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上条「恋人って具体的に何すんだ?」 五和「さ、さぁ...」|エレファント速報:SSまとめブログ

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上条「恋人って具体的に何すんだ?」 五和「さ、さぁ...」

169 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/06/12(土) 20:39:29.09 ID:i6QRlDco

今日誰も書かなかったらこのスレ無くなっちゃうのかな?

だったら>1じゃないけどここ再利用してもいいなら俺が書きます。



170 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/06/12(土) 20:51:03.88 ID:i6QRlDco

―――――



少女は扉の前で静謐な朝の冷たい空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
今より少女の一世一代の、戦いが始まるのだ。


(大丈夫。策は練りました。みんなも後押ししてくれます。だから…)


ドアノブに手をかけて、肩に下げた大きな旅行鞄の重みを確かめる。
武器良し、服良し、下着良し、化粧品良し、生活用品良し、食材良し

心の準備、良し。

自分は忘れ物を取りに来た。
そして、決着を着けに来た。
次にここを出るときは、一つの恋の結末が見えた時。。
覚悟を決めて少女はドアノブを恐る恐ると回すのだった。


大きな、とても大きな

たった一人きりの戦いが始まる



―――――



173 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/06/12(土) 20:55:19.13 ID:i6QRlDco


黒髪のツンツン頭が特徴的なごく普通の高校生、上条当麻は気だるいまどろみの中で朝の訪れを感じていた。
体のそこかしこがキシキシと悲鳴をあげているのは何も運動不足だからとか、虚弱体質だからとかそういうわけではない。
連日のように訪れるトラブルによってダメージが体に蓄積しているのだ。
ここ1ヶ月かそこらでの上条の戦いはそれはそれは凄まじいものだった。
事の発端は九月三十日。
ローマ正教の暗部『神の右席』より『前方のヴェント』が上条を殺すべくここ学園都市に襲来した。
それを紆余曲折ありながらも退けたが、その戦いの舌の根も乾かぬうちに今度は突然超音速旅客機に乗せられ、
フランスの上空でポイ捨てされて同じく『神の右席』、『左方のテッラ』との戦いに突入したのだ。
こちらもまた色々と大変な目に合いながらどうにか生き長らえ、ようやく愛しい我が家に帰ってこれたと思ったら今度は
『後方のアックア』が単身乗り込んできた。
これを乗り越えたのがほんの1週間ほど前のことだ。
他にも大覇星祭で巨乳の刺客と戦ったり、イタリアで氷の船に乗り込んだりもした。
先ほど事の発端と申し上げたが、元を正せばそもそもどこが始まりだったのかは今はもう分からない。

おまけに日常生活においてはビリビリ中学生に追い回され、居候には噛み付かれるという隙の無い毎日。
人間が一生のうちに出会うトラブルの数を遥かに超えるスリリング過ぎる日々に、上条の体はいよいよ限界を迎えようとしていた。
まあそれほど深刻なことでも無いのだが、少なくとも筋肉痛と生傷の数は日に日に増え続け、こうして朝の時間くらいは
ゆっくりしないと本当に過労で倒れてしまうのではないかというくらいには疲労を感じていたのだった。


「うーん…清々しい朝だ」


そんな気持ちを吹き飛ばすように、上条は無理に呟き眩しい朝の日差しと共に今日も爽やかな目覚めを堪能するはずだった。
いつもの狭っ苦しいユニットバスのバスタブ内に敷かれた布団では、朝の日差しどころか爽やかさすら感じることは微塵も無いのだが、
せめて気分だけでも盛り上げなくてはとまどろむ意識を半ば無理矢理に覚醒させるように両手を勢いよく天井に向けて突き出す。
指を開き、掌を天井の向こう側にあるお天道様に向けて伸ばして「さあ、今日も俺は不幸でも頑張るんだぜ」と空元気を振り絞るかの如く空を切るはずだった。
なのに、


もにゅっ


「ひゃっ!」



174 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/06/12(土) 20:58:33.49 ID:i6QRlDco

そう。そのはずだった。
妙に柔らかい感触が左の掌に伝わる。同時に聴こえる少女の黄色いさえずる様な声。
一羽のスズメが朝をお知らせに迷い込んできてしまったのかなウフフと現実から逃げたくなってしまったが、
時既に遅いことは今までの経験上からよーく分かっている。
つまるところどういうことかと言うと。
朝一発。
トラブルがやってきたのである。
だがしかしまだ目蓋を開くわけにはいかない。
今なら寝ぼけたことにしてしまえるからだ。
自分が何者かの胸を、乳房を、おっぱいを、掌で押し上げてしまったことは明白。
おまけにその感触は未だ左掌に健在、というより胸に密着したまま離すことができない。


