「切り裂きジャック」の正体解明はまだ早かった
この時間はなんだったのか。
先月イギリスのデイリー・メール紙は、126年の時を経てついに切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の正体が突き止めたと報じました。切り裂きジャックの残したDNAから犯人特定にたどり着いたとされていましたが、実はとんでもない冤罪だったとのことのです。英インディペンデント紙の報道では、捜査を担当した科学者が、数の数え間違いなどを含むいくつものミスを犯していたとのことです。
DNAは被害者の1人が持っていたショールから得られたもので、それによると23歳のポーランド人の床屋アーロン・コスミンスキーさんが切り裂きジャックであったのではないかと、容疑者の1人として疑惑がもたれました。ショールを保有していたビジネスマンRussell Edwardsさんと、科学捜査官Jari Louhelainenさんは、コスミンスキーさんの子孫の1人に、とてもレアなDNA形状を発見したことから、彼を犯人に仕立て上げたようです。
ところがどっこい、このDNA形状はレアでもなんでもなかったのです。インディペンデント紙によれば、DNA指紋検査法の父と呼ばれるAlec Jeffreys教授を含む複数の遺伝学専門家に話を聞いた結果、捜査に基本的なミスがあったことを指摘しました(なおはじめにミスに気付いたのは、casebook.orgの犯罪スレッドのメンバーのようです)。まずLouhelainenさんは314.1Cと呼ばれるDNA変異を発見したと報告していましたが、法医学の標準的な命名法にのっとると、実はその変異は315.1Cと呼ばれるもので、全くもってありふれたもので、ヨーロッパ人の99%が持つ変異なのです。この割合なら、当時のヨーロッパ人のほぼ全員が切り裂きジャックであったということになってしまいます。
インディペンデント紙は、Louhelainenさんが小数点を打つ場所を間違えてしまい、その結果変異の希少性が10倍も上がってしまったのではないか、と予想しています。それでもDNA変異の種類を間違えていた、という根本的なミスは残りますがね。
ってなわけで、捜査はまた振り出しに戻ってしまいました。
image by Illustrated London News/Wikimedia Commons
source: The Independent
Sarah Zhang - Gizmodo US[原文]
(Tomo)