男「年上ぶる彼女」
男(俺には彼女がいる)
男(一つ年上の大学生、付き合い始めてそろそろ一年が経つ)
男(告白は俺から。彼女の卒部式の帰りに告白し、『ボクでいいなら』と返事を貰った)
男(その顔は真っ赤に染まり、非常に良きものでした。はい)
男(そしてその彼女だが…)チラッ
女「大学が近いからここに居候させてくれると嬉しいな」
男「…家賃は高く付くっすよ」
女「ふふん、体で払うよ…なんてね?」
男「いらないっすそんなモン」
女「そんなもん!?」
男「…はぁ、仕方ないんでいいっすけど、自分の生活費は出して下さいよ?」
女「もちろんだよ、キミに迷惑かける訳にはいかないからね」
男「じゃあ取り敢えず帰ってもらっていいですか?」
女「既に迷惑と?」
男(…やったぜ。)
男「しかし何で夏ももうすぐ終わるような中途半端な季節に引越しを?」
女「親を説得するのに時間がかかってね」
男「あー、先輩の親御さんって厳しそうですもんね」
女「いやホント、一人暮らしくらい許してくれてもいいじゃないか、キミもそう思うだろ?」
男「…親御さんには、『俺と』生活するって説明したんすよね?」
女「ん?いや同じようなものだし、『一人で』生活するって説明したよ?」
男(これは…先方にバレたら俺の命が危ないな…めちゃくちゃ子煩悩だからな、先輩の親御さん…)
女「ん、どうした男?悩まし気な顔をして、悩みがあるなら相談に乗るよ?」
男「じゃあ別の家を探してくださいお願いします」
女「!?」
女「何だ、キミもボクの引越しに反対なのか?」
男「いや、反対ってわけじゃないっすけど…」
女「キミは喜んでくれると思ってたんだけどな…」
男「………」
女「ああ、もう頼れる相手がいなくなってしまった、これでは他の男でも探して、そこに居候させてもらうしか…」グスン
男「………」
女「あぁ…ボクはこの先どうなってしまうんだろう」
男「………」
女「………」
男「………」
女「………」チラッ
男「目潰し」ザクッ
女「痛ぁっ!?」
女「何するんだよ年上の女性に向かって!」
男「何かワザとらしかったモンで、ツッコミ待ちかなと」
女「だからって目潰しはないだろ!あとわざととかでもなく真面目な話だよ!」
男「そっすね、ところで先輩」
女「…なんだよ」
男「いつまでも玄関で立ち話も何ですし、上がってください。茶菓子もあるっすよ」
女「…うん、お邪魔します」
男「『お邪魔します』じゃなくて『ただいま』でいいすよ」
女「うん…うん?」
男「それと、今日は空き部屋の掃除を手伝ってください。使う要件が出来ちゃったので」
女「……!」パァァ
男「何すかその顔」
女「いやいや、キミも素直じゃないなぁってね」
男「…そっすね」
男「…よし、やっと一段落ついたかな」
女「男ー!これ重くて持てないー!」
男「筋トレなら手伝いますよー」
女「そうじゃなくて!コレで最後だから運ぶの手伝ってってば!」
男「はぁ…了解ですよっと」
女「ほら、そっち側持って。せーので持ち上げるよ」
男「あいさ、んじゃせー…。…『せーの』の『の』ですか?『せーのっせ』ですか?」
女「キミに合わせるよ。まぁどっちか何てわざわざ言わなくてもキミの考えてることなんて分かってるけどね」
男「はいはい。…んじゃいいすか?」
女「いつでもお任せ、だよ」
男「せーのっせ」 女「せーのっ」グラッ
女「ヤバいズレた危な重い重い重い!!」
女「お茶が入ったよ」
男「お、あざっす。…ふぃー、んでどうすか?ここで生活始めて一週間っすけど」
女「どうと言われても大した変化はないからなぁ。まぁ、家よりは肩の力を抜けて楽だよ」
男「家、嫌なんすか?」
女「嫌ってわけじゃないけどね。たまには自由気ままに羽を伸ばしたいと思うこともあるのさ」
男「羽休めが終わったら出て行ってくださいね」
女「男くんがいるから、当分はここだなぁ」
男「大学が近いからじゃなかったんすか」
女「えっ、あっいや、そう!そうだよ、大学が近いから、ね」
男「…まぁ、別になんだっていいっすけどね」
女「何ニヤけてんのさ」
男「何でもないっす。…この後買い物でも行きましょうか、必要なものもあるでしょ」
女「お、いいね。丁度欲しかったんだよ、新しい下着とか、ね」ニヤニヤ
男「胸板に布巻いてどうするんすか」
女「胸板言うな」
男「今日の晩御飯、何がいいすか?」
女「何でもいいよ」
男「そういう人に限って出されるものに『それ苦手』って言うんすよ、いいから決めてください」
女「うーん…じゃあ素麺かなぁ」
男「そんなんでいいんすか?」
女「大丈夫だよ、昔からあまり運動する方じゃないし、このスリム体型だから必要なエレルギーも少ないしね」
男「幼児体型の間違いじゃないっすか」
女「なんだと」
男「そもそも先輩は細すぎるんす。それこそ心配になるくらいに。少しくらい太ったくらいで丁度いいんす。健康が一番なんすから」
女「男…」
男「…はぁ、とにかく分かったらもっと食べてください。今夜は…唐揚げにでもしましょう」
女「あ、ごめんボクそれ苦手だわ」
男「アンタさっき何でもいいっつったろ」
女「男、荷解きしてたらこんなのが出てきたから一緒にやってあげようか」
男「やりたいならそう言えばいいんすよ?…ゲームっすか?」
女「うん、でも簡単なパーティーゲームだから初めてでも大丈夫だよ。さ、付き合ってあげよう」
男「…あざす」
女「よし、素直な子は好きだよ、ボク」
男「俺も素直な子の方が好きっすよ」
女「…男、ゲーム見つけたから一緒にやろうか、よしそうしよう」
男「先輩のそういうとこ、俺好きっすよ」ボソッ
女「…あ、ゴメン男何か言った?」
男「何も言ってないっす」
女「そうかい…よし、準備完了!やろうか」
男「あいさー。…先輩何か顔赤くないすか?」
女「ふぇっ!?いや、何でもない、何でもないよ、うん…」