「あ…あの…」


なかなかのボリューム感。
毎日目にしている居候やビリビリ中学生には逆立ちしても届くことはないその戦闘力は一体誰のものだろうか。
繰り返し言うが当然我が家の居候がこんな兵器を持っているわけがない。
まず頭に思い浮かんだのはクラスメイトの吹寄制理だ。
デコを出した髪形が特徴的な、規格統制されたかのようにビッチリと制服を着こなす鉄の女だが、
彼女の胸は統率された肉体に反するわがままさを以って迫り上がっている。その肉感的な肢体を思い出して上条はゴクリと唾を飲み込んだ。
だが彼女がこんなところにいるはずはない。
となれば次に思い浮かぶのはイギリス清教第零聖堂区『必要悪の教会(ネセサリウス)』に所属し、
同時に『天草式十字凄教』の『女教皇(プリエステス)』でもある魔術師、神裂火織ではないか。
長い黒髪が美しい、それでいてへそ出しにジーンズの片側をぶった切ったエキセントリックな服装の女性で、その胸は先述の吹寄に勝る破壊力を有していた。
だがそのセンも薄い。
何故ならば、もし彼女が神裂だったのなら未だ左手の掌で胸の感触を堪能していられるはずがないからである。
仮に彼女の胸に触れようものなら、今頃腕は七本のワイヤーによって細切れに切断されて風呂場が一瞬でスプラッタ映画の
ワンシーンのような有様になり、自分はその光景を見ることすらなく血の海で溺死していることだろうことは想像に難くない。


「んっ…さ、さすがにそろそろ離してもらえたら…なんて…」



175 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/06/12(土) 21:00:43.14 ID:i6QRlDco

となれば、元ローマ正教のシスターで、現在はイギリス清教に身をおくオルソラ=アクィナスかもしれない。
いやいや、意外なセンで言えば風斬氷華。超大穴でオリアナ=トムソンや御坂美鈴という可能性も無きにしも非ず。
世界は巨乳に溢れている。
上条はたっぷり1分以上はその感触を楽しんで、寝ぼけたフリをしたままそろそろと左掌を相手の胸部から離して下ろしていく。


「えっと…朝、ですけど。そろそろ起きませんか?学校に遅刻しちゃいますよー…」


恐る恐ると言った様子で声をかけてくる。
どうやらバスタブの横に膝立ちになってこちらを覗き込んでいるようだ。
彼女が身を乗り出したところを丁度掌で突き上げてしまったのだろう。
と、そこで上条は「ん?」と思わず呟いてしまった。
この清涼感溢れる透き通るような声に、聞き覚えがあったのだ。


「……え?」


ゆっくりと、まるで「今起きましたよー」と相手に伝えようとするかのように。
上条は薄く目蓋を開いてその向こうにいる人物の姿を確認した。


「お、おはようございます」


頬を赤らめ、少し恥ずかしそうにそう告げた少女。
年の頃は上条と同年代くらい。
肩口まである黒髪と、パッチリクッキリの二重まぶたが特徴的な彼女。
何よりも意外と大きなその胸が完全に上条の記憶から抜け落ちていたことを気付かされた。


「お、おはようござ…え?いや…なんでお前が…え?」

「お、落ち着いてください」

「だってお前、五和…だよな?」



177 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/06/12(土) 21:04:20.66 ID:i6QRlDco

そう。
『天草式十字凄教』の少女、五和がそこにいた。
掛け布団を跳ね除けてガバリと起き上がる上条。
体を起こすとすぐ目の前に彼女の顔があり、仄かに漂う女の子のいい匂いに反射的にぷいっと顔を背けてしまう。
向こうも気恥ずかしいのか、こちらと同じように口元を結んで胸元に手を当てて俯いていた。


「あの…お久しぶりです」


上目遣いでペコリを頭を下げる五和。
お久しぶりと言っても、実は最後に会ってからそんなに経っていなかったりもする。
アビニョンで『左方のテッラ』と戦う際や、先日『後方のアックア』と学園都市内で死闘を繰り広げた時に
協力して戦ったことはまだ記憶に新しい。
上条もつられるように頭を下げたところで、「いやそうじゃなくて」と慌てて首を振る。


