裸少女「もっと、私を『殴打』してぇ……」
- 2014年10月25日 22:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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私のむき出しの腹部に岩のように固い拳が何度もめりこんでいく。
私の口からは異様な味がする胃液が吐き出され、両目からは涙が止めどなく溢れる。
さらに目の前の男は年頃の少女である私の顔に、容赦なく拳を振りぬく。
「げぶぇっ!」
私の頬がパンパンに腫れ上がり、口から血の混じった唾液とともに、
折れた奥歯が吐き出される。
「ぐ……うえぇ……」
全身を殴打されアザだらけになった私は、もはや立っているのもやっとだった。
だがこの状況に私は――
「え……えへへへへぇ……」
この絶望的な状況に私は心から歓喜していた。
「も、もっと……」
「もっと、私を『殴打』してぇ……」
数週間前。
領主の娘である私は、自宅である屋敷の自室で本を読んでいた。
「□□お嬢様」
屋敷で働いているメイドの一人がノックのあとに部屋に入ってくる。
彼女はティーセットが乗ったワゴンを部屋に運び入れた。
「お茶をお持ちしました」
「ええ、ありがとう」
メイドがテーブルに置いたティーカップに紅茶を注いでくれる。
彼女がしてくれるのはそれだけではない。
ベッドメイクから料理、掃除や洗濯などはメイドたちが全てやってくれる。
私も挑戦したことがあるが、彼女たちの腕には遠く及ばなかった。
「お嬢様は私たちに指示をしてくれればよいのです。
私たちはあなたにお仕えしているのですから」
……お仕えか。
そう、私は貴族。領主の娘。
私は彼女たちに奉仕される立場。
人の上に立つ立場。
――たとえ彼女たちに暴力を振るったとしても、彼女たちは逆らえない。
そう、そうなのだ。
領主である私の父は、領民に重税という暴力を振るっている。
それを知ったのは数か月前のことであったが、私はそれについて特に罪悪感を感じなかった。
領民が不満を爆発させて暴動を起こすのは自由だし、今の状況に甘んじて何もしないのも、
彼ら自身の選択だと思ったからだ。
だが、今の私は領民に大きな不満を感じている。
私は読んでいた本に意識を戻す。
そこには、体中を何度も殴打された上に土下座を強制された女が、
必死に許しを請う様子が文章で描写されていた。
私は最近、この手の描写がある本を片っ端から集めている。
そのきっかけは父の行いを知った少し後のことだった。
父に不満を持ちながら何も行動を起こさない領民はどんなものなのだろうかと、
こっそり屋敷を抜け出して様子を見に行ったのだ。
屋敷を離れてしばらくは賑わった通りが続いていたが、
少し離れた所にいた領民は皆、想像以上に質素な生活をしていた。
見た所、今日の食い扶持すら危うい者もいるようだ。
しかし、彼らは人を出し抜いてでも這い上がることをしなかった、
あるいは出し抜かれた。
おそらくその二通りなのだろう。
そのころの私は領主の娘らしく、奪って当然、与えられて当然という考え方しかなかった。
――だが、その私の思考がものの見事に変わる出来事はこの後起こる。
「おい姉ちゃん、金を貸してくれ。いやだとは言わせねえ」
私の身なりを見て、金を持っていそうだと思ったのか男はいきなり金をせびって来た。
失敗だった。こんな清潔な服を着ていたらこの通りの者でないことはまるわかりだ。
男は見るからにみすぼらしく痩せてはいたが、私よりは力が強いだろう。
どうしていいかわからないまま立ちすくんでいると、男が行動を起こした。
「金を出せって言ってるだろ! 早くしろ!」
「ひっ!」
生まれてから他人に怒鳴られるということが無かった私は、
その大声に震え上がって涙目になってしまった。
だが、その直後。
「早く出せ、このノロマがぁ!」
男の右拳が私の顔に振りぬかれた。
「あぶぅっ!」
その一発で私はいとも簡単に倒れてしまう。
殴られた痛みよりも殴られたという事実にパニックになってしまった。
「あ……ひい……」
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
素直にお金を出して許してもらえるだろうか。
それとも為す術なく殺されてしまうのだろうか。
――え? 『許してもらう』?
