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垣根「かきね相談事務所へようこそ!」|エレファント速報:SSまとめブログ

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垣根「かきね相談事務所へようこそ!」

2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/11(金) 19:11:50.96 ID:6h6rrz7io

"かきね相談事務所"
縦長の看板にはそう書かれていた。


俺は雪が降っているくそ寒い日だったというのに、外に出て、その看板を満足そうに見上げていた。
看板は建物の二階に取り付けられており、前にある歩道側に突き出る形になってくっついている。


スクール解体したしな。
何かやろうとは思っていたけど、やっぱ俺の実力と経験だとここら辺が妥当だろ。


第七学区にあるこの場所に俺は事務所を構えた。
事務所が入っている建物は四階建てで、茶色の壁をしていた。
今日からここが俺の新しい仕事場になる。
吐き出される息が興奮しているせいか、さらに白くなった。



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/11(金) 19:12:26.90 ID:6h6rrz7io

『序章 事務所』




「グ~」という腹の音が鳴った。


すでに新しい仕事場になってから、一週間が過ぎていた。
まだ仕事が来ない。
事務所を構えたのはいいが、客が来ない。
俺は少し考えた。


おかしいだろ。
看板には"かきね"って書かれてるんだぜ。
あの、学園都市第二位の垣根帝督様の名前が刻まれてるんだぜ。ペンキだけど。
普通来るだろ。「待ってました!」と言わんばかりに来るだろ。

なぜなんだ?
なぜ、来ないんだ。
わからない。この状況の意味がわからない。

いや、まさか!

もうこの学園都市に悩みなんて存在しないのか!?
"科学の力で全部解決!" とかそういうノリなのか!?

しまった。自分の能力のことばかり考えていたせいか世間のニーズを考えていなかった。


ど……
どうすんだよ! 俺ぇぇ!!
事務所立てるのに借金までしたのに!
え! 何これ!?
この話終わり!? バッドエンドまっしぐらか!



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/11(金) 19:13:07.27 ID:6h6rrz7io

俺が頭を抱えて悩んでいると、「チリンチリン」という音が事務所に響く。
これは入口にセットしておいたドアベルの音だ。
客が来た時に、すぐわかるようにつけておいたのだが、
これが鳴ったということは、誰かがこの事務所のドアを開けたということだ。


客か!
俺は座っていた椅子から離れ、すぐ入り口に向かう。
ドアはゆっくりと動いている。
俺は開きかけている扉に向かってこう言った。


垣根「いらっしゃいませ! かきね相談事務所へようこそ!」

俺は女が見たら、一発で落とせる程の営業スマイル&爽やかな声を発していた。


完璧だ。完璧すぎる。
なぜなら、この一週間やることがなかったから、こればっかり練習していたのだ。
だが、もうそんなことはどうでもいい。
この爽やかスマイルがもとになり、この事務所が繁盛することは間違いない。
そう、この一週間は決して無駄ではなかったんだ。


しかし、そんな俺の努力も空しく、そこにいたのは客ではなく、俺のよく知っている女だった。

心理定規「ぷぷ……」

その女はドレスを着ていた。
寒いからだろう、ドレスの上にはコートを羽織っており、後ろで結んでいる金髪を揺らしながら笑っていた。

俺はただそいつの顔を見ていた。
初めての客だと思って、この一週間磨き上げてきた最高の営業スマイルをしたところに、よりにもよってこいつが出てくるとは。
何だこれは? 冗談のつもりか?