「ってか、なんでここにいるの?」


当然の疑問である。
しかしその問いに五和は少し困ったような表情になった。
もしかしてまた魔術師が攻めてくるとかそういったことなのだろうか。


「えっと、実はまたあなたの命を狙う『神の右席』がいてですね…」


やはりそうかと上条は険しい表情になる。
しかし五和の表情はどこかふわふわと宙を漂っているというか、いまいち要領を得ない。
明後日の方向をキョロキョロしながら、まるで思い出しつつ喋っているように見えた。


「今度はどんな相手なんだ!っと、狙いが俺なら今回もインデックスに聞かれないほうがいいよな。
 で、どうなんだ五和?」

「わひゃっ!」




178 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/06/12(土) 21:07:06.00 ID:i6QRlDco

声を潜め、口元に手をあてリビングで朝のお祈りでもしているであろうインデックスを思い浮かべる。
顔を近づけると妙な声をあげて五和はあわあわと顔を真っ赤にさせているが、何かあったのだろうか。


「あの…か、下方の…」

「下方?そうか、前、左、後と来たら次は右かと思ってたけど、下なんだな。ってことは上もいるよな」

「その…『下方のヤミテタ』という」


口に出すのも恐ろしい相手なのだろうか、ボソボソと何故か恥ずかしそうに話す五和をなだめるように、
上条は真っ直ぐに彼女を見つめながら頷いた。


「『下方のヤミテタ』…初めて出てくる名前だけど、悪そうな奴だな。
 名前からいくと闇属性って感じだ…。で、そいつはまた俺を狙うって言ってきたのか?」


息を呑む上条。
『神の右席』はどいつもこいつも強力な能力を持つ魔術師だ。
その新しい刺客が来るとなれば、寝ぼけている暇もない。
久しぶりの強敵の出現に、今から緊張してくる上条だった。


「いやその…いえ、そういう情報があったりなかったりで…あの、来るか分からないんですけど、念のため私が護衛ということで来たんです」


つまり『後方のアックア』の時と同じという訳だ。もっとも、今回は相手が来るのか来ないのか分からないということらしい。
恐らくなんとか掴んだ極秘情報に保険をかけて彼女が派遣されてきたといったところだろう。
これは長期戦になるかもしれないなと上条は意気込む。
ところで先ほどからやけに言い淀む五和だが、胸を揉んでしまったことを気にしているのだろうか。
しかし今更ぶり返すのも恥ずかしいので、「申し訳ございません五和さん。いいおっぱいでした」と心の中で謝り倒しておくことにしておく。


「悪いな五和、手間かけちまって。今度こそお前に心配かけるようなことは無いようにするからな!」

「い、いえいえ! 私が来たからにはもう大丈夫です! 私こそあなたを守ります!
 そんなことより朝ごはんができてますから食べませんか? 今日学校ですよね?」

「なん…だと…?」



179 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/06/12(土) 21:12:07.46 ID:i6QRlDco

今度は元気一杯でそう言う五和。
だが上条が驚いたのはそんなことではない。
素晴らしきは起きたときに朝ごはんが出来ているというこの一点に尽きる。
こんなこと、今まであったろうか。



前回の時もそうだが、五和がいてくれると家事の分担ができるので物凄く助かる。
感涙で前が見えない上条は、五和が持ってきてくれた制服(なんとシャツにアイロンがあててあり、埃も取ってある)
に着替え、ワックスで髪を整えて風呂場から出る。
そこではピンクのふわふわのトレーナーとジーンズ姿の上にエプロンを着けた五和が、
お盆に三人分の朝食を乗せていそいそとキッチンとテーブルを往復していているところだった。


「あ、おはよーとうま。起きるのが遅いんだよ」


そう言って元気よく声をあげたのは我が家の居候。
真っ白い修道服に身を包んだ銀髪のシスター、インデックスだ。
中学生くらいの小柄な体に愛猫スフィンクスを抱きしめて、朝の少女向け魔女っ娘アニメを眺めているようだった。


「インデックスお前なー。ちょっとは五和を手伝うとか出来ないんですか?」


そうぼやきながら、五和が持ってきた味噌汁のお椀をテーブルの上に並べていく上条。
言われたインデックスは頬を膨らませてジロリと上条に抗議の