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もしもあの時綾波レイの怪我が本編より少しだけ軽かったら|エレファント速報:SSまとめブログ

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もしもあの時綾波レイの怪我が本編より少しだけ軽かったら

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/11(水) 00:45:23.23 ID:94/FNOZl0

エヴァSS
いまさらの本編再構成
大きな流れはTV~旧劇場版準拠
漫画とか新劇とか既存SSの要素とか都合よく挟まります
長いので序、破と被る部分は適宜そっちの流れでいきます
本編との差分のみ投下するので、残りは適当に補ってください
冒頭部初出は某総合スレ




2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/11(水) 00:52:53.49 ID:94/FNOZl0

===== ネルフ本部 初号機ケージ =====

   ギュッと目を瞑るシンジ

シンジ(逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ――)

   カッと目を見開くシンジ

シンジ(逃げちゃ、だめだ!!)

   何事かを言おうと息を吸い込むシンジ

   「放して」

シンジ「――えっ?」

   思わず腕の中の少女の顔を見やるシンジ
   目を閉じて痛みをこらえているレイ

レイ「あれに……乗らなきゃ……うっ――」

シンジ「な……何言ってるんだよ!!」

レイ「命令……だから……」ハッ……ハッ……

シンジ「命令って……無理に決まってるじゃないか!!」

   上体をミサトたちのほうに向けるシンジ

シンジ「やります!! 僕が乗ります!!」

レイ「……」ハッ……ハッ……

   わずかに目を開けて不審げにシンジを見上げるレイ

   戻ってくる医師たち

医師「大丈夫か、君――」

   シンジが支えていたレイを引き取る医師

シンジ「お願いします」

レイ「……」ハッ……ハッ……

看護師「さあ、綾波さん――」

シンジ(「綾波」?……)ハッ!



==== シンジ回想 ====

ミサト『――綾波レイでさえ、エヴァとシンクロするのに7ヶ月もかかったんでしょ!?』

―――――
―――





3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/11(水) 00:55:05.36 ID:94/FNOZl0

シンジ「――君が……綾波……レイ?」

   レイに点滴を付け直していく看護師

シンジ(こんな子だったなんて……)

レイ「……あなた……だれ?」ハッ……ハッ……

シンジ「僕は……碇シンジ」

レイ「いか……り? ……あなたは――」

シンジ「うん――あれには、僕が乗るから」

   無理に笑って見せるシンジ

レイ「!」



==== レイ回想 ====

ゲンドウ『レイ! 大丈夫かレイ!! レイ!!』

レイ『……』コクリ

ゲンドウ『そうか……』ニコ…

―――――
―――




医師「行こう」

カラカラカラ……

レイ(碇……碇司令の……)

   運ばれていくストレッチャーをしばらく見て背を向けるシンジ

レイ(碇……シンジ……)

カラカラカラ……

レイ(碇……くん……)

   微かに目を開けてリツコに連れられていくシンジを見ているレイ

   :
   :



4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/11(水) 00:57:36.54 ID:94/FNOZl0

シンジ「……」ハッ!!


==== ネルフ本部 病室 ====

シンジ「……知らない天井だ……」


==== 廊下 ====

   窓外を見ているシンジ 検査着姿

カラカラカラ……

   運ばれてくるストレッチャー

シンジ「あ……綾波?」

レイ「碇……くん?」

   シンジのところを少し行き過ぎて止まるストレッチャー
   歩み寄り、レイの様子を覗き込むように少し身をかがめるシンジ

シンジ「……大丈夫?」

レイ「……ええ」

   何かに気づき、シンジの顔に左手を伸ばすレイ
   少し驚きわずかに身を引くシンジ

レイ「怪我を……したの?」

シンジ「えっ?」

   自分の額の絆創膏に気づくシンジ

シンジ「いやあの……あれに乗ってるときに、転んで……」

レイ「……そう」

シンジ「で、でも! 綾波の怪我に比べたら――」

看護師「さあ、立ち話はそのくらいにして」

シンジ「――えっ?」

   微笑んでいる中年の看護師

看護師「続きは部屋に行ってからにしたら? すぐそこだから」

シンジ「あ……はい」

   動き出すストレッチャー
   並んで歩きだすシンジ
   :
   :?



5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/11(水) 01:00:50.76 ID:94/FNOZl0

==== ネルフ本部 病室 ====

   レイのベッド際の丸椅子に腰かけているシンジ

シンジ「そういえば、あの……『使徒』はどうなったの?」

レイ「あなたが、倒したんじゃないの?」

シンジ「えっ……でも……」

レイ「そうでなければ、今ここにこうしているはずがないから」

シンジ「そ、そうなの?」

レイ「……覚えていないの?」

シンジ「うん……あれに乗っていて、転んで……腕……そうだ、腕を捕まれて――」

   怯えたように右目を押さえるシンジ

シンジ「それから、何もわからなくなって……」

レイ「そう……」

   しばし流れる沈黙
   やがてポツリと聞くシンジ

シンジ「綾波は、どうしてあれに乗るの?」

レイ「絆だから」

シンジ「絆?」

レイ「みんなとの」

シンジ「……強いんだな、綾波は」

レイ「私には……他に何もないもの」

シンジ「!」ハッ…

   天井を見つめているレイ

プシュー…

   入ってくるミサト

ミサト「お邪魔するわよ、レイ」

   振り向くシンジとレイ

ミサト「……あらー? ホントにお邪魔だったかしらー?」

シンジ「な、何言ってるんですか!」

ミサト「あー、シンジくん。そんなに赤くならなくたって――」




6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/11(水) 01:02:56.90 ID:94/FNOZl0

