西住みほ「誰か私をペットにしませんかー?」武部沙織「みぽりん!?」
大洗学園艦 日曜日
沙織「みてみて、華。私たちのポスターが貼ってあるよ」
華「本当ですねぇ。戦車道全国大会優勝と書かれていますね」
沙織「もーやだー。町中にポスターなんて貼られたら私のファンが増えちゃうぅ」
華「ファンなんていたんですか?」
沙織「これから増えるかもしれないでしょ。というか、明らかに男の人に声をかけられるようになったもん」
華「それはよく利用するお店の人でしょう?」
沙織「声をかけられるのは本当だもん!」
華「まぁ、有名になってしまったのは否定できませんね」
沙織「私でこうなんだからみぽりんなんてもっと――」
みほ「この辺りでいいかな」
沙織「あれ、みぽりんだ」
華「何をするつもりなのでしょうか」
みほ「だ、誰か私をペットにしませんかー?」
沙織「みぽりん!?」
みほ「あ、沙織さん……!」
沙織「なにしてるの!? なにいってるの!? どうしちゃったの、みぽりん!?」
みほ「……なんでもないから、気にしないで」
沙織「無理ある! 無理あるから!!」
華「あのみほさんが人の往来でこんなことをしていること事態、異常ですよね」
みほ「華さんまで……」
沙織「何があったの!? ほら、まずは相談して!!」
みほ「でも……これは私の問題だし……」
沙織「みぽりんの問題は私たちの問題!!」
みほ「そんな、沙織さんに迷惑はかけられないよ」
沙織「こんなことされるほうが迷惑だよ!!!」
みほ「そ、そうなの?」
沙織「心配になるじゃん!! 色々と!!」
みほ「ありがとう、沙織さん……」
沙織「で、何があったの? 何かの罰ゲーム?」
みほ「こんなこと友達にいうことじゃないから、ずっと黙ってはいたんだけど……」
華「なんでしょうか?」
みほ「私、今月いっぱいで今の家を出なくちゃいけなくて」
沙織「なんで?」
みほ「家賃、払えなくなって……」
沙織「お金、ないの?」
みほ「う、うん。アルバイトも2ヶ月ほど前から始めたんだけど、1ヶ月のお給料だと学費を払うだけで精一杯……」
沙織「えぇぇ……」
華「食事はどうされているのですか?」
みほ「食事は、幸い戦車道の成績がよくて受講特典の食堂の食券100枚が貰えたから、それでなんとか」
沙織「み、みぽりん……いつからそんなことに……」
みほ「丁度、プラウダ戦が終わったときから、振込みがストップしちゃって」
華「ご実家のほうでなにかあったのですか?」
みほ「私、お母さんに勘当されたみたいで……多分、その所為……」
沙織「か、勘当?」
みほ「うん。私、戦車道を止めるっていう条件で大洗に来たのに、こっちでも戦車道を続けてることがお母さんに知られちゃったみたいなの」
華「それでお母様の逆鱗に触れてしまったと」
みほ「そうじゃないかな。連絡とってないから、分からないけど」
沙織「生活費はまだしも、学費まで払わないといけないって酷いよ」
みほ「私が悪いから」
沙織「みぽりんは悪くないってぇ」
みほ「そ、そうかなぁ」
華「それは分かりましたが、どうしてペットにしないかと呼びかけていたのですか?」
みほ「最初はルームシェアしてくれる人を探そうと思ったんだけど、どう声をかけていいかわからなくて……。いきなり私と住んでくださいって言っても誰も聞き入れてくれないだろうから……」
沙織「それでペットにしてくださいってこと? それ危ないってぇ。変な人が声をかけてきたらどうすわけ?」
みほ「ちゃんと女性限定でってこのプラカードにも書いてあるから、多分大丈夫」
沙織「大丈夫じゃない!! 補導されちゃうから!!」
みほ「補導!?」
華「それに学校に知られたらかなりの問題になりそうです」
みほ「そうなの!?」
沙織「いつからこんなことしてたの?」
みほ「昨日からだけど……。問題になってるのかなぁ……」
華「昨日は誰かに声をかけられましたか?」
みほ「ううん。私の前を数人通り過ぎただけ」
華「それならまだ大事にはなっていなさそうですが」
沙織「1日だけならちょっとふざけてみたって言えるから、いっか」
みほ「……ごめんね」
沙織「まぁ、そういう事情があるなら、とりあえず私の家に来る?」
みほ「私を飼ってくれるの?」
沙織「飼わない!! 一緒には住むけど!!」
みほ「やっぱり、ダメ。沙織さんの気持ちはとっても嬉しいけど、友達の家に住むなんて……」
沙織「でも、どうしようもないじゃん。うちにおいでよぉ」
華「ここは好意に甘えるほうがいいのではないですか? せめて現状が落ち着くまでぐらいは」
みほ「……沙織さん、新しい家が見つかるまでお願いしますっ」
沙織「よし、決定! まずは荷物とかも運ばなきゃいけないかぁ。やることいっぱいありそうだし、今からやっちゃおうか。善は急げっていうし」
西住宅
華「荷造りは殆ど終わっているんですね」
みほ「うん。出て行くことは決まってたから」
華「では、あとは運び出すだけですね」
沙織「ここから私の家までは結構あるし、これを運ぶのはきついよね」
華「そうですわ。わたくしにいい考えがあります」
沙織「どうするの?」
華「少し待っていてください。連絡してみます」
沙織「大丈夫かなぁ」
みほ「あの、沙織さん」
沙織「なに?」
みほ「ここにある荷物なんだけど、やっぱり多いよね? 半分ぐらいにしたほうがいいかな?」
沙織「いや、みぽりんの荷物あまりないじゃん。ぬいぐるみが多少嵩張ってるぐらいでさ」
みほ「バイバイ、ボコ……」
沙織「いや!! 捨てなくていいって!! それも私の部屋にならべようよ!!」
みほ「でも、沙織さんの部屋を圧迫するようなことになったら大変だし」
沙織「これぐらいで窮屈にはならない。気にしすぎだよ、みぽりん」
みほ「沙織さん……」
沙織「さて、華が戻ってくる前に、荷造り完璧に終わらそっか。ダンボールはしっかりガムテープで閉じておかないとね」
