3Dプリンタ製の望遠鏡で初めて撮影された月の写真
安価でも性能は高いんです。
高性能望遠鏡は高価なものが多く、例えば月の表面を詳しく見たければ、数十万円するようなものが必要でした。しかし、シェフィールド大学の天文学者チームの開発した望遠鏡は驚くほど安い価格で手に入れることができるでしょう。3DプリンティングとRaspberry Piカメラモジュールを使ったこの望遠鏡は、開発コストを抑えつつも、5メガバイトの大きさの画像を撮影できる性能をほこります。
この望遠鏡計画はPiKonとよばれ、欲しい人なら誰でも手に入れられる天体撮影望遠鏡の開発をミッションとしていました。物理学者マーク・ウィングリーさんはこう語ります。
我々の将来的な展望は、あの著名なドブソニアン望遠鏡に並ぶ望遠鏡を作ることです。それは趣味で天体観測するのに最高なものの開発。(中略)技術の民主化とでも言いましょうか、安くて誰にでも手に入れられるようなものが作りたいんです。
PiKon望遠鏡は反射望遠鏡と同じように、凹面鏡に反射した像がチューブの中を伝わる仕組みです。普通のアマチュア望遠鏡は、対象を見やすくするために接眼レンズにそのイメージを反射させるために、別の鏡を使って像を映しています。でも、PiKon望遠鏡は別の鏡のかわりに安価なRaspberry Piカメラを搭載しています。これが反射した像のキャプチャ画像として対象物をとらえるのです。
この計画をシェフィールド大学と共に進めていたAlternative Photonicsによると、近いうちにThingiversetheに3Dプリンティングに必要なファイルがアップロードされるそうです。ちなみに現在、プロトタイプのPiKon望遠鏡がFestival of the Mind(シェフィールド大学と近隣都市によるリサーチ発表会)で展示されています。
PiKon望遠鏡意外にも、NASAが3Dプリンティングでの望遠鏡に着手しており、こちらはもうすぐ使用可能になるそうです。
3Dプリントの技術によって、さまざまな高度技術が一般ユーザにも開放されていきますね。活版印刷機が発明された時に似ているのかもしれません。
image by Alternative Photonics / PiKon
source: BBC
Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文]
(Tomo)
- MAKERS―21世紀の産業革命が始まる
- クリス・アンダーソン|NHK出版