男「ちょっとまって」後輩「どうしましたか?」
- 1 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/05(日) 21:22:54.22 ID:40jnaLYU0
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関連作
男「ちょっとまって」幼馴染み「え?」
男「ちょっとまって」委員長「何ですか?」
毎夜、投下していきます
またよろしくおねがいします - 2 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/05(日) 21:25:03.75 ID:40jnaLYU0
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――――天文部部室
男「ここに行こうか、ここで星見よう」
後輩「……岐阜の、高山ですか」
男「これから夏に入って暑くなるからさ。ここは避暑地だし、しかも空気がいいから綺麗に星が見えるんだ」
後輩「へー、いいところじゃないですか!いいですね!」
男「それに、観光地でも有名だからな。昼とかには街に出ればいいし」
後輩「分かりました!ここに決定しましょう!」
男「え、そんな簡単に決めていいのか?」
後輩「なんでですか?」
男「後輩にも、行きたいところの候補があったんじゃないか?」
後輩「あーと、まあありましたけど、この高山の方が好きになってしまいました」
男「良かったのか?」
後輩「先輩が選ぶところならどこでも!」
- 3 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/05(日) 21:26:04.04 ID:40jnaLYU0
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――――数日後
後輩「せんぱーい!こーんにーちは!」
後輩「って、部室いない」
後輩「?珍しい、先輩が遅れるとは」
後輩「いつも私より早いからなー先輩」
後輩「たまには遅いこともあるか」
後輩「さてと……ん、メール来てる」
後輩「先輩から『今日は部活なし』ってえええぇぇ!部活なしとは!」
後輩「先輩と会えるのを楽しみにしてる私にとってなんという仕打ち」
- 4 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/05(日) 21:26:54.82 ID:40jnaLYU0
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後輩「とりあえず電話を」プルルルガチャ
後輩「もしもーし。先輩ですか?」
男『後輩、悪いな。いきなり変更になって』
後輩「それは許さないですけど、なんで変更に?」
男『許さないですけどって……。幼馴染みが風邪でさ』
後輩「幼馴染みさんが風邪、ですか」
男『ああ、だからお見舞い行くから今日はなしな』
後輩「先輩は、気をつけてくださいね」
男『大丈夫大丈夫。心配すんな』
後輩「もし先輩が移ったら絶対お見舞い行きますから!」
男『なんか後輩がくると悪化しそう』
後輩「えー、ひどい」
男『大丈夫だって、そう簡単には移らないから』
- 5 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/05(日) 21:28:26.16 ID:40jnaLYU0
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後輩「明日は絶対きてくださいよー!私先輩がいないと退屈なんで」
男『お前は退屈しのぎに俺と話してるのか』
後輩「やだなぁ、そんなはずないじゃないですか」
男『くそっ、どっちか分かんねぇ!』
後輩「で、幼馴染みさんは大丈夫なんですか?」
男『お、幼馴染みの心配してんの』
後輩「いえ、早く治して先輩と会いたいなーと」
男『全然違った』
後輩「私が敵である幼馴染みさんの心配をするわけないじゃないですかー」
男『ひどいな!お前!つか敵って!』
後輩「私の退屈しのぎを奪ったんですから」
男『やっぱ退屈しのぎじゃねぇか!』
男『あ、悪いもう着くから切るな』
後輩「はい。移らないようにしてくださいね」
男『ああ、当然。じゃあな』ガチャ
後輩「…………」
後輩「敵というより、恋敵ですかね」
- 6 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/05(日) 21:29:22.81 ID:40jnaLYU0
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――――翌日
後輩「先輩はバカですか」
男『…………悪い』ゴホッ
後輩「私があんなにあんなに心配してあげたのに……」
男『…………ごめん。てそんなに心配したっけ?』ゴホッ
後輩「大体先輩はいつも唐突で考えてないです。だからこういうことになるんです」
男『…………返す言葉はないです』ゴホッ
後輩「さて、それではお見舞い行きますね!」
男『…………断れない』ゴホッ
- 7 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/05(日) 21:30:17.42 ID:40jnaLYU0
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――――家
男(あー…………)
男(クラクラする…………)
男(これは後輩のテンションについていけないぞ…………)ゴホッ
男「今日は静かだといいんだけど…………」
ピンポーン
「せんぱーい!来ましたよー!」
男「…………来てしまったか」ゴホッ
男「…………はぁ……」ゴホッ
ガチャ
後輩「どうも!先輩!」
男「…………」
後輩「まさかの無言」
- 8 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/05(日) 21:31:11.51 ID:40jnaLYU0
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男「…………じゃ、寝るから」ゴホッ
後輩「えー、何ですかそれつまんなーい」
男「……お前は……何しにきたんだよ」ゴホッ
後輩「もちろん、お見舞いですよ。ということで、何か作りましょうか?」
男「…………料理できるのか?」ゴホッ
後輩「まー、大体のことは」
男「……本当に大丈夫……なんだろうな」ゴホッ
後輩「先輩に対して不味いものなんて作りませんて」
男「…………じ、じゃあ頼む」
後輩「おっまかせください!」
- 9 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/05(日) 21:32:19.97 ID:40jnaLYU0
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後輩「はい、先輩。簡単ですけど、お粥と、リンゴを切りました」
男「……へぇ、本当に作れるんだな」ゴホッ
