薔薇乙女会議は曖昧に
- § nのフィールド内の廃墟
- 水銀燈「真紅ぅ~? あなたをジャンクにするために屈強なムエタイ選手を五人つれてきたわぁ」
真紅「くっ!」
水銀燈「さあ、かかりなさい! あんた達!」
ムエタイ達「マイペンライ!(掛け声)」
真紅「水銀燈! あなたがどんな卑怯な手を使おうとも私は決して屈しない!」
水銀燈「うふふ、どこまで強がっていられるかしら?」
真紅「ローゼンチョーーープッ!!」
ムエタイA「グワーーーッ!」
水銀燈「ああっ!? 『天を切り裂くヒザ蹴り』のセンサラックが速攻でやられた!?」
ムエタイB「次鋒、ジャガッタいきます!」
真紅「ローゼン跳躍蹴りーーーッ!」
ムエタイB「グワーーーッ!」
水銀燈「ジャガッターーーー!? お、おのれ真紅!」
真紅「シャイニングウィザードからの~、フランケンシュタイナー!!」
ムエタイC「アバーーーッ!」
水銀燈「デントラニーまで!?」
真紅「鷹爪三角脚ーーーっ!」
ムエタイD「アバーーーッ!」
水銀燈「チャモアーーーーンッ!?」
真紅「ローゼン・オーバーヘッド・ボールブレイカー!!」
ムエタイE「~~~~~ッッッ!!!!」
水銀燈「サムワーーーーンッ!!?」
- § 箱庭のお茶会テーブル
- 水銀燈「…zzZ そ…んな五人のムエタイ使いが…全滅…? たった三分…で…zzZ」ウトウト
金糸雀「水銀燈…! 水銀燈っ!」ユサユサ
水銀燈「けど私は負けないわよぉ! 何故なら私こそは漆黒の逆十字を掲げし…!」ガバッ
金糸雀「はわわっ…」
蒼星石「水銀燈…? どうしたんだい? 急に立ち上がって?」
真紅「何か異議でも?」
水銀燈「え…、あ? あれ? 蒼星石? 真紅…? ここは?」
雪華綺晶「どうかしたのです黒薔薇のお姉さま?」
翠星石「ははーん? さては水銀燈のヤロー、居眠りぶっこいてやがったですね」
雛苺「大事な会議中に眠るなんてスゴイ・シツレイなのよー!」
水銀燈「会議…? そ、そうか。そう言えばそうだった…」
金糸雀「折角カナが優しく起こしてあげようとしていたのにかしら」
真紅「いい度胸ね水銀燈。そんなに私の話はつまらなかった?」
水銀燈「音痴の癖に子守唄は上手いわねぇ真紅?」
真紅「子守唄で熟睡しちゃうだなんて、とんだ赤ちゃんね水銀燈?」
水銀燈「何よ!」
真紅「何なの! やる気!?」
金糸雀「落ち着くかしら水銀燈~!」
蒼星石「そうだよ、今のは居眠りしていた君に非がある」
水銀燈「ちっ…」
雪華綺晶「…黒薔薇のお姉さまは、この箱庭の掃除を柿崎めぐと一緒に
連日行ってくださっていましたから、きっと疲れが溜まっていたのですわ」
翠星石「そんなの言い訳にならんですー!」
雛苺「うぃー! 体調管理も薔薇乙女の淫夢の一つなのー!」
蒼星石「淫夢じゃなくて任務。そもそもどこかの薔薇乙女達が、この箱庭内での
自分達の担当領域分の掃除を全然進めていないから水銀燈にも皺寄せがいってるんじゃないか」
水銀燈「そ、そうよそうよぉ!」
翠星石「うぐっ…! そ、蒼星石が嫌味を言うようになったですよカナチビ!」
金糸雀「昔から蒼星石はチョイチョイ嫌味を言うかしら」
真紅「まあ、それはさて置き、議題へと戻りましょうか。今、審議中だったのは
次回のSIMPLEアリスゲーム企画について。みんな、手元の資料を…」
蒼星石「ふむふむ…」
水銀燈「…やれやれ、何とか落ち着けたが、ひどい夢だった」
金糸雀「どんな夢見てたのかしら? うなされていたみたいだったけど」
水銀燈「対真紅に集めたムエタイ使いが全員かませ犬だったの…」
金糸雀「そ、それはなかなかの悪夢かしら」
- § それから会議が順調に進むこと小一時間