今、私は――
「お嬢様!」
その声に気づくと、私を殴った男はいつの間にか取り押さえられていた。
取り押さえているのは、屋敷に使える騎士の一人だ。
もう一人の騎士が私を保護する。
どうやら、私をこっそり尾行していたらしい。
「申し訳ありません、本来ならあのような者に関わる前に助けに入るべきでした」
「え、いや……いいわよ、気にしないで……」
「ですがお嬢様が怪我を……」
「いいのよ……うん、これでいいわ……」
「お嬢様?」
不思議に思う騎士たちと共に、私は屋敷に帰った。
その後、自室であの出来事を振り返る。
私はあの時、為す術もなく殴られた。
反撃をすることなど思いつきもせず、どうしたら許してもらえるかを考えてしまった。
――そう、私は『許してもらえるか』を考えたのだ。
だが私は、目の前の男に許してもらう、つまり自分を男より下に位置づけたのだ。
私はいとも簡単に暴力に屈し、自分を奪われる側の存在だと無意識に考えてしまった。
そうだ、これが私の本性なのだ。
今までの奪う側の思考、人の上に位置する側の思考は私の周りの環境によって、
後天的に構築されたものに過ぎない。
事実、領主の娘でない私は一人で他者から何かを奪うことなど出来なかった。
領主の娘という仮面を剥がされた私は、他者からの暴力に屈し、
一方的に奪われる側の存在だった。
そして私は、そのことを無意識に自覚していた。
これが私なのだ。私は殴られ、一方的に奪われ、
さらにそれを許容する――
――いや、むしろそれを喜ぶ存在だった。
その証拠に、私はあの男に反撃することなど思いもしなかった。
奪う側のプライドなど私には無く、むしろ奪われる側として、
相手に媚びへつらうことしか考えていなかった。
そうだったんだ、私は奪われる側だったんだ。
人の下に立つ存在なんだ。
その状況を自分に当てはめる日々を送った。
本を読めば読むほど、私の奪われる側としての思考はより強固なものとなり、
こうして領主の娘として存在すること自体がとても罪深いもののように考えていた。
そのことを、どうしたら相手に許してもらえるか。
いや、どうすれば相手に許してもらえるかより、どうしたら相手に喜んでもらえるか、
自分がどんなに無様な姿を晒せば相手に喜んでもらえるかを考えるようになった。
もはや私は、相手の前に這いつくばり無様な姿を晒すことで相手を喜ばすことが、
自分の望みであることを完全に自覚した。
今まで偉そうにふんぞり返っていた私に対し、
領民は唾を吐きかけ、頭を踏みつけ、容赦なく蹴り飛ばす。
それを想像すると、とても安心するというか、喜びが体を駆け巡る。
自分が嘲笑の対象になっている。奪われる側として役に立っている。
それが、たまらなく嬉しい。
しかし、それが実現する可能性は今のところかなり低かった。
領民は父に対して暴動を起こす気配すら見せず、
私の生活はひどく穏やかなものだった。
だからこそ、私の不満は増していった。
なぜ、領民は早く私へ自らの不満をぶつけないのか。
領主の娘を蹂躙して、富を奪いとろうとしないのか。
というか、なぜ早く私の頭を踏みつけてくれないのか。
そんな考えがグルグルと回る日々を送った。
父が首都で会議があるため、何日か屋敷を空けることになったのだ。
今、屋敷には私と私に近い使用人と騎士が何人かいるだけになった。
それを見計らって、私は独断で領民にお触れを出した。
『指定の日に、領主の娘である□□と領民の代表が決闘を行い、
領民が勝った場合は□□が領主に税の軽減を進言することを約束する』
――という内容だった。
町の掲示板にあるお触れの内容を領民たちが見る。
「□□様って、別に軍人でもなんでもない普通の女の子だろ?
決闘なんてできるのかよ?」
「そもそも、□□様に何のメリットがあるんだこれ?」
「決闘って言っても、ゲームか何かだろ? 貴族のお遊びさ」
さまざまな憶測が飛び交っていたが、私の意図を察した者はいないようだ。
まあ、それでもいい。当日に私の本性を知ってもらえばいい。
――思い切り無様な姿を見せて差し上げます。
当日。
町の広場に多くの領民が集まった。
その中心に、代表に選ばれた××という男が皆からの声援を受けている。
××は見るからに屈強な体格で、領主への不満がかなり強いと評判の男だった。
最高の人選だ。決闘という言葉でとりあえず屈強な男が選ばれたようだが、
それに心から感謝したい気分だ。
私は広場にある檀上に上がり、挨拶をした。
「皆様、本日はお集まりいただいてありがとうございます。
これから行う『決闘』に私、□□が負けた場合、
私が領主に直訴することを約束します」
正直、半信半疑であったのだろう。
私の宣言を聞いた領民たちが歓喜の声を上げ、
××への声援が高まる。
しかし、彼らも疑問に思うことがあったようだ。
「なあ、□□様はなんであんな格好をしているんだ?」
今の私は体をすっぽり覆うマントを着ていた。
まあ、確かに関係はあるが、これから行われることを決闘と呼べるかどうか。
「それでは『決闘』の内容を説明します。
これから私と代表である××殿が戦い、相手に「まいった」と言わせたほうが勝ちです。
戦いの内容は……素手での殴り合いです」
領民たちがざわめく。
それはそうだ。別に戦いの経験のないただの女である私と、
屈強な体格をした××が殴り合いをしたら、どちらが勝つかは明白だろう。
「……それと、今まで皆様を苦しめてしまったお詫びとして、
私にはハンデを課すことにします」
私の横に使用人が立つ。
「本当に……よろしいのですね?」
使用人が私に確認をとるが、今更引き下がる気は微塵も無かった。
そして、私のマントが一気に剥ぎ取られる。
領民たち、そして××も驚愕に目を見開いた。
私は全裸の上に、両腕を後ろで縛られていたからだ。
それだけで私の心は高鳴った。
正直、私はある程度プロポーションに自信があった。
おっぱいはFカップはあろう大きさだし、腰からお尻にかけての曲線も自信がある。
だが、恋人がいない私にはそれを披露する相手がいなかった。
その裸体が今、大勢の領民の前に晒されている。
「はぁん……」
乳首が立っていくのがわかる。
体が熱くなっていくのがわかる。
正直、死ぬほど恥ずかしいが、同時にかつてない気持ちよさを感じていた。
コメント一覧
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- 2014年10月25日 22:41
- なんかここからが本番だろってとこで終わってしまったな…
でも地の文読みやすかったしエロかったしよかったよ
文体が固い割におっぱいとかおま○ことかってフレーズが頻出して違和感もあったけど
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- 2014年10月25日 22:44
- てっきりサンドバックとボクサーのSSだと思って開いたのはきっと俺だけだな…
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- 2014年10月25日 22:47
- かわいい(直球)
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- 2014年10月25日 23:47
- てっきり「もっと僕を笑顔にしてよ!」って言うのかと思った。
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痛がって嫌がって恐怖して絶望するからこそリョナは輝くんだ