後輩「もちろん。私の家でよく作ってますから」
男「…………複雑な家庭……なのか?」ゴホッ
後輩「そんな複雑じゃないですよ。ただお金持ちってだけで。」
男「……は?」ゴホッ
後輩「見たことありますかね。あの大通りの突き当たりにある家です」
男「…………えええぇぇ!」ゴホッゴホッ
後輩「ちょ、先輩そんな驚きますか。って風邪もひどくなってますし……」
男「そりゃ驚くわ!え、あれお前んちだったの!?」ゴホッゴホッ
後輩「これでもお嬢様です」
男「…………なんであの高校に?」ゴホッ
後輩「私は頭悪かったので、あの高校がちょうど良かったのと、近いからですね」
男「…………世の中は分からん」ゴホッ
- 10 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/05(日) 21:33:56.31 ID:40jnaLYU0
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後輩「そんなことより、先輩のベッドの下とかなんかないんですか?」
男「それはだめだ!お前何考えてんだ!」ゴホッゴホッ
後輩「あ、成程。つまり本棚の中と」
男「何探そうとしてんだよ!てか勝手に漁るな!」ゴホッゴホッ
後輩「まーまー、先輩は寝ててくださいよ」
男「嫌だよ!お前は何する気だよ!」ゴホッ
後輩「ん?これはこれは……アルバム?」ペラ
男「ん?……おお、懐かしいな。って勝手に読むな」ゴホッ
後輩「ぶはっ!先輩ちっさ!かわいい!」ペラ
男「小さいのは当然だろ!あと、かわいいは止めろ!反応の仕方がわからん!」ゴホッゴホッ
後輩「へー……先輩、小学生くらいから一緒に写ってるこの子は?」ペラ
男「あー、それ幼馴染み」ゴホッ
後輩「……そんな前からの知り合いでしたか」ペラ
- 11 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/05(日) 21:34:59.57 ID:40jnaLYU0
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男「あん?もっと前だぞ?物心ついたときから一緒にいた」ゴホッ
後輩「…………」ペラ
男「……な、なんでそんな真剣に見るんだ後輩」ゴホッ
後輩「……先輩の過去が分かるなぁと思って」ペラ
男「はぁ?俺の過去とかなんもないぞ?ただ普通に人生送ってきただけだしな」ゴホッ
後輩「……そうなんですか」スッ
男「え?それは普通じゃおい待て勝手に写真を抜き取るな!」ゴホッゴホッ
後輩「ふふん、これ、持っときますね」ペラペラ
男「しかもなんでよりによってプールの時の写真なんだ!もうちょっといい写真があったろ!」ゴホッゴホッ
後輩「唯一先輩が裸になってる写真ですからねこれ」ジー
男「じっくり見るな!やっぱ返せ!」ゴホッゴホッ
- 12 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/05(日) 21:36:05.73 ID:40jnaLYU0
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――――夜
後輩「では、私はこの辺でお暇させていただきます!」
男「はぁ……はぁ……早く帰れ」ゴホッゴホッ
後輩「先輩冷たすぎです」
男「マジで悪化した……だろこれ」ゴホッゴホッ
後輩「あー……少しはしゃぎましたかねー」
男「少しどころじゃねぇ……」ゴホッゴホッ
後輩「あ、そうだ。先輩にお土産を」ガサゴソ
男「先に渡せよそれ」ゴホッゴホッ
後輩「どうぞ!」スッ
男「……のど飴……」ゴホッ
後輩「あんまり咳してると喉痛めますから。少しずつ食べてください」
男「……まさか後輩がまともなものをくれるとは」ゴホッゴホッ
後輩「何ですかその言い草は。とりあえず早く良くなってくださいね。私、一人だと寂しいので」
男「ああ。……ありがとう」ゴホッ
後輩「……はい!」
- 13 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/05(日) 21:37:26.04 ID:40jnaLYU0
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――――後輩の家
ガチャ
後輩「ただいま」
使用人「おかえりなさいませ。お嬢様」
後輩「……お父様とお母様は」
使用人「出張でございます。戻るのは明後日になると」
後輩「……部屋で待ってる」
使用人「夕食の準備ができ次第お呼び致します」
- 14 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/05(日) 21:38:22.78 ID:40jnaLYU0
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――――後輩の部屋
後輩「…………」ボスッ
後輩「……ベッド、ふかふかだぁ……」
後輩「…………」
後輩「……」
後輩「…………楽しみ、だなぁ」
後輩「…………」
後輩「…………」スー
- 19 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/06(月) 21:18:45.37 ID:UYRBdpGj0
- 使用人「お嬢様」ガチャ
後輩「…………」スースー
使用人「……寝てますか?」
後輩「…………」スースー
使用人「すごい幸せそうな顔で寝てますね……」
使用人「お嬢様、夕食ができましたよ」ユサユサ
後輩「ん…………」スースー
使用人「ちぇすとっ!」ビシィッ
後輩「痛ぁいっ!え?え?何」ガバッ
使用人「やっと起きましたか、夕食のご用意が出来たので呼びにきました」
後輩「え、あ、そう。いやちょっとまって、今何やったの?」
使用人「ですから呼びにきたと」
後輩「そっちじゃない!何か首が痛いんですけど」
使用人「ああ、それはお嬢様を起こしただけですよ。それがなにか」
- 20 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/06(月) 21:19:42.52 ID:UYRBdpGj0
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後輩「いやいや!今使用人さんがっ!…………はぁ、まあいいや」
使用人「ところで、今日は何かあったのですか?」
後輩「え?何で」
使用人「先程からニヤニヤされていまして少々奇妙かと」
後輩「あー、まあちょっといい事があって……え、奇妙?」
使用人「いい事?とは」
後輩「先輩の過去を少しだけ知れた、かな」
使用人「先輩というと、男さんですね」
後輩「うん。だけど、同時に残念なこともあったからなぁ」
使用人「残念、ですか」
後輩「恋愛において一番怖いのは、『年月』だから」
- 21 : ◆QbejV3Yk9I 2014/10/06(月) 21:20:50.44 ID:UYRBd
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