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/11(金) 19:13:58.10 ID:6h6rrz7io

心理定規「ぷぷぷ、あははは……」

そんな俺のことはお構い無しに心理定規は笑い続けていた。
俺はがっかり感と明らかに冷やかしに来たこいつのせいで気分が悪くなる。


垣根「……何しに来た?」

心理定規「あはは……え?」

垣根「何しにここへ来た?」

心理定規「冷やかしにかしら」


心理定規はそういうと舌をぺろっと出した。
予想通りの回答とそのしぐさに俺の怒りのボルテージはマックスになっていた。

ただ、勘違いしないで欲しいことがある。
普段の俺はジェントルメン垣根と呼ばれているくらい人には優しく、どんな状況にも冷静さを失わない男だ。
だが、今日はあれなんだ、腹が減っていていらいらしてるんだ。
だから、今から言う言動も紳士といえどしょうがないことだと俺は思う。


垣根「帰れ」

俺は一切の無駄なく、端的に自分の要求を言った。
正直、体力がないせいか、相手にするのがしんどくなっていた。

しかし、心理定規は俺の言葉に顔色一つ変えずに、手に持っていたコンビニの袋を俺の前に出した。
ガサっと袋の揺れる音がした。


心理定規「冗談よ。はい、これ」

垣根「何だこれは?」

心理定規「開業祝いに食べ物やら飲み物やら持って来たんだけど」

垣根「……」

心理定規「いらなかったかしら?」

垣根「……座れよ」


ふっ。
やはり、俺はなんだかんだ言ってもジェントルメンだった。
わざわざ来てくれたレディをそのまま追い帰すことはできなかったようだ。
全く、この性格が憎いぜ。



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/11(金) 20:27:03.33 ID:6h6rrz7io

俺と心理定規は客と相談するために用意していたソファーに座っている。
テーブルが真ん中にあり、向き合うように座っていた。
心理定規は俺が用意してやった紅茶を飲んでいた。
その間、俺は心理定規の持って来た弁当を食べていた。
弁当の中身が次々と俺の口の中に運ばれていく。

心理定規「思ってたより綺麗な事務所ね」

やはり、一週間というのは厳しかったな。こんなに飯をうまく感じたのは久しぶりだ。

心理定規「第七学区だと立地条件も悪くないでしょ? お金はどうしたの?」

コンビニ弁当といえど、侮れないな。

心理定規「借金?」

いかん。喉に詰まった。お茶を飲もう。

心理定規「……」

このおにぎりもうまそうだな。宮崎産の鳥五目か。

心理定規「没収するわよ」

垣根「聞いてるっつーの」

心理定規は手を止めずひたすら食べ続けている俺を呆れた顔で見ている。
飯をもらったし、話の相手くらいしてやるか。
俺は自分の優しさに涙が出そうになった。



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/11(金) 20:27:55.35 ID:6h6rrz7io

垣根「金は借金だ」

心理定規「暗部の時に稼いだお金は?」

垣根「前言っただろ? なくなってた」

心理定規「そうなの。じゃあ、体が元に戻った時は、本当に一円もなかったのね」

垣根「ああ、口座の中はすっからかんどころか、口座すら解約されてた」

心理定規「ふ~ん」

垣根「……」

心理定規「でも、よかったね」

垣根「よくねーよ! どこがいいんだよ!」

心理定規「いや、そういう意味じゃなくて。体が元に戻って」

垣根「そっちのことか。まあ、な」

心理定規「もう冷蔵庫はつけなくていいでしょ?」

垣根「……」

垣根「それは言うんじゃねぇ」

心理定規「はいはい」

心理定規は笑いながら言った。



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/11(金) 20:28:44.31 ID:6h6rrz7io

垣根「いや~、食った食った~」

ほぼ休憩なし状態で食べ続けていたので、俺はようやく一息ついた。
腹が満たされたせいか、これ以上にない満足感があった。


心理定規「何か私に言うことあるんじゃない?」

心理定規が微笑みながら言う。
何か言うこと?
ああ、そうか。言い忘れてた。

垣根「俺はファミリーマートよりもセブンイレブンの弁当の方が好きだ」

それを聞いた心理定規が一瞬にして、顔をひきつらせた。

ん? なんだこいつは?
あ、まてよ。こいつはファミリーマート派だったのか。
そうなると、ちょっとわりぃことをしたな。
数あるコンビニから俺の為においしいと思う場所を選んだのに。


心理定規「人がせっかく……お礼もないなんて……」

心理定規は頭を抱えている。
小声で言っているので、いまいち聞き取りにくい。



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/11(金) 20:29:41.12 ID:6h6rrz7io

心理定規「まあ、いいわ。もう持って来ないし」

心理定規がとんでもないことを言い出した。
まさか、ここまでファミマ信者だったとは。

垣根「冗談だ、冗談。コンビニっていったら、ファミマだよな!」

心理定規「そうじゃないし」

垣根「は?」

違うの?

