戻る

このページは以下URLのキャッシュです
http://karapaia.livedoor.biz/archives/52177142.html


合法?違法?安楽死、自殺幇助に対する10か国のスタンス : カラパイア

RSS速報

0_e14

 最近アメリカで、末期の脳腫瘍で余命半年と告知され、みずから死を選ぶと宣言していた29歳の女性が、医師から処方された薬物を服用して死亡していたことが分かり「安楽死」の是非について世界的に大きな議論を呼んだ。安楽死や自殺幇助(ほうじょ)は、どこの国でも常に議論の対象となっている。

 ともに患者の苦痛を終わらせるという目的があるのだが、倫理的な観点から各国では合法にすべきか、非合法にするべきかで揺れ動いている。ここでは日本を含む、世界10か国の法律的な安楽死、自殺幇助に関するスタンスを見ていこう。
スポンサードリンク

 安楽死、自殺幇助はそれぞれ2種類に分けられる
積極的安楽死:
患者本人の自発的意思に基づく要求に応じ、患者の自殺を故意に幇助してに死に至らせること

消極的安楽死:
患者本人の自発的意思に基づく要求に応じ、または、患者本人が意思表示不可能な場合は患者本人の親・子・配偶者などの自発的意思に基づく要求に応じ、治療を開始しない、または、治療を終了することにより、結果として死に至らせること

積極的幇助:
患者本人の自発的意思に基づく要求に応じ、苦痛のない自殺手段を提供すること

消極的幇助:(尊厳死)
回復の見込みのない患者に対し、それ以上の延命措置を打ち切ることを指す。改善の見込みのない苦痛よりも死を選択するとの意味から、尊厳死とも呼ばれる。

10. カナダ

1_e15

 カナダは積極的安楽死、積極的幇助は違法であるが、消極的幇助(尊厳死)は合法である。


9. アルバニア

2_e15

 アルバニアでは自殺幇助と安楽死の議論が盛んな国である。1999年から一部のケースにおいて自殺幇助が合法となった。患者が昏睡状態など意思表示ができない状態で、家族三人が同意し正当な承諾が得られた場合に限り、消極的幇助が合法となったのだ。


8. コロンビア

3_e18

 コロンビアでは、ガン、エイズ、末期患者、腎・肝不全と診断され苦しんでいる末期患者が死を希望し、かつ明確な家族の承認が得られた場合には、自殺幇助が合法となる。コロンビアの憲法裁判所は2010年、自殺幇助を認める判決を出し、末期患者への自殺幇助では何者も罪には問われないとした。


7. 日本

4_e13

 日本に安楽死を認める法律はない。1991年、家族の要望を受けた医師が患者に薬物を注射するなどして死亡させた東海大学病院安楽死事件での判例では、以下の4つの条件を満たさない場合は違法行為となると認定されている。

1.患者が耐え難い激しい肉体的苦痛に苦しんでいる。
2.患者の病気は回復の見込みがなく、死期が迫っている。
3.あらゆる手を尽くしても患者の肉体的苦痛取り除く手段が他にない。
4.患者本人が安楽死を望んでおり、自発的に意思表示している。

 消極的幇助(尊厳死)について、一部合法化しようという動きがある。それは、「2人以上の医師が”死期が間近”と判断し、本人の希望が書面などで明らかな場合に、延命治療をやめても、医師の責任を問わない。」という内容のものだが、反対意見が多く法案提出には至っていない。


6. アメリカ

5_e13

 連邦政府は死に関する法律での議論を避けてきたため、州ごとの法律が一般的に安楽死や自殺幇助の合法性を規定しているそうだ。積極的安楽死は全州で違法だが、自殺幇助はバーモント州、ニューメキシコ州、オレゴン州、ワシントン州とモンタナ州の5つの州で合法だ。


5. ドイツ

6_e12

 ドイツでの患者は、文書命令によりどんな治療も拒否する権利をもっている。例えその治療が自身の命に関わるものであったとしてもだ。さらに自殺幇助はなかば合法であり、患者からの文書命令があれば、医師は合法的に病気の患者に寿命を短縮する薬を処方することができる。

