幼鳥への給餌かなあ?
37. 匿名処理班
よく自分の指の皮とか噛んでそのまま食べちゃうことあるんだけどこれもオートカニバリズムなの?
他人に食わせるってのは全然理解できないわ
38. 匿名処理班
日本でも敗戦直後の広島では人骨が薬になると言われて
焼け跡から拾ってきた人骨を砕いて飲んだそうですよ。
39. 匿名処理班
そう言えば、ヨーロッパのどの国か忘れたけど、殺した少年の肉を牛や豚と偽って売り払っていた肉屋がいたな
そこそこ繁昌していたそうだけど
40. 匿名処理班
江戸時代、人間(主に処刑人)の胴体から肝臓を取り出し、干して粉末にして練って丸めた丸薬「人胆」が、労咳(結核)の特効薬として飛ぶように売れたって話もあるよな。
41.
42. 匿名処理班
実はカニバリズムはそう珍しい事でもなく近世までは世界中至る場所で見られるんだよねえ。
43. 匿名処理班
レクター博士を思い出したわ
44. 匿名処理班
自分の地元でも、江戸時代の飢饉でやむなく
死肉やらを食べたという史実が残っている。
で、自分がその生き残りの末裔なんだよな。
なんだか複雑だ。
45. 匿名処理班
※14
うん、配偶者や子を捕食することは自分自身にとって適応的じゃないから、別にそこで群選択的な表現をする必要はないかなと思って
逆に状況(自身の飢餓や深刻な敵対相手がいる場合など)的にカニバが発動することは、
非常に適応的だし
まあ、表現が気になっただけです
それより、カニバに対する嫌悪感がどのように獲得されたのか知りたい
例えば病気が淘汰圧になってるなら、
健康な相手なら食べたいとかいう欲求があってもいいと思うんだけど
一般的に殺人よりも忌避される、相手の状態や人種などを超えた嫌悪感だから
何かより強い淘汰圧がかかってるんじゃないかと思う
46. 匿名処理班
ブッシュ(父)の話は父島事件のことかな?
戦争中はニューギニアで飢餓に苦しんだ日本兵がオーストラリア兵の遺体から肉を剥ぎ取って食べてたといわれてるし、フィリピンではルソン北部に追いやられた日本兵が弱った戦友を襲撃して喰ったといわれてるね。