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28年前の1986年4月26日、当時のソビエト連邦(現:ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所4号炉で起きた原子力事故は、国際原子力事象評価尺度 (INES) において最悪のレベル7(深刻な事故)に分類されるほどの大規模な事故であり、大きな爪跡を残した。
チェルノブイリ原子力発電所を中心とした2500平方キロメートル以内では、ほぼ人間がいなくなった。そのことによって生態系が大幅に変化したようだ。野生動物が増え始め、絶滅を危惧されていた動物たちがまたこの地に戻ってきているのだ。チェルノブイリ避難指定区域はウクライナとベラルーシの県境にあり、現在は野生生物で満ち溢れている。
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1. 野生のイノシシ
この地域でよく見られるイノシシは急増している。この地のイノシシは国を超え、ドイツまで遠征しているようだ。彼等はキノコやトリュフを主食とする為、汚染物質が検出されるのだが、ドイツのイノシシからも汚染物質が確認されたという。
2. ヨーロッパ・オオヤマネコ
放射能検査は避難指定区域の動植物全てに対して行われている。しかし、科学者等は未だにヨーロッパ・オオヤマネコの検査を出来ないでいる。ヨーロッパ・オオヤマネコはヨーロッパ全土での絶滅が確認されている動物だが、シベリアでの生息報告は未だに存在する。避難指定区域の生態系から察するにヨーロッパ・オオヤマネコはどこかかだこの地へ移動してきた可能性がある。オオヤマネコが放射能の影響をどれくらい受けているかは確認されていないが、この地を安住の地として選んだということはそれなりに理由があるのだろう。
3. アカシカ
立ち入り禁止となり木々が覆い茂るようになったチェルノブイリ原発跡地周辺ではアカシカの増加が確認されている。アカシカはロシアでは食用とされているが、汚染された土壌から生える草木を主食としているのでこの地のアカシカを食べる人はいない。
4. ヘラジカ
ヘラジカはヨーロッパ・オオヤマネコ同様に長い間チェルノブイリで生息が確認されていなかったが、避難指定区域に人間が居なくなってから爆発的に増えた動物だ。
5. オジロワシ
19世紀に一度チェルノブイリでの目撃例が絶たれていたオジロワシは1.8メートルから2.4メートル程の長さの翼を持つ大きな鷹だ。事故後、彼らは再びこの地に戻ってきた。
6. モウコノウマ
ベラルーシ放射能管理作業員が避難指定区域と指定されている、ベラルーシの町Vorotetsで土壌汚染の度合いを検査している後ろに映っているのは、絶滅危惧種のモウコノウマ(原文より)という馬だ。彼等は絶滅危惧種だからという理由で野に放たれた。今でも彼等はこの避難指定区域を駆け回っている。
7. 家畜
避難地域に指定された地区でも一部のベラルーシやウクライナの人々は避難せずにほそぼそとこの地で暮らしている。特にお年寄りは放射線によって引き起こされる被害を恐れる事が無い為、土地に留まる事が多いそうだ。彼らはこの地で育てた家畜を食用としている。
8. 野良猫たち
避難指定区域Rudonyeに暮らすこのおばあさんは、野良猫たちにエサをあげるのが日課となっている。数多くの猫が事故当初の直接被ばくの影響で死んでしまったが、今では猫も徐々に増えつつある。これも人間の手が加えられることが無くなった自然の力がもたらしたものだろう。
9. 野良犬たち
チェルノブイリ事故現場の目の前で遊びまわるストレイ・ドッグ。猫と同様に彼等もまた、人間の手が加えられなくなった土地でのびのびと暮らしているのだ。
10. オオカミ
避難区域に居る犬類の中で特に多いのがオオカミだ。事故後、チェルノブイリ付近に生息するオオカミの数は増加し、現在およそ300頭ほどいると推測されている。事故以前に絶滅の危機に瀕していた動物が、自然界へ返り咲いたのだ。
via:allday・原文翻訳:riki7119
長期的に見て、これらの野生動物が我々人間にどのような影響を及ぼすのかは未知数だが、現状として彼らは彼らの生をまっとうしているように見受けられる。我々人間は汚染物質を恐れるが、野生動物にとって最も恐ろしいのは人間なのかもしれない。
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コメント
1. 匿名処理班
なんだか皮肉な話だな
2. 匿名処理班
野生動物にとって一番の脅威は人間だということを如実に証明しているな
3. 匿名処理班
放射能よりも自然の力は偉大なんだなぁ…。
4. 匿名処理班
人間より鋭敏なこいつらが生きてるってことは
俺らの想像以上に浄化が進んでんのかな?
5. 匿名処理班
こうしてみると人間の力なんて
到底自然には勝てないじゃないかと思う。
自然は私達の知らない、忘れた強さがあるね
6. 匿名処理班
人がいなくなって、生態系が正常になって行ってる過程みたいなかんじがするね
7. 匿名処理班
自然ってすごいな
8.
9. 匿名処理班
自然はゆっくりと元に戻っていく
10. 匿名処理班
コダマいるかな〜
11. 匿名処理班
こういう記事読むと、人間って邪魔なんだろうなぁ…と思わされる。
12. 匿名処理班
※3
放射能も自然の力だw驕るな!!
13. 匿名処理班
※4
表向きはきれいに見えるが土壌内細菌は全滅状態
そのため枯葉や土壌よくする機能は著しく失っている
本当に意味でよくなるのは数百年もしくは数千年後だろう
それでも当初言われていた放射能の半減期は自然界では
かなり短くなることがわかったのが不幸中の幸い
14. 匿名処理班
※5
知らないのに忘れたとはこれ如何に・・・
15. 匿名処理班
「人間は自然の敵!」「絶対に自然を守ろう!」みたいな考え方はちょっと過剰に感じるのであまり好きでは無いが、
野生動物にとっては間違い無く人間は脅威になっているのだろうな、というのがよくわかるなあ
基本的には人間から見れば同じ人間は脅威にならないから、放射能から逃げるけど、
動物にとっては放射能の数倍人間が脅威ということなんだよな
16. 匿名処理班
人間が余計なことをしないのが一番の自然保護なのかもしれないな・・・
17.