- 真紅「…というわけで賛成多数で今度のSIMPLEアリスゲームは『THEお遍路さん』に決定だわ」
金糸雀「わー、とっても楽しみかしら」
翠星石「素敵ですぅ」
蒼星石「全くだね」
雪華綺晶「私、お遍路は初めてなのですが…」
雛苺「大丈夫、ヒナが教えてあげるのよ。お遍路さんなんて簡単なの」
雪華綺晶「本当ですか、お姉さま?」
雛苺「うぃ! リーチする時に手牌を他家に公開すればいいだけなのよね!」
真紅「それはオープンリーチよ雛苺。お遍路とは全然違うわ」
雛苺「みょわわっ!?」
真紅「ともかく、詳細についてはまた今度私から連絡する」
水銀燈「ふぁ~わ…。退屈な会議もこれでようやく終いね」
翠星石「何を馬鹿を言ってるですか水銀燈。議題はまだまだ山積みですよぉ」
水銀燈「え? うっそぉ?」
真紅「水銀燈あなた、事前に送った会議の案内をちゃんと隅々まで見たの?」
水銀燈「そこまで見るわけないでしょ。あんたからの案内なんて」
真紅「何ですって!」
水銀燈「何よ! やる気!?」
金糸雀「お、落ち着いてかしら二人ともー!」
雪華綺晶「本当に仲が悪いのですね紅と黒のお姉さまは…」
蒼星石「しかし、今回の案内書は真紅がめんどくさがって雛苺に書かせたから
隅々まで見ても何がなんだか良く分からないよ」
雛苺「っ!?」
金糸雀「めんどくさがりの癖に会議は長々と続けるだなんて真紅はおかしいかしら」
真紅「私、仕切るのは好きなのよ」
水銀燈「……」
翠星石「真紅は色々と面倒くせぇ乙女なのです」
真紅「さて、では次の議題。nのフィールド内を流れるレーテ川で河童の目撃情報が相次いでいる件」
水銀燈「なぁにそれぇ?」
金糸雀「河童~? 河童なんているわけないかしら!」
翠星石「何を言うです! 翠星石は見たんです! あやうく尻子玉も抜かれかけたんですよ!」
金糸雀「河童は空想上の生物よ翠星石」
翠星石「翠星石達も似たようなもんじゃねーですか」
蒼星石「それにnのフィールドはほとんど空想世界だ」
金糸雀「うっ…」
雪華綺晶「それで、その河童をどうするのです?」
真紅「写真を撮ってスポーツ新聞社に売りつけたい」
水銀燈「はぁ?」
真紅「みんな分かっているはずよ、薔薇乙女界隈は今、未曾有の財政危機ということに」
水銀燈「…む」
金糸雀「むむむ」
真紅「蒼星石が旧マスターである結菱老人の薔薇屋敷に留まっていてくれるお陰で
ギリギリ金蔓が残っているけれども、それも時間の問題」
水銀燈「金蔓て…」
雪華綺晶「蒼のお姉さまが桜田家に移住しなかったのは、実はそういう理由で…?」
蒼星石「いやいやいやいや!」
金糸雀「み、みっちゃんもジュンのお家も結菱さんに比べたら劣るけど貧乏じゃないかしら!」
翠星石「確かに貧乏ではないです。チビ人間も意外と持っているです…が!」
雛苺「が!」
真紅「私達はそれでは満足できない。ノット・サティスファクション!」
雛苺「ヒナ達は贅沢がしたいのー! うにゅーをしきつめたお風呂に入りたいのよ」
真紅「私もイケメンホスト達を侍らせて馬車馬のごとく働かせたい!」
水銀燈「欲望丸出しのゲス乙女どもめ」
真紅「いい子ぶらないで頂戴! 水銀燈!」
翠星石「そうですそうですぅ! てめーのその悪ぶった格好しておきながら
たまに見せる優しさで好感度アップさせる作戦はあざといんですぅ!」
水銀燈「そんなつもりは…」
真紅「私、見たわよ」
水銀燈「な、何をよ真紅? 急に?」
真紅「雨に濡れている捨て猫を拾って乾かしてあげてたでしょ」
水銀燈「…ッ!?」
金糸雀「やっぱり水銀燈は優しいお姉ちゃんかしら」
雪華綺晶「微笑ましいですね」
水銀燈「べ、別にそれぐらい普通でしょぉ! ただ、雨に濡れててかわいそうだったからよ!
真紅だって、それぐらいのことするでしょうが!」
真紅「甘い。甘すぎて反吐が出る。戦国時代の公家を虜にできるほど甘いわ」
水銀燈「何よ、その喩えは…」
翠星石「それほど水銀燈の行為は腐りきっているということですぅ!」
雛苺「ヒナ悔しいの! 水銀燈みたいな人がいるから世界から戦争がなくならないのよね…」
真紅「よしよし、泣かないで雛苺」
水銀燈「ああもう! じゃあ何! スルーすれば正解だったっての!?」
真紅「いいえ、正解はネコをダンボールごと川へ流す、でした」
水銀燈「はぁ!?」
蒼星石「真紅、それはちょっと…」
雪華綺晶「いくら何でもネコを嫌いすぎではありませんか?」
金糸雀「小さな命は大切にかしら真紅!」
真紅「よく聞きなさい。私は何もネコ憎しで川へ流せと言っているのではない」
水銀燈「へぇ?」
真紅「捨て猫とは川を流れるもの。それが早いか遅いかだけの違い」
水銀燈「……」
真紅「ならば雨が降っている今の方が、川はネコをよく流してくれる。
ネコも雨に濡れている状況だから川の水に濡れるのも無問題というわけよ」
翠星石「全てが合理的ですぅ」
水銀燈「あんたらの頭がいかれてるのは、よぉ~く分かった」
金糸雀「リアルでネコ流すとマジで極悪犯罪だから、絶対にやらないでかしら」
真紅「分かってる。例えばの話よ。つまり私が言いたかったのはお金は大事だということ!」
水銀燈「全然、つまりじゃないんだと思うんだけどぉ…」
真紅「だまらっしゃい! 屁理屈ばかり並べても真実は見えてこない! お金は命よりも重い!」
水銀燈「…本当にもう、なんなのよ。蒼星石からも、ちょっとこの赤い馬鹿に何か言ってやって…」
蒼星石「まあ、お金はないよりはあったほうが良いに決まってるよね」
水銀燈「そ、蒼星石まで…?」
金糸雀「蒼星石は金銭関係にはシビアかしら」
真紅「そもそも水銀燈だって目についた自販機のパカパカ(釣銭口)は全部、確認するじゃない」
水銀燈「自販機の下までゴソゴソするあんたよりはましよぉ」
真紅「まあ! 何ですって!」
水銀燈「何よ!」
蒼星石「落ち着いて二人とも」
雛苺「ブレイブ! ブレイブなのー!」
金糸雀「それを言うならブレイクよ雛苺。ブレイブじゃあ…煽ってるかしら」
雪華綺晶「なんと低レベルな争い…」
- § 会議が白熱すること数十分―――
- 真紅「じゃあ、河童の件は私達が勝手にやらせてもらうということで」
雪華綺晶「異議なしです」
水銀燈「……」
金糸雀「会議でわざわざ話す必要あったのかしら」
真紅「続いて次の案件。ジャングルルーレットを裏で止めてた奴を、この度ようやく蒼星石が突き止めました。ひとまず拍手~」
金糸雀「わー、凄いかしら蒼星石~」パチパチ
翠星石「流石はおじじの片思い相手を海の向こうから見つけ出した蒼星石ですーっ」
雛苺「くんくん探偵みたいなのよね蒼星石!」
水銀燈「ふん、やるじゃなぁい」パチパチ
雪華綺晶「ご苦労様でしたわ蒼のお姉さま」パチパチ
蒼星石「いや、どうもどうも」
真紅「かのルーレットを止めていた者は重
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- :-:2014/11/04(火) 22:31:01
- やはり海王でもムエタイはかませ…
そして相変わらず浄化されたきらきーがかわいい、サブも屋台続けてるし
- :-:2014/11/04(火) 22:33:22
- >雪華綺晶「私も…その…『きらっしー』がかなり気になって…」モジモジ
あぁ~
- :-:2014/11/04(火) 23:18:46
- そりゃジャガタるよ! その5人じゃ!
サガットやアドンでも 厳しいだろ、真紅さんじゃ…
>>THEお遍路さん
じょ…冗談だよね…?
河童と呼び名はやるだろうけど、これは…
読む方にも覚悟が必要だわ。長くなりますよ~
- :-:2014/11/04(火) 23:21:47
- ばらっしーとかなっしーの着ぐるみは宇宙活動も出来るんじゃなかったっけか。もう着ぐるみ着て戦えば良いと思うよ、うん
モジモジするきらきーかわいい
そして雛苺は言い間違いをしないで熟語を言える日は来るのか
- :-:2014/11/04(火) 23:31:46
- 鷹爪三角脚!
スゲエ地味な技でやられてるww
やっぱり槐とばらしーはデキてたのか…ゴクリ!