みほ「うんっ」
沙織「そういえばこういう場合、やっぱり学校とかには届けておかないとダメだよね。住所変更なんかもしないといけないし。それはまぁ、すぐにしなくてもいいだろうけど」
みほ「うん……」
沙織「あ、ネットとかは解約済んだ? あれって結構面倒なんだよねぇ」
みほ「……」
沙織「あとなにかあったかなぁ。コンタクトレンズの煮沸消毒器がコンセントに刺さりっぱなしになってるとか……って、みぽりんには関係ないか……」
みほ「沙織さんっ!!」ギュッ
沙織「な、なになに?」
みほ「沙織さんがいてくれて……よかった……」
沙織「大袈裟なんだからぁ」
みほ「沙織さん……」
華「連絡ができましたよ――」
沙織「あ、華。どこに連絡してたの?」
みほ「……」ギュゥゥ
華「……あの、お二人になにがあったのですか?」
沙織「え? ああ、みぽりん、離れて」
みほ「ご、ごめん! か、感動しちゃって!!」
沙織「うんうん。勘当されたのはわかったから」
みほ「そっちのかんどうじゃないんだけど……」
沙織「で、華。どこに連絡したの?」
華「勿論、優花里さんと麻子さんにです」
沙織「ゆかりんと麻子に話しちゃったの!?」
華「詳しいことは喋っていません。ただ、運んで欲しい荷物があるとだけ伝えました」
沙織「それならいいけど。みぽりんのことはなるべく黙ってようね」
華「勿論です」
みほ「ありがとう、沙織さん、華さん……本当に……」
華「荷造りはこれでいいですね」
みほ「うん。入れ忘れもないし……」
沙織「キッチンの掃除、おわったよー」
みほ「えぇ!? いつのまに!?」
沙織「といっても、あんまり汚れてなかったけどね。みぽりんが綺麗に使ってたから楽だったよ」
みほ「綺麗に使っていたからというより、半年も使ってなかったからじゃないかな……」
沙織「あ……うん……。いやいや!! みぽりんの使い方がよかったんだって!! 絶対!!」
華「そうですよ。みほさんのお部屋はいつも片付いていましたから」
沙織「そうそう。常に整理整頓が出来てたから」
みほ「沙織さんの家ではもっと気をつけるようにするね」
沙織「だからぁ」
ピンポーン
みほ「だ、誰だろう……大家さんかな……」
沙織「なんで大家さんに怯えてるの?」
みほ「退去手続きに不備があったのかも……」
沙織「そんなことないって……とはいえないか……みぽりんだし……」
みほ「うぅ……」
華「きっと優花里さんと麻子さんですよ。わたくしが出てもいいですか?」
みほ「う、うん」
ピンポーン
華「はぁーい、今あけますわー」ガチャ
優花里「どうも!! 秋山優花里、ただいま参上いたしました!!」
麻子「こんにちは」
華「やっぱり。みほさん、優花里さんと麻子さんが来てくれましたよ」
みほ「あ、優花里さん、麻子さん。折角のお休みにごめんね」
優花里「いえ!! それで、何を運べばいいんですか?」
沙織「このダンボールなんだけど、いける?」
優花里「任せてください。これを武部殿の家まで運べばいいんですね?」
沙織「そうだけど。どうやって運ぶの?」
麻子「戦車で運ぶ」
Ⅳ号戦車内
優花里「では、パンツァー・フォー!!」
麻子「ほいっ」
沙織「まさか、戦車でくるなんて……」
みほ「大丈夫なの? 勝手に動かしたら怒られるんじゃあ……」
優花里「心配はいりません。ちゃんと会長殿の許可ももらいましたから」
麻子「電話一本で許可してくれた」
沙織「会長らしいけど……私物みたいに扱っていいものじゃない気もするけどなぁ……」
優花里「それはそうと、結構な大荷物ですよね。何が入っているんですか?」
みほ「え? あ、えと、色々」
麻子「まるで引越しだな」
みほ「うっ……」
優花里「引越し? 武部殿にご自宅にですか?」
沙織「いや、違う違う。ちょっと預かってほしいものがあるってみぽりんがいうから、一時的に私の部屋に置いておこうってことになっただけだって」
麻子「ふぅん」
武部宅
優花里「よいしょっと。これはここでいいですか?」
みほ「うん。ありがとう、優花里さん」
優花里「お安いご用です」
麻子「では、戦車を返してくる」
沙織「うん、お願いねー」
優花里「私
コメント一覧
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- 2014年10月21日 22:19
- 言い値で飼います
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- 2014年10月21日 22:29
- クズすぎる
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- 2014年10月21日 22:30
- 西住殿を飼うと秋山殿もセットでついてきますよね?
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- 2014年10月21日 22:30
- 華さんはヤバい
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- 2014年10月21日 23:27
- 西住家の母ちゃんは酷いな
連絡もなしにいきなり仕送り拒否るとかクズ過ぎる
しかもその理由が自分の娘に面子潰されたとか器が小さいにも限度があるで!
あ、みぽりんはうちで預かりますから
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- 2014年10月22日 00:03
- 軍神の頭と手腕が飯代と宿代だけで借りれるとは‼︎
さあ、私を勝利へと導いてくれ給え‼︎
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