男「何でもいいすけど、熱とかなら移さないようにして下さいね」
女「………」
イーシーヤァーキィーイモーヤキイモーヤキイモッ
男「石焼き芋…久々に見たっすね」
女「そうだね、石焼き芋欲しくないかい?ボクが特別に買ってあげるよ」
男「いや俺は腹減ってないですしいいっすよ」
女「気を使わなくていいって、さ、行こう」グイッ
男「ちょ、…あぁもう」
石焼き芋屋「らっしゃい、いくつだ?」
女「2つ下さい」
石「あいよ、ちょっと待ってな」
男「…2つ?」
女「キミはたくさん食べるから一つじゃ足りないだろ?まぁ多いって言うならちょっと分けてくれればそれでいいから、ね」
男「…そっすか。……そういえばお母さんも芋好きだったよね、お姉ちゃん」
女「!?」
石「お、母さんか!今家にいるのかい?」
男「ええ、『買って来ていいよ』ってお金受け取ってきました」
石「まったく仲の良い家族だ!よし、もう一個サービスしてやる!」
男「いいんですか!?ありがとうございます!」
石「いいってことよ!家族これからも仲良くな!」
男「…さて、芋三個になりましたけど、いくつ欲しいっすか?」
女「…キミ、随分と悪どいな」
男「ええ、横で物欲しそうな顔してる人がいたもので…ねぇ、『お姉ちゃん』?」
女「年上をからかうんじゃない」
男「芋いらないんすか?」
女「貰ってあげるよ、一つだけ」
男「そりゃどうも」
男「熱っあっつっ!」
女「落ち着きなよ、ガッつき過ぎだ」
男「いやまぁそうっすけど、やっぱ石焼き芋は熱いうちに食うに限るっす」
女「だからって焦って舌でも火傷したら味が分からなくなるぞ」
男「今の先輩みたいにっすか?」
女「いやこれはアレだ…うん…ヒリヒリする…」
女「そういえばこのアパート、ペットとかはダメなのかな?」
男「大家が親戚の叔母さんなんで、頼めば無理じゃないと思うっすけど…捨て猫でも拾ってきたんすか?」
女「いや、実家からペットを連れてくることは出来るのかな、と」
男「フェレットでしたっけ?」
女「そう、ほら見てくれよ、可愛いだろ?」
男「そですね、可愛いっすね」
女「ふふん、だろう?キミもこのコみたいに少しは愛嬌を見せてみたりとかしたらどうだ?」
男「可愛いっすね」
女「うん、そうなんだよ。だからキミも…
男「可愛いっすね」ジー
女「え、あ、うん…」
男「可愛いっすね」ジー
女「…うん、いやその」
男「可愛いっすね」ジー
女「ちょ、やめやめ!ストップ!ほら離れて!」
男(可愛い)
女「相変わらずキミの作る料理は美味いな」
男「こんなん誰にでも作れますよ」
女「いやいやそんなことないよ、隠し味に擦り胡麻、レモン…これはワインかな?随分と手間のかかってる料理じゃないか」
男「…なんでそこまで分かるんすか」
女「何でだろうね、昔から舌は敏感な方なんだ」
男「それは結構っすけど、俺に付き合ってジャンクフードとか食ってその自慢の舌が鈍っても知りませんよ」
女「キミが毎度手間のかかった素敵な料理を作ってくれるからそれは心配してないかな」
男「…明日からはインスタントでいいっすか」
女「さりげなく栄養バランスまで考えて料理してるキミがそんなことするとは思えないな」
男(…何でそこまで見抜かれてるんだよ)
男「たまには先輩も飯作ったらどうっすか、なんだかんだで俺、先輩の飯食ったことないっすよ」
女「作る方には自信ないからなぁ」
男「そんなんじゃ将来やってけないっすよ」
女「おや、キミが養ってくれるんじゃないのかな?」
男「…ま、先輩を拾ってあげる酔狂な奴なんてまともにいないでしょうしね」
女「いやいや、見くびってもらっては困るよ?ボクだってついこの間大学で言い寄られ
男「」バァンッ!!
女「ひっ!?」
男「…あ、すいません、蚊が、いたもんで。…それで、ソイツの名前は?」ニッゴリ
女「いや冗談!ごめん冗談だから!だから包丁しまって
コメント一覧
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- 2014年10月16日 19:53
- 年上のボクっ娘ねぇ…
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- 2014年10月16日 19:54
- 読んでないけど先輩は男君にしか見えない幻的な感じ?
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- 2014年10月16日 20:02
- ※2
読めよw
普通に好きだな、これ
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- 2014年10月16日 20:08
- いいね。こんな人いるわけないと思うけど。
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- 2014年10月16日 20:10
- ボクっ娘はない
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- 2014年10月16日 20:49
- まさに童貞の理想、いや妄想の固まりのような彼女だな
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- 2014年10月16日 21:12
- 大学生でボクっ娘とか勘弁してくれよ・・・
-
- 2014年10月16日 21:34
- ボクっ娘が許されるのは小学生まで
-
- 2014年10月16日 21:49
- ボクっ娘より主人公の語りが受け付けなかった
-
- 2014年10月16日 21:53
- うらやま
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