シンジ「ミサトさん!!」

ミサト「フフ……ゴミンゴミン」

   舌を出して手を合わせるミサト

ミサト「――で、具合はどう? レイ」

レイ「問題、ありません」

ミサト「そう、よかった。……シンジくんが乗ってくれたおかげね」

シンジ「で、でも……」

ミサト「正直、次に使徒がいつ現れるかわからないけど、まずはきちんと治しなさい」

レイ「はい」

ミサト「シンジくん、レイと盛り上がってるとこ悪いんだけど――」

シンジ「いえ、だから――」

ミサト「聞きたいこととか、手続きとかあるから、ちょーっち、つきあってくれる?」

シンジ「――あ、はい」

ミサト「じゃあね、レイ。シンジくん、借りるわよ」

シンジ「いや、あの――」

ミサト「さあ、行きましょ」

シンジ「あ、はい。じゃ、じゃあ、綾波――」

レイ「さよなら」

シンジ「――またね」

   小さく手を振って病室の出口に向かうシンジ
   少し驚いた顔をするレイ

プシュー…

   開くドア、ゲンドウが立っている
   威圧的に見下ろすゲンドウ
   目をそらし俯くシンジ
   すり抜けて入室するゲンドウ

ミサト「シンジくん」

シンジ「……はい」

   出ていくミサト 続くシンジ
   ふとレイのベッドを振り返るシンジ
   先ほどまでシンジが座っていた丸椅子に腰かけるゲンドウ
   レイに何か話しかけながら微笑んでいる
   何か答えながら微笑み返しているレイ



7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/11(水) 01:03:55.66 ID:94/FNOZl0

シンジ(父さん……綾波にはあんな顔するんだ……)

シンジ(……綾波も……)

   暗い顔で退室するシンジ

  :
  :



==== 数分後 レイの病室 ====

   立ち上がるゲンドウ

ゲンドウ「――では、私はそろそろ戻る」

レイ「はい」

   退室するゲンドウ
   取り残されるレイ
   入口の扉を見ているレイ



==== レイ回想 ====

レイ『さよなら』

シンジ『またね』

――――――
―――




レイ(『さよなら』……別れの言葉)

レイ(『またね』……再会を約束する言葉)

レイ(またね……)

レイ「また……ね……」

  :
  :



8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/11(水) 01:06:02.94 ID:94/FNOZl0

==== 第壱中学校、教室 ====

教師「――では、碇君、あちらの席に――」

シンジ「はい」

ガタガタン…

   学習用具を出すシンジ

教師「あー、綾波。綾波はまた休みか。……まあいい――」

シンジ「えっ?」

   思わす顔をあげるシンジ
   シンジに集まる生徒たちの視線
   少しバツが悪そうに周囲を見回すシンジ

  :
  :


==== 同日 ネルフ本部、レイの病室 ====

   窓外を視ているレイ

コンコン…

   部屋の入口を見るレイ

プシュー…

シンジ「綾波、起きてる?」ヒソ…

   シンジの顔がひょいとのぞく

レイ「!」

シンジ「いま、大丈夫?」

レイ「……構わないわ」

シンジ「よかった……あの、もう一人いるんだけど……」

レイ「え?」

シンジ「洞木さん。クラス委員長の――」

レイ「……知ってるわ」

ヒカリ「お邪魔します」ニコ

レイ「……」

   丸椅子に腰かけるシンジとヒカリ

シンジ「びっくりしちゃったよ、綾波と同じクラスだったなんて」

レイ「……そう」



9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/11(水) 01:08:37.53 ID:94/FNOZl0

シンジ「僕が綾波と知り合いだってわかったらさ、綾波が休んでる間のプリント、届けてくれって」

   カバンから紙の束を取り出すシンジ

シンジ「綾波が怪我してるって言ったら、お見舞いに行きたいって、委員長が――」

ヒカリ「ごめんね、綾波さん。こんな大ケガしてるなんて知らなかった。体、大丈夫?」

レイ「問題ないわ」

ヒカリ「学校のことで困ってることがあったら、なんでも言ってね」

   腹蔵の無い笑みを浮かべるヒカリ

レイ「あ…ありがとう……」

  :
  :



==== 夜 レイの病室 ====

   明りの消えた室内 目覚めているレイ

レイ(『ありがとう』……感謝の言葉……)

   天井を見つめているレイ

レイ(あの人にも言ったこと、ないのに……)

  :
  :



==== 第壱中学校 渡り廊下 ====

ガシッ……ドサッ……

   倒れているシンジ
   苦々しげにシンジを見下ろして踵を返すトウジ 続くケンスケ

シンジ(知らなかった……そんなことになってたなんて……)

   雲が流れる空を見上げている

シンジ(どうしたらいいんだ……僕は――)

   聞こえてくるトウジたちの声

トウジ「な、なんや!」

ケンスケ「あ、綾波!?」

   はっとして上体を起こすシンジ
   校舎に戻ろうとしていたトウジとケンスケの前に立っているレイ
   右腕を吊っている

レイ「なぜ、殴るの」

トウジ「な