 患者の承諾があれば医師は患者から生命維持装置をはずすことも許されているが、どんな方法であれ医師が患者意志を無視して生命を奪うことは許されていない。そのため、消極的幇助・安楽死は合法だが、積極的幇助・安楽死は違法となっている。


4. スイス

7_e11

 スイスでは1930年代から自殺幇助が合法な一方、積極的安楽死は違法である。これは、患者自身が自分の意志で服薬する限りは、医師が患者に致死量の薬を処方すること自体は合法ということである。しかも実際に致死量の薬を服用する場合、医師はその場に居合わせる必要がないという。これ故に末期患者がスイスに渡り医師に薬を処方してもらい自殺するという外国からの「自殺ツーリズム」が多く行われているという。


3. ルクセンブルク

8_e11

 ルクセンブルクは2009年、安楽死が合法化された3番目の国となった。ルクセンブルクの患者は、末期でありかつ二回以上の要求をすれば安楽死する権利を得られるという。患者からの要請の承認は2人の医者と、患者の意志表明、それを合理的に判断する専門家らによる審査員団によって行われる。


2. ベルギー

9_e9

 ベルギーでは安楽死が10年前から合法となっている。この国での安楽死に関する法律は極めて包括的で、革新的だと言う人もいれば、極めて危険だと考える人もいる。今のところ、「治療しても取り除くことのできない、堪えがたい肉体的・精神的苦痛に絶えずさらされている状況」にある患者が安楽死を要請するようである。


1. オランダ

10_e9

 世界で一番最初に安楽死を合法化した国はオランダである。2002年にこの法案を通した。12歳以上ならば安楽死の要請ができるそうだが、その承認の条件は厳しく、耐え難い苦痛にさらされている末期患者のみが許可される。さらに、患者は安楽死を要求したときに精神状態が正常でなければならない。安楽死が実行される前には、担当医師とは別の医師と専門委員会がその是非の判断をくだすのだそうだ。

via:therichest・原文翻訳:such

 尊厳死を公言した米国人女性、ブリタニー・メイナードさん(29)

 末期の脳腫瘍を患いネット上で尊厳死を予告する動画を公開したブリタニー・メイナードさんだが、予告通り自らの命を絶った。メイナードさんは11月1日、自宅で安らかに息を引き取ったという。

 「親愛なる全ての友人たちと愛する家族のみんなへ。さようなら。私は今日、尊厳死を選びます。脳腫瘍は私からたくさんのものを奪っていきました。末期となった今、尊厳死を選ばなければさらに多くのものが奪われてしまったことでしょう」、「世界は美しさに満ち溢れていました。旅は、私の偉大なる教師でした。そしてもっとも偉大な支援者は家族、友人と仲間たちです。このメッセージも、偉大なる支援者たちは私のベッドのそばで応援してくれています。さようなら、世界。この世に善が満ち溢れていくよう、次へつなげてください。」メイナードさんはソーシャルメディア上でそう書き残した。



 メイナードさんは、結婚してまもない今年1月に余命半年の宣告を受け、進行性がんにより苦痛を伴う死になると告げられた。その後、米国内で「死ぬ権利」が認められている数少ない州の一つ、オレゴン州に夫と共に移り住んでいた。


▼あわせて読みたい
スイスで安楽死の維持決定、外国人の「自殺ツーリズム」受け入れも継続へ


頂上で最終決断を下せる「安楽死ジェットコースター」を開発(イギリス)


16年間植物状態にあった患者がヒッチコックの映画に健常者と同じ反応を示す(カナダ研究)


12年間植物状態の患者と脳スキャンを使って会話することに成功(カナダ研究)


臨死体験の科学的解明が進む。脳は血流が停止した後も約30秒間活動を続けることが判明(米)

ツイートする シェアする この記事をシェア :    
この記事をシェア :    