18. 匿名処理班
このまま野生動物達の生息地として栄えてほしいな
19.
20. 匿名処理班
よく「人間がいなくなった後の世界」を想像して廃墟の中を野生動物が駆け回っている絵や動画があるけれど、チェイノブイリはまさにそれなんだな。
しかもまったくの野生動物の生息域というわけではなく、牛や犬猫といった人間によって家畜化された動物の野生化も同時に進んでいることで、野生動物との競合にどういう影響を与えるのか興味深い。
21.
22. 匿名処理班
野生動物にとって放射性物質よりも人間のほうが危険ってことだね。
23. 匿名処理班
6はモウコノウマじゃないよ。
モウコノウマはモンゴルに生息する完全な野生馬で、
垂直に立ったたてがみ、薄い茶色の体色、背中に走るこげ茶のラインが特徴。
この写真の馬はたてがみ長いし顔に流星があるし、ただの家畜化された馬でしょ。
24. 匿名処理班
あるべき姿なのかもね・・・
25. 匿名処理班
オオヤマネコの足ってすごいたくましいな
26. 匿名処理班
放射能の影響より人間の影響の方が大きかったというだけで、これが自然かというと違うよね。
早死している個体もあるだろうし…
27.
28. 匿名処理班
動物は逞しい。
それに比べて駄目なのが人間。
29. 匿名処理班
>>野生動物にとって最も恐ろしいのは人間なのかもしれない。
かもじゃなくてそうだろ。〇〇が増え過ぎだから人の手で間引く。
そしたら今度は捕食対象だった××が増えすぎたから間引くとかこんなのの繰り返し。
善悪の基準をなんとするかはお偉いさんに任せるけど
人間が生態系のバランスを管理しようなんて思い上がりも甚だしいよ。
30. 匿名処理班
世界には天然原子炉も存在するし
放射能汚染程度は地球にとって問題ないみたいだね
31. 匿名処理班
29
でもさ、人間は生きてるだけで自然に影響してるよ。干渉しないように生きるのは無理だし。
かといって恐ろしいまで言われたらちょっとつらい。
32. 匿名処理班
オオカミかっこいいと真っ先に思ってしまった
33. 匿名処理班
人体に影響があるかもしれない健康に影響があるかもしれない
少し何かあればすぐに徹底的に除菌をするか遠ざける
そのうち無菌室で暮らすようになるんじゃないかな
34. 匿名処理班
>我々人間は汚染物質を恐れるが、野生動物にとって最も恐ろしいのは人間なのかもしれない。
この言葉に尽きる。
人間も自然の一部で、行われる事象も大きく分ければ自然なのかも知れないけど、覇者として失格と言わざるを得ないんだが、何を言っても自虐でしかないね。
でもまぁ、ヤマネコとかノラ猫とかノラ犬とかと一緒に暮らしてみたい
35. 匿名処理班
放射能があっても、人間がいないだけでこんなに繁殖するもんなんだな。
下手に種を守ろうとして色々な取り組みを行うよりも、人間が入れない地域を作ったほうが効果的なんじゃないか?
36. 匿名処理班
そういえば、福島沖では漁業資源が回復しているらしい。
やっぱ、漁業はもっと計画性をもって、資源の継続利用が出来るようにしないといけないのかもしれない。
37. 匿名処理班
人間が放射能汚染を起こしても自然は同じサイクルを繰り返すだけか
38. 匿名処理班
人間はどこまで行っても自然に養ってもらってるだけの身分だからな
その人間が自然を征服?生態系管理?片腹痛し
39. 匿名処理班
放射能より人間のほが汚いんだろうな
40. 匿名処理班
人間が一番害悪なんだとよく分かるね…
悲しいけど、人間と自然との共存は難しいんだろうなぁ
41. 匿名処理班
この動物は可愛いし希少だから保護しよう、毛皮や体の一部が珍しいから捕まえよう、でもこの動物は可愛くないし懐かないから要らないや。利用も出来ないし邪魔だから駆除しよう
あ、獲りすぎて減っちゃった繁殖させよう
この動物はペットに良さそうだから輸入しよう、でも懐かなかったし捨てたら増えちゃったから見付け次第駆除しようだって邪魔だから
人間が生きていく以上仕方のない事もあるけど、身勝手過ぎる面もあるよね
42. 匿名処理班
被爆しつつもたくましく生きる動物さん達
。
43. 匿名処理班
動物が生きて繁殖して数を増やすくらいなら、
人間でも放射能汚染地域で生きていけるんだろう。
人間が嫌がるだけで。
44. 匿名処理班
繁殖可能な年齢まで生き延びられれば良いわけだもんな
45. 匿名処理班
低線量被曝でガンになることを恐れるのは、がんになるほど長生きできる人間ならではなのかな
野生動物はおそらくがんになる前に死ぬだろうし
46. 匿名処理班
オオカミと野犬が居るかいないかで大きく違うんだろうと思った。
日本の山にはオオカミも野犬も居ないから、シカが大発生して高山植物が絶滅状態。
捕食者もしくはハンターが居ないと全部笹の山になっちゃう。
47. 匿名処理班
かもしれないじゃなくて人間だろ
この星で一番繁栄してると言ってもいい
食物連鎖の下位を保護する余裕はおろか
同族を殺す余裕さえ有り余ってる