心理定規「それより、あなた。かなりがっついてたけど、どんだけ飢えてたのよ?」

垣根「一週間くらい水だけの生活だった」

心理定規「はぁ?」

垣根「危うく餓死するところだったな」

心理定規「……」

垣根「未元物質(ダークマター)でも食おうかと思ってたところだ」

心理定規はさっきとは比べ物にならない程の顔をひきつらせていた。
なぜか、ドレスが少し肩からずり落ちていた。
はて、俺は何か変なことを言ったのだろうか?


垣根「何か?」

心理定規「何でもない」

垣根「けど、おかしいんだよな。誰も来ないんだ。看板まで出してるのによ。
   普通なら来るだろ。第二位の事務所だぜ」

心理定規「他は?」

垣根「あ?」

心理定規「他はどんな宣伝してるの?」

垣根「いや、特には」

心理定規「……」

垣根「だって、ほら。第二位だぜ……」

心理定規「来るはずないじゃない」

垣根「何?」

それは一体どういう意味だ。
俺は心理定規の顔を見る。
心理定規はやれやれといった表情で俺を見ていた。



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/11(金) 20:30:09.37 ID:6h6rrz7io

心理定規「もっとわかりやすい宣伝しないと駄目に決まってるじゃない」

垣根「わかりやすく?」

心理定規「そうよ」

垣根「まじでか?」

心理定規「まじよ。あなた大丈夫」

垣根「そうか。おかしいと思ったら、宣伝の仕方が駄目だったのか」

心理定規「……」

垣根「そうだよな。でなきゃあ、俺の事務所が繁盛しないわけがない」

心理定規「……」

垣根「じゃあ、さっそくHPから作って……」

心理定規「HPすら作っていなかったとは……」



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/11(金) 20:30:55.53 ID:6h6rrz7io

それから、一時間くらい心理定規と話していた。
内容はそう大したものでもなく、単なる世間話だ。

心理定規「そろそろ行くわ」

そう言って、心理定規は入り口に向かうと、ハンガーにかけてあったコートを羽織った。
時計はもうすぐ十四時に変わりそうだった。


心理定規「あなたの事務所のことは暗部の間にも、情報として流しておいてあげるわ」

垣根「まじでか!」

心理定規「感謝しなさい」

垣根「ああ」

心理定規「何か言うことは?」

心理定規は子供をからかうような笑みを浮かべた。
言うこと?
ああ、そうだな。
大切なことを言い忘れてたぜ。


垣根「できれば、仕事をもらえると嬉しいんだが」

俺の言葉に心理定規は何も言わなかった。
本当に何も言わなかった。

ん? 違ったか?
少し期待していってみたが、こいつも仕事がないんだろうか?
暗部は不景気とは無縁だと思っていたが、そうでもないのか?
俺はこの気まずい雰囲気を何とかするため、話題を変えることにした。
こういう重たい空気を読んで瞬時に方向転換する技術は、さすが俺だと思う。



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/11(金) 20:31:44.60 ID:6h6rrz7io

垣根「そうい
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    コメント一覧

      • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年10月06日 20:41
      • 垣坂?!垣坂endだと!そんなのお父さん絶対認めますよ!!!!!!!!!???????
      • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年10月06日 21:13
      • まだ読んでないけど垣根探偵事務所のパクリじゃないの?
      • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年10月06日 21:14
      • このSSはいいんだけど何で今更まとめるの
      • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年10月06日 23:36
      • まさかの垣坂
        ヒューズのクレイジー捜査日誌みたいで読んでて癖になるな

    はじめに

    コメント、はてブなどなど
    ありがとうございます(`・ω・´)

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