Facebook

コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 20:53
  • ID:wWCekrUE0 #

日本では安楽死とか尊厳死の討論会には必ずといっていいほど、自称「反対派」が乱入して議論どころではなくなるのが現状・・・。

2

2. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 20:54
  • ID:JZbjX6ES0 #

消極的安楽死・補助は病気による自然死だからいいけど、積極的安楽死・補助はガスや毒薬によるただの自殺だからいけない。

3

3. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 20:58
  • ID:OK0IOpKyO #

いろんな選択肢がある、と言う事が当事者にとって一番の救いなのではないだろうか

4

4. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 21:10
  • ID:nSXnHRY30 #

今度のことで、なんか不安を感じてる。私はうつ病なんだけど、漠然と「自殺は罪だ」っていう意識があるから、思いとどまってる部分がある。なのに、「苦痛(脳腫瘍とうつはまったく違うけどさ)から逃れるために死を選ぶこと=自分の尊厳を守ること」ってなっちゃったら、最後の砦的なところが揺らいでしまう気がして、怖いんだよ・・・。

5

5. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 21:12
  • ID:cys18g3w0 #

最近は安楽死を押す勢力が居るんでしょうか
ネットでもその話題を多々見ますね。賛成ですが。
随分昔から、不況になったら安楽死になるだろうと予想してました、賛成ですが。

6

6. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 21:15
  • ID:gO6LkIvs0 #

※1
そりゃ今までの規範じゃ明らかにタブーだからな。
無条件な批判派はいるだろうけど、それらをねじ伏せる言説がないとな。
逆言うとそれらが浸透してないうちは議論を始める段階にないと思う。

7

7.

  • 2014年11月04日 21:21
  • ID:Yrl7vYbp0 #
8

8. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 21:23
  • ID:1CTc1jzE0 #

私は敢えて安楽死肯定派と明言する。
どんな姿になって居ても最後まで生きていたいという人はそうすればいい。
もう疲れた、と言う人のその声も聞くべきだと思っている。
人権ってそこじゃないのか?と思ってる。
野放図に振る舞ったり、理想にまみれた正義を押し通すために人権はあるのではないと私は思う。

9

9. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 21:23
  • ID:A5dKNyv80 #

※3
同意

患者に選ばせる権利というのは大事よ
それは反対派が何と言おうと、当事者が決めるべき事だと思う

10

10. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 21:26
  • ID:Zk2vRAAf0 #

助かる可能性が皆無で死ぬまで激しい肉体的苦痛が続くなんて誰得だよ
本人、家族、知人とみんな不幸にする。
少なくとも本人と家族が明確に死を望むならば安楽死は認めるべきだ

11

11. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 21:30
  • ID:8kQp453q0 #

正直、ギリギリ最期の選択として安楽死ホスピスとかあったら、どんだけ余生、気が楽になる人が多いかと思うわ
現在の法では無理だけど

やむなく病や貧困が極まった場合、孤独死や自殺は迷惑かかるし処理する人に申し訳ない

昔より単身者は増えてる
家族がいても先立たれて一人になる人も多い
死なない人はいない、遅いか早いかの違いだけだ

12

12. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 21:31
  • ID:BPg5XPW30 #

現状の日本は、安楽死は認められていないけど、4つの条件を満たせば、治療以外の用途の薬物を注射して患者を死亡させても違法にはならない、ということ?
なんかヘンじゃない?玉虫色っつーかなんつーか、、、、、
スイスも意外とあいまいな規定なんだね。
いつか絶対きちんと考えなければならないことだと思うし、誰しもが直面する可能性がある問題なわけだし、きちんとすっきりさっぱりさせてほしい。
ドイツの「文書命令によりどんな治療も拒否する権利」っていうのはいいな。

13

13. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 21:35
  • ID:yEfoeDnP0 #

自分がその立場にならなければ考えないからな。結局は他人事なんだろ。

14

14. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 21:54
  • ID:MA3pooDr0 #

安楽死を反対している人は、がんセンターやら緩和ケア病棟やら見てくるといいと思う。
特に呼吸器系のガンは麻薬も効かず、おぼれたような苦しさを死ぬまで味わう事に。

想像したら、本当に怖い事なんだよね。
余命宣言されたら、安楽死を選択できるってなると老後が安心になると思うんだ。

15

15. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 22:00
  • ID:.LdynvnL0 #

逆に日本でよくやっている、寝たきりの痴呆老人に
胃にチューブ差し込んで強制的に栄養をとらせる胃瘻とか
老人虐待って言われるかもしれんな。


日本の平均寿命を底支えだけれどもな。。

16

16. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 22:07
  • ID:tR2JgoWq0 #

頭を万力で挟まれたまま、毎日24時間で一回転づつ締められて、その万力は死ぬまで緩められることはない。彼女の脳腫瘍はそんな痛みを伴う。
俺なら自殺を選ぶよ。

17

17. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 22:10
  • ID:0ZNuLsf40 #

正直安楽死に反対することの方が理解できない。死にたくなければやらなきゃいい話。完治の見込みの無い患者の願いなら聞いてあげるべき

18

18. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 22:12
  • ID:X7giYpOs0 #

死ぬという事が苦しいものだからこそ、その命を
人質に取られて、世の中で理不尽な事を無理に要求されて、
嫌々それを呑んでいる感じはするんだよなあ。

苦しまずにパッと自分の意志で死ねたら、もう少し
この世の中で生きるのも楽になれるのかなーとか思う。

19

19. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 22:25
  • ID:Hy5iXgyE0 #

議題の構造上、どうしても当事者不在の状態で議論しないといけないのがキツイね
安楽死が認められる可能性があるような人間は闘病でそれどころじゃないし、遺族も故人の死についての記憶を掘り下げて議論するのを好まない人が多いだろうし

20

20. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 22:38
  • ID:uZhUHlGn0 #

ひとつ気になっている事があるので、もしここで良く分かっている方がいるなら教えていただけるとありがたい。メイナードさんの死について、最初ネットで一報を見た時「安楽死を希望していた女性、『自殺』」て見たんだけど、翌日の日本のTVニュースでは「安楽死を予告していた女性が『安楽死』」ってなってたんだけど、このカラパイアの記事の説明でいくと彼女の死は「積極的幇助」=「意図的な自殺」ではないのですか??それともやっぱりあれは「安楽死」なの??難しい……。/ここまで質問。
ここからただのコメント/実際に選択するかどうかは別として、「病院に入ったらなにがなんでも延命です」「それが嫌なら勝手に退院して状況もわからないまま勝手に苦しんで死ねば良い」といわれるより、『選択肢が一つでも増える事』で少しでもこの先の短いかもしれない人生に希望の光があれば良いと思うのです。『最後の逃げ道』の可能性を夢想する事を許して欲しいのです。自死や安楽死を選んで欲しい訳では無いです。本当です。

21

21. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 22:47
  • ID:GK1LlNB80 #

望んでいる人に対してわざわざ反対する人がわからない
他人の選択肢まで奪ってどうしたいのか
ところで私なら死ねるってわかったらやっと生きられそうだ

22

22. 匿名処理班

  • 2014年11月04日 23:13
  • ID:MPFsfCOa0 #

安楽死を与えられず自殺する、あるいは自殺する体力すらない患者に
泣いてすがられた家族が見るに見かねて自殺ほう助し、罪に問われる
そんな社会は狂ってる

安楽死を与えられないなら自殺するしかないほど苦しんでいる患者に
安楽死の選択肢を与える事のどこが悪いんだと言いたい
誰も彼もが苦痛と戦えるわけじゃないんだ

お名前
※投稿されたコメントはブログ管理者の承認後に公開されます。
スポンサードリンク
記事検索
月別アーカイブ
スマートフォン版
スマートフォン版QRコード
「カラパイア」で検索!!
スポンサードリンク
